マヨヒガの夜。
月明かりと星の瞬きを邪魔する物は何もなく、空を見上げれば宝石箱をひっくり返したような光景が見られる。
そしてその下で、マヨヒガの縁側で。藍は一人寛いでいた。

「んっ・・・・・・・ふぁぁ」

大きく伸びをして欠伸を一つ。綺麗な月夜を眺めていたら何時の間にやらいい時間になっていた。
橙ならもうとっくに眠っている時間、あまり夜更かしが過ぎると翌朝に響くし橙に偉そうな事も言えない。

「そろそろ寝るか・・・」


酒がまだ残っている徳利を片手に自分の部屋へ。途中、橙の部屋を覗いていく。

「橙はちゃんと寝てるかな・・・・・・っと」

襖をそっと開けて中へ。
一人で使うにはまだ大きすぎる布団の中で、橙は可愛い寝息を立てている・・・・・というわけにはいかなかった。
・・・・・・・・いや、半分は正解なのだが。

「ふふっ、相変わらずだな・・・・」

藍の顔から笑みがこぼれる。
橙は確かに布団に入って眠っている。だが寝返りを打って布団から半身をさらけ出して、だ。
昼間たっぷり動き回っていれば、眠っている時に体を動かすという事はないはずだ。しかし橙にはその常識が通じないようで、
どんなに昼間遊んでもこの寝相だけはどうにもならないらしい。これも一つの才能かな、と藍は思った。

「やれやれ・・・こんな格好だと風邪引くぞ」

夏とはいえ、マヨヒガに吹き込む夜風は少しばかり涼しすぎる。
布団もかけずに一晩を明かせば咳とクシャミに悩まされる事は請け合いだろう。
だから、藍はその時ごくごく普通の事を考えていた。
物音を立てないように忍び足で部屋の中へ。そして布団を掛け直してやろうとそっと布団を持ち上げたその時・・・・・・


「・・・・・・・・・!?」

藍の動きが一瞬止まった。藍の視線はある一点に留まり動かない。

「おぉぉ・・・こ、これはッ・・・・・・・」

橙の寝間着がはだけ、その下から小さな桜色の突起がわずかに見えている。というか、偶然藍の視界に入ってしまったのだ。
帯の締めが緩かったのか、橙が無意識のうちに手をやっていたのか、白い寝間着は肩から鳩尾の辺りにかけて大きく開かれている。
これでは橙の胸が見えてしまうのも無理はない。

「な、な・・・・直してやらないと。橙が風邪引いてしまうからな・・・・・・うん」

至って正当な理由なのだが、それでも藍の手は震えていた。
藍と橙の関係は単なる主従に留まらない。それは時として親と子、姉と妹、師匠と弟子、あるいは友達同士。
一目見ただけでは分からない、それはそれはとても複雑で、とても楽しそうで、とても賑やかな関係なのだ。
そして橙にとって藍は憧れの女性・・・・・だが、藍にとって橙は友達同士の関係を超えた感情がある。それは、橙にはまだ少し気の早い話・・・・・・
一言で言えば、藍は橙の事が『好き』なのだ。それも異性の者同士が口にするレベル、それは時として相手の肉体をも求める。
自分の式を愛してしまうなんて・・・・・というのが藍の建前。しかし、一皮剥けば橙が好きで好きでたまらない自分が顔を出す。
2つの顔を持ちながらも藍はどうにか建前だけを見せ続けてきたのだが・・・・・こういう特殊な状況に陥るともう一人の自分が大きくなってくるというわけだ。


「落ち着け・・・・・ドキドキするな私・・・・・・」

そう自分に何度も言い聞かせ、必死に暴走を押さえ込む藍。そしてその手が橙の寝間着に届いた。
寝間着を直し、帯をしっかり締める。たったそれだけだ。

だらしなく開いた胸元を正し、帯を締め直す。手はまだ震えているものの、滞りなく終わった。橙も起きる気配はない。
あとはこの布団をちゃんとかけ直して部屋を出ればいい・・・・・・藍は橙から手を放そうとした。


「・・・・うにゃ・・・・・・・」
「―――ッ!?」

突如、橙の腕が伸び藍の腕を掴んだ・・・・・いや、無意識に伸ばした腕がたまたま藍の腕に当たり反射的に掴んだと言う方が正しいか。
とにかく、これで藍はすぐには離れられなくなってしまった。

(ち、橙・・・放してくれ・・・・・!)
「ん~~~~~・・・・・・・」
(これじゃ私が帰れないっ・・・!)
「にゃ・・・っふふふふふ・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・やれやれ」

藍の腕は橙にしっかり抱えられてしまった。無理に引っぺがしてもいいが、それだと橙が起きてしまうかも知れない。
たかがこんな事で橙を起こしてしまうというのも馬鹿馬鹿しい話・・・・・と、藍は橙から逃れるのを諦めた。

腕は掴まれたまま、橙の傍で胡座をかき橙の寝顔をじっと見つめる。
橙はどんな夢を見ているのだろう・・・・腕を抱え、幸せそうな笑顔を浮かべている。
食べ物の夢か、誰かと遊んでいる夢か。恐らくそんな所だろうと藍は考える。
―――じゃあこの腕は食べ物?夢に出てくる誰かの腕?
流石の藍も橙の夢の中まで知る事はできない。だが、自分の腕でいい夢を見ているのならいいかなと深く追求するのはやめにした。



(・・・あぁもう可愛いな・・・・・・・あまり可愛すぎてコッチが狂っちゃいそうだよ)
「にゃはぁ・・・藍しゃま~・・・・・」
「・・・・・うっ・・・・・・・・!?」
「藍しゃま、大好き~・・・・・」

それはただの寝言に過ぎなかった。ただの寝言だが、藍に対しては何よりも強力な武器となる。
さらに、腕を抱えられて頬擦りまでされた日には藍にとってこの世の春というものだ。
普段から橙は藍にベッタリだが、寝言でも好きと言われるとは思ってもいなかった。図らずとも藍の胸の鼓動が高まる。

「んぁ・・・・藍しゃま~・・・」
「いぃっ・・・・・・・!?」


突然の事に藍は言葉を失う。
橙が両手でしっかり抱えている藍の腕を口元に引き寄せ・・・その親指を口に含んだのだ。
ちゅぱ・・・・ちゅぱ・・・・と淫靡な音が静かな部屋に響く。まるで母親の乳に吸い付く赤ん坊のように、
橙は一心不乱に(眠っているはずだが)藍の親指に吸い付いて放れない。

(橙・・・・・そんな事されたら、もう、私・・・・・・・・)
「ふぁ・・・・らんしゃまぁ・・・・・・・・・・」
(ダメ・・・我慢できないっ・・・・・・!)

橙は夢の中で幼時退行を起こしているように見えた。
抱えているのは藍の体、吸い付いているのは藍の乳房か。
だが、指をしゃぶる姿が藍には赤ん坊のそれより遥かにいやらしい物に見えていた。

一心不乱に指を吸う橙の姿、たまに漏れる吐息、何かを吸い出そうとする口の動き。
それら全てが、藍には男性器を咥える女性の姿に映っていたのだ。
それは酒のせいかも知れないし、橙の行動に混乱したからかも知れない。
ともかく、橙の行動にアテられて藍の胸の鼓動はさらに昂りを見せていた。

身体の内側が熱っぽいのを感じる。身も心も切なく、昂りを鎮めなければ気がすまない。
空いている方の手で、藍は服のすき間に手を挿し込んでみる。
驚くべき事に・・・・・と言うべきか、案の定・・・・・と言うべきか、下着越しに触れた秘壷は既にじんわりと湿っていた。

(嘘・・・・・・私、こんな事で濡れてるのか・・・・?・・・・・・・・違う、これは絶対違う・・・・!
 これは・・・・・・これは・・・・・・・・・・・・・・)

だが、どんなに心の中で否定を重ねようとも橙の姿に反応し橙の行動に心を昂らせた自分がいるのも事実。
その証拠に、秘壷に伸びた藍の手は離れようとしない。

(これは・・・・違うっ、違うんだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・違う・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 違う・・・・・・・はずなのにッ・・・・・・!!)


気がつけば、藍の指は下着の隙間に潜り込み秘壷に直接触れていた。
ぬるりとした生暖かい感触・・・愛液が滲み出ているのがはっきり分かる。もう誤魔化しようがない。
藍の中の本能が、指をさらに奥へと導き入れる。それを止める術は、もはや彼女の中にはなかった。

(あぁっ・・・・わ、私・・・・・こんな橙の姿で興奮してる・・・・・・・橙を見てオナニーしてるっ・・・・!
 こんな事、いけないのにっ・・・・!・・・・・・・・・いけない事なのにっ・・・・・・・・・・!!
 気持ち・・・・・・・いいよっ・・・・・・・・!)


一度動き出した指はもう止まらない。指の腹で膣壁を舐めるように擦り、壷口を捏ね回し、先端の核を指先で弾く。
秘壷の奥から滲み出る愛液をかき出し、潤滑油代わりにしてさらに激しく指を動かす。

「うっ、くっ・・・はぁっ・・・・・橙・・・橙・・・・・・!」

橙を起こすような事はしてはならないと、藍は必死で声を押し殺しながらも橙が眠っている前で己の身体を慰め続ける。
橙に咥えられている指を男性器に見立て、それが自分から生えてきていると幻視し、腰を前後に動かしながら指を動かし続ける。

「あぅっ・・・・はぁ・・・・・・んっ!んく・・橙・・・・・・可愛いよぉ・・・・・・・・」
「うにゅ・・・・・」
「・・・・あっ!?ち、橙・・・・・なんで・・・・・・!」

橙を目の前にしてまさに達しようとした時、橙が藍の腕を放してしまった。
もちろん橙は無意識でやっている事、藍に何か言われる筋合いはない。
もう一度腕を橙に持たせようとしても何も反応がない。そもそも橙は猫、気まぐれが服を着ているようなものなのだ。

だが、橙の腕がだらしなく伸びている事に藍が気付いた。
腕を持ち上げ、そっと手を放してみる。
パタン・・・・・・腕が床に落ちても、橙は目覚めるどころか全く意に介さず眠り続けている。

(・・・これ・・・・・使えるかも・・・・・・・・・・ゴメンな、橙・・・・・)


正気を保ったままの藍だったらまず思いつかなかっただろう。思いついたとしても理性でそれを押さえ込む事ができる。
だが、『橙が好きで好きでたまらない』一面が表出している今の藍はまるでお構いなし。
とにかくそういう事を藍は思いついてしまったのだ。

橙の手を掴み、自らの下着の中へ。力の抜けきっている指をつまみ、無理矢理秘壷の奥へ突っ込ませる。

「あくぅっ・・・・・!」

橙の爪がどこかを掠ったか、身体をビクンと震わせる藍。しかし、次の瞬間からはその苦悶の表情も快感に歪んでいた。

「あ・・・はぁ・・・・・・橙の指・・いいよぉ・・・・・」


まっすぐ伸びていない、力の入っていない指をオナニーに使ってみたところで大した快感は得られないだろう。
だが、今は橙の指が触れているという事が藍にとっては大きかった。
全くの無抵抗とはいえ、大好きな橙を手玉に取り自らの身体を弄ばせている―――いや、彼女もまた橙を弄んでいる。
例え充分な快感が得られなくとも、橙を弄び橙に犯されているという幻視があれば気持ちはどこまでも昂る―――――
とにかく、己の愛液で橙の手を汚しながら藍は一人自分だけの快楽を貪っていた。

橙の柔らかい指が藍の秘肉を撫で、壷口を擦る。
たまに爪が秘肉を掠ったりするが、今の藍にはそれすらも甘美な刺激となって全身に響き渡る。
これだけ手を動かされているのに橙は全く起きる気配がない・・・・・それをいい事に、藍は橙の指で己の秘壷をさらに激しく擦り上げる。

「くはぁん!あひっ、あ、あ、あは・・・・・・・橙・・・・ちぇん・・・・・!私もうイッちゃう・・・・・・・・・
 可愛い橙の可愛い指で・・・・・私・・・もう・・・・イッ!・・・・・・・イクぅっ・・・・・・!」

もう、声を押し殺す事すらしていない。おおっぴらに声を張り上げない範囲で好きなだけ喘いでいる。
橙の指に己の指を添え、一緒になって壷口をグチャグチャとかき回す。粘性の愛液が壷の奥から止め処なく漏れ出し、
それが指の動きをさらにスムーズにする。淫靡な音が心を昂らせる。藍を快感の絶頂へと押し上げていく。

「あぁぁぁぁ・・・・・・!!・・・・・・・・・・橙っ、橙っ!私もうイクよ!橙の指でイクっ!
 橙・・・・・・あぁ・・・・・・・・ぅあはっ!あんんっ!もうダメ!イッちゃうっ!イッ・・・・・・!」

「・・・・・・・・・・ッッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!」



文字通り、『声にならない声』を上げ全身を痙攣させて藍は果てた。勿論、こんな所で大声を張り上げれば流石に橙も目が覚めるだろう。
その場にへたり込み、長く掴んでいた橙の手を解放してやる。藍の愛液が指に絡まり、月明かりを受けて妖しい艶を放っている。
藍はそんな人差し指を手に取り、橙がやっていたようにその指をしゃぶりだした。

「あむっ・・・・・ん・・・・・・・・橙・・・・・・」

指の柔らかい舌触りと愛液の匂いが交互に藍を刺激する・・・・・・・・
だが藍はこれ以上乱れる事もなく、橙の指に付いた愛液を舐め取ると手を元の位置に正した。そして徳利を片手に部屋を出る。

部屋から出る間際、橙を一瞥し藍はニッコリと微笑んだ。

「おやすみ、橙・・・・・・可愛かったよ」

その笑顔は、橙の事が『大切な』藍と『大好きな』藍、両方が混ざったとても穏やかな物だった。









「ゴニャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

マヨヒガの朝。橙の絶叫がマヨヒガを包み込む。
そして、それを目覚まし代わりに藍が眠そうな目で橙の部屋に入ってきた。

「ふぁぁ・・・・・どうしたんだ橙、朝からそんな大声出して」
「あっ、藍さま!コレ見てよ!コレ!」
「『コレ』・・・・・?」

そういって橙が差し出したのは彼女の手。何の変哲もないが、よく見るとわずかに光沢がある。

「・・・・手が、どこか変なのか?」
「何かベタベタするの~!それに何か臭うし」
(・・・・・・・・・・・・あっ)

藍の頬を汗が伝う。
―――やっぱり舐めるだけじゃ駄目だったか・・・・・・・・・

だが今更後悔しても遅いし、橙は夜中の事に気付いているようではない。下手な事さえ言わなければ大丈夫だろう。
その場で脳味噌をフル回転させ、藍は適当なあり得なさそうな事をでっち上げる。

「・・・・橙、もしかしたら幽霊の仕業かも知れないぞ。橙があんまり可愛いもんだから橙の身体に触ろうとして・・・・・・
 それで手に触りまくって手がベトベトになってしまったんだ」
「え~っ・・・・・藍さま、怖いよぉ・・・・・・・・・・」
「・・・・・・え?あ、いや・・・・・・・・・・」

本当に適当な事を言ったつもりなのに、橙は予想以上に素直な反応を返してきた。藍にも予測不可能な展開だ。


「ち、橙・・・・流石に今のは冗d」
「ねぇ藍さま・・・また幽霊に触られるの嫌だよぉ・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・いぃっ!?」
「お願い、今夜は一緒に寝て・・・・・・・・?」

いつも元気な橙が急にしおらしくなり、藍にすがり付いてきた。無論、それを突き放せる藍ではない。

「今夜だけでいいの、藍さま、お願い・・・・・・・」
「おぉっ・・・・・・・・・!?」
「ね?藍さまぁ・・・・・・・・」
「――――――――――ッ」


橙の奥義、上目遣いが藍に炸裂。今の橙と目が合ったら、藍は何一つ断る事ができなくなってしまう。
成功率100%の魔性の奥義だ。

「わっ、わわわわわ、分かった・・・・・・今夜は一緒に寝てやろう・・・・・」
「ほ、本当!?」
「私は嘘はつかないよ・・・安心しろ・・・・・」
「やったー!藍さま大好きー!!」


無邪気にはしゃぐ橙を尻目に、藍は大きなため息をついた。

―――さっき適当な事を言ったばかりだったなぁ・・・・・・
―――昨日の今日で今夜は橙と一緒の布団・・・・大丈夫かな(私の理性が)


一つ大きなため息をつきながらも、藍は微笑んでいた。
何があろうとも、橙が自分にとって『大切な人』である事に変わりはないのだから。



そして、一日が始まる――――――

(end)
























あとがき。

普段真面目な藍がえちぃ事をするのはとてもえちぃ事だと思うのです。
しかもその相手が橙だともっとえちぃと思うのです。
ていうか俺が藍×橙好きなだけなのです。これは橙×藍っぽいけど。精神的に。

これくらいなら17禁程度でいいでしょう。誰も脱いでないし、一言で説明するなら『テンコー』ネタだし。
あぁ、もっとグチョグチョで濃厚なエロスが書けるようになりたい(何

書いた奴:0005


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Last-modified: 2018-01-07 (日) 04:56:13 (1733d)