~少女しっぽり中…~


 満月が空から消えてから少し経ったその日、博麗神社に一人の妖怪が訪れていた。どことなく不思議な雰囲気を漂わせている彼女の名は、八雲紫。
 彼女は、居間に座って霊夢と一緒にお茶を啜っていた。

「なるほど…そんな事が起こっていたのね、気付かなかったわ」
「人間はいいわね、呑気で。私達妖怪にとっては割と死活問題よ?」
 そう言う紫も、結構呑気な風だった。まあ、これが普段の彼女の性格ではあるのだが。
「それで? わざわざ私にそんな事を言いに来たって事は」
「ご名答。今日は毎日暇してそうなあなたに、お仕事を持ってきたって訳よ」
「はあ、それでわざわざウチに来たっていう訳」
「まあ、そういう事ねぇ」
 紫がもう一度お茶を啜る。さっきまで湯のみになみなみ注がれていたお茶は、ほとんど残っていなかった。
「ずいぶんと落ち着かないのね。もう三杯目よ?」
「…ええ。この異変が起きてからというもの、昼も眠れなくて…」
「昼は寝る時間じゃないでしょう」
 割と深刻な顔して語る紫に、霊夢は呆れながら言った。
「とにかく、このままじゃまずいのよ。人間は大丈夫でしょうけど、満月の無い状態がしばらく続いたら、気がおかしくなる妖怪だって出てくるわよ」
「…それは大変。また気まぐれでゲートに入ったり陰陽玉を奪われそうになったり妙な遺跡を探検する羽目になったり無駄に多い悪霊退治をしたり魔界に乗り込んだり変な霧を出されたり春を奪われたりされかねないわね」
「それは何か、違う気がするわね」
 遠い目をして語る霊夢を紫がたしなめる。少しだけ『何よ?』と言いたげな目を残し、霊夢も残り少なくなったお茶を啜った。
「で? 今から行くつもり?」
「…いえ、まだね。たぶん、夜に犯人を捕まえないと、意味無いわ」
「…そう。じゃあ、夜まで待つしかないわね」
 陽はいまだ高く、沈むまでにはまだ時間があった。
「ちょっと、それまでどうしてるつもりよ?」
 霊夢が紫に訊く。
「………そうねえ。お布団貸してくれる?」
「…は?」
「ふあ……今日は久し振りに早起きしたから眠くて…」
 大きな欠伸を一つして、紫は畳に横になる。
「…夜に……なったら…起こしてね………………くー………」
「………」
 思わず頭を抑える霊夢。それでも一応紫の体を引っ張って、寝室まで連れて行った。


  *  *  *


 黄昏時。昼と夜の境界に終わりが見える頃、霊夢は身支度を整え紫の眠る部屋へと足を向けた。

「紫、起きなさい」
 言いながら、襖を開ける。
「………く~………」
 しかし、紫は未だ夢と現実を行ったり来たりの様子だった。しかも、見れば服がご丁寧に脱いである。寝ている間に脱いだのだろうか、だとしたら大した特技である。
「………」
 呆れながらも、霊夢は布団に近付く。言いだしっぺがこの有様では、何とも間抜けだ。ここは何があっても起きてもらわなければ困る。そう思い、紫の肩に手をかけた、その時―――
「むふぅ~……捕まえたぁ~…」
「!」
 紫が不意に伸ばした手によって、霊夢は布団の中に引きずり込まれていた。更に、間髪入れずに紫が展開した隙間の中から伸ばされた『手』が、霊夢の服を剥ぎ取ってゆく。
「っ…! な、何するのよ、紫……!」
「ん~? まあ、いいじゃない………たまにはこういう事も…」
「こ、こういう事って………んむ……!?」
 霊夢が抗議しようとしたその時、紫がその唇を塞いでいた。
「ん……んん…!」
「…ん……ふふ……焦らないの…まだ夜は始まってもいないんだから…」
「う……だからって、いきなりこんな、する事ないじゃない…」
 いつの間にか紫に組み伏せられていた霊夢は、紫の顔を見上げながらそう言った。
「うん、まあ…ほら、私達ってもう、パートナー同士でしょ? お互いの親睦を深めようと思ってね」
「…それが、これ?」
「ええ」
「………」
 霊夢は何だか頭が痛くなってきた。しかし、どうやっても体を自由に動かせそうになかったので、諦めて大人しくする事にした。
「それに、霊夢って可愛いし」
「…それって口説いてんの?」
「ふふ、どうかしらね?」
 紫は妖しい笑みを浮かべると、もう一度霊夢と唇を重ねた。


  *  *  *


「んっ……あっ……」
「…ちゅっ……ん……ふぅ…」
 霊夢の体を、紫の舌が這う。唇から徐々に下へ向かって行き、首筋、鎖骨、胸へと舐めていく。
「ん、ふふ……霊夢の体って細いわね…」
「…私の胸なんて、弄っても楽しくなんかないわよ?」
「…そうかしら?」
「あっ、っん」
 紫の指が、霊夢の乳首を挟む。同時に、ぴく、と霊夢の体が反応する。
「ほら、楽しいわよ?」
「……馬鹿……」
 紫から顔を逸らし、霊夢が呟く。そんな霊夢の様子を見て、紫はくすりと笑った。
「ココの具合は、どうなのかしらね?」
「んんっっ……!」
 そして、紫の指が霊夢の一番敏感な所に触れた。瞬間、霊夢の体が跳ねる。
「ふふ…ちゃんと湿ってきてるじゃない…」
「っあ……ちょっと…いきなりソコ触らないで………あっ…!」
 霊夢の言葉を無視する様に、紫の指は霊夢の中に侵入していく。紫は霊夢の耳元に唇を近付け、甘い声で囁く。
「霊夢のアソコ…私の指をきゅって締め付けてる……ふふ……中のお肉がぴくぴくしてるわよ……?」
「なっ……そんな事言わなっ……っぁあ!!」
 紫が霊夢の中で指を曲げると、更に霊夢は高い声を上げる。それを見た紫は愉しそうに微笑むと、舌も使って全身を愛撫し始めた。
「んふぅ……ちゅ…ぺろ……はむ…ん…」
「あっ…! んっ、やあっ…! あ、ゆか、りぃ……!」
「っちゅる……ふふ…霊夢、可愛い……」
 霊夢が声を上げる度に、霊夢の秘部に挿し込まれた紫の指の滑りがよくなってゆく。
「うぁっ……ああっ……!!」
「もう…こんなに濡れてるわよ…? 霊夢……あなたって、感じやすいのね…」
 くちゅ、くちゅ、という音がして、霊夢の秘部から蜜が溢れてくる。それを見た紫は、今度はそこに口を付け、直に吸い取っていった。
「んむっ……じゅっ…くちゅぅ……んふ…美味し……」
「やっ…ひっ……あぁあぁあああ………!! あ、そんな、トコっ……!! も、や………あ、んあぁあぁぁあああぁあぁあああああぁぁああーーーーーー!!!」
 びく、びくんっ!
「あはっ……もう、イッちゃったのね…? ふふ……やっぱり霊夢、感じやすい…」
「…あ、んあぁぁぁあああ………」
 紫の愛撫に達した霊夢は、ぐったりとして布団に体を預ける。紫はそんな霊夢を見て、ゆっくりと舌を絡める口付けをした。


  *  *  *


「あーっ……何か、久し振りに疲れた気がするわ…」
 リボンが解け、布団に広がったままの長い黒髪を弄りながら、霊夢は呟いた。その横では、同じく長い金髪を背中に流している紫が霊夢に抱きついている。
「ちょっとぉ、霊夢……これで終わりだなんて思ってないでしょうね…?」
 そう言うと、紫はおもむろに起き上がった。
「え…? まだ、するの…?」
「当たり前じゃない…まだ私はイッてないんだからね…?」
 少しむすっとした顔をして、紫が霊夢を見る。その表情に、霊夢は何だか嫌な予感がした。
「だから、少し弄らせてもらうわよ……? 霊夢の境界…」
「ちょっ……あっ……!」
 紫が、霊夢の下半身に手をかざす。―――すると、ややあって霊夢の下腹部に変化が訪れた。
「あう……あ……」
「ふふ…立派なのが生えてきた…」
 それは、誰の目にも明らかな男性器だった。
「ちょっと…何するのよ……」
「これくらい、いいでしょ? ほら、見てよ…霊夢を弄ってたから、私も濡れてるんだからね?」
 紫が、自分の割れ目を広げて霊夢に見せる。確かにそこは、既にしっとりと濡れていた。
「そんな訳で…霊夢の男と女の境界を弄らせてもらったわ」
「はあ…もう…」
 霊夢は寝たまま溜め息をついた。紫にはもう何を言っても無駄な気がしてきた。
「さて…どうしようかしら…?」
 霊夢に生えたモノを眺めながら、紫は何かを考えている。
「いきなり挿れるのもなんかつまらないし……あ、そうだ」
 何かを思いついたように、紫は足を差し出した。
「ちょっと、な………うっ…」
「こういうのは、どう…?」
 そして、おもむろにその足で霊夢のモノを踏む様に、扱き始めた。
「あっ……うっ……」
「うふふ……熱くてぴくぴくしてるわね…」
「ふっ…あっ……」
 紫がぐりぐりと足を動かしていると、霊夢のモノの先からとろりとした粘液が溢れてきた。
「んふ…さっきより硬くなってるぅ……えいっ…」
 今度は、両足で挟んでモノを扱く。
「ふあっ…やっ…あ、ああ……!」
 霊夢の声が上ずる。そろそろ限界が近いのか。
「だぁめっ……まだ、イクには早いわ…我慢して…?」
「うっ…」
 それを見た紫は、一旦愛撫を止める。絶頂を止められた霊夢は、切なそうな瞳で紫を見上げる。
「ほら…そんな顔しないの……これからもっと、気持ちいい事してアゲルから…」
「あうっ……!」
 微笑んでそう言った紫は、今度は霊夢のモノを口に収める。
「ちゅっ…じゅる……んむぅ………ちゅ…」
「やっ…! それだめぇっ……! 我慢出来なくなるっ………………あっ!!」
 どくんっ!
「んんっ……!?」
 突如、霊夢のモノから噴き出す白濁液。その熱い奔流は紫の口内を駆け回り、口の端から溢れていった。
「けほっ……んもぅ…我慢してって言ったのにぃ…」
 モノから一旦口を離し、口を手で覆いながら紫は霊夢の精液を飲み込んでいく。
「はぁ……ふぁあ……」
 脱力した霊夢は、荒い息を吐いている。それでもなお、一度射精したはずの霊夢のモノは、未だ天井に向かってそそり立っていた。
「あらあら、元気ねぇ…」
 それを見た紫は微笑んで、霊夢の上へと跨った。
「うふふ…そろそろ挿れるわよ…?」
 紫は自分の入り口を使い、霊夢のモノをこする。ぴちゃぴちゃという音と共に、霊夢のモノは紫の愛液に濡れていった。
「っはあ……霊夢の、とっても熱い…」
「や―――あ……紫ぃ……」
 霊夢の掠れた声が、紫を興奮させる。一度、にぃっ…と笑った紫は、一息に霊夢のモノを体に沈ませていった。
 ―――ずぶううぅうぅぅっっ………!!
「っっあぁぁあ………!!」
「んっ……くはっ……あぁぁああ…! ん、ふううぅ…」
 紫に呑み込まれた霊夢のモノが紫の中でぴくぴくと震え、その刺激に紫は恍惚の表情を浮かべる。
「んんっ……ふぅぁっ……!」
「あむっ…んはっ……!」
 紫がゆっくりと腰を動かすと、ずる…と音がして、二人の敏感な場所が擦れた。
「あっ…ひっ……! ゆか、ぁ、りぃ……!」
「んっ……んあっ…! れ、霊夢っ……すごい……! 霊夢のが、私の中、を……!!」
 ずる…ずるっ……ずちゅっ……ずちゅっ……
 紫が体を上げ、更に激しく腰を振る。結合部から溢れる淫水が二人の秘部を濡らし、漏れる喘ぎは段々とその高さを増してゆく。
「は、ぁあぁぁああぅ……!! やぁはあぁああっっ!! すごいっ…紫のが、私のを、締め付けっ……あぁああ!!」
「霊夢のだってっ……私の中、ぐちゃぐちゃにかき混ぜててっ……んふぅああぁぁああ!!」
 ぬじゅっ! ぐじゅっ! ずじゅうっ……!
 重く湿った液体の音が、二人の性感を徐々に高めてゆく。今は何もかも忘れ、この快感に酔う様に。
 そして、限界というものは意外に早く訪れて―――

「「あぁぁああぁあぁぁああぁぁああぁああぁあぁあぁああああーーーーーーーーー!!!!!!」」

 びくっ! どくっ! びくっ……!

「あ―――はぁ、はぁ、あ、あぁあ………」
「くぁ………はぁ、はあ……ふぅ………」
 一度大きく仰け反った紫の体が、ゆっくりと前に倒れる。紫はそのまま霊夢の上に覆い被さる様に体を預けると、もう一度霊夢と口付けた。


  *  *  *


「………………ん………眩し………」
 霊夢がその光を感じて目を覚ます。のそのそと布団から起き上がって、外を見ると…
「………朝………?」
 遠くから雀の声が聞こえる。爽やかな風が神社を吹きぬけて―――
「―――って!! 朝になってるじゃないの!! 紫!!」
 ごんっ!
「………ん~~………? なによぅ………痛いじゃない……」
 霊夢の横でぐっすり寝ていた紫は不機嫌そうな声を上げ、のろのろと起き上がった。
「寝てる場合じゃないわよ! もう夜が明けちゃったじゃない!!」
「ええ~~…? ……あら、本当ねぇ……」
 呆として外を見る紫は、あくまでもマイペースだった。
「全く……あんたは何しに来たのよ…」
 服を着ながら呟く霊夢は、その時庭に誰かが降り立つのを見た。
「……あら?」

「おおーい、霊夢ー」

 その声の主は、魔理沙だった。彼女の後ろには、アリスも見える。それから………誰だか知らない少女が一人。
 霊夢はとりあえず紫に布団をかぶせ、障子を閉めると魔理沙の方へ向かった。
「どうしたの? こんな朝早く……それに、そいつ誰?」
 霊夢は、魔理沙が引きずっている謎の少女を指差した。その少女はぐったりとへたり込んでいて、目を回している。
「いや何、アリスが満月がどうとか言っててな…その騒動の原因さ」
「………ああ、そうなの…」
 霊夢は軽い眩暈を覚え、柱に手をついた。
「ん? どうした霊夢? 何か疲れてるみたいだが」
「……ええ、とっても疲れたわ」
「そうかい、体に気をつけてな」
 魔理沙はそう言うと、アリスと共に再び空へと舞い上がっていった。…謎の少女も一緒に。
「…何する気かしら、魔理沙…」
 箒からぶら下げられたままの謎の少女の行く末を案じながら、霊夢は寝室に戻る。そこには既に夢の世界へ旅立った紫の姿があった。
「………はあ」

 頭を抱えた霊夢は、それでも起きぬけで重い頭を揺すると、この寝ぼけ妖怪を叩き起こす為に、ゆっくりと布団に近付いていった。






  了









<後書きなモノ>

 何だかぐだぐだ。このSSは某氏のリクエストによるものです。ダリナンダアンダイッダイ。

 ちなみに謎の少女というのは、永夜抄のラスボスです(ぇぇぇぇぇぇ
 この後、彼女は騒動の責任を取って皆からお仕置きネチョネチョネチョネチョネチョネチョネチョネチョネチョネ(ry


 いくらいいタイトルが思い浮かばなかったからって、このタイトルはいかがなものか…orz


 書いたモノ:謎のザコ


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Last-modified: 2018-01-07 (日) 04:56:13 (2301d)