幻想郷は冬と春の境界。そして、その冬と春の境界の正体は…


 まだ白さの残る雪山。寒気を操る程度の能力を持つ妖精…まぁ一種の妖怪なのだが…で
あるレティ・ホワイトロックは、目前に突きつけられた「春」に少々憂鬱になっていた。
春が来れば、レティは何処かヘ消えていってしまう。そしてまた冬の訪れに、どこからと
もなく現れる。

 目前に現れたその「春」は、まだ産声をあげたばかり。そして、まだ力なき「春」に、
レティはこの冬最後の仕事をするのだった。
 レティは身にまとっていたものを全て外し、外気にその飾らない姿を露にする。丁度目
の前の「春」がそうであるように。そして一息深呼吸をすると、意を決してその春を全力
で抱きとめる。

 その胸と胸が触れ合う。まだ冷たい冬の鼓動が、春に伝わる。
 その唇と唇が触れ合う。その冬の冷たさは、時間を経て徐々に春のように暖かく甘いも
のとなる。
 その秘所と秘所が触れ合う。その冬の鼓動は徐々に火照って、やがて命を芽吹く暖かい
鼓動となる。

 レティの最後の勤め。それは、春と「交わる」こと。
 そしてそれが、冬の最後。
 徐々に「春」は勢いを増していき、それはレティの存在を希薄にしていく。だが、レテ
ィの冷気は春の陽気に昇華され、形は代われど消失することは無い。
 何度達しただろうか。目の前の憎い…だが愛すべき春は、自分の全てを受け入れた。こ
れで心置きなくしばしの眠りにつける。


 春を伝える程度の能力を持つ妖精、リリー・ホワイトが自我を持ったとき、ほんの先刻
までリリーを抱いていたレティは影も形も無かった。ただ、わずかに残された彼女の冷気
が、先刻まで冬であったことを物語っていた。

 ほとんど溶けた雪の下から、蕗が顔を出す。
 春を伝えに行かなきゃ。
 リリーは山を後にし、幻想郷中に春を伝えに出発した。

 春はここから始まる。


某所で行われた30分ネチョトライアルを書いてみた。
結果。
ネタ考えるのに8分。ネチョシーンはほんのすこしをギリギリ後付け。しかもヘタレ。

ごめんね、おいらヘタレだから、ごめんね。
早く人間になりたいよう。

っつーか、SS原稿の息抜きにSS書くとかどうよ。ただでさえテキストの打ちすぎで両腕が
腱鞘炎気味だというのに。あと、某所の人間はこの文の感想というか駄目なところを明瞭
完結に200字以内で説明するように。

かいたひと:紅 亜明(Hong a-ming)


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Last-modified: 2018-01-07 (日) 04:56:13 (2301d)