筆者:名無しの中の人



















一日に少しずつだけど季節は流れていく
春が過ぎ秋が訪れ、その秋もそろそろ終わりを告げようとしているこの時期
月の異変も解決して、私は縁側の上で過ぎていく季節を感じていた
ちょっぴり寒い風が体にしみるけど、ソレがまた冬の到来を予感させる

「やれやれ、もうそんな時期か」

そういえば最近良く氷精のチルノを見かけるようになったっけ
ま、冬はアイツの季節だし、黒幕もそのうち姿を現すだろう
竹箒を置き縁側に座りお茶を飲む、熱いお茶が喉を潤すと共に体を温めてくれた

そんな私の視線の先に一人…いや、一匹の動物がゆっくりと歩きながらこちらに向って来ている

「まったく、この寒い日にアンタも暇ね」
「そちらも相変わらず暇なようだな」
「相変わらずは余計よ」

変な帽子にもさもさの尻尾が特徴的、八雲藍…紫の式だ
マヨヒガから出てくる事は殆ど無いのだが…ひょっとしてまた事件とか?
しかし、その藍の後ろからもう一匹がひょっこりと顔を出す

「やっほーれーむ、ひさしぶり」
「あぁ、アンタもいたの、チュンだっけ?」
「橙だって!ち・ぇ・ん!!」
「まぁ冗談はさて置き、あんた達何しに来たのよ」
「うむ、紫様がな、大量に食事をなさったんだ」
「うんうん!山ほどあるご飯ぺロリと食べちゃったんだ」

藍の方はいつもよりも若干穏やかな様子で…橙の方は尻尾を振って無駄に嬉しそうに
どんな話かは解らないけどお茶請け位にはなるかも知れないし、聞いてみるか

「で、それがどうしたのよ?」
「この現象が意味する事は…冬眠だ」
「冬眠?まぁアイツは年中寝てるけど」
「紫様が大量の食事を取ると言う事はすなわち冬眠を表してな…」
「うん、紫様がご飯いっぱい食べた後は冬の間ずーっと眠りっぱなしになっちゃうんだ」

本当によく寝る妖怪だ、ひょっとして生きてる半分以上は寝てるんじゃないのか…
でもま、今その事は置いといて

「それは解ったんだけど、あんた達は何でここに来たの?」
「他の動物も冬眠の準備に入っていてな、マヨヒガも寂しいわけだ」
「うん、寂しいよ」
「で、何であたしの家なのよ」
「久しぶりに出来た休暇だ、何処かで骨休めをしたい気持ちも解るだろう?」
「だかられーむの家に行こうって事になったんだ!」

まぁ、確かに紫の奴は式の扱いが物凄く荒い…というか殆ど生活面全部任せっきりって聞くし
やれやれ、結局元凶はアイツか…でもまぁ、たまには良いかな…知らない仲と言う訳でも無い

「まーいいや、最近他の連中も来てないし」
「感謝する、勿論タダという訳じゃない、私も労働力として手伝うつもりだ」
「私も私も~」
「はぁ…こりゃ賑やかになりそうね」

竹箒を隣の柱に立てかけると、私は一足先に居間の方へと向う

「あんた達はちゃんと玄関から入りなさいよ~、後、靴はちゃんと脱ぐ事」
「うむ、わかった」
「は~い」


そんなこんなで、家に二匹の居候が来る事になった


「うわ~、コタツだ!」
「昨日出したばっかりだけどねって、そんなに驚く物でも無いでしょ」
「まだ八雲家では出してなかったからな、橙にとっては今年初めてのコタツだ」

―猫はコタツで丸くなる―
まさにその言葉通り橙はコタツに入ると気持ち良さそうに丸くなってしまった

「ぬくぬく~」
「自宅で私以上にくつろがれると、なんか癪だわ」
「しかし意外と綺麗な家だな、もっと汚れていると想像していたが」
「アンタねぇ、いくら私が面倒臭がりっていっても神社の掃除ぐらいするわよ」

でも掃除に時間が掛かる事は確かだし、この神社意外と広いからなぁ…

「少し聞いてはくれまいか、この前、紫様がな」
「やれやれ、愚痴はお茶を不味くするわ」
「『藍~掃除おねがいね』そう言われて掃除をこなした訳だが、掃除が終って紫様に会った時
 なんと言われたと思う?『ご飯まだ出来てないの?』こう言われたわけだ」
「私の話は無視かい」

それから藍の愚痴を延々と聞かされた、まぁ今はアイツも冬眠中だからなのだろう
スキマを明けてこっそり聞かれる心配もないせいかここぞとばかりに不満を爆発させている
そりゃ話を聞いてると無茶難題押し付けてるなぁとは思うけど…
そんな私を尻目に隣の猫と来たら呑気に寝息を立てている

「あー、もう、解った解ったアンタにもお茶入れてあげるから少し静かにしなさい」
「まったく、紫様には八雲家の主という自覚が足りないのだ、コレでは他の者達に示しがつかない」

台所まで行きお茶を入れる、あ、そういえば新しいお茶の葉あったんだ
ちょっと前にお茶を飲んだばかりだから、お湯は温かいままで沸騰するまでさほど時間は掛からなかった
窓の外を見ると空は曇り風が木々を強く揺さぶっている…相変わらず外は寒そうだ
やっぱ寒い日のお茶ってのはいつもより美味しく感じる
お茶とお茶菓子を持って居間に戻ってきた時には、藍はテーブルに突っ伏し垂れていた

「この前は、そうだな…始めて私は過労死するかと思った、何せ…」
「猫よりも狐の方がタチが悪いとは予想外だったわ」

コタツの上にお茶を置いてお互い向き合いながらすすり始める

「すまない、つい愚痴をこぼしてしまった」
「まーアンタの不満は解ったから、のんびりして行きなさい」

そう、私の家では縛る事もないし縛られる事も無い
そういえば狐って熱いお茶飲めたっけ?まぁいいや、どーせそのうち冷めるし
二人で外へと視線を向けると、真っ白な雪がゆっくりと舞い降りて冬の到来を告げていた


ふわふわと浮いて…地面に落ち…溶けていく…


「あれを見ると、もう冬って実感が沸いてくるわね」
「マヨヒガにも冬が訪れ、動物達も皆眠る季節だ」
「あんた等はどうなのよ?」
「私達は式だからな、冬眠中の主の世話をしなければならない」
「で、その世話しなきゃいけない式がウチに来たわけだ」
「あの方の力は他の者達も良く知っている、眠りを妨げればどうなる事か」
「よく寝るだけならまだしも寝相が悪いと来ちゃ、始末に終えないわね」
「はは、まったくだ」

私達は暫くお茶を飲みながら語った、この前の月の異変の話や結界についての話
意外と面白いものだ、普段しないような会話するのも
いつもならボーっと過ぎていく時間がほんのちょっとだけ早く進んでる様な、そんな気がした










「ふぁ~ぁ…あれ…」
「起こしてしまったか橙」
「あ、そっか…ここは霊夢の家だった」
「さて、お腹もすいてきたしそろそろご飯にしようかしら」

すると何故か藍が立ち上がる、ついでに橙も

「私が一番自信があるのが料理だ、腕を奮って作らせて貰おう」
「藍さま~私も手伝うよ」
「あのさ、盛り上がってるとこ悪いんだけど、私も作るわよ?」

別に任せっきりが嫌って訳じゃないけど、私には私の生活リズムって物がある訳で

「そうだな…三人で作ればその分時間も掛からないだろう」
「それじゃ、皆で作ろ!」
「んじゃ、メニューは適当で良いわね」

台所に三人が並ぶとさすがに狭い、まぁ流れ作業になってるから殆ど動かなくて良いんだけどね
右から橙、私、藍という具合に並んでいる…丁度身長順だ

「うー、冷たい~」
「ほら、早く洗った野菜回しなさい」
「味付けは薄味でいいか?」

橙が洗った野菜をまな板へ、まな板で私が切った野菜をフライパンへ、入ってきた野菜を藍が炒める
焼き魚に味噌汁、野菜炒めにご飯にお漬物と夕食にしては若干質素なメニューになったのだが
他人が手を加えた料理と言うのはどこか楽しみな部分があるものだ

「さて、あらかた料理も完成したな」
「それじゃ居間に移動開始」
「ごっはん、ごっはん~」



居間のテーブルに料理が並べられていく、質素な割りに意外と豪勢に見えるのがまた不思議なもので
私達は囲むように着席すると、両手を合わせて合唱した

「やっぱり藍さまの料理は最高だね~」
「違うぞ橙、こう言う物は皆で作ったから美味しいんだ」
「私の料理より美味しいわね、微妙に悔しいわ」

多分それは気持ちの問題もあるんだろう、私は自分の空腹を満たす為に作り、食べる
藍の場合は食べてくれる相手が居るからだと思う、だからかな…私の料理とは何処か違う味がする

「橙、もう少しゆっくり食べなさい、別に料理は逃げないぞ」
「だって美味しいから」
「口の周りのご飯粒だらけじゃない、もっと味わって食べなさいよ」
「う~、そういう霊夢だって付いてる」
「むぅ…何処付いてる?」

顔中調べてみたがソレらしい物は見当たらない、ふと藍と視線が合うと
私の方を見ながら楽しそうに笑っていた

「なーんてね、嘘だよ~」
「にゃろう…」

己が持てる最高の速度で橙の皿の魚を浮かすとそのままあっという間に自分の皿へと移す
ふっ、我ながら完璧な動きね

「あー!取った!霊夢が私の魚取った~!!」
「いやー、勝利の味はまた格別ね~」
「やれやれ、それじゃ私の魚を半分こしようか」

ふと箸を止めてしまう…一人で食べている時とは明らかに違う感覚…
暖かいって言うのかな…何時もより美味しいと感じるのは料理の味だけじゃないみたい
この二人を見てるとなんだか…なんて表現して良いんだろう…
そんな私を藍が優しそうな目で見つめていた

「初めてか?こういった食卓は」
「まぁね、あんまり大人数で食事した事ないし」
「良いものだろう、家族みたいで」
「家族……か……」

随分と昔に置いてきた何かを思い出したような…そんな気がした
窓の外に目を向けると、しんしんと雪が降り積もっていて
こりゃ明日は雪が積もるかもしれない…と
今も昔も変わらない雪景色の冬を見て、私はいつもこう思うんだ

雪ってのは本当に…変わらないまま綺麗な存在だ…

「雪ってとっても綺麗だね」
「ああ、空で生まれて地に落ちるまでの命だが」
「その儚さが綺麗であり…寂しいのかも知れないわ」

何故か私達は食事の手を止めて暫く雪の振る空を見上げていた
どうやら今年の冬は思いのほか考え事が多い季節になりそうだ




ご飯を終えた後、私達はお風呂に入った、最後まで橙がごねていたけど
ウチに来たからにはお風呂に入ってもらわなきゃ、汗臭くっちゃ適わない
あー、でも浴槽に毛とか浮いてそうでやだなぁ…掃除がめんどくさそうだ

「藍さま…私が水苦手なの知ってる癖に」
「体が汚いままだと健康に良くないんだぞ?」

あの二人は本当に仲が良い…藍が橙の髪を梳いている、まぁ藍にとっちゃ娘みたいな存在だろうし
よく見てみれば藍の髪の毛はかなりの癖毛だ…仕方が無いわね

「あんたの髪の毛、随分とまた癖ッ毛ね」
「んっ…どうしたんだ?突然」
「まーいいから、じっとしてなさい」

座っている藍の後ろに立つと、まだ薄っすらと湿っている金髪を櫛で梳いてやった
所々に髪の痛みが目立つ、これも気苦労のせいかもしれない

「いいんだぞ?私達は居候の身だ」
「どーせ家じゃ誰もやってくれないんでしょ?私がやってあげるわ」
「そうか…ありがたい」

髪を撫でながら梳いてあげると気持ち良さそうに目を細める…
綺麗な金髪からは日向の匂いがして…その大きな背中に暖かさを感じた
そういえば帽子を取っている姿を見るのは案外初めてかも知れない
そんな藍に私は思っていた疑問を投げかけてみた

「ねぇ、そんなに紫に不満があるのに、何でずっと耐えてるわけ?」
「私は紫様の式だからな、仕えるのは当然の事だ」
「そうじゃないわよ、アイツかなりグータラだし腹が立ったりするでしょ」
「確かに、みっともない姿を晒すときもあるが…」

紫の話をしてるときの藍の顔は…物凄く楽しそうに…それでいてため息混じりで…

「あの人はアレで居て優しい方なんだ、本当にたまにだが食器を持ってきてくれたりとか
 それに私は尊敬しているよ、私を生んでくれた人だ…尽くす理由などこれだけで十分」
「うん!私も藍さまも紫さまのこと大好きだもん!」
「…そっか」

正直、ここまで二人がアイツのことを慕っていたとは思わなかった…けど…
ほんの少し、ちょっとだけなんだけど…紫が羨ましと感じた

「はい、終わりっと…神社の朝は早いわ、そろそろ寝ましょうか」
「博麗霊夢…ありがとう、久しぶりだよ髪の毛を梳いてもらったのは」
「霊夢で良いわ、フルネームの呼ばれるの好きじゃないから」
「えへへっ、これで二人も仲良しだね!」
「ふふっ、そうだな…仲良しだ」
「ぷっ…あはは、仲良しって事にしとくわね」

笑いながら二人で橙の頭を撫でる…本当に今日は変わった一日だ…




外ももうすっかり夜の気配に包まれていた…その神社の寝室に一組の布団を取り囲んで私達は座っていた
そう、生憎と布団は一組しか用意されていない…だって寝るのに2つも使わないし

「言っとくけど、私は布団で寝るからね」
「まぁ仕方が無いな、それでは私達は居間のコタツを借りるとしよう」

随分あっさりと結論が出たのだが、意外なところから講義の声が上がった

「ねぇねぇ…三人で寝たら良いんじゃないかな?」
「こら橙、余り無理を言っては駄目だぞ」
「それに三人って、誰かがはみ出すわよ」
「大丈夫!居間のコタツの布団も使えば誰もはみ出さないよ」

橙の無垢な瞳が強く訴えかけてくる…皆で寝たいと
ほんと、私もどうかしてるかもしれない…いつもなら絶対に断るのに
そんなに不安そうな瞳で見られたら…断れないじゃない…

「はぁ……もう、解ったわよ」
「やったー!!」
「すまないな、無理を言ってしまって」

藍の言葉が終わる前に橙が居間へと駆けていく、よほど楽しみなのだろう
思わず苦笑してしまう…隣の藍も私と同じ顔をしていた

「持って来たよ~」

ドタドタと布団を引きずりながら寝室に入り込んでくる…元気すぎるってのも問題ね
そのままの勢いで布団を広げると一番に真ん中に入り込んでひょっこりこちらを覗いている

「えへへっ、真ん中~」
「寝る前なんだから、もうちょっと静かにしなさいよ」
「まぁ、橙の取り得は元気だからな」
「藍さま酷い、それじゃ私が元気しかないみたい」
「お前には元気が一番似合っているよ」

私が右側、藍が左側の布団に入り川の字になって寝る事になった

「やっぱり、三人だとあったかいね」

布団の中で小さな手が私の手を握ってきた…仕方がないので握り返してやる
おそらく反対側でも同じ事が起きているのだろう、私達は視線を合わせて笑いあった


「それじゃ、おやすみなさ~い」
「ああ、おやすみ」
「うん…おやすみ」

握られている手のひらが温かい…一人で寝るときよりもずっと…
不思議だ…何でこんなにも暖かく…こんなにも落ち着くんだろう




こうして夜が更けていく……はずだった……




果たしてアレからどれほどの時間が経っただろうか
目を開けたとき居間から見える外の風景は相変わらずの雪景色
30分?1時間?私の家には時計が無いからなんとも言えないけど


…私は居間へ行く事にした…だって……

…こんなにも体が疼いたのは久しぶりだったから…


布団の中で未だ繋がれている手を優しく解く、室内が冷えていた所為だろうか
橙の手から伝わる暖かさが物凄く名残惜しかった
二人を起こさないように静かに布団を抜ける
幸い気づかれた様子も無く居間へと抜けることが出来た

「なんで…だろ…んっ…私って…こんなに欲求不満…だったかな…あんっ」

居間の中心で胸とアソコを撫でながらその場に座り込む
寒さのせいか、荒い息が白くなり空気中へと吐き出される
今日に限ってどうしてここまで体が疼くんだろう…二人が来たから?でもどうして…

「ひぁっ…あっ…はぁ…はぁ…」

頭が答えを導き出す前にまるで別の意思を持ったかのように指先は己の体を弄る
気持ち良いのは当然…自分の体のどこをどう弄れば気持ち良いのか解ってるから

「駄目っ…聞こえちゃう…あっ……んっ!」

喘ぎ声が段々大きくなってきた…だから声が漏れないように思い切り巫女服の袖を噛み締める
性欲の為に自分を抑えるのは苦しい…本当は声を上げて気持ちよくなりたい

だけど…

…クチュ…クチュ……

淫らな水音が静寂な部屋に響き渡る…
ひょっとしたら襖を超えた向こうの二人にも聞こえているかもしれない
何故かそう考えると私の手はより一層強く性感帯を刺激する

「んっ…むふっ!…んんっ!…」

こんな姿、あの二人には見られたくない…
快楽に溺れる姿を…一人悩ましげに乳首とアソコを弄る私を…
橙と繋いでいた手…その手で私は自分を慰めている

「んっ!…んっ!…んむぅぅ!…んっぅぅぁぁぁ!!!!」

ビクッ…ピュッ…プシャァァ…

絶頂へ達してビクビクと震える体…私の股ぐらからは床へと愛液が染みていく…

「ふぁ…あ…ん…きも…ち…いいな…」

しかし、私の体は今日に限っておかしかった
いつもなら絶頂へ到達すれば収まるはずの性欲も、飢えた獣のように体が止まらない
そして、それは突然の出来事だった







「体が疼くのか?…霊夢」


「!?」





―――――呼吸するのを忘れてしまう―――――






私の直ぐ後ろにその人物は立っていた




「ら…らん…どうして…」
「寝る前から体が疼いていただろう、そういう匂いがしていた」
「…ごめん…こんなところ見せちゃって」

頭の中に色々浮かんだけど、良い言葉が出てこなかった…
貴方達が来たことで私の体が快楽を求めてるなんて…いえない
だって、それは二人の事を考え自慰してると言う事実を知られてしまうから
でも、藍の反応は私が想像している物とはまるで反対だった

「何を恥じる必要がある、体が疼けば解消するのが当然だ…人間も妖怪も関係ないだろう」

そういいながら背後から私を抱いてくれた…部屋が寒かったせいか物凄く暖かい

「神社に泊めてもらっているのは私の方だ、私で良ければその体を奉仕させて欲しい」
「…………」

まさか、そんな風に言ってもらえるとは思ってもみなかった
嬉しかった…たとえその行為がが義務であったとしても…

「それとも、私では駄目か?」
「…藍…お願い……」

私の答えに満足したのか、ゆっくり体から手を離すとスルスルと服を脱ぐ音が聞こえてくる
しばらくした後、背後から巫女服の合間を縫うように両乳房を暖かい手が包み込む

「このぐらいの強さでいいのか?」
「うん…気持ち良いよ…あぁ…」

強すぎず弱すぎず、時には摘むように乳首を擦り、時には乳房の形が変わるぐらい強く揉みほぐす
まるで服の中に生き物が居るかのようにビクンビクンと跳ねる私の体
そんな藍の手は飽きることなく私を快楽へと誘ってくれる…
藍の顔が見たくて体捻るように後ろを向こうとしたとき…私の唇は優しくふさがれた

「んっ…はむっ…藍っ…んちゅっ…」
「あむっ…んむっ…ぷはっ…んっ…」

お互いに大人のキス…ただ藍のザラっとした舌が気持ちよかった
両手を後ろに伸ばし藍の頭を捕らえると更に強く唇を求める
激しく口内を嘗め回す様なキスじゃないけど…私を気遣ってくれてる…そう感じた
唇の端から垂れる涎をお互いに舐めあう、

「んむっ…はぁ…はぁ…藍…」
「ん?…どうかしたか?」
「藍のキス、とっても気持ち良いよ…」
「ふふ、私もだ…」

私よりも大きな体がまるで寒さから身を守ってくれるかのようにしっかりと抱きしめてくれる
ちょっぴり力強くて…物凄く優しい…こういう行為を忘れさせてくれるほどに…

「…あっ…そこは……ひぁっ…」
「もう随分と濡れているな…感じてるのか」
「うん…藍が上手だから…」

アソコの部分が濡れて袴にシミを作っていた…しかもその上から藍が優しく撫でてくれる
ゆっくりだけど丁寧に割れ目に沿って…そんな藍に私は感じてしまう

「ちょっとだけ、不安なの…藍の顔が見たいな」
「大丈夫だ、私は傍に居る」

ゆっくりと私の体を回転させると、目の前に藍の顔があって…その表情はやっぱり優しかった
体に感じる快感も気持ち良いけど…心にはそれ以上の安心感が広がっている

「正直不安だった、橙が皆で寝ようと言い出した時、霊夢が寝る事を否定しそうで」
「私だって否定しようとしてた…でもあの子の顔みてたらなんだか…それも良いかなって思えて」
「霊夢は橙を受け入れてくれた…だから私もその気持ちに応えたい」

藍はゆっくりと私の袴を持ち上げると、その中に頭を入れるように入り込んできた

「駄目っ…そんなとこに入っちゃ…んっ…」

袴の中の膨らみを両手で押し戻そうとするが力が入らない…その間にも膨らみは股の中心へと移動する

クチュッ…クチュ…レロ…

「ひぁっ…汚いよ…あっ…あぁっ!…あっ…」
「素直で綺麗な体だ…汚い事なんて無いさ」

秘部まで到着した膨らみが上下運動を開始する…
ざらざらとした舌がアソコを弄ぶように舐めまわす、敏感な部分をそんな舐め方されたら
もう、藍の舌しか感じられないよ…何も考えられない……
そんな私の体を絶頂へと誘うように、藍の舌はクリトリスを舌先で刺激するように舐める

「逝くよっ…っぁ…そんなに舌で舐められたら…っ…私もう…」

股間の膨らみはそんな私の喘ぎを肯定してくれるかのように速度を上げる
激しく舐められ続ける己の体の行く先は、既に決まっていた

「んっ!…いいよぉ!あっ!…あっ!…ひぁっぁぁぁぁっっ!!!」

プシュッ…シャァァ…ッッ…

後ろについた手が快楽の為かピクピクと震える…また…アソコから潮吹いちゃった…
そんな快楽の余韻に浸る私の頭を、再び痺れが襲う

「はんっ…藍っ…出したばかりで…ひぁ…」
「んっ…大丈夫だ、ちゃんと綺麗にしておく…」

何度も何度も、丁寧に私のアソコを舐めてくれる
そんな行為の途中だったのか、私達は完全に失念していた…もう一人の存在のことを


寝室の方の襖がゆっくりと音を立てて開いていく

「うーん、藍さま~…霊夢…何やってるの…ふぁ…」

眠たそうな目を擦りながら橙が私達の方を見ていて
そんな私達は…喘ぎ声を上げる私の袴の中に藍が頭を入れているという何とも言い訳出来ない状況だった
藍も橙の声を聞いた途端、物凄い速度で袴から顔を出して私から離れる

「藍さま、何で霊夢のスカートの中に潜ってたの?」
「ちぇ、橙…これはだな……」

誤魔化そうとしてどもってしまう藍なのだが私はそろそろ教えてあげても良いと思う
性の知識を

「藍、教えてあげた方がいいんじゃない?」
「まだ橙には早すぎる…」
「でもタイミングを逃すと言い出せなくなるわよ?」
「むぅ……仕方が無いか…」

藍もようやく決心が固まったようで

「橙、ちょっとこっちに来て」
「あ、うん」

寝巻き姿のままトテトテと私の方へ歩いてくる…これから性について教えるとなると
さすがに私としても慎重になってしまう

「今からね、気持ち良いこと教えてあげる」
「へぇ~どんな事?」
「まずは服を全部脱いで裸にならなきゃいけないの」
「何で裸になるの?お風呂はもう入ったよ?」

やっぱり一緒にやらなきゃ疑問を持っちゃうわね…仕方が無い
お手本として私は半裸状態の巫女服を脱ぎ捨て裸になる

「こんな感じで、裸になってみて」
「解った、霊夢みたいになれば良いんだね」

疑問は解決してないけど、とりあえず素直に裸になってくれた
何の疑いも持ってない瞳が…私を見つめている
優しくしてあげなきゃ、初めてだもんね

「ここに座って、私にもたれ掛かって良いから」
「うん、それじゃ座るね」

私が股を開いて橙を迎え…体育座りの体制で後ろから抱きしめる

「霊夢の体…とっても暖かいよ」
「だって今夜は雪が降ってるから余計にあったかく感じるの」
「もうちょっとだけ…このままで居てくれる?」
「………」

橙の問いには答えずに体を強く抱きしめる、少し照れているのかな
恥ずかしそうに笑うと、力が篭っていた体が徐々にリラックスしていく
そんな橙の胸に優しく手を当てた

「っ…くすぐったい…」
「大丈夫だから、落ち着いて」

いきなり手を動かしたんじゃ、経験の無い橙にとっては間違い無くこそばゆいだけだろう
だから私は手を置いてゆっくりと温もりが伝わるまで動かさずにずっと触れて居てあげる
勿論慣れは必要だからじっくりと…私が焦っちゃ駄目

「んっ…なんだか胸を触られてると変な気分だよ…」
「ええ、その気分が気持ち良いって感覚なの」

ゆっくりと未発達の膨らみを円を描くように撫でてあげた…まだ自分の感じている感覚に戸惑っているのか
どうして良いか解らないような喘ぎ声が…初々しくて…とても可愛い

「あぅっ…でも…気持ち良いって…もっと…あっ…スッキリするよ…んっ…」
「多分、橙が言ってるのは爽快感ね…でも今感じてるその感覚は快感って言うの」

幼い体が私の腕の中でビクッと跳ねる、初めてだもの…気持ち良いのは当然ね
でも、教えてあげなきゃいけない…橙が感じている今の感覚を解消する方法を…
そのまま私の手は下腹部へと伸び、既に潤っていた秘部の中をクチュクチュを音を立ててかき回す

「ひぁっ!…体が…おかしいよぉ…変になっちゃう…ふぁ…ああぁ……」
「ここを指で擦るとね、とても気持ち良いの」
「指が…クニクニ動いて…アソコがっ…何か来るよっ…ひぁっ…ぁ…」

まだ慣れない感覚だからなのか…橙の体は快楽よりも不安の方がずっと強いみたい
私は決めていた…この行為は出来る限り優しくしてあげようって
アソコの愛撫を一旦中断して橙の手をとり、自らの秘部へと導く

…クチュ…クリクリ…ピュッ……

橙の手で自らを慰めているからだろうか…いつもより体が熱い…
ふと気が緩んでしまったのか…橙の爪がアソコに引っかかる

「ふぁっ!…あふっ…う…橙…」
「んっ…霊夢のアソコも…私と同じで…熱くてネバネバしてるね…」

もうそろそろ良いかな…私は止めていた手を再び動かし始め今度は橙の耳を舐める
そっと息を吹きかけたり、裏を舐めてみたり…甘く噛んでみたり

「はんっ…そんなとこ舐めちゃ…駄目だ…ょ…」
「でも、気持ち良いんでしょ?」

真っ赤になって俯く顔が…まだ絶頂を知らないその体が…とても綺麗に見えた…

「私と一つだけ約束して欲しい事があるの」
「なに…?んっ…あふっ…」
「今やってる事…やりすぎちゃ駄目よ?」
「なにか…あるの?」
「週に3回以上やっちゃうと、体の調子が悪くなっちゃうからね」

ごめんね…もちろんこんなの只のデタラメ…でも………

「あんっ…んっ…3回…だね…ぁっ」

私のようになって欲しくない…性欲に溺れて欲しくない
橙は…いつまでも純粋な橙のままで居て欲しい…だから……

「あっ……れい…む、来ちゃうよ…アソコが熱くて……んぁ…何も考えれない」
「それでいいの…」

最後の仕上げに橙のクリトリスを摘むようにして撫でる
ビクビクと震える体、次々と溢れ出る愛液、始めての快楽に震える表情
そして……

「来ちゃう…あっ!…ひぁっ!気持ち良いのが…駄目ぇぇぇっっ!!!!」

絶頂を迎えたときに響き渡る甘美な喘ぎ声が神社の中へと響き渡る
いまだ快楽の余韻に浸っている橙の唇を…ゆっくりと塞いであげた

「んっ…はむっ…ぁ…はぁ…はぁ…」
「ふっ…ん…それがね、イクっていう感覚なの」
「とっても…気持ち良かったよ」

キスをしながら私達は体を休めていた…そういえば……
気になっていたことを口にしようとしたとき、丁度良いタイミングでその疑問は解決した

「あ、藍さま~」
「まったく…一体何処行ってたのよ」
「なに、少し気になる物があってな」

ついさっき居たかと思ったら、いつの間にか居なくなっていて今度はひょっこり現れる
まったく、こんな所でイリュージョンして欲しいなんて頼んだ覚えはないんだけどね

「台所の方でな、面白いものを見つけたぞ」
「へぇ~って…それ、ひょっとして」
「え?なになに?」

えーっと…たしかあれは何だったかな……あぁ、バターだっけな?
確か魔理沙が『私は和食派だし、どーせ使わないからな』とか良いながら強引に置いていったっけ…
勿論、パンなんてこの家には無いし処理に困っていたと言うよりも完全に忘れてた

しかし、藍は何故かそのバターを取り出すと手の平に乗せ暖めている
なんというか、物凄く嫌な予感がするようなしないような…

「は、裸のままじゃ風邪引くし、そろそろ寝なきゃね~」
「橙、抑えるんだ」
「はーい」

きびすを返し逃げようとする私の体に柔軟な橙の体が絡みつく
いくら軽いと言えど、股関節の部分に手足を絡まれては動きようが無い

「あんた達、犬だって三日は恩を忘れないって言うわ!」
「私は狐だ」
「わたし猫~」
「この恩知らずー!」

藍はゆっくりと歩きながら私の前まで来る…そんなに不安そうな顔をしていたのだろうか
目の前で座り込むと穏やかな微笑を浮かべながら頬にキスをしてくれる

「大丈夫だ、私達が霊夢に対して酷い事などするはずが無いだろう」
「…うん」

解ってる…藍が優しいのは知ってるから
そのまま私の鎖骨の辺りに解けかけているバターを塗ると、それを全身へと満遍なく伸ばしていく
普段ならくすぐったく感じるんだけど、体がまだ不満なのかな…今の私はそれすらも気持ちよく感じてしまう

「力を抜いて、楽にしていれば良い」

何故だろう、普段は他人にあれこれ言われるのが疎ましいのに
今はただ、藍に全身を委ねている…
バターで濡れた体を月の光が艶らしく照らし出す
首筋から始まり…乳首を撫で…太股を伝い…つま先へと塗りつける

「藍…なんだかヌルヌルする…」
「すまない、私もそろそろ我慢できなくなって来た」
「ひぁっ…ちょっ…ぁ…」

はむっ…んちゅっ…ぴちゃ…レロッ

首筋に触れた舌が嘗め回すようにチロチロと動く、でも…舐められている場所はそこだけじゃ無かった
太股を執拗に舐めるもう一つの舌が、私の体を昂らせる

「やっ…ん…二人…とも…舐めない…でっ…あふっ…」
「…はむっ…ん…お前の体はとても美味しいぞ…」
「美味しいよっ…んむぅ…霊夢の股ってこんな味がするんだ」

私…体中に塗られたバターを舐められてる…あんっ…ぅっ…
首筋から鎖骨にかけて丹念に舐める藍…股から太股にかけて荒々しく舐める橙
舌の感覚が体を支配していく…乳首が…硬く敏感になっていく
本当に…気持ち良いよ…

「藍さま、ここね…なんだか硬くて起ってる」
「これはな…気持ち良い証拠なんだ」

我慢しきれない私の両乳房を、荒々しく頬張る二匹の式…
まるで、貪るかのように私を食していく

「…ふぁ…おかしくなっちゃう…駄目ぇ…そんなとこ食べないでぇ…」
「あむ…んっ…、あっ!」

カリッ

「ふぁっ!?あぁぁぁ!」

突然の刺激に体全体がのけぞるように…橙の歯が乳首を噛んでしまったんだろう
思わず我慢できずに声が出てしまったけど…もう隠す必要も無いもの…今は思いっきり喘ごう

「気持ち良い…よ…頭が痺れて…鳥肌が立っちゃうぐらい…舐められるのが気持ち良い」
「霊夢が感じてくれると、私も嬉しい」
「藍……橙……今日の事…忘れられなくなるくらい私の体に刻んで…」

この体が限界を迎えるまで…たとえ朝まで続いたって良い
もっと激しく、二人を感じていたい

「解った…お前がそこまで言うのなら」
「うん!私もガンバル」


唇を割って藍の舌が入ってくる…遠慮のない激しく荒い口内を犯すようなキス
唾液全てが吸い上げられ、頭もボーっとしてくる…本当にキスが旨い…
そんな頭を覚醒させるかのようにゆっくり舐めるように橙がアソコへと舌を伸ばす

「んむっ!…あむぅ!…らめぇ!ひもひぃ…むっ…ぷぁっ…」

長いキスが終わりを告げ、愛撫が快楽の始まりを助長する
言葉を喋る間も無く、瞬く間に乳首が激しく揉み上げられ
それと同時にアソコを舐める舌先も中を味わうかのように伸び…私の体は淫らに跳ねる
上半身は藍が、下半身は橙が…私の体を弄ぶ

そして私は……

「ひやっ…もうっ…いく…イクよぉぉぉ!!」

橙の顔が目の前にあったけど構わず出してしまった…
勢い良く飛び出した愛液が橙の顔を濡らしていく
余りに突然の出来事だったからだろう、橙はびっくりしてボーっとしていた


「私も霊夢の体で愉しませてもらうかな」
「藍、ちょっ…痛い…よ…」

私を仰向けに倒すと両足をもって前の方へと押し倒す…物凄く恥ずかしい体制…
自分のアナルを藍に見せ付けてるみたいで、これじゃ私が変態みたい
そんな私を、目を細めて観察している藍と視線が重なる

「いやっ…そんなとこ…見ないで…恥ずかしいよ…」
「ふふっ…いくぞ?力を抜くんだ」

ぬぷっ…クリッ…グリ

今まで感じた事無い快楽がアナルに広がる…指が…藍の指が入ってくるよぉ…
ヌプヌプと人差し指が穴の中を行き来している

「指…いれないでぇ…」
「入れるも何も、私は指を動かしてないぞ」

その言葉通り、自ら腰を動かしていた…そんな淫らな私の体に興奮してくれたのか
藍は息を荒げながら入れる指を二本にして奥のほうまでグリグリと捻り込んでいく

「はぁ…んんっ…お前のお尻に指を入れているだけで何故か興奮してしまうんだ」
「藍にも…気持ちよくなって欲しい…よ…」
「そんな風に言われると、自制が…効かなくなる」
「我慢なんてしなくて良いの…」

その言葉を聞いた途端…私の体は強く掴まれ…藍の体が上からのしかかってくる
藍の目は欲望に満ちていて、多分私の言葉はもう聞こえない

私が…藍の欲望の鎖を外しちゃったみたい…

なんて考える暇もなく、アナルを舐めると思い切りむしゃぶりつき始める

「熱い…入ってくるよっ…お尻に舌が…ふぁ…」
「んぁっ…ふむぅぅ!んぐっ…んんっ」

もう…聞こえてないのね…私の声…
でも、いっぱい気持ちよくしてもらった…だから

「今度は…くあっ…私が…」
「ちゅっ…ん…ふぅ…はぁ…ぷはっ!」

アナルから唇を離すと、私の足を思い切り引っ張りあげる

「きゃっ…ぁっ…」

逆立ちに近い体制にされ、上を見上げる持ち上げた私の両足を藍が舐めている
本当に変な体制だけど…お構いなしに私の体を跨ぎお互いのアソコが触れ合って…
暫くの静寂…そして

「本当にっ、どうなるか解らない…ぞ…」

たった一言呟くと、狂ったように私達の腰は動き出す
激しく…強く…純粋に快楽を求めるように…

「だめぇぇ!…強すぎるよっ…うぁ…ひぁぁっぁっ」

グチャグチャと、淫らな音と共に上がる喘ぎ声だが殆ど聞こえていない
ギシギシと床が軋むほど激しい動き…私に至っては激しすぎて視界が定まらない
アソコが擦れ過ぎて痛いけど…それ以上の快楽が体を支配する
その証拠に……アソコから流れた愛液が体を伝い床へと垂れ流れていく

「ひぁっ!…あっ!…あうっ!…ん…くぁっ!」
「くっ…まだ、まだ足りない…もっと強くだ…」
「藍っ!だめ…壊れちゃう…うぁっ!ぁぁ…」

強引すぎてビクビクと跳ねる私の体…でも勢いは緩むどころかむしろ加速していく
更に密着する股間…激しくリズミカルに打ち付けあう体…もう止まらない
獲物を捕らえて離さないような藍の表情に私の心までも捕らわれるようで

「いいっ!体が熱くて…どうにかなってしまいそうだ…ふぁっ!」
「……あふっ…ん……あぁ…ぁ…」

頭に血が上ってきたせいか、意識が朦朧として自分が保てない
私はもう逝っちゃったのかな…それも良く解らない状態…
糸の切れたような私を…尚も藍が激しく揺さぶり攻め立てる

「くっ…あっ……あああァぁぁッッッ!!!」

一際大きな声が上がると…感覚がなくなってる股間から体に大量の暖かい液体が流れてきた…
そのままなし崩し的に私の上へと倒れ込んでくる

「んっ…はぁ……気持ち…良かった?」
「ああ、最高に…はぁ…気持ちよかったぞ…」

お互い絶頂の余韻に浸りながら抱き合うように床に転がる
もうくたくたで満足に体も動かせない…こりゃ明日は間違いなく筋肉痛だ…
この体のだるさなら今夜はすぐにでも眠れそう






と、私は思っていたのだが…どうやら事態は筋肉痛じゃ済まないかもしれない




脳裏を駆け抜ける致命的な忘れ物を……私は思い出した




その忘れ物と目が合った瞬間……体が警告を継げる


こりゃ…マジでやばいわ…






「フゥー…フゥー…霊夢…私も我慢できないよ…」


一匹の猫が発情期を思わせるかのように頬を染め私に向って四つん這いで徐々に近づいてくる
藍との行為をずっと見ていたのだろうか、その欲望に染まった瞳には私の姿しか映っていない

「ち、橙…まぁ落ち着きなさい…」

逃げれるものならとうに逃げてる…私の上に藍さえ居なければ
しかも休憩というか半分寝てるかもしれない…寝息みたいなの聞こえるし
私より体格も大きくて体重もある藍をどける事など、疲れ切った今の私には困難を極める

「藍さまと霊夢が気持ち良い事してるの見てると…」

動けない体なのだが、都合の良いようにアソコだけが隠れることなく晒されている
というか、私にとっちゃ都合悪い……

「まって…あっ…もう体がね…ひぁ!」
「大丈夫だよ…霊夢は動かなくても良いから」


自分のアソコに橙のアソコがくっつき思い切り擦られる
もう秘部は真っ赤になっていたけど、まるで構わない様子
これじゃ…本当に壊れちゃう…アソコが…


「気持ちいっ!霊夢のアソコ最高だよ!」
「ひあぁ…あぁぁっっっ!!!!」

様々な快楽で疲労した私のアソコに橙は腰をまるで獣のように打ち付けていく
体だってもう限界…だけどもう一回、もう一回だけがんばる事にした

「霊夢ぅ!私もう!…もう出ちゃうよぉぉぉ!!!」
「これで…いい…のっ…一緒に…逝きま…ょ…」

体はもう動かないけど、快楽はピークに達してるし視界だってもう霞んで来てるけど
…後は、逝くだけだから…

そして私達は…


「「んんっ…あっ!…ひぁっ!…あぁぁっぁぁぁっぁっ!!!!」」


お互い絶頂へと昇りつめ、一際体を仰け反らせた後、私達は気絶したかのように床に倒れ込んだ
もう一歩も動く力など無い…眠気と気だるさで目蓋はもう殆ど開いていない
おそらく橙も同じ状態なのだろう…だけどその視界に藍の姿がかすかに映る
アンタ…起きてたなら何とかしなさいよ…まぁ、もういいけど…



…ポンッ…っと柔らかい衝撃…


……頭の上に乗せられた手の平がとっても暖かい………



頭を撫でられるような感覚と共に、私は瞳を閉じた













ふと、目蓋に光が差し込んでくる

私が目を開けると、外はすっかり雪が積もっていて銀世界が広がっていた
月の光が降り続ける雪を反射してとても綺麗だ…

ん?……月の光?……

体を見回してみると、ちゃんと寝巻きも着てるし…布団の中にも入ってるし…

「起こしてしまったか」

橙を挟んだ向こう側に居るその声の主は天井を見上げている…
なんとなく私も天井を見上げてみた…
よくよく考えてみれば、現状を把握するのにさほど時間は掛からないわね

「悪いわね、後片付け全部任せちゃって…ついでにありがと」
「気にするな、大したことじゃない」

そういえば、この二人私の家に泊まるのよね…
ってことは…まぁ聞いてみればいいか

「ねぇ…紫ってさ、いつ頃起きるの?」
「いつも通りなら春に起きてこられるな…だが毎年明確には決まっていない
 あの方いわく、冬と春の境界は明確なようで曖昧らしい」
「ったく、アイツはただ少しでも長く寝ていたいだけじゃない」

私達は揃って苦笑する、この前の月の異変だって
思い返してみれば私も藍も紫に振り回されてばかりだったし
で、結局今回もその方向か…

「アンタは本当に真面目ね…白玉桜の庭師でも、もっと不満漏らすわよ?」
「勿論、式としての役目もあるんだが…」

そこまで喋ると、隣で安らかに眠る橙の頭を優しく撫でる

「この子に、式としてじゃなくもっと多くの生き方を経験してほしいんだ」
「子は親を見て育つって言うわよ?アンタがそんなんで大丈夫なのかしら」
「べっ、別に私と橙は親子という関係では…」
「ま、いいじゃない、暫くの間アンタも楽しみなさいよ」

私の言葉を最後の室内に静寂が訪れる…私達の思う所は微妙に違うだろうけど

「霊夢…恩に切る」
「気にしないで、んじゃお休み」
「ああ、おやすみ」

寝返って横を向いたとき、窓から月が見えた…絶景の満月が
いまだ降り止まぬ雪は完全に冬を運んできたみたい
もう、秋は終わっちゃったのね
そんな冬の空に向って想いを飛ばす


紫…早く起きなさいよ、アンタを待ってる子達が居るわ

もしアンタが起きなくても私がたたき起こしてやる

まったく…アンタは本当に幸せ者よ……


窓の外に見える雪を見ていると、ふと…涙が溢れてきた
涙が出るほど悲しい事なんて無いし、嬉しい事だって無い
でも…何故か自然と涙が出た…だけど私は拭う事もせずただ涙を流し続ける

「…まったく…何で泣いてるの…かな…」

多分この涙はこの二人が持ってきてくれた暖かい気持ちの所為だろう
私は、その気持ちに流されているのが悔しいようで…何故か嬉しいんだ


今年の冬は雪も積もって去年よりも随分と気温が低いけど

今まで出一番暖かい冬になりそうな…そんな予感がした








おしまい























あとがき

まず始めに、ここまで長い文章を読んでいただいて本当にありがとうございました
純愛系(?)を書きたいなと思い文章を作り始めたんですが、いかがだったでしょうか?
そしてネチョ度が相変わらず低くてすみません
ちょっぴり優しくて、おセンチな霊夢を主題とした八雲一家とのお話ということで作成を開始しました
なにより創作意欲をわかせてくれた、MUI氏、ありがとうございます(勝手にインスピレーションキャッチ)

ここまで長い作品になったのは色々と訳がありまして
少々忙しくなってきまして、これからSSを書く機会がかなり減りそうな状況です。
なのでいっぱい詰め込んでしまおうと、ただそれだけでした

もし今度また新作が書き上がりましたら、生暖かい目で見てやってください

以上 ありがとうございました


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Last-modified: 2018-01-07 (日) 04:56:13 (2301d)