とうほうネチョロダ/竹林の最奥で永遠を呪う、謳う、誓う(前)
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・若干イタイ(グロ系)表現あり~
・輝夜の描写が悪役っぽい~
~
~
ですが、それでも構わないという人は下へドゾー~
~
~
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~
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・~
~
あれからどれくらい経ったんだろう・・・・・・・・1時間?24時間?そ...
時間の感覚なんてとっくに消し飛んでいる。そもそも私にとっ...
~
~
『・・・・また気を失っちゃったのかしら?』~
~
闇の向こうから声がする。今までさんざん聞いた少女の声。笑...
私はまだ気を失ってなどいない。疲れてきたので動くのが少々...
これでもかというほどの憎しみの表情で睨みつけてやろうかと...
~
~
何も見えないのに、どうやって相手を見ろと言うの?~
~
目もないのに、どうやって相手を睨めと言うの?~
~
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・~
~
~
そう。~
今の私は何も見えない。~
それは、暗い所にいるからではなく『目がない』から。~
私のすぐ近くにいるはずの少女・・・・・・輝夜が私から光を奪った...
本来なら空には真円を描く月が輝いているはずなのに、竹林を...
私がいるのは黒よりも暗い闇の中、生暖かい自分の血にまみれ...
そして輝夜はそれだけに飽き足らず、無数の物の怪を召喚し・・・...
~
物の怪どもは私を犯し、肉を裂き、肉を喰らい、私を壊し・・・・・...
だが私は死ねない。~
終わりの来ない痛みが訪れようとも、この身を百度引き裂かれ...
普通の人間なら狂って死んでしまいそうなほどの痛みと恐怖の...
そして、のた打ち回る私の断末魔を聞きながら輝夜はさらに私...
~
ああ、そういえば。~
もがく為の手足なんて、とっくに喰い千切られてたわ。~
もう痛みもあまり感じていない。感覚が麻痺しちゃったか、私...
とにかく、輝夜が飽きれば私への責苦も終わる。私はその時を...
~
~
~
~
~
『・・・つ、月の民・・・・・・何故こんな所に・・・・・・・・・・・!?』~
『来るのが遅いわよ、ハクタク。おかげであなたの大事な人間...
『なっ・・・!・・・・・・も、妹紅殿・・・・・・・・・貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁ...
~
~
誰か来たらしい。~
いくつかの言葉の後に私が感じたのは我を失った感じの絶叫、...
・・・・・・ダメ。輝夜に勝てる奴なんてそう滅多にいない。大抵は...
私の名を呼んだ『彼女』でも、輝夜の足元にも及ばない。~
~
~
~
『ふふっ・・・・半獣ごときが私に勝てると思って?』~
『く・・・・・・・そ・・・・・・・・・・・・・・・・・』~
『・・・・・・・・・・・・もう少し妹紅で遊ぼうと思ったけど、これじゃ...
~
~
まるで壊れた玩具を前にしたようなつまらなさそうな声で、輝...
それは私に対する責苦の終了の宣告、または次なる責苦の予告...
~
そして気配が一つ消えた。まるで氷のように冷たい気配が、一...
後に残ったのは弱々しい気配と・・・・・・ボロボロの私だけ。~
何も見る事もできず、動く事もできず。責苦が終わった事に安...
死ぬ事ができないのは、時に死ぬより辛い。そして、自分はも...
~
~
「け・・・・・・い・・・・・・・・・・・・ね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」~
~
私を助けに来てくれた『彼女』の身が気になる。~
『彼女』は私と違い、いつかは死が訪れる身。もしかしたら今...
私なんかより『彼女』の方が心配だ。私は薄れゆく意識の中で...
~
~
~
~
『も・・・・・・こぅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ど・・・・・・・・・・・・・・...
~
~
~
弱々しいけれど、~
~
~
~
返事が、~
~
~
~
~
帰ってきたような、~
~
~
~
~
~
~
気が、~
~
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した~
~
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~
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~
~
~
~
あたたかい。~
柔らかい。~
心地いい。~
~
~
そう、この柔らかい感触は・・・・・・・・布団?~
私・・・・・誰かに助けられた?~
~
よく分からないが、布団の中に入っているという事はそういう...
もう目も両腕両脚も再生している。物の怪どもに壊された所も...
不死の力は、どれだけ肉体が破壊されようとも確実に元の姿を...
とりあえずは不死のいい所だ。~
~
布団に入ったまま、首だけひねってみる。~
右を向き、左を向き、もう一度右・・・・・・この程度ではどこも痛...
首をひねった範囲で見えたのは白い塗り壁、質素な戸棚、丸い...
質素ながらこざっぱりとした建物のようだ。~
~
とりあえず、ここがどこなのかを確認する必要がある。私は慌...
~
~
「あぐぅぅっ!!」~
~
再び、全身を引き裂かれたような激痛が全身を駆け巡った。~
いくら肉体が復活したとしても、痛みまではなくならない。私...
当分はこの激痛と同居しなければならない。ここが不死の辛い...
~
~
~
「も、妹紅殿!まだ起きては・・・・・・・」~
~
~
私の呻きを聞きつけたのか、少女が私の所へ駆け寄ってきた。~
水と粉薬のような物を盆に載せ、不安げな表情で私を見つめて...
角と尻尾を生やしたこの少女、実はよく見なくても私がよく知...
その名を上白沢 慧音、神獣・ハクタクの姿と力を内に秘めた知...
~
~
「・・・・・あ、ああ・・・・・・・・慧音・・・・・・・あなたが私を・・・・・・?」~
「安心して、ここは私の庵だ・・・ここの存在は歴史から隠してあ...
「私・・・・・・あなたに助けられたんだ・・・・・・・・・・・・・」~
「あなたが例の月の民に嬲られているのを見つけて・・・無理と分...
「・・・・でも、あなたも輝夜にやられたはずじゃ・・・・・・・・」~
「私は妹紅殿ほど酷くはやられなかったから・・・・少し気は失っ...
~
そういえば、私と違って不死の力を得ていない慧音だがひどい...
顔にうっすらと痣やかすり傷が見える程度・・・・・・顔は女の命、...
私はと言えば、とりあえず傷らしい傷はもう見当たらない。~
服が全て脱がされているが、それは彼女が私に何らかの処置を...
思えば輝夜にいたぶられていた時も裸に剥かれていたし、別に...
~
「・・・・・まあ、奴にしてみれば私など殺す価値もないという事な...
「・・・・慧音、別に手当てなんて要らないわよ・・・・・・どんな怪我...
~
私はその時笑みを浮かべていた。~
自分の身を、境遇を、今の自分を鼻で笑う。~
自分で言うのもアレだが、今の私は全てに諦めている。~
輝夜の責苦を。慧音の看病を。自分自身を。この世界を。~
全部、どうでもいい事だ。~
~
だが、私が死なない事、死ねない事・・・・・・・少なくとも、これだ...
~
~
~
「妹紅殿・・・・・・・・・」~
~
ずいっ、と慧音が私にがぶり寄ってきた。~
慧音はとても真面目な性格、私の言った事に何か気に障る所で...
どうせ『諦めちゃ駄目だ』とか『頑張れ』とかそういうお決ま...
そして慧音は私の手を取り・・・・・・・・・~
~
~
「御免ッ」~
~
~
ぺちん~
~
~
「うああぁっ!?け、慧音何をっ・・・・・・・!?」~
~
あろう事か、再生したばかりの私の腕を(軽くではあるが)叩...
生傷をさらに刃物で抉られるような、灼けるような痛みが走る。~
~
「痛・・・・・・・痛いよ・・・慧音っ・・・・・・・・・・・!」~
「済まぬ・・・・だが妹紅殿、いくら身体の傷が癒えたように見え...
私はそれを少しでも和らげたいんだ・・・・・・あなたが少しでも...
「・・・・・・・慧音・・・・・・・・・・・・・」~
「・・・これは私の身勝手なのかも知れない・・・・・・・・・だが、幻想...
不死の力を得た者を元に戻す方法は見つからなかった・・・・・な...
~
~
慧音は俯いてしまった。~
私を助けられないという事に落胆し、自分の力の限界に憤って...
よく見れば、硬く握り拳を作って歯を食いしばっていたりして...
不死は私だけの問題のはずなのに、まるで自分の事のように真...
私は、本当にいい人に出逢えたと思う。~
~
「・・・・・・慧音は優しいね・・・・・・・・・・・・」~
「・・妹紅殿・・・・・・・・」~
「私、慧音に出逢えて本当によかった。死なないだけが能の私...
~
慧音の手に自分の手を添える。~
ピクリと震える細い指先。指を通じて伝わる、彼女の気持ち。~
上手く説明できないけれど、私への真摯な想いが伝わってきた...
~
「そ、それは・・・・!・・・・・・私はただ、人として当然の事をした...
「それが嬉しいの・・・不死の身になってから、私を一人の人間と...
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」~
~
真っ赤な顔になって慧音はまた俯いてしまった。~
彼女も半獣とはいえ人間以外の身、並の人間よりはずっと長生...
堅物というかウブというか・・・・・でもそんな所が可愛かったり。~
~
~
そして、私はそんな慧音が大好きだ。~
大好きだから、こんな病み上がり程度の身体でも彼女を前にし...
まだ身体への負担が大きいというのに、いけない事だというの...
~
~
~
~
~
「ねえ、慧音・・・・・今の私の為に、あなたにできる事って・・・・・・...
~
慧音の目の色が変わった。目を見開き、私の身体が病み上がり...
・・・・・・まあ、全身の痛みもある程度退いてきたので手を握られ...
~
「そ・・・それは本当か、妹紅殿!?」~
「ま、まあ・・・・あると言えばある、っていう程度だけど・・・・・・・...
「教えてくれ・・・・・・私にできる事なら何でもする!」~
~
私の手を握ったまま、慧音はさらに近づいてくる。とても真剣...
もう少しで顔と顔が触れてしまいそうな距離まで近付いてきて・...
~
~
~
「じゃあ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私を抱いて」~
~
~
近付いてくる慧音を逆に私が引き寄せ、慧音の反応を見る事も...
~
私は強引にその唇を奪った・・・・・・・・・・~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
「んっ・・・・・・」~
「~~~~~ッ!!?」~
~
まさか私がこんな事をするとは思ってもいなかっただろう。慧...
数瞬してようやく自分が何をされているのか理解したようだ。~
私には最初の数瞬さえあれば充分、無抵抗の慧音の口腔に舌を...
そっと抱き寄せた慧音の身体は驚きのためか硬直していて、舌...
それを解すようにゆっくり舌を這い回らせると、ようやく彼女...
~
~
「むぐっ・・・・ぷ・・・・・はぁっ!・・・も・・も・・妹紅殿、いきなり何...
「何って、今言ったじゃない・・・・・・私を抱いてほしいの。私が...
「なっ・・・・・・・!」~
「この身体の痛みを忘れられるように、忘れちゃうくらい、私...
あなたは隠し通してきたつもりなんでしょうけど、知ってる...
「あ・・・・・!?」~
~
慧音のスカートに手を突っ込んで探りを入れる。~
今の慧音には、『ある物』が付いているはず。たまたまそれを...
今の私にはそれがどうしても必要なのだ。~
~
そして、私の手がついに『ある物』を捉えた。~
~
~
「ひぁっ!?」~
「・・・・・・満月の夜のみ、慧音は半獣の姿となる。ヒトとケモノ...
「・・・・・・・・・・・・・・・」~
「私の痛みを和らげたいって本当に思ってるなら、お願い・・・・・...
~
~
~
慧音を抱き寄せてキスをして。さっきから心臓の鼓動をずっと...
・・・・もしかしたら両方かも知れない。~
こういう空気に慣れていない(であろう)慧音が緊張するのは...
でも、今更引き返す事はできないし引き返すつもりもない。こ...
~
「お願い、慧音・・・・・・・駄目・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」~
「・・・・妹紅殿・・・・・・・・・」~
~
~
~
「―――んんっ!?」~
~
~
今度は私が無抵抗になっていた。~
まさか慧音がこんな事をするとは思ってもいなかった―――という...
頭をしっかり押さえつけられ、突然の事に思わず息苦しさを感...
そして無抵抗の口腔に慧音の舌が侵入し、あっという間に私の...
~
「あむっ・・・・ぅ・・・けい・・・・・・・・っ!」~
~
言葉を挟む暇すら慧音は与えてくれない。舌先で私の舌を撫で...
口の周りまでもがお互いの唾液でしっとり湿るほど、慧音は舌...
~
~
「はふっ・・・・・・は、はぅ・・・・・・・も、妹紅殿・・・・・・・・・・」~
~
ようやく解放してくれて早々に慧音が言葉を重ねる。~
ほのかに頬が赤味を帯び、視線もしっかり定まっている。さっ...
~
「・・・・あらかじめ言っておくが、今の・・・・・・満月の夜の私はほ...
もしかしたら手加減できないかも知れない・・・・・・今みたいに...
「・・・・・・・・・慧音・・・・・・・・・・・・・・・・・」~
「今のあなたの身体、できる限り労りたい・・・・・今のあなたには...
~
「・・・・・・・・・・・・・・・」~
~
「・・・・・・・・・・・・・・・」~
~
~
「・・・・・・そんな事、ないよ・・・・・・・・・・・・・・・」~
~
~
慧音の気遣いが嬉しかった。~
こんな私の傍にいてくれる慧音が嬉しかった。~
そして、何時しか私は慧音の事を愛しく想うようになっていっ...
~
だからこそ。~
傷ついた今の私には慧音がなおさら必要なのだ。~
~
「慧音が相手だったら、痛みなんていくらでも我慢できるから・...
「・・・・・むぅ・・・・・・・・・・・・・」~
~
~
俯いて慧音は考える。~
~
1秒。~
~
2秒。~
~
3秒。~
~
~
・・・・・・・・・~
~
~
十数秒ほどしただろうか、ようやく慧音が顔を上げた。~
~
~
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・分かった」~
「慧音・・・・・・・・・」~
「他ならぬ妹紅殿の真剣な頼みだ・・・・聞かぬわけにはいくまい...
~
そう言う慧音の顔は少しばかり赤く染まっていて、だからまた...
でも、その顔はとても穏やかだ。~
~
~
「・・・・・ありがとう・・・・・・・・・・・・・・・・」~
~
~
~
なぜだろう、私も胸が切なくなってきて、何かこみ上げるもの...
泣きたいのか笑いたいのか自分でも分からず、ただ慧音の胸に...
~
(next)
終了行:
・若干イタイ(グロ系)表現あり~
・輝夜の描写が悪役っぽい~
~
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ですが、それでも構わないという人は下へドゾー~
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・~
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あれからどれくらい経ったんだろう・・・・・・・・1時間?24時間?そ...
時間の感覚なんてとっくに消し飛んでいる。そもそも私にとっ...
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『・・・・また気を失っちゃったのかしら?』~
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闇の向こうから声がする。今までさんざん聞いた少女の声。笑...
私はまだ気を失ってなどいない。疲れてきたので動くのが少々...
これでもかというほどの憎しみの表情で睨みつけてやろうかと...
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何も見えないのに、どうやって相手を見ろと言うの?~
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目もないのに、どうやって相手を睨めと言うの?~
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・~
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そう。~
今の私は何も見えない。~
それは、暗い所にいるからではなく『目がない』から。~
私のすぐ近くにいるはずの少女・・・・・・輝夜が私から光を奪った...
本来なら空には真円を描く月が輝いているはずなのに、竹林を...
私がいるのは黒よりも暗い闇の中、生暖かい自分の血にまみれ...
そして輝夜はそれだけに飽き足らず、無数の物の怪を召喚し・・・...
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物の怪どもは私を犯し、肉を裂き、肉を喰らい、私を壊し・・・・・...
だが私は死ねない。~
終わりの来ない痛みが訪れようとも、この身を百度引き裂かれ...
普通の人間なら狂って死んでしまいそうなほどの痛みと恐怖の...
そして、のた打ち回る私の断末魔を聞きながら輝夜はさらに私...
~
ああ、そういえば。~
もがく為の手足なんて、とっくに喰い千切られてたわ。~
もう痛みもあまり感じていない。感覚が麻痺しちゃったか、私...
とにかく、輝夜が飽きれば私への責苦も終わる。私はその時を...
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『・・・つ、月の民・・・・・・何故こんな所に・・・・・・・・・・・!?』~
『来るのが遅いわよ、ハクタク。おかげであなたの大事な人間...
『なっ・・・!・・・・・・も、妹紅殿・・・・・・・・・貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁ...
~
~
誰か来たらしい。~
いくつかの言葉の後に私が感じたのは我を失った感じの絶叫、...
・・・・・・ダメ。輝夜に勝てる奴なんてそう滅多にいない。大抵は...
私の名を呼んだ『彼女』でも、輝夜の足元にも及ばない。~
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『ふふっ・・・・半獣ごときが私に勝てると思って?』~
『く・・・・・・・そ・・・・・・・・・・・・・・・・・』~
『・・・・・・・・・・・・もう少し妹紅で遊ぼうと思ったけど、これじゃ...
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まるで壊れた玩具を前にしたようなつまらなさそうな声で、輝...
それは私に対する責苦の終了の宣告、または次なる責苦の予告...
~
そして気配が一つ消えた。まるで氷のように冷たい気配が、一...
後に残ったのは弱々しい気配と・・・・・・ボロボロの私だけ。~
何も見る事もできず、動く事もできず。責苦が終わった事に安...
死ぬ事ができないのは、時に死ぬより辛い。そして、自分はも...
~
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「け・・・・・・い・・・・・・・・・・・・ね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」~
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私を助けに来てくれた『彼女』の身が気になる。~
『彼女』は私と違い、いつかは死が訪れる身。もしかしたら今...
私なんかより『彼女』の方が心配だ。私は薄れゆく意識の中で...
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『も・・・・・・こぅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ど・・・・・・・・・・・・・・...
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弱々しいけれど、~
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返事が、~
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帰ってきたような、~
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気が、~
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あたたかい。~
柔らかい。~
心地いい。~
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~
そう、この柔らかい感触は・・・・・・・・布団?~
私・・・・・誰かに助けられた?~
~
よく分からないが、布団の中に入っているという事はそういう...
もう目も両腕両脚も再生している。物の怪どもに壊された所も...
不死の力は、どれだけ肉体が破壊されようとも確実に元の姿を...
とりあえずは不死のいい所だ。~
~
布団に入ったまま、首だけひねってみる。~
右を向き、左を向き、もう一度右・・・・・・この程度ではどこも痛...
首をひねった範囲で見えたのは白い塗り壁、質素な戸棚、丸い...
質素ながらこざっぱりとした建物のようだ。~
~
とりあえず、ここがどこなのかを確認する必要がある。私は慌...
~
~
「あぐぅぅっ!!」~
~
再び、全身を引き裂かれたような激痛が全身を駆け巡った。~
いくら肉体が復活したとしても、痛みまではなくならない。私...
当分はこの激痛と同居しなければならない。ここが不死の辛い...
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~
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「も、妹紅殿!まだ起きては・・・・・・・」~
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~
私の呻きを聞きつけたのか、少女が私の所へ駆け寄ってきた。~
水と粉薬のような物を盆に載せ、不安げな表情で私を見つめて...
角と尻尾を生やしたこの少女、実はよく見なくても私がよく知...
その名を上白沢 慧音、神獣・ハクタクの姿と力を内に秘めた知...
~
~
「・・・・・あ、ああ・・・・・・・・慧音・・・・・・・あなたが私を・・・・・・?」~
「安心して、ここは私の庵だ・・・ここの存在は歴史から隠してあ...
「私・・・・・・あなたに助けられたんだ・・・・・・・・・・・・・」~
「あなたが例の月の民に嬲られているのを見つけて・・・無理と分...
「・・・・でも、あなたも輝夜にやられたはずじゃ・・・・・・・・」~
「私は妹紅殿ほど酷くはやられなかったから・・・・少し気は失っ...
~
そういえば、私と違って不死の力を得ていない慧音だがひどい...
顔にうっすらと痣やかすり傷が見える程度・・・・・・顔は女の命、...
私はと言えば、とりあえず傷らしい傷はもう見当たらない。~
服が全て脱がされているが、それは彼女が私に何らかの処置を...
思えば輝夜にいたぶられていた時も裸に剥かれていたし、別に...
~
「・・・・・まあ、奴にしてみれば私など殺す価値もないという事な...
「・・・・慧音、別に手当てなんて要らないわよ・・・・・・どんな怪我...
~
私はその時笑みを浮かべていた。~
自分の身を、境遇を、今の自分を鼻で笑う。~
自分で言うのもアレだが、今の私は全てに諦めている。~
輝夜の責苦を。慧音の看病を。自分自身を。この世界を。~
全部、どうでもいい事だ。~
~
だが、私が死なない事、死ねない事・・・・・・・少なくとも、これだ...
~
~
~
「妹紅殿・・・・・・・・・」~
~
ずいっ、と慧音が私にがぶり寄ってきた。~
慧音はとても真面目な性格、私の言った事に何か気に障る所で...
どうせ『諦めちゃ駄目だ』とか『頑張れ』とかそういうお決ま...
そして慧音は私の手を取り・・・・・・・・・~
~
~
「御免ッ」~
~
~
ぺちん~
~
~
「うああぁっ!?け、慧音何をっ・・・・・・・!?」~
~
あろう事か、再生したばかりの私の腕を(軽くではあるが)叩...
生傷をさらに刃物で抉られるような、灼けるような痛みが走る。~
~
「痛・・・・・・・痛いよ・・・慧音っ・・・・・・・・・・・!」~
「済まぬ・・・・だが妹紅殿、いくら身体の傷が癒えたように見え...
私はそれを少しでも和らげたいんだ・・・・・・あなたが少しでも...
「・・・・・・・慧音・・・・・・・・・・・・・」~
「・・・これは私の身勝手なのかも知れない・・・・・・・・・だが、幻想...
不死の力を得た者を元に戻す方法は見つからなかった・・・・・な...
~
~
慧音は俯いてしまった。~
私を助けられないという事に落胆し、自分の力の限界に憤って...
よく見れば、硬く握り拳を作って歯を食いしばっていたりして...
不死は私だけの問題のはずなのに、まるで自分の事のように真...
私は、本当にいい人に出逢えたと思う。~
~
「・・・・・・慧音は優しいね・・・・・・・・・・・・」~
「・・妹紅殿・・・・・・・・」~
「私、慧音に出逢えて本当によかった。死なないだけが能の私...
~
慧音の手に自分の手を添える。~
ピクリと震える細い指先。指を通じて伝わる、彼女の気持ち。~
上手く説明できないけれど、私への真摯な想いが伝わってきた...
~
「そ、それは・・・・!・・・・・・私はただ、人として当然の事をした...
「それが嬉しいの・・・不死の身になってから、私を一人の人間と...
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」~
~
真っ赤な顔になって慧音はまた俯いてしまった。~
彼女も半獣とはいえ人間以外の身、並の人間よりはずっと長生...
堅物というかウブというか・・・・・でもそんな所が可愛かったり。~
~
~
そして、私はそんな慧音が大好きだ。~
大好きだから、こんな病み上がり程度の身体でも彼女を前にし...
まだ身体への負担が大きいというのに、いけない事だというの...
~
~
~
~
~
「ねえ、慧音・・・・・今の私の為に、あなたにできる事って・・・・・・...
~
慧音の目の色が変わった。目を見開き、私の身体が病み上がり...
・・・・・・まあ、全身の痛みもある程度退いてきたので手を握られ...
~
「そ・・・それは本当か、妹紅殿!?」~
「ま、まあ・・・・あると言えばある、っていう程度だけど・・・・・・・...
「教えてくれ・・・・・・私にできる事なら何でもする!」~
~
私の手を握ったまま、慧音はさらに近づいてくる。とても真剣...
もう少しで顔と顔が触れてしまいそうな距離まで近付いてきて・...
~
~
~
「じゃあ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私を抱いて」~
~
~
近付いてくる慧音を逆に私が引き寄せ、慧音の反応を見る事も...
~
私は強引にその唇を奪った・・・・・・・・・・~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
「んっ・・・・・・」~
「~~~~~ッ!!?」~
~
まさか私がこんな事をするとは思ってもいなかっただろう。慧...
数瞬してようやく自分が何をされているのか理解したようだ。~
私には最初の数瞬さえあれば充分、無抵抗の慧音の口腔に舌を...
そっと抱き寄せた慧音の身体は驚きのためか硬直していて、舌...
それを解すようにゆっくり舌を這い回らせると、ようやく彼女...
~
~
「むぐっ・・・・ぷ・・・・・はぁっ!・・・も・・も・・妹紅殿、いきなり何...
「何って、今言ったじゃない・・・・・・私を抱いてほしいの。私が...
「なっ・・・・・・・!」~
「この身体の痛みを忘れられるように、忘れちゃうくらい、私...
あなたは隠し通してきたつもりなんでしょうけど、知ってる...
「あ・・・・・!?」~
~
慧音のスカートに手を突っ込んで探りを入れる。~
今の慧音には、『ある物』が付いているはず。たまたまそれを...
今の私にはそれがどうしても必要なのだ。~
~
そして、私の手がついに『ある物』を捉えた。~
~
~
「ひぁっ!?」~
「・・・・・・満月の夜のみ、慧音は半獣の姿となる。ヒトとケモノ...
「・・・・・・・・・・・・・・・」~
「私の痛みを和らげたいって本当に思ってるなら、お願い・・・・・...
~
~
~
慧音を抱き寄せてキスをして。さっきから心臓の鼓動をずっと...
・・・・もしかしたら両方かも知れない。~
こういう空気に慣れていない(であろう)慧音が緊張するのは...
でも、今更引き返す事はできないし引き返すつもりもない。こ...
~
「お願い、慧音・・・・・・・駄目・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」~
「・・・・妹紅殿・・・・・・・・・」~
~
~
~
「―――んんっ!?」~
~
~
今度は私が無抵抗になっていた。~
まさか慧音がこんな事をするとは思ってもいなかった―――という...
頭をしっかり押さえつけられ、突然の事に思わず息苦しさを感...
そして無抵抗の口腔に慧音の舌が侵入し、あっという間に私の...
~
「あむっ・・・・ぅ・・・けい・・・・・・・・っ!」~
~
言葉を挟む暇すら慧音は与えてくれない。舌先で私の舌を撫で...
口の周りまでもがお互いの唾液でしっとり湿るほど、慧音は舌...
~
~
「はふっ・・・・・・は、はぅ・・・・・・・も、妹紅殿・・・・・・・・・・」~
~
ようやく解放してくれて早々に慧音が言葉を重ねる。~
ほのかに頬が赤味を帯び、視線もしっかり定まっている。さっ...
~
「・・・・あらかじめ言っておくが、今の・・・・・・満月の夜の私はほ...
もしかしたら手加減できないかも知れない・・・・・・今みたいに...
「・・・・・・・・・慧音・・・・・・・・・・・・・・・・・」~
「今のあなたの身体、できる限り労りたい・・・・・今のあなたには...
~
「・・・・・・・・・・・・・・・」~
~
「・・・・・・・・・・・・・・・」~
~
~
「・・・・・・そんな事、ないよ・・・・・・・・・・・・・・・」~
~
~
慧音の気遣いが嬉しかった。~
こんな私の傍にいてくれる慧音が嬉しかった。~
そして、何時しか私は慧音の事を愛しく想うようになっていっ...
~
だからこそ。~
傷ついた今の私には慧音がなおさら必要なのだ。~
~
「慧音が相手だったら、痛みなんていくらでも我慢できるから・...
「・・・・・むぅ・・・・・・・・・・・・・」~
~
~
俯いて慧音は考える。~
~
1秒。~
~
2秒。~
~
3秒。~
~
~
・・・・・・・・・~
~
~
十数秒ほどしただろうか、ようやく慧音が顔を上げた。~
~
~
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・分かった」~
「慧音・・・・・・・・・」~
「他ならぬ妹紅殿の真剣な頼みだ・・・・聞かぬわけにはいくまい...
~
そう言う慧音の顔は少しばかり赤く染まっていて、だからまた...
でも、その顔はとても穏やかだ。~
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「・・・・・ありがとう・・・・・・・・・・・・・・・・」~
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なぜだろう、私も胸が切なくなってきて、何かこみ上げるもの...
泣きたいのか笑いたいのか自分でも分からず、ただ慧音の胸に...
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(next)
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