とうほうネチョロダ/騒霊の長女、半人半霊を偲ぶこと
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書いた人:オサキ狐~
~
今回は、ルナサ×妖夢です。~
ちょっとグロ?っぽいような感じがしなくもないシーンがあ...
ネチョ具合は書いて読んでみた結果、かなり低いことに気付きま...
以上の点を踏まえてお楽しみくださいませ( ゚∀゚)~
~
ちょっとルナサにサイコ入ってますが、一応理由あり。~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
私は恋をした。~
騒霊としてこの世に生まれてから初めてのことだった。~
その思い人に出会ったのはもう随分と前になる。~
伝統のある冥界の西行寺家のお嬢様に演奏の依頼を受けたの...
そこで私は一人の少女に恋心を抱いた。~
~
彼女の名前は魂魄妖夢といった。半分人間で半分幽霊という...
幽霊でもあり、人間でもある、庭師でもあり、剣士でもある...
~
幾度も宴会の席に呼ばれる度に私の妖夢への思いは募ってい...
そのうちに、長年連れ添ってきた勘のいい妹たちに、私が妖...
躁病の気のある次女は「あははあは」と私を励まし、調子の...
~
とりあえず三女にはゲンコツを一発くれてやったが、後でそ...
~
~
*~
~
~
白玉楼に咲き乱れていた桜ももうすっかりと影を潜めていた...
来年もまた咲いたらいいな、と半分幻の庭師、魂魄妖夢は思...
今、白玉楼はちょうど夜分であった。まだ桜が咲いていたの...
今宵、月の明度は気味が悪いほどに明るい。しかし、それ故...
~
―――こんばんわ。~
~
突如背後から声を掛けられて妖夢はハッとする。誰かの気配...
念のために腰の楼観剣を手にかけながら後ろを向く。その先...
しかし、妖夢の心配をよそに、目先の相手は何度も会ったこ...
「…ごめんなさいね。一瞬誰か分からなかったものだから」~
妖夢は一応弁明する。意味もなく刀で切り付けられそうにな...
「いや、私が後ろから話し掛けたのがいけなかった」~
ルナサは特に気にした風でもなくそう言った。その受け答え...
「それにしても、今日は珍しいわね。あなたが一人でいるな...
妖夢が言う通りに、今日は陽気な次女も常に何か企んでいそ...
「私にも偶には一人になりたいときくらいある。妖夢にだっ...
「それはまぁ、そうね。いつも一人は嫌だけど、偶にはね」~
今日の妖夢は何となくそんな気持ちで夜の西行寺家の庭園を...
~
―――綺麗だな。~
~
独り言を呟くかのようにルナサはぼそっと言った。~
妖夢は一瞬ルナサが何を言っているのか分からなかったが、...
(……あの月が…綺麗? 確かに美しくはあるけれど…。でも……)~
――でも、妖夢はあの月から感じられる不吉さを拭うことは出...
ルナサが月を見るのを止め、妖夢に向き直る。そのときのル...
「どう…したの?」~
そう問い掛けると、ルナサの目はいつもと変わらないように...
ルナサは妖夢のそんな懸念に反するかのように別の話題を切...
「……いや、別に。そうだ、よかったら私の演奏を聞かないか...
悪くないと妖夢は思う。今ならルナサのヴァイオリンの繊細...
「いいわね、それじゃあお願いしようかしら。曲は何かしら...
「曲は……なんだと思う?」~
ルナサの目がそのときまたあの月のように見えたが、妖夢は...
「当ててみろってわけ? でも私はあまり音楽の方の知識は...
「分かった」~
そう答えてルナサが手足を使わずにヴァイオリンから奏でだ...
~
~
―――タッタタタッタータッタッター♪~
~
―――タッタタタ...
~
~
チャイコフスキー作『くるみ割り人形』であった。~
軽快でリズミカルな曲がヴァイオリンの名器ストラディバリ...
ソロの方が好きと言っていたが、まさかこれほどとは。直接...
~
~
―――タッタタタッタータッタッター♪~
~
―――タッタタタ...
~
~
演奏自体は数分程度で終わったが、妖夢にはその間の時間が...
声など出ない、感想など言うだけ無粋だった。自分の陳腐な...
~
しばしの静寂が時を支配する。~
~
「…どうだった?」~
己の演奏に満足そうにルナサが妖夢に問うた。表情から溢れ...
「…言葉は要らない、としか言いようがないわ」~
「…それは誉め言葉の方?」~
そう尋ねるルナサは不安そうだった。妖夢が溜息を吐くよう...
「もちろんよ、私なんかの言葉では表現できないほど素晴ら...
ルナサの不安を消し飛ばすように妖夢は快活に言った。それ...
~
―――ところで~
~
ルナサはまたあの目つきをしながら妖夢に言った。その目を...
~
―――体が動かせないだろう?~
~
いけしゃあしゃあとそんなことを口にするルナサに、妖夢は...
「…ちょっ、ふざけないで! 一体どういう………何を笑ってい...
いつもなら顔なじみということもあって、仮令体を動かせな...
しかし、妖夢がいくら凄んでも、文字通り妖夢は手も足もで...
「さっき私が弾いた魔曲には相手の自由を奪う力がある。……...
アイセル…、この四つの文字の連なりを聞いて妖夢はゾッとし...
妖夢はこれから自分の身に起こることを思い描いて恐怖する...
~
~
月、狂気の象徴にして、よく人を惑わす。~
~
~
*~
~
~
私は何事も正々堂々と勝負するのが好きだ。~
たとえ相手がどんなに強く、正面から挑んで勝ち目がなくと...
それが私の信条のようなものだ。~
~
でも、それでは妖夢の気持ちを私振り向かせることは叶わな...
彼女の目にはいつも西行寺のお嬢様が映っている。~
そうでないときは剣士として己を磨くことに専念している。~
そこに私が入り込む余地などない。~
~
恋なんて残酷なものだ。~
どんなに正々堂々としようとも、相手がその気にならなけれ...
ましてや私と妖夢は女同士、努力でどうにかなる問題でもな...
~
私は途方にくれた。~
この胸に秘めた思いをこれからずっと抑えて暮らすなんてと...
だから私は三女の言葉通りのことを実行してやろうと本気で...
あのすきま妖怪に会ったのもちょうどそんなときだった。~
~
~
*~
~
~
「…う……ん」~
妖夢は軽くうめくようにして起きた。ルナサの魔曲に体の自...
「お目覚めかしら?」~
妖夢が状況の把握をしようとしているところに、突如として...
入ってきたのは名器ストラディバリウスを携えたルナサだっ...
「一体何のつもり? 私をこんな所に連れてきて、いい加減...
ルナサは笑うだけで何も答えなかった。それが妖夢の癪に障...
「ふざけないでっ!」~
妖夢は自分が寝かされていた寝台の上から体を起こそうとす...
~
―――チャリ~
~
と金属質の嫌な音が部屋に響いた。よもやと妖夢は思ったが...
~
―――だからルナサは笑っているのだ。~
~
妖夢は今更ながらにルナサが狂っていることを思い出し、戦...
「やめてよ、その目…。こっちに来ないでよ!!」~
ルナサは一歩、また一歩と動けない妖夢へと近付いていく。...
寝台までやって来ると、ルナサはその上に乗り、妖夢の体に...
「…ん…んんん…んぐっ」~
吸盤が張り付くようにルナサは妖夢の唇を吸い続けた。そこ...
~
――ガリッ~
~
突如襲ってきた痛みにルナサは飛び上がるように体を起こす...
「……何で? ………どうしてこんなことを……妖夢……」~
血を拭いながらルナサはぼそぼそとそう言った。信じた者に...
「……ごめんなさいね。今ので目が覚めたら、早いところ私を...
妖夢は今の行為で自分が優位に立ったと思った。だからこそ...
「………で………なん…………」~
ぶつぶつと何事か言いながら、ルナサは懐中から一本のナイ...
少し息を荒くしながらルナサは妖夢の体を押さえ付ける。そ...
妖夢は間違いなく体を切られたと思った。だが、痛みは感じ...
そのまま、なおもぶつぶつと言いながらルナサは裂いた服を...
肌を隠す布が無くなり、妖夢の裸体が露になる。幽霊と人間...
「…妖夢、私はこんなにもあなたを愛しているのに…」~
妖夢にも聞こえるようにぽつんと呟き、ルナサは何を思った...
そして、その弓でもって妖夢の体に打ち付ける。~
~
――ピシィッ~
~
と、張りのある柔い物を叩く音がした。~
「っっ!? 痛いっ! ルナサ、やめて!!」~
妖夢の声はルナサに届かなかったのか、ルナサは続けて一回...
「…妖夢、ヴァイオリンの弾くようにあなたを愛してあげる。...
くすくすとそう言って笑うルナサを見て、妖夢はもはや逃れ...
「…うぅ、ぐすん。…もう、あなたの好きにしていいから叩く...
妖夢の目尻には涙が溢れていた。表情は痛みによる苦悶と屈...
「…ああ、やっと私を受け入れてくれるんだな…」~
何かを達成したかのような満面の笑みをルナサは浮かべると...
服を脱ぎ終わったルナサは、なるほど幽霊らしく少し青白い...
さっそくルナサは一度はのしかかった妖夢に体を重ねた。そ...
「とても痛いの、妖夢の舌で消毒してくれる?」~
妖夢は何も言わず、ルナサに言われるままに己の舌でルナサ...
その行為を自分への屈服の証と見たのか、ルナサは切れた唇...
「…あ……ぅん………」~
くぐもった声を妖夢は出す。まるで繊細なガラス細工を扱う...
「…やっ…いた………ん……」~
若干の痛みはあるものの、妖夢は体を触れられているうちに...
「…あん…そこ、は………」~
ルナサは妖夢の薄桃の両乳首を人差し指と中指で挟み、こり...
「ん……やぁ………ルナサ……きもち…い………んぁ…ふぁぁあ……」~
「もっと…もっと愛してあげる…」~
妖夢の耳元にルナサは甘くそう囁くと、四肢を手錠で固定さ...
そうしてから、お待ちかねといった風に今まで一度とて触れ...
「…ひゃっ!! ……ちょ……やさしく……っっっ!!! …あっあ...
しどろもどろに訴える妖夢の言う通り、ルナサはただ体に触...
「ふぁっ……あっあっあ……あーーーっ!!!」~
時間と共に強くなってくる快感に、妖夢は喘ぎながら逃れる...
「……だめぇっ! だめぇ!! ……それ以上…ると………わたし…あ...
ルナサは妖夢の訴えを聞くどころか、逆にもっと刺激を与え...
「っっっ!?!?!? ……んっ……やぁ…いやぁああああっっ!...
半人半霊として生を受けて以来の強烈至極な快感に、妖夢は...
もう少しで別次元にトリップ出来そうだった妖夢は少々がっ...
「……ルナサ……どうして?」~
もしかしたら焦らされたのかもしれない、とルナサは思った...
そうしていたかと思うと、ルナサは急に妖夢の下から這い出...
~
~
―――いやぁあああああああああああああああ~
~
~
キーンと声が響いて妖夢は耳が痛かった。でも今はそれより...
「…ルナサ?」~
妖夢は名前だけを呼んでみた。しかし反応はない。~
わずかな沈黙の後、ルナサは堰を切ったように泣き出した。~
~
~
ほぼ同時刻、白玉楼にて八雲紫と名乗る妖怪が何者かに打ち...
~
~
~
*~~
~
~
私は何事も正々堂々と勝負するのが好きだ。~
たとえ相手がどんなに強く、正面から挑んで勝ち目がなくと...
それが私の信条のようなものだった。~
~
でも、それはもう過去形でしかない。~
私は自ら正々堂々であることを放棄したのだ。~
そうするほどに、狂おしいほどに妖夢を愛していた。~
だから私はあのすきま妖怪の口車に乗ったのだ。~
~
人の心など脆いものだ。~
けれど、私はすべてをあのすきま妖怪のせいにはしない。~
最終的にこうすることを選んだのは、やはり私なのだから。~
~
涙を流しながら、私は妖夢を見た。~
まるで小動物を憐れむかのような目をしている。~
それは軽蔑されるよりもむしろ辛いことだった。~
そんな目で見られるくらいなら、いっそ消えてしまいたいと...
~
~
*~
~
~
ルナサは妖夢を縛していた手錠をすべてはずした。双方とも...
漸く自由になれて、ほっとしている妖夢に寝台の下に隠して...
「何も言うべき言葉はない。このまま、人間の迷いを断ち斬...
剣を手渡されながら妖夢はぽかんとルナサを見上げた。どう...
確かに妖夢はルナサが憎かった。でも、たった数十分の間に...
「いやよ」~
妖夢はそう言い放つ。すべての思いを統合した上での結論だ...
「だったら…」~
ルナサはそう答えて、さっき妖夢に渡したばかりの白楼剣を...
そうして白楼剣の奪う奪わせないのやり取りをしている間に...
「落ち着きなさいよ」~
組み伏せられ、どうにも出来なくなってしおらしくなったル...
「!!??!?」~
あまりのことにルナサは仰天する。あれだけひどいことをし...
永遠に続くかと思われるほどの甘い口付けも、妖夢が体を起...
「…妖夢、どうして…自分から?」~
ぽぉっとした感じでルナサは問うた。妖夢も恥ずかしそうに...
「…その、ね。私も、あなたにいろいろとされてる間にこうい...
そう言い終わって妖夢は真っ赤になる。そして続けざま、駄...
「それに私、まだルナサに愛され尽くしてないわ!!」~
「…妖夢」~
二人は、お互いを見つめ合いながら、ともなくして体を重ね...
~
~
――――――――――――――――――――――~
~
~
夜の幻想郷はひんやりとして涼しかった。~
ルナサと妖夢はお互い肩にもたれかかりながら野原で夜風を...
風に揺られて、草々がまるで波のようにざぁっと戦ぐのが綺...
「……これからは、あなたのことも見てる。だから、心配しな...
ルナサの髪を撫でながら妖夢が囁く。~
「……その、なんだ。うん……ありがとう、妖夢……」~
照れるようにルナサは答えた。顔はきっと赤い。~
ルナサはそれを隠すかのようにすくっと立ち上がると、自慢...
「白玉楼に帰る前に、一曲だけ聞いていかないか? ……安心...
妙な気配りをするルナサに、妖夢は笑いながら答える。~
「ふふ、もうそんなことする必要はないでしょ? ……それじ...
「じゃあ弾くよ。………それにしても、今日は月が綺麗だな」~
「ええ綺麗ね」~
月の明度はいつもと変わらないように見えた。~
だから妖夢も安心して、心の底からそう思った。~
ルナサもまた別のことを思う。~
~
~
私を受け入れてくれたあなたに~
これから私を見てくれると言ったあなたに~
そして剣士である勇ましいあなたに~
~
最高にふさわしい曲を奏でよう~
力を使うことなく、私自身の手で奏でよう~
全身全霊を賭けてあなたのために捧げよう~
~
~
と。~
~
~
―――ハチャトゥリアン作曲『剣の舞』―――~
~
~
かつてない荘厳なメロディが幻想郷の夜に浸透する。~
曲に合わせてダンスを踊る影が確かにそこにあった。 ~
~
~
~
~
~
...
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
ご拝読どうも有り難う御座いました。~
ちょっと部分部分に説明を端折った感が否めませんが、どう...
ルナサが作中で弾いていた曲とその能力は、某漫画の主人公...
一応この場を借りまして、お詫び申し上げておきます。~
~
~
作者的な違和感を箇条書き~
~
①ルナサ・妖夢ってこんな性格・口調だったっけ?~
②幽霊って血出るの?~
③妖夢の心変わり早すぎ~
~
~
しかし4度目にもかかわらずネチョ度成長しません……。~
次回は果たしてどうなるだろう……。~
リクは某所の某ひの氏にいただきました。~
~
確か頼まれた内容にヴァイオリンプレイなるものがあったと...
でも、自分の筆力では表現出来ませんでした。~
そこでどういうわけか生まれたのが数行程度の弓打ちです……。~
~
……申し訳ありません。~
~
~
…で、では、次回またお会いしましょう(・∀・)~
~
~
~
*~
~
前回スレで誤字のご指摘を受けましたので、今後に備えて新...
~
osaki_fox あっとまーく hotmail.com です。~
~
誤字脱字・文法の誤りなどありましたらこっちの方にお願い...
感想などいただければ死ぬほどに嬉しいです。
終了行:
書いた人:オサキ狐~
~
今回は、ルナサ×妖夢です。~
ちょっとグロ?っぽいような感じがしなくもないシーンがあ...
ネチョ具合は書いて読んでみた結果、かなり低いことに気付きま...
以上の点を踏まえてお楽しみくださいませ( ゚∀゚)~
~
ちょっとルナサにサイコ入ってますが、一応理由あり。~
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私は恋をした。~
騒霊としてこの世に生まれてから初めてのことだった。~
その思い人に出会ったのはもう随分と前になる。~
伝統のある冥界の西行寺家のお嬢様に演奏の依頼を受けたの...
そこで私は一人の少女に恋心を抱いた。~
~
彼女の名前は魂魄妖夢といった。半分人間で半分幽霊という...
幽霊でもあり、人間でもある、庭師でもあり、剣士でもある...
~
幾度も宴会の席に呼ばれる度に私の妖夢への思いは募ってい...
そのうちに、長年連れ添ってきた勘のいい妹たちに、私が妖...
躁病の気のある次女は「あははあは」と私を励まし、調子の...
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とりあえず三女にはゲンコツを一発くれてやったが、後でそ...
~
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白玉楼に咲き乱れていた桜ももうすっかりと影を潜めていた...
来年もまた咲いたらいいな、と半分幻の庭師、魂魄妖夢は思...
今、白玉楼はちょうど夜分であった。まだ桜が咲いていたの...
今宵、月の明度は気味が悪いほどに明るい。しかし、それ故...
~
―――こんばんわ。~
~
突如背後から声を掛けられて妖夢はハッとする。誰かの気配...
念のために腰の楼観剣を手にかけながら後ろを向く。その先...
しかし、妖夢の心配をよそに、目先の相手は何度も会ったこ...
「…ごめんなさいね。一瞬誰か分からなかったものだから」~
妖夢は一応弁明する。意味もなく刀で切り付けられそうにな...
「いや、私が後ろから話し掛けたのがいけなかった」~
ルナサは特に気にした風でもなくそう言った。その受け答え...
「それにしても、今日は珍しいわね。あなたが一人でいるな...
妖夢が言う通りに、今日は陽気な次女も常に何か企んでいそ...
「私にも偶には一人になりたいときくらいある。妖夢にだっ...
「それはまぁ、そうね。いつも一人は嫌だけど、偶にはね」~
今日の妖夢は何となくそんな気持ちで夜の西行寺家の庭園を...
~
―――綺麗だな。~
~
独り言を呟くかのようにルナサはぼそっと言った。~
妖夢は一瞬ルナサが何を言っているのか分からなかったが、...
(……あの月が…綺麗? 確かに美しくはあるけれど…。でも……)~
――でも、妖夢はあの月から感じられる不吉さを拭うことは出...
ルナサが月を見るのを止め、妖夢に向き直る。そのときのル...
「どう…したの?」~
そう問い掛けると、ルナサの目はいつもと変わらないように...
ルナサは妖夢のそんな懸念に反するかのように別の話題を切...
「……いや、別に。そうだ、よかったら私の演奏を聞かないか...
悪くないと妖夢は思う。今ならルナサのヴァイオリンの繊細...
「いいわね、それじゃあお願いしようかしら。曲は何かしら...
「曲は……なんだと思う?」~
ルナサの目がそのときまたあの月のように見えたが、妖夢は...
「当ててみろってわけ? でも私はあまり音楽の方の知識は...
「分かった」~
そう答えてルナサが手足を使わずにヴァイオリンから奏でだ...
~
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―――タッタタタッタータッタッター♪~
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―――タッタタタ...
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チャイコフスキー作『くるみ割り人形』であった。~
軽快でリズミカルな曲がヴァイオリンの名器ストラディバリ...
ソロの方が好きと言っていたが、まさかこれほどとは。直接...
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―――タッタタタッタータッタッター♪~
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―――タッタタタ...
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~
演奏自体は数分程度で終わったが、妖夢にはその間の時間が...
声など出ない、感想など言うだけ無粋だった。自分の陳腐な...
~
しばしの静寂が時を支配する。~
~
「…どうだった?」~
己の演奏に満足そうにルナサが妖夢に問うた。表情から溢れ...
「…言葉は要らない、としか言いようがないわ」~
「…それは誉め言葉の方?」~
そう尋ねるルナサは不安そうだった。妖夢が溜息を吐くよう...
「もちろんよ、私なんかの言葉では表現できないほど素晴ら...
ルナサの不安を消し飛ばすように妖夢は快活に言った。それ...
~
―――ところで~
~
ルナサはまたあの目つきをしながら妖夢に言った。その目を...
~
―――体が動かせないだろう?~
~
いけしゃあしゃあとそんなことを口にするルナサに、妖夢は...
「…ちょっ、ふざけないで! 一体どういう………何を笑ってい...
いつもなら顔なじみということもあって、仮令体を動かせな...
しかし、妖夢がいくら凄んでも、文字通り妖夢は手も足もで...
「さっき私が弾いた魔曲には相手の自由を奪う力がある。……...
アイセル…、この四つの文字の連なりを聞いて妖夢はゾッとし...
妖夢はこれから自分の身に起こることを思い描いて恐怖する...
~
~
月、狂気の象徴にして、よく人を惑わす。~
~
~
*~
~
~
私は何事も正々堂々と勝負するのが好きだ。~
たとえ相手がどんなに強く、正面から挑んで勝ち目がなくと...
それが私の信条のようなものだ。~
~
でも、それでは妖夢の気持ちを私振り向かせることは叶わな...
彼女の目にはいつも西行寺のお嬢様が映っている。~
そうでないときは剣士として己を磨くことに専念している。~
そこに私が入り込む余地などない。~
~
恋なんて残酷なものだ。~
どんなに正々堂々としようとも、相手がその気にならなけれ...
ましてや私と妖夢は女同士、努力でどうにかなる問題でもな...
~
私は途方にくれた。~
この胸に秘めた思いをこれからずっと抑えて暮らすなんてと...
だから私は三女の言葉通りのことを実行してやろうと本気で...
あのすきま妖怪に会ったのもちょうどそんなときだった。~
~
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*~
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「…う……ん」~
妖夢は軽くうめくようにして起きた。ルナサの魔曲に体の自...
「お目覚めかしら?」~
妖夢が状況の把握をしようとしているところに、突如として...
入ってきたのは名器ストラディバリウスを携えたルナサだっ...
「一体何のつもり? 私をこんな所に連れてきて、いい加減...
ルナサは笑うだけで何も答えなかった。それが妖夢の癪に障...
「ふざけないでっ!」~
妖夢は自分が寝かされていた寝台の上から体を起こそうとす...
~
―――チャリ~
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と金属質の嫌な音が部屋に響いた。よもやと妖夢は思ったが...
~
―――だからルナサは笑っているのだ。~
~
妖夢は今更ながらにルナサが狂っていることを思い出し、戦...
「やめてよ、その目…。こっちに来ないでよ!!」~
ルナサは一歩、また一歩と動けない妖夢へと近付いていく。...
寝台までやって来ると、ルナサはその上に乗り、妖夢の体に...
「…ん…んんん…んぐっ」~
吸盤が張り付くようにルナサは妖夢の唇を吸い続けた。そこ...
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――ガリッ~
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突如襲ってきた痛みにルナサは飛び上がるように体を起こす...
「……何で? ………どうしてこんなことを……妖夢……」~
血を拭いながらルナサはぼそぼそとそう言った。信じた者に...
「……ごめんなさいね。今ので目が覚めたら、早いところ私を...
妖夢は今の行為で自分が優位に立ったと思った。だからこそ...
「………で………なん…………」~
ぶつぶつと何事か言いながら、ルナサは懐中から一本のナイ...
少し息を荒くしながらルナサは妖夢の体を押さえ付ける。そ...
妖夢は間違いなく体を切られたと思った。だが、痛みは感じ...
そのまま、なおもぶつぶつと言いながらルナサは裂いた服を...
肌を隠す布が無くなり、妖夢の裸体が露になる。幽霊と人間...
「…妖夢、私はこんなにもあなたを愛しているのに…」~
妖夢にも聞こえるようにぽつんと呟き、ルナサは何を思った...
そして、その弓でもって妖夢の体に打ち付ける。~
~
――ピシィッ~
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と、張りのある柔い物を叩く音がした。~
「っっ!? 痛いっ! ルナサ、やめて!!」~
妖夢の声はルナサに届かなかったのか、ルナサは続けて一回...
「…妖夢、ヴァイオリンの弾くようにあなたを愛してあげる。...
くすくすとそう言って笑うルナサを見て、妖夢はもはや逃れ...
「…うぅ、ぐすん。…もう、あなたの好きにしていいから叩く...
妖夢の目尻には涙が溢れていた。表情は痛みによる苦悶と屈...
「…ああ、やっと私を受け入れてくれるんだな…」~
何かを達成したかのような満面の笑みをルナサは浮かべると...
服を脱ぎ終わったルナサは、なるほど幽霊らしく少し青白い...
さっそくルナサは一度はのしかかった妖夢に体を重ねた。そ...
「とても痛いの、妖夢の舌で消毒してくれる?」~
妖夢は何も言わず、ルナサに言われるままに己の舌でルナサ...
その行為を自分への屈服の証と見たのか、ルナサは切れた唇...
「…あ……ぅん………」~
くぐもった声を妖夢は出す。まるで繊細なガラス細工を扱う...
「…やっ…いた………ん……」~
若干の痛みはあるものの、妖夢は体を触れられているうちに...
「…あん…そこ、は………」~
ルナサは妖夢の薄桃の両乳首を人差し指と中指で挟み、こり...
「ん……やぁ………ルナサ……きもち…い………んぁ…ふぁぁあ……」~
「もっと…もっと愛してあげる…」~
妖夢の耳元にルナサは甘くそう囁くと、四肢を手錠で固定さ...
そうしてから、お待ちかねといった風に今まで一度とて触れ...
「…ひゃっ!! ……ちょ……やさしく……っっっ!!! …あっあ...
しどろもどろに訴える妖夢の言う通り、ルナサはただ体に触...
「ふぁっ……あっあっあ……あーーーっ!!!」~
時間と共に強くなってくる快感に、妖夢は喘ぎながら逃れる...
「……だめぇっ! だめぇ!! ……それ以上…ると………わたし…あ...
ルナサは妖夢の訴えを聞くどころか、逆にもっと刺激を与え...
「っっっ!?!?!? ……んっ……やぁ…いやぁああああっっ!...
半人半霊として生を受けて以来の強烈至極な快感に、妖夢は...
もう少しで別次元にトリップ出来そうだった妖夢は少々がっ...
「……ルナサ……どうして?」~
もしかしたら焦らされたのかもしれない、とルナサは思った...
そうしていたかと思うと、ルナサは急に妖夢の下から這い出...
~
~
―――いやぁあああああああああああああああ~
~
~
キーンと声が響いて妖夢は耳が痛かった。でも今はそれより...
「…ルナサ?」~
妖夢は名前だけを呼んでみた。しかし反応はない。~
わずかな沈黙の後、ルナサは堰を切ったように泣き出した。~
~
~
ほぼ同時刻、白玉楼にて八雲紫と名乗る妖怪が何者かに打ち...
~
~
~
*~~
~
~
私は何事も正々堂々と勝負するのが好きだ。~
たとえ相手がどんなに強く、正面から挑んで勝ち目がなくと...
それが私の信条のようなものだった。~
~
でも、それはもう過去形でしかない。~
私は自ら正々堂々であることを放棄したのだ。~
そうするほどに、狂おしいほどに妖夢を愛していた。~
だから私はあのすきま妖怪の口車に乗ったのだ。~
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人の心など脆いものだ。~
けれど、私はすべてをあのすきま妖怪のせいにはしない。~
最終的にこうすることを選んだのは、やはり私なのだから。~
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涙を流しながら、私は妖夢を見た。~
まるで小動物を憐れむかのような目をしている。~
それは軽蔑されるよりもむしろ辛いことだった。~
そんな目で見られるくらいなら、いっそ消えてしまいたいと...
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ルナサは妖夢を縛していた手錠をすべてはずした。双方とも...
漸く自由になれて、ほっとしている妖夢に寝台の下に隠して...
「何も言うべき言葉はない。このまま、人間の迷いを断ち斬...
剣を手渡されながら妖夢はぽかんとルナサを見上げた。どう...
確かに妖夢はルナサが憎かった。でも、たった数十分の間に...
「いやよ」~
妖夢はそう言い放つ。すべての思いを統合した上での結論だ...
「だったら…」~
ルナサはそう答えて、さっき妖夢に渡したばかりの白楼剣を...
そうして白楼剣の奪う奪わせないのやり取りをしている間に...
「落ち着きなさいよ」~
組み伏せられ、どうにも出来なくなってしおらしくなったル...
「!!??!?」~
あまりのことにルナサは仰天する。あれだけひどいことをし...
永遠に続くかと思われるほどの甘い口付けも、妖夢が体を起...
「…妖夢、どうして…自分から?」~
ぽぉっとした感じでルナサは問うた。妖夢も恥ずかしそうに...
「…その、ね。私も、あなたにいろいろとされてる間にこうい...
そう言い終わって妖夢は真っ赤になる。そして続けざま、駄...
「それに私、まだルナサに愛され尽くしてないわ!!」~
「…妖夢」~
二人は、お互いを見つめ合いながら、ともなくして体を重ね...
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夜の幻想郷はひんやりとして涼しかった。~
ルナサと妖夢はお互い肩にもたれかかりながら野原で夜風を...
風に揺られて、草々がまるで波のようにざぁっと戦ぐのが綺...
「……これからは、あなたのことも見てる。だから、心配しな...
ルナサの髪を撫でながら妖夢が囁く。~
「……その、なんだ。うん……ありがとう、妖夢……」~
照れるようにルナサは答えた。顔はきっと赤い。~
ルナサはそれを隠すかのようにすくっと立ち上がると、自慢...
「白玉楼に帰る前に、一曲だけ聞いていかないか? ……安心...
妙な気配りをするルナサに、妖夢は笑いながら答える。~
「ふふ、もうそんなことする必要はないでしょ? ……それじ...
「じゃあ弾くよ。………それにしても、今日は月が綺麗だな」~
「ええ綺麗ね」~
月の明度はいつもと変わらないように見えた。~
だから妖夢も安心して、心の底からそう思った。~
ルナサもまた別のことを思う。~
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私を受け入れてくれたあなたに~
これから私を見てくれると言ったあなたに~
そして剣士である勇ましいあなたに~
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最高にふさわしい曲を奏でよう~
力を使うことなく、私自身の手で奏でよう~
全身全霊を賭けてあなたのために捧げよう~
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と。~
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―――ハチャトゥリアン作曲『剣の舞』―――~
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かつてない荘厳なメロディが幻想郷の夜に浸透する。~
曲に合わせてダンスを踊る影が確かにそこにあった。 ~
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...
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ご拝読どうも有り難う御座いました。~
ちょっと部分部分に説明を端折った感が否めませんが、どう...
ルナサが作中で弾いていた曲とその能力は、某漫画の主人公...
一応この場を借りまして、お詫び申し上げておきます。~
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作者的な違和感を箇条書き~
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①ルナサ・妖夢ってこんな性格・口調だったっけ?~
②幽霊って血出るの?~
③妖夢の心変わり早すぎ~
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しかし4度目にもかかわらずネチョ度成長しません……。~
次回は果たしてどうなるだろう……。~
リクは某所の某ひの氏にいただきました。~
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確か頼まれた内容にヴァイオリンプレイなるものがあったと...
でも、自分の筆力では表現出来ませんでした。~
そこでどういうわけか生まれたのが数行程度の弓打ちです……。~
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……申し訳ありません。~
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…で、では、次回またお会いしましょう(・∀・)~
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前回スレで誤字のご指摘を受けましたので、今後に備えて新...
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osaki_fox あっとまーく hotmail.com です。~
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誤字脱字・文法の誤りなどありましたらこっちの方にお願い...
感想などいただければ死ぬほどに嬉しいです。
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