美臨月

(前略・いろいろあった)

とうとう咲夜の子を胎に宿した美鈴。
しかし、紅魔館には産休というものが存在せず、レミリアに
「咲夜との関係は認めてあげるけど、それを理由に門番を
 サボろうなんて考えないことね。サボったら解雇(クビ)だから。」
といわれる。当の咲夜に夜、ベッドの上でこのことを言ってみると、
「まあ、お嬢様がそうおっしゃる仕方ないわね。頑張りなさい。」
とサラリといわれてしまう始末。何か先のことを想像してか、
なんか嬉しそうな咲夜。

仕方が無いので子を胎に宿したまま、自分の仕事場である
紅魔館の門に立ち、子宮口という門の中にいる自分の子を守りつつ
自分が立っている大きな門の中にある紅魔館を守る。
妊娠初期こそ、門番という仕事はそれまでと同じようにやりぬけたが、
自分の胎が大きくなり、門の中にいる我が子が自らの存在を主張してくるにつれ、
門番という業務に支障をきたすようになってきた。もはや立っているのにも
相当な労力を使うような状況になっていた。
胎を異常に膨らませ、顔を苦痛にゆがませながら仕事をする美鈴をうしろから
常にニコニコしながら見守る咲夜。やっぱり嬉しそうだ。

陣痛、今美鈴を襲っている痛みである。このときには門にもたれかかって
中腰でいるのがやっとである。臨月の胎を抱え苦しむ美鈴を好奇の目で見つつ、
門を通り過ぎる霊夢や魔理沙の姿は見えていなかった。
自分の股から液体がこぼれ落ちた。破水。自分の胎内にいる子を包む羊水が
あふれ出したのだ。すなわち、美鈴は出産の刻を迎えたのだ。
「待って……もうちょっと……待って……こんなところで産みた……」
体全体に激痛が走る。美鈴の意思にもかかわらず、胎内の子は美鈴の子宮の門を
くぐりぬけるがために、それをこじ開けようとする。
「自分の子にさえ、門を勝手に通されてしまうなんて、あなたは本当に門番失格ね。」
もし咲夜がこれをネタに美鈴を言葉責めするならばこういうことを言っていただろう。

美鈴はようやく観念したのか地面に仰向けで寝転がり、無意識に子をひりだしやすい
ように股を広げる。少しでも自分の子の体が子宮の門を広げ、外界へと続く肉の道を
確保しようとするたびに、美鈴に激痛が走る。それは普段の弾幕ごっこによる苦痛とは
比べ物にならないほどのものであり、自分が千路に引き裂かれてしまいそうと思える
ものだった。紅魔館の門を霊夢たちが通るのは一瞬。しかし胎の中の子は自分の門を
なかなか通ってはくれない。美鈴自身が無理やり腹に力を入れて、押し出すしかないのだ。

子を産み出す苦しみ中、美鈴は自分の子のもう一人の親のことを考えながら、それに
耐えていた。あの人に自分たちの子供の誕生の瞬間を見てもらいたかったのに、と思い
ながら耐えていた。

長い時間が経った。自分の体をさんざん苦しめた激痛はもうない。それとあれだけ
膨らんでいた自分の腹も元のようにとはいえないが、相応に収まっていた。
自分の股から出ている一本の管は途中で切断されていた。血の付着したナイフが
地面に刺さっていた。
先ほどからオギャーオギャーとうるさい声が空から聞こえる。
声のする元を見上げると、一組の新しい親子が戯れている姿が見えた。

(Close the Phantasm)


辻斬り1レスで書こうとしたら思いっきりオーバーしちゃったのでテキストファイルで。
どこかのSSとは咲夜の嗜好とかわりと展開違うので別物として読んでください。

by 霧華@なげっつ(妊娠シチュ大好き)


トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2018-01-07 (日) 04:56:13 (2302d)