とうほうネチョロダ/東方四季想話/第5話
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~
未だ日も昇らぬ、早朝のヴワル魔法図書館。パチュリーは、...
「………」~
椅子に座ったまま寝た為である。ゆっくりと顔を上げ、覚醒...
「…………―――!!」~
そして、思い出した。…しかし、思い出したくはなかった。そ...
ふと、机の上の涙の跡に気付く。そうだった。昨日は自分で...
「魔理、沙―――」~
またしても、涙の感触。~
悲しみは、まだ止まらなかった。~
~
~
~
「…魔理沙、大丈夫?」~
「んー…まあ。たぶん、ただの風邪だと思うけど」~
冬も段々と深まってきたある日の朝。魔理沙が熱を出した。~
「ホントに…?」~
「そんなに心配するなよ…。霊夢まで元気が無くなったら、困る...
「…うん、そうだね……」~
霊夢は儚げに微笑むと、立ち上がった。~
「氷水、用意してくる。ちょっと待っててね」~
「ああ、頼む」~
そのまま台所へ向かう。献身的な看病に感謝しながら、魔理...
(最近、加速度的に体調が悪化している……)~
魔理沙が考える事。それは、自分の体調の事。そして、霊夢...
(霊夢は、気付いているのか?)~
それが一番の気がかりであった。普通だったらもう治ってい...
(それとも…)~
まさか、霊夢はとっくに気付いていて、それでも気付かない...
(私を、心配させないため…?)~
こればかりは霊夢に直接聞かないと分からない。しかし、魔...
もし霊夢が本当に知らなかった場合、自分の状況を伝える事...
(…どうすればいいんだ…)~
考えあぐねていたその時。ヒヤリと何か冷たいものが、魔理...
「なに―――」~
慌てて目を開ける。するとそこには、~
「…こんにちわ。魔理沙」~
パチュリーがいた。その手は、魔理沙のおでこを触っている。~
「うおっ…どうしたんだ? 急に神社に来たりして……」~
そう言ってから、パチュリーの目が赤い事に気付く。どうし...
「……あれ? パチュリー?」~
台所から、霊夢が戻ってきた。~
「…こんにちわ。霊夢」~
「…どうしたの? 借りた本ならまだ―――」~
「二人に、話があるの」~
はっきりと、告げた。その声の調子から、魔理沙はパチュリ...
「待てパチュリー。それは……」~
「…いつかは言わなきゃならない事なのよ、魔理沙」~
「………」~
確かにそうだった。だが、心の準備が出来ていない。特に霊...
「…分かった。パチュリー、言ってくれ」~
心の中で、霊夢に謝る。~
(ごめん霊夢。私は霊夢に、残酷な事を―――)~
~
~
「―――霊夢。魔理沙の命は、もう、長くないわ―――」~
~
~
とうとう告げられた。死神の鎌に等しい言葉。呪文(スペル...
「――――――」~
「――――――」~
「――――――」~
時が、止まった様な静寂。否、これがあのメイド長の力によ...
「この前ここに来た時に、魔理沙に聞いたのよ。魔理沙が―――」~
「―――パチュリー。何、それ?」~
霊夢の言葉が、魔理沙の胸に刺さる。~
「冗談にしては、笑えないわよ」~
その声は、笑っていない。~
「霊夢、冗談じゃ―――」~
「全く、急に来たと思ったら…変な事言わないで頂戴」~
「聞いてよ―――」~
「はいはい、私は魔理沙の食事を作らなきゃならないから、後...
パチュリーの言葉に耳を貸さず、霊夢は立ち去ろうとする。~
「待ってくれ、霊夢―――」~
引き止めようと、魔理沙が起き上がり手を伸ばす。そして、...
「! ゲホッ! ゲホッ!!」~
激しく、咳き込む。~
「!? 魔理沙!!」~
「魔理沙!!」~
駆け寄る二人。そして、見た。畳に零れた、血―――~
「―――!! 魔理沙、これって……!?」~
「魔理沙…あなた、ここまで……!?」~
「………ああ………」~
ぎこちない笑顔を浮かべる魔理沙。~
「何で……!? 魔理沙、何でよ………!?」~
「霊夢…だから、さっき言った通りなのよ……」~
「!!!」~
霊夢の目が見開かれる。~
「魔理沙の命は、もう―――」~
「どうしてっっ!!」~
「!!」~
叫ぶ霊夢。パチュリーの言葉を、遮る様に。~
「どうしてっ!? どうして魔理沙がこんな目に会わなきゃな...
「…霊夢…」~
「説明してよっ!! ねえパチュリー!! 知ってるんでしょ...
パチュリーに掴みかかる勢いの霊夢。~
「霊夢っ! 落ち着け……!」~
魔理沙が、霊夢を抱き留める。~
「魔理沙……!」~
「頼む…」~
「う……うう………うわああああ………!」~
肩を震わせ、涙を流す。魔理沙は、優しく抱きしめる事しか...
~
~
「………パチュリー。どうして………魔理沙が………?」~
一応落ち着きを取り戻した霊夢が、問いかける。パチュリー...
「原因からいうと……レミィなの」~
「え―――レミ、リア…?」~
その時霊夢の頭をよぎったのは、あの夏の惨劇。正気を欠い...
しかしその件に関しては、霊夢も魔理沙もレミリアを必要以...
「レミリアが、何かしたの……!?」~
確かにあの時魔理沙は酷い怪我を負ったが、それはパチュリ...
「―――『スカーレットの呪い』。それが、魔理沙を蝕むもの………」~
「呪い―――?」~
そう。呪術的な要因は、いくら治癒魔法でも治す事は出来な...
「『スカーレットの呪い』……それは数ある吸血鬼の一族の中で...
「でも呪いだったら、パチュリー、あなたの知識で何とかなる...
「そう思って調べたわ…! でも駄目なの……! スカーレットの...
溜まっていた感情を吐き出す様に、パチュリーが叫ぶ。~
「図書館中の書物を調べたわ……! でも書いてあるのは、この...
パチュリーは手を握りしめ、悲しみを堪える。しかし、涙は...
「…パチュリー…」~
「私だって、信じたくないよ…! 魔理沙が…居なくなっちゃう...
「パチュリー……ごめんな。辛い思いさせちまって……」~
魔理沙がパチュリーの頭を撫でる。~
「……レミリアは……」~
霊夢の声。心なしか、冷たい。~
「レミリアは…『スカーレットの呪い』を知っていて使ったの……...
声が震えている。~
「…違うわ。文献によると、スカーレットの呪いを自由に使う事...
「……そう……」~
「そしてその呪いは使った者自身でも治す事は出来ない……その...
パチュリーが、魔理沙を見る。~
「呪いに侵された者は、徐々に衰弱していく…表向きは原因不明...
「……魔理沙……」~
霊夢も魔理沙を見る。いつもの同じ風に見えるのに。そんな...
「ねえ、魔理沙…。いつから、異常に気付いていたの…?」~
「…いつからかな。たぶん、秋頃かな…? 何かが私の命を削っ...
「…! そんな前から…!? どうして、言ってくれなかったの…...
「どうしてって………言える訳ないだろ…そんな事、お前に……」~
魔理沙が、寂しげな笑みを浮かべる。~
「…そんな。言ってくれたって、よかったのに…!」~
「心配させたくなかったんだ。でも、結局こんな事になっちま...
「…ううん…いいの……」~
霊夢が首を振る。~
「でもこれからは、私に遠慮しないでね? 私、逃げないから…...
そう言って、魔理沙を抱きしめる。~
「―――ああ。ありがとう―――霊夢」~
~
~
全てを告げた後、帰り支度を始めるパチュリーを、霊夢は玄...
「パチュリー、今日は来てくれてありがとう」~
「そんな…私は残酷な事を言いに来ただけよ……」~
パチュリーは首を横に振った。~
「でもあなたが言わなければ、私は何も知らないまま魔理沙を...
「…霊夢」~
「それと…魔理沙の為に、色々調べてくれてありがとう」~
「でも…何も、出来なかった。結局、二人を悲しませる事に―――」~
パチュリーの表情が曇る。~
「いいのよ。おかげで、大切な事を気付かせてくれたわ」~
「え……?」~
「私が魔理沙をどんなに想っているか、っていう事よ。これだ...
「ふう…いいわね、魔理沙は」~
「えっ?」~
不意に、パチュリーの表情が明るくなった。~
「こんなに想ってくれている人がいるんだもの……。あなたなら...
「……パチュリー……」~
「で・も。魔理沙を想っているのは、霊夢だけじゃないんだか...
「へっ?」~
パチュリーの悪戯っぽい笑み。~
「…ふふ。何でもないわ。さようなら」~
「………あ」~
霊夢が面食らっている間に、パチュリーは神社を後にした。...
「…さようなら、パチュリー………魔理沙は、私が必ず―――」~
風のさらわれる霊夢の言葉。しかし、その言葉は確かに霊夢...
~
~
「治す方法は、本当に無いのかしら?」~
夜。霊夢はこう切り出した。~
「何だ? やぶから棒に」~
布団から体を起こし、霊夢の顔を見る魔理沙。~
「その呪い…どうにか出来ないのかしら?」~
「……どうなんだろうな。分からない……」~
「…魔理沙。私、嫌なの」~
霊夢はうつむき、魔理沙の服の袖を握る。~
「何もしないで魔理沙を失うなんて、絶対に、嫌」~
「霊夢……ありがとう。でも、今日はもう疲れただろ? 明日に...
「でも……!」~
顔を上げる霊夢。その口を、魔理沙の唇が塞いだ。~
「んっ………!?」~
「…いいから今日は休むんだ…。正直、私も結構参ってるんだ。…...
「―――!!」~
そう言った時の魔理沙の表情。それは、霊夢の心を鋭く抉る。~
「訳も分からないまま死ぬんだったら、まだマシだったのかも...
「魔理沙……」~
「だから、怖いよ。パチュリーの前では平気な風だったけど……...
がばっ!~
魔理沙が、霊夢の体を引き寄せた。そのまま、力一杯抱きし...
「………!!」~
「霊夢………私は………………私はっっ………っっ………!!」~
声が震える。どうしようもない感情が、嗚咽と共に溢れ出し...
「魔理沙っ……!」~
止まらない。抑えていたものが、次から次へと―――~
「うあっ………うああああっっ……………ああああああっっっ………………………...
泣きじゃくる。癇癪を起こした子供の様に。~
霊夢は、魔理沙の体を優しく抱く。~
悲しみを、受け止める様に。悲しみに、押し潰されない様に―...
~
「……ごめん、霊夢。服、汚しちゃったな……」~
霊夢の巫女服の肩口は、魔理沙の涙で濡れていた。~
「いいのよ、これくらい。替えならいくらでもあるし。それよ...
「ん? あ、ああ…」~
「そう、よかった」~
微笑む霊夢。そして、魔理沙に口付ける。~
「…あ」~
「ねえ、魔理沙……私、頑張るからね」~
「え…」~
「さっきも言ったけど、何もしないで魔理沙を失いたくないも...
「霊夢…」~
強い決意の言葉。そんな霊夢の姿が、魔理沙の心を奮わせる。~
「ああ。私も…頑張るぜ。ただであの世に行けるかよ…!」~
「うん……!」~
そして、どちらともなく唇を近づける。~
~
~
どれ程の時間が残されているのかは、分からない。~
それでも、その間、出来る限りこの人と、一緒にいる。この...
それが、私の、私達の、せめてもの、願い―――~
終了行:
~
未だ日も昇らぬ、早朝のヴワル魔法図書館。パチュリーは、...
「………」~
椅子に座ったまま寝た為である。ゆっくりと顔を上げ、覚醒...
「…………―――!!」~
そして、思い出した。…しかし、思い出したくはなかった。そ...
ふと、机の上の涙の跡に気付く。そうだった。昨日は自分で...
「魔理、沙―――」~
またしても、涙の感触。~
悲しみは、まだ止まらなかった。~
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「…魔理沙、大丈夫?」~
「んー…まあ。たぶん、ただの風邪だと思うけど」~
冬も段々と深まってきたある日の朝。魔理沙が熱を出した。~
「ホントに…?」~
「そんなに心配するなよ…。霊夢まで元気が無くなったら、困る...
「…うん、そうだね……」~
霊夢は儚げに微笑むと、立ち上がった。~
「氷水、用意してくる。ちょっと待っててね」~
「ああ、頼む」~
そのまま台所へ向かう。献身的な看病に感謝しながら、魔理...
(最近、加速度的に体調が悪化している……)~
魔理沙が考える事。それは、自分の体調の事。そして、霊夢...
(霊夢は、気付いているのか?)~
それが一番の気がかりであった。普通だったらもう治ってい...
(それとも…)~
まさか、霊夢はとっくに気付いていて、それでも気付かない...
(私を、心配させないため…?)~
こればかりは霊夢に直接聞かないと分からない。しかし、魔...
もし霊夢が本当に知らなかった場合、自分の状況を伝える事...
(…どうすればいいんだ…)~
考えあぐねていたその時。ヒヤリと何か冷たいものが、魔理...
「なに―――」~
慌てて目を開ける。するとそこには、~
「…こんにちわ。魔理沙」~
パチュリーがいた。その手は、魔理沙のおでこを触っている。~
「うおっ…どうしたんだ? 急に神社に来たりして……」~
そう言ってから、パチュリーの目が赤い事に気付く。どうし...
「……あれ? パチュリー?」~
台所から、霊夢が戻ってきた。~
「…こんにちわ。霊夢」~
「…どうしたの? 借りた本ならまだ―――」~
「二人に、話があるの」~
はっきりと、告げた。その声の調子から、魔理沙はパチュリ...
「待てパチュリー。それは……」~
「…いつかは言わなきゃならない事なのよ、魔理沙」~
「………」~
確かにそうだった。だが、心の準備が出来ていない。特に霊...
「…分かった。パチュリー、言ってくれ」~
心の中で、霊夢に謝る。~
(ごめん霊夢。私は霊夢に、残酷な事を―――)~
~
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「―――霊夢。魔理沙の命は、もう、長くないわ―――」~
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とうとう告げられた。死神の鎌に等しい言葉。呪文(スペル...
「――――――」~
「――――――」~
「――――――」~
時が、止まった様な静寂。否、これがあのメイド長の力によ...
「この前ここに来た時に、魔理沙に聞いたのよ。魔理沙が―――」~
「―――パチュリー。何、それ?」~
霊夢の言葉が、魔理沙の胸に刺さる。~
「冗談にしては、笑えないわよ」~
その声は、笑っていない。~
「霊夢、冗談じゃ―――」~
「全く、急に来たと思ったら…変な事言わないで頂戴」~
「聞いてよ―――」~
「はいはい、私は魔理沙の食事を作らなきゃならないから、後...
パチュリーの言葉に耳を貸さず、霊夢は立ち去ろうとする。~
「待ってくれ、霊夢―――」~
引き止めようと、魔理沙が起き上がり手を伸ばす。そして、...
「! ゲホッ! ゲホッ!!」~
激しく、咳き込む。~
「!? 魔理沙!!」~
「魔理沙!!」~
駆け寄る二人。そして、見た。畳に零れた、血―――~
「―――!! 魔理沙、これって……!?」~
「魔理沙…あなた、ここまで……!?」~
「………ああ………」~
ぎこちない笑顔を浮かべる魔理沙。~
「何で……!? 魔理沙、何でよ………!?」~
「霊夢…だから、さっき言った通りなのよ……」~
「!!!」~
霊夢の目が見開かれる。~
「魔理沙の命は、もう―――」~
「どうしてっっ!!」~
「!!」~
叫ぶ霊夢。パチュリーの言葉を、遮る様に。~
「どうしてっ!? どうして魔理沙がこんな目に会わなきゃな...
「…霊夢…」~
「説明してよっ!! ねえパチュリー!! 知ってるんでしょ...
パチュリーに掴みかかる勢いの霊夢。~
「霊夢っ! 落ち着け……!」~
魔理沙が、霊夢を抱き留める。~
「魔理沙……!」~
「頼む…」~
「う……うう………うわああああ………!」~
肩を震わせ、涙を流す。魔理沙は、優しく抱きしめる事しか...
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「………パチュリー。どうして………魔理沙が………?」~
一応落ち着きを取り戻した霊夢が、問いかける。パチュリー...
「原因からいうと……レミィなの」~
「え―――レミ、リア…?」~
その時霊夢の頭をよぎったのは、あの夏の惨劇。正気を欠い...
しかしその件に関しては、霊夢も魔理沙もレミリアを必要以...
「レミリアが、何かしたの……!?」~
確かにあの時魔理沙は酷い怪我を負ったが、それはパチュリ...
「―――『スカーレットの呪い』。それが、魔理沙を蝕むもの………」~
「呪い―――?」~
そう。呪術的な要因は、いくら治癒魔法でも治す事は出来な...
「『スカーレットの呪い』……それは数ある吸血鬼の一族の中で...
「でも呪いだったら、パチュリー、あなたの知識で何とかなる...
「そう思って調べたわ…! でも駄目なの……! スカーレットの...
溜まっていた感情を吐き出す様に、パチュリーが叫ぶ。~
「図書館中の書物を調べたわ……! でも書いてあるのは、この...
パチュリーは手を握りしめ、悲しみを堪える。しかし、涙は...
「…パチュリー…」~
「私だって、信じたくないよ…! 魔理沙が…居なくなっちゃう...
「パチュリー……ごめんな。辛い思いさせちまって……」~
魔理沙がパチュリーの頭を撫でる。~
「……レミリアは……」~
霊夢の声。心なしか、冷たい。~
「レミリアは…『スカーレットの呪い』を知っていて使ったの……...
声が震えている。~
「…違うわ。文献によると、スカーレットの呪いを自由に使う事...
「……そう……」~
「そしてその呪いは使った者自身でも治す事は出来ない……その...
パチュリーが、魔理沙を見る。~
「呪いに侵された者は、徐々に衰弱していく…表向きは原因不明...
「……魔理沙……」~
霊夢も魔理沙を見る。いつもの同じ風に見えるのに。そんな...
「ねえ、魔理沙…。いつから、異常に気付いていたの…?」~
「…いつからかな。たぶん、秋頃かな…? 何かが私の命を削っ...
「…! そんな前から…!? どうして、言ってくれなかったの…...
「どうしてって………言える訳ないだろ…そんな事、お前に……」~
魔理沙が、寂しげな笑みを浮かべる。~
「…そんな。言ってくれたって、よかったのに…!」~
「心配させたくなかったんだ。でも、結局こんな事になっちま...
「…ううん…いいの……」~
霊夢が首を振る。~
「でもこれからは、私に遠慮しないでね? 私、逃げないから…...
そう言って、魔理沙を抱きしめる。~
「―――ああ。ありがとう―――霊夢」~
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全てを告げた後、帰り支度を始めるパチュリーを、霊夢は玄...
「パチュリー、今日は来てくれてありがとう」~
「そんな…私は残酷な事を言いに来ただけよ……」~
パチュリーは首を横に振った。~
「でもあなたが言わなければ、私は何も知らないまま魔理沙を...
「…霊夢」~
「それと…魔理沙の為に、色々調べてくれてありがとう」~
「でも…何も、出来なかった。結局、二人を悲しませる事に―――」~
パチュリーの表情が曇る。~
「いいのよ。おかげで、大切な事を気付かせてくれたわ」~
「え……?」~
「私が魔理沙をどんなに想っているか、っていう事よ。これだ...
「ふう…いいわね、魔理沙は」~
「えっ?」~
不意に、パチュリーの表情が明るくなった。~
「こんなに想ってくれている人がいるんだもの……。あなたなら...
「……パチュリー……」~
「で・も。魔理沙を想っているのは、霊夢だけじゃないんだか...
「へっ?」~
パチュリーの悪戯っぽい笑み。~
「…ふふ。何でもないわ。さようなら」~
「………あ」~
霊夢が面食らっている間に、パチュリーは神社を後にした。...
「…さようなら、パチュリー………魔理沙は、私が必ず―――」~
風のさらわれる霊夢の言葉。しかし、その言葉は確かに霊夢...
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「治す方法は、本当に無いのかしら?」~
夜。霊夢はこう切り出した。~
「何だ? やぶから棒に」~
布団から体を起こし、霊夢の顔を見る魔理沙。~
「その呪い…どうにか出来ないのかしら?」~
「……どうなんだろうな。分からない……」~
「…魔理沙。私、嫌なの」~
霊夢はうつむき、魔理沙の服の袖を握る。~
「何もしないで魔理沙を失うなんて、絶対に、嫌」~
「霊夢……ありがとう。でも、今日はもう疲れただろ? 明日に...
「でも……!」~
顔を上げる霊夢。その口を、魔理沙の唇が塞いだ。~
「んっ………!?」~
「…いいから今日は休むんだ…。正直、私も結構参ってるんだ。…...
「―――!!」~
そう言った時の魔理沙の表情。それは、霊夢の心を鋭く抉る。~
「訳も分からないまま死ぬんだったら、まだマシだったのかも...
「魔理沙……」~
「だから、怖いよ。パチュリーの前では平気な風だったけど……...
がばっ!~
魔理沙が、霊夢の体を引き寄せた。そのまま、力一杯抱きし...
「………!!」~
「霊夢………私は………………私はっっ………っっ………!!」~
声が震える。どうしようもない感情が、嗚咽と共に溢れ出し...
「魔理沙っ……!」~
止まらない。抑えていたものが、次から次へと―――~
「うあっ………うああああっっ……………ああああああっっっ………………………...
泣きじゃくる。癇癪を起こした子供の様に。~
霊夢は、魔理沙の体を優しく抱く。~
悲しみを、受け止める様に。悲しみに、押し潰されない様に―...
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「……ごめん、霊夢。服、汚しちゃったな……」~
霊夢の巫女服の肩口は、魔理沙の涙で濡れていた。~
「いいのよ、これくらい。替えならいくらでもあるし。それよ...
「ん? あ、ああ…」~
「そう、よかった」~
微笑む霊夢。そして、魔理沙に口付ける。~
「…あ」~
「ねえ、魔理沙……私、頑張るからね」~
「え…」~
「さっきも言ったけど、何もしないで魔理沙を失いたくないも...
「霊夢…」~
強い決意の言葉。そんな霊夢の姿が、魔理沙の心を奮わせる。~
「ああ。私も…頑張るぜ。ただであの世に行けるかよ…!」~
「うん……!」~
そして、どちらともなく唇を近づける。~
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どれ程の時間が残されているのかは、分からない。~
それでも、その間、出来る限りこの人と、一緒にいる。この...
それが、私の、私達の、せめてもの、願い―――~
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