とうほうネチョロダ/愛しの我が式神
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注意 読んでみて自分に合わない内容だったら忘れる!~
忘れられない人は読まない!~
上を満足しててもお子様は読んじゃ駄目!~
いや、そんなにキツイのを書いたつもりはありませんが。~
…あと、あまりエロくないです。申し訳ない。~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
「129対167、勝者、紅美鈴!」~
~
おおぉぉぉぉぉぉぉ…~
会場が沸き立つ。~
拍手をする者、踊る者、がっくりと肩を落とす者、畜生酒だ...
~
「や、やった…勝ったぁ!」~
「ふぅ…負けたか…」~
~
そんな中、ステージの上の二人の反応もまた、それぞれであ...
だが、余韻にひたる間もなく、二人はステージを追い出され...
何せ、次の試合はもう数十分後に控えているのだ。~
過ぎてしまえば何事も無かったかのように、あっさりと一つ...
~
~
~
~
~
~
~
~
「藍様…負けちゃったね…」~
「ああ、負けたな」~
藍と橙は同じ控え室を使っていた。橙がそう望んだためであ...
ちなみに紫は、スキマを通って自室で寝泊りしていたので、...
「普通に戦ったら、藍様の方が絶対強いのに…」~
「そうかもしれないな。だが、橙」~
「何?」~
~
「どんな方法であれ、勝負は勝負。それを受けた以上、勝ちは...
~
「しゅん…」~
「しっかりしないか。次はお前の試合だろう?」~
「うん。私、藍様の分も頑張ってくるから!」~
「ああ、しっかりな。それから、残念だが私はお前の試合を応...
「えっ、どうして?」~
「ちょっと大事な用事があって出かけなきゃならない。1日ぐ...
「そうなの、残念…」~
~
「日程が続いてなければ良かったんだけどな」~
~
…本当に、良かったのだろうか?~
むしろ、この日程だった事が幸いしたのでは無いのか?~
~
「じゃあ、行ってきます、藍様!」~
「ああ、行って来い!」~
~
~
~
ばたん。~
~
~
~
「そう、負けは負け…だ」~
橙が去った部屋の中、藍は一人、そうつぶやいた。~
「ともかく、寝ておくか…」~
明かりを消すと、既に24時間以上起きていた藍の意識は、早...
~
~
~
____________________________...
~
~
~
翌日、正午を待たずして、部屋を出た。~
向かう先は、昨日の対戦相手、紅美鈴の控え室である。~
~
こんこん。~
~
「は~い…あら?」~
扉を開き、美鈴が顔を出した。~
「お早いお着きですね」~
「早いほうがいいさ…」~
「まあまあ、どうぞ入ってください」~
~
美鈴の控え室は、特に藍のそれとと代わり映えはしなかった...
備え付けの棚の上には、本人の趣味だろう、中国茶を淹れる...
「お茶、淹れますから、掛けて待っててください」~
「あ、これはどうも…」~
程なくして、湯呑みが二つ、テーブルに並んだ。~
~
~
「…24時間、よろしく頼む」~
~
~
裏最萌、と呼ばれる、最萌トーナメントのもう一つの顔。~
負けた者は、24時間、勝った者の言う事を何でも聞かねば...
勿論、命を奪うような命令や、辺りにも被害を撒き散らすよ...
大抵の場合、敗者には恥辱と屈辱の24時間が待っている。~
~
~
「そんなに固くならないで下さい。まずはお茶をどうぞ」~
「あ、ああ、いただきます」~
~
「どうですか?」~
「…美味い」~
美鈴がにっこりと微笑む。~
「そう、お口に合って良かったです。お茶受けもありますよ」~
「では有難く…じゃなくて!」~
「はい?」~
~
一瞬の沈黙。~
~
「…その、私は…何を、されるんだ? 何をすればいいんだ?」~
~
もう一度、一瞬の沈黙。~
~
「…ああ、その事ですか」~
重苦しい雰囲気の藍に対して、美鈴はさらりと答える。~
「私、乱暴なのは好きじゃないんですよ」~
「へ?」~
いささか間の抜けた声で、藍が返す。~
~
~
「咲夜さんの事もありますし…」~
「咲夜…ああ、あのメイドか。あれは酷かったな…」~
~
~
~
最萌一回戦第一試合。~
まさかの大番狂わせでリリーに負けた咲夜は、犬としてリリ...
悪夢の24時間の後、咲夜の精神はボロボロになってしまっ...
特に、味方だと思っていたレミリアが、リリーと一緒になっ...
しばらくはレミリアを見るたび逃げ出すわ泣き出すわで大変...
流石にレミリアもやりすぎたと思ったらしく、その後の紅魔...
~
~
~
部屋の空気が一気に沈む。~
それを振り払うように、努めて明るく、美鈴が切り出した。~
「それじゃ、お茶でも飲みながら、お話でも聞かせてくれませ...
「話?」~
「ええ。マヨイガって所の話とか、貴方のご主人様や、あの可...
私、いつも門番だから、あまり人と話をする機会って無いん...
「…そんな事でいいのか?」~
「ええ」~
~
ほっ、と藍は小さな安堵のため息をついた。~
「そうだな、じゃあ何から話そうか…」~
~
~
____________________________...
~
~
それから経つこと数時間。~
二人は時間も忘れて談笑していた。~
マヨイガの話。紅魔館の話。紫の話。レミリアの話。紅白や...
~
~
「…で、どうしてもって言うから憑けてやったんだが、案の定力...
家中飛び跳ねて暴れ回ったさ。自分から風呂に飛び込んで式...
~
~
そして今は、橙の話で盛り上がっていた。~
~
「本当に、橙ちゃんの事が好きなんですね」~
「ああ、私にとっては…娘と言おうか妹と言おうか…とにかく何...
「…あまりに可愛いから、実はもう『食べちゃった』とか?」~
~
ぼっ。藍の顔が赤くなる。~
~
「なっ、何を言う! そんな事をするものか!」~
「じゃあ、あの子の事を想って、毎晩自分で慰めたりとか…」~
「しないしない!」~
声を大にして否定する。~
事実、藍は今までそのような目で橙を見た事は無かった。~
「ふふふ、冗談ですよ」~
「全く、からかうのはやめてくれ…」~
~
「…本当に、そんな事しちゃ駄目ですよ?」~
「しないってばっ!」~
~
「それに、しっかりついていてあげないと、ひょっとしたら外...
「それは…無い、と思うな…」~
~
それよりも紫様の方が心配だ、と藍は思った。~
特に酒でも入っていようものなら本気でやりかねない。~
大体、普段からして何を考えているのか分からないからなあ...
~
「無防備に空を飛んでると、悪い野良紅白とかに手篭めにされ...
「それは…うーん、だんだん心配になって来た…」~
~
~
____________________________...
~
~
~
「………………うん…?」~
気がつくと、藍は椅子に座ったまま眠っていた。~
体には毛布がかけられている。~
~
「あ、起きました?」~
~
美鈴の声で、はっきりと目が覚める。~
~
「私は…寝てたのか?」~
「ええ。私がお茶のお代わりを淹れて来たら、うとうとしてま...
「それで毛布を…ありがとう、とんだ迷惑をかけた」~
「いえ…お互い、昨日は疲れましたからね」~
~
藍は、ずいぶん長い間寝ていたような気がした。~
~
「私は…どれくらい寝ていたんだ?」~
「結構寝てましたよ。もう夜です」~
「そんなに…」~
~
ゆっくりと立ち上がる。~
椅子で寝ていたせいか、体がだるい。頭も何だかぼーっとし...
~
「ずいぶん長い間お邪魔してしまった。そろそろお暇する…って...
当然、まだ24時間は過ぎていない。~
「私ならもういいですよ。部屋に帰ってちゃんとお布団で寝て...
「ありがとう…そうするよ」~
「それじゃあ、おやすみなさい」~
「ああ、おやすみ…」~
~
~
部屋に戻ると、藍は布団に潜り込んでさっさと寝てしまった。~
~
~
____________________________...
~
~
藍が目を覚ますと、もう夜中だった。~
~
「そうだ、橙はどうなった?」~
~
24時間は帰れないと思い込んでいたのと、眠気のため、藍...
急ぎ服を整え、会場へと向かう。~
~
~
藍が会場に到着したのは、既に投票が終わり、皆が今か今か...
ステージの上には、不安げな可愛い自分の式神と、大して緊...
藍は橙に向かって手を振ってみたが、群集のせいで橙は気付...
~
「結果発表!!」~
~
その時、司会者の声がした。会場がしんと静まり返る。~
~
「158対115、勝者、ルーミア!」~
~
わぁぁぁぁぁぁ…~
橙たーん! ルーミアたんハァハァ! ひゅーひゅー! え...
~
~
「負けたのか…」~
これで八雲一家は全滅となってしまった。もっとも、紫様が...
それに、相手が相手だけに、愛する橙があまり酷い目に遭わ...
~
~
~
~
先に藍が部屋に戻っていると、橙が帰って来た。~
「あれ、藍様?」~
「お帰り、橙。…残念だったな」~
「ごめんね藍様…負けちゃった」~
「お前は良く頑張ったさ。…疲れただろう、今日はもう寝よう」~
「うん…」~
~
~
____________________________...
~
~
橙は藍と一緒の布団に入ってまもなく、すやすやと寝息をた...
だが、さっきまで寝ていた藍は流石に眠れない。~
「藍さまぁ…」~
橙が寝言で藍の名を呼ぶ。~
どきどきどき。~
さっきから橙の寝顔が可愛らしくて仕方が無い。~
~
あれだ。~
昼間、あの女が変な事を言い出すからだ。~
何だか橙の事が妙に気になるじゃないか。~
~
抱き寄せようと、橙の背中に手を回す。~
~
…っと、いかんいかん。何を考えてるんだ私は。~
~
ああ、でも、こうして改めて見ると何と可愛いのだろうこの...
思わずその額にキス…~
~
…だめだだめだ。何をしている。~
~
「………」~
~
そっと手を自分の胸に…~
~
って、何をしている私!~
~
~
~
しばらくそんな調子で悶々としていた藍であったが、葛藤は...
ここに来て藍は、はっきりと思い知らされた。~
~
(私は…橙に、欲情している!)~
~
私は何と情けないご主人様なのだろう。自分の式神に欲情す...
~
だがしかし、一度火が付いた想いは消える事は無く、藍を悩...
~
ともかく、このままではいけない。橙から離れよう。~
~
藍は、橙を起こさない様に、そっと布団を抜け出し、部屋を...
~
~
~
「夜風にでも当たりに行くか…」~
~
藍は外に出た。今日は試合も無いため、会場の喧騒も無く、...
秋の風がさらりと頬を撫でる。~
~
と、その時、藍のそばの地面を何かが走った。~
見ると、それは一匹の黒猫であった。~
黒猫は藍を一瞥すると、草むらの中へと消えて行った。~
~
「橙……そうだ、橙には、私がついていてやらねば」~
~
藍はそう言うと、自分の部屋へと戻って行った。~
~
~
____________________________...
~
~
布団に入る。~
橙の顔が目に入る。~
途端、熱くなる身体。~
橙に手を伸ばし、思いとどまる。~
自分を慰めようとし、また思いとどまる。~
これではいかんと部屋を出て、思いとどまり、引き返す。~
布団に入る。橙を見て、疼く身体。~
~
~
それを何度か繰り返した頃、藍はようやく気が付いた。~
橙に手を出すまいとするのも、自慰を止めようとするのも、...
事実、藍の身体は既に火照りきっており、橙に手を出す事は...
自慰を抑するまでの意志は既に無かった。~
~
となれば、出てくる結論は一つ。~
~
「あの女、何かやったな…!」~
~
藍は、今度こそ戻って来るまいと固く誓って、部屋を出た。~
~
~
____________________________...
~
~
目指す先は、美鈴の部屋。~
身体が、心が、警鐘を鳴らし、戻る様に促す。~
(駄目ですよ)~
あの女…美鈴の声が頭に響く。~
(貴方が、ちゃんとついていてあげないと)~
「うるさいっ………!!」~
それらを残された意志で必死に抑え、時に這いつくばり、時...
~
~
どれくらいかかったのか、ようやく美鈴の部屋の前までたど...
昼間数分でたどり着いたそこは、今は一里の道のりにも感じ...
どんどんとドアを叩く。~
~
「ふぁ~い…あら、こんばんは」~
寝間着姿の美鈴が顔を出す。~
~
「何を…した…?」~
だらだらと汗を流しつつ、必死の形相で藍が尋ねる。~
~
「とりあえず、中へどうぞ…」~
言う事を聞かない足を引きずりつつ、藍は部屋の中へ入った。~
~
~
~
「私に、何をしたっ…!」~
部屋に入るなり、藍が尋ねた。~
「何の話ですか?」~
「とぼけるなっ…!」~
その時、美鈴が一枚の紙を藍に見せた。~
それは、橙の似顔絵だった。美鈴が描いたものだろうか。結...
見た瞬間、藍の心臓が一回り速くなる。~
「…あらあら、あの子に欲情しちゃったんですか?」~
「くっ…」~
美鈴が、藍の上着をぺろりとめくる。~
「うわ…凄い」~
そこにはすでに大きな染みがあった。~
「やめろ…見るな…」~
藍が美鈴を押し返す。~
「もうこんなになってるなら、自分ですればいいじゃないです...
「それが出来たらっ…」~
とっくにやってる、と言いかけて、藍は口をつぐんだ。顔が...
「我慢は身体に悪いですよ?」~
「誰のせいだと…」~
~
ぽふっ~
~
美鈴の両手が、藍の双胸の上に乗せられる。~
「あふっ…」~
そのまま、服の上からふにふにと揉む。~
「んっ、んんっ、っふぅ、はぁぁ…」~
~
すっ…と、美鈴の手が胸から離れる。~
~
「ぁ…」~
藍の口から漏れる、切ない声。~
もっと触って欲しい。~
この疼きを、火照る体を、沈めて欲しい。~
自分の手を、胸へ持って行く。~
~
だがその手は、胸へと到達する事無く引き返した。~
~
「くぁ…ぁ…」~
もう、限界だった。~
「も、もっと…触って…いかせて…お願いっ…!」~
「はい、分かりました」~
~
藍は少しだけほっとした。~
もしこのまま追い返されたら、この見えない拘束を引き千切...
~
「では、服を脱いで下さいね」~
何も言わず、さっさと服を脱ぎ、素っ裸になる。~
びっしょりと濡れた内股が外気に触れて、ひんやりと冷たか...
「隠しちゃ駄目ですよ…」~
おずおずと、手を後ろに持って行く。~
自分からねだっておいて恥も何も無いが、やはり恥ずかしい...
「こんなに濡れてる…」~
美鈴の手が、藍の秘所へと伸びる。~
ぬるりと温かい液体が美鈴の手を濡らし、滴る。~
そのままゆっくりと手を前後させる。~
「う、うあっ、くぅぅぅ…」~
藍の長身が、がくがくと震える。膝が抜け、美鈴に向かって...
美鈴は藍を抱きとめると、ベッドに連れて行った。~
~
~
~
藍を仰向けに寝かせる。~
尻尾のせいで腰が浮くのが、妙にいやらしい。~
今度は、やわやわと胸を撫でさする。~
「う、うぅっ、くぅぅ……」~
藍は自分の指を噛み、声を殺す。~
美鈴は一旦手を止め、藍の口から指を外した。~
「イきたいんでしょう? だったら、我慢しちゃ駄目です」~
~
そうだ。~
もうここまで来て、我慢する必要はない。~
~
藍の身体から力が抜けるのを確認すると、美鈴が本格的な愛...
「あああぁーーーーーーーーーーーーーっ!!」~
何時間も生殺しに遭っていた身体が、待ち望んでいた快楽を...
「すっ、凄っぃぁああああああああっ!!」~
早くも達する藍。~
だが、身体の疼きはこれぐらいでは静まらない。美鈴も手を...
片手は秘部をまさぐりつつ、もう片方の手で藍の豊かな胸を...
握り潰すように力いっぱい揉み上げ、乳首をつねり、ぐりぐ...
「はううっ! はっ、はっあああ!!」~
また、達する。~
~
「も、もっとぉ、もっとしてぇ…お願い…」~
~
普段の藍からは想像もできない、ひどく甘えた声で更なる愛...
分かっていると言わんばかりに、美鈴の指が藍の膣穴に指し...
「おぅっ! ふぁ、あ、もうちょっと、奥…」~
美鈴の指を、自らの弱点へと案内する。~
美鈴は黙ってそれに従う。~
「も、もうちょっと右ぃ…」~
「ここですか?」~
がりっ。~
美鈴の爪が、快楽のぱんぱんに詰まった水風船を、破る。~
~
「うあああああああああああああああぁっっっっ!!!!!!...
~
藍は弾けた快楽の海に沈み、果てた。~
秘穴から噴き出す愛液と、その少し上の小さな穴から漏れ出...
~
~
~
____________________________...
~
~
~
藍が行為の余韻に浸ってぐったりしている間に、美鈴は着替...
「私ももう寝ますから…そろそろ引き取ってもらえませんか?」~
そう言って、美鈴が藍の服を渡す。~
~
それを聞いて、藍は自分がここに来た当初の目的を思い出し...
「た、頼む! 教えてくれ! 一体、私に何をしたんだ?」~
「…とりあえず、服を着てください」~
~
藍が着替えている間に、美鈴が答えた。~
「薬品と呪いと催眠術の併用です。~
単純な呪いや催眠術なんかだと、貴方の力なら自力で解除し...
一つは、あの子に欲情するように。~
一つは、あの子に手を出さないように。~
一つは、自分を慰めないように。~
そして一つは、あの子から離れないように、です。これは弱...
~
概ね予想していた答えではあったが、藍は激しく打ちひしが...
何と辛い仕打ちだろう。これならば身体を明け渡した方がま...
~
「…解いて…くれないか?」~
~
馬鹿な質問をしたものだ。答えは分かり切っているのに。~
~
「解除する『鍵』なら、教えてあげますよ」~
~
だが、美鈴の返答は予想外のものだった。~
「本当か!? 教えてくれ、どうすればいいんだ?」~
美鈴は一呼吸置くと、告げた。~
~
~
~
~
「あの子の式神契約を解いて、無に返す事。これが解除の『鍵...
~
~
~
~
…何?~
今、何と言った?~
~
~
「今何と言った!! もう一度言ってみろ!!!」~
逆上した藍が、美鈴の胸ぐらを掴む。~
~
「…24時間、追加しますか?」~
「うぐ……」~
藍が手を離す。反対側の拳が、ぶるぶると震えている。~
これも規則。敗者が勝者の命令に著しく背いたり、勝者に対...
~
藍はそれ以上何も言わず、とぼとぼと自分の部屋に帰って行...
~
~
____________________________...
~
~
~
部屋に戻ってきた藍を待っていたのは、天使の如き橙の寝顔...
行き場の無い感情の無限ループ。~
唯一の収穫、この忌まわしい見えざる鎖を解く方法も、藍の...
自害すら頭をよぎったが、一瞬で却下された。~
私が死んでは、橙が悲しむ。それでは意味が無い。~
藍に出来た事は、ただ床に這いつくばり、のたうち回る事だ...
~
だが、その道すらも閉ざされる。~
~
永劫とも思えた夜が明け、朝がやって来たからだ。~
~
「ん…おはよ…らんさま…」~
橙が目を覚ます。~
眠い目を擦るその仕草は、藍で無くとも抱きしめたくなるよ...
しかし、その愛らしさは今、そっくり鋭い刃となって、藍の...
~
「ああ、起きたか。おはよう、橙」~
「ふぁ…」~
「朝食にするから、顔を洗って来い」~
「はーい…」~
~
どこにそんな精神力が残っているのか。~
藍は平静を装い、朝食の用意をして、橙と一緒に朝食を済ま...
~
~
「ねぇ藍様、どこかへ遊びに行こうよ」~
「うん…?」~
~
それはまずい。いつ限界が来るかも知れない状況で、人前に...
~
「いや…今日はやめておこう。その代わり私が遊んでやるから」~
「うーん、じゃあ、何して遊ぼうか…あっ」~
その時、橙が湯呑みを引っ掛けて倒してしまった。~
残っていたお茶が流れ、藍の服にこぼれる。~
「ご、ごめんなさい藍様っ」~
橙はタオルを持ってくると、藍の服にこぼれたお茶を拭き始...
~
その時、藍はひらめいた。~
自分にかかっている拘束は、橙に手を出さない事と、自分を...
ならば、『橙に慰めてもらう』のは、この条件に引っ掛から...
~
「ち、橙…」~
「なぁに、藍様?」~
「私を…」~
~
~
ぐちっ。~
~
~
藍は自分の舌を噛んだ。その先を言わない為に。~
口の端から、血がつぅ…と流れる。~
~
「ら、藍様っ!? 口から血が出てるよっ?」~
「あ、ああ、大丈夫だ、何でも無い…」~
「本当に…?」~
橙が持っていたタオルで、藍の血をぬぐう。~
橙の顔が間近に近づく。~
藍の身体が、心が、オーバーヒートする。もう限界だった。~
~
「うわぁっ!!」~
橙を突き飛ばす。~
~
「痛っ! 何するの藍さ…ま?」~
~
橙が見たものは、荒い息をつき、身体を折り曲げ、胸をかき...
~
「藍様っ!? 藍様っ! どうしたのっ!?」~
「うっ…うぁぁ…ぐ…ぎ…!」~
「ゆ、紫様を呼んでくるから!」~
橙がそう言って駆け出す。~
「まっ、待て橙!」~
藍がそれを制止する。~
「誰にも言わないでくれ。言った所でどうなる物でもない…」~
「で、でも…」~
~
「どこにも行かないでくれ…一緒に居てくれ…橙」~
~
藍にとって、最早橙だけが、唯一の支えであった。~
~
~
~
~
「うあーっ! がっ! ぐぅ…!!」~
「藍様、藍様ぁ…」~
~
踏みつけられた百足が如くのたうち回り、自らの頭を柱にが...
何も出来ず、泣きべそをかきながら、ただただ苦しむ藍を見...
~
「橙…!」~
残された僅かな力をかき集め、藍が橙に話しかける。~
~
「泣くんじゃない…見ておけ、私の…情けない姿を…よく見ておけ...
これが、負けるという事だ。勝負に負けるとは、こういう事...
~
「藍様…」~
~
それを最後に、藍は言葉らしい言葉を発しなくなった。~
~
~
____________________________...
~
~
~
二人にとって、永劫とも思える時間が続いた。~
~
が、ふと藍が立ち上がり、ふらふらと橙に近づくと、その両...
「藍様…?」~
がくがくと身体を震わせつつ、藍がしばらくぶりにまともな...
「橙、今まで、今まで、ありがとう、橙…」~
「藍…様…?」~
「う…ぐ…この…」~
藍が俯く。橙の肩に置かれた手に力が込められ、痛いぐらい...
「藍様っ! しっかりして藍様っ! 藍様っ!!」~
橙は、ひたすらに、ただ一人の、大切なご主人様の名を、呼...
~
~
~
藍にはもう、何も見えていなかった。心身を焼き尽くすよう...
ただ、橙が自分を呼ぶ声だけが聞こえていた。~
その声も、だんだん、だんだん小さくなっていく…~
~
~
~
済まない、橙。私は、駄目な、ご主人様、だ………~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
どす。~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
藍がはっと顔を上げる。~
何時の間にか部屋に入っていた美鈴が、藍の背中の一点を指...
藍の身体で暴れ回っていた熱がすっと冷め、見えない鎖が音...
~
「24時間です。お疲れ様でした」~
~
美鈴は藍にそう囁くと、部屋を出て行った。~
~
~
「橙…」~
「藍様…」~
~
藍ががばっと橙に抱きつく。~
~
「橙、橙! ごめんな、橙、ごめんな…」~
藍は泣いた。力いっぱい橙を抱きしめて、泣いた。~
「藍様…」~
あまりに藍が強く抱きしめるものだから、橙はちょっぴり痛...
でも、何も言わなかった。良く分からないけど、泣いた。~
~
~
____________________________...
~
~
~
「随分と甘いのね…」~
自室の前まで戻ってきた美鈴に話し掛けてきたのは、咲夜だ...
「咲夜さん…?」~
「お喋りなんてしてないで、さっさと術をかけてしまえばいい...
部屋まで訪ねて来たって、追い返せばいいだけじゃない。~
わざわざ貴方が慰めてやる必要なんて無い。違うかしら?」~
~
「…乱暴なのは、好きじゃ無いんです」~
~
「…だったら、お喋りだけしてハイお終い、で良いんじゃないの...
「でもそれだと」~
~
美鈴が咲夜の方に向き直る。~
~
「咲夜さんに…申し訳無いじゃ無いですか。負けたからには、そ...
「……」~
~
ぽふ。~
~
咲夜が、ふらりと美鈴の胸に倒れ込む。~
~
「…咲夜さん?」~
「……」~
~
咲夜は、美鈴の胸に顔をうずめたまま。その肩が、僅かに震...
~
「泣いて…いるんですか?」~
「……」~
~
ああ、そうか。~
咲夜さんのココロは、まだ、回復しきってはいないのだ。~
~
~
美鈴はそっと、咲夜を抱きしめた。~
~
~
~
~
~
~
明日からは、2回戦が始まる。~
~
~
~
~
~
おしまい~
~
~
~
~
____________________________...
~
~
あとがき~
~
最後まで読んでくれた人。さんきゅーべりーまっち。~
本文読まずにあとがきだけ読んでる人、はんたいのさんせい。~
~
とまあ、裏最萌ネタな訳ですが。~
『罰』ゲームである事を優先した結果、全然エロく無くなっ...
私はろくに本も読まないので、ボキャブラリが足りてません...
~
美鈴が催眠術?と思われたかも知れません。~
まあこれは私の脳内設定でして、美鈴の『気を操る程度の能...
魔法などによらず身体に関わる事全般に通じていると言うイ...
武術、水泳、応急手当、整体等に加えて催眠術も、といった...
~
~
ちまちまと、裏最萌の空いてる枠でも埋めて行こうかと思っ...
~
…でも、その前に単位を下さい(涙)
終了行:
注意 読んでみて自分に合わない内容だったら忘れる!~
忘れられない人は読まない!~
上を満足しててもお子様は読んじゃ駄目!~
いや、そんなにキツイのを書いたつもりはありませんが。~
…あと、あまりエロくないです。申し訳ない。~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
「129対167、勝者、紅美鈴!」~
~
おおぉぉぉぉぉぉぉ…~
会場が沸き立つ。~
拍手をする者、踊る者、がっくりと肩を落とす者、畜生酒だ...
~
「や、やった…勝ったぁ!」~
「ふぅ…負けたか…」~
~
そんな中、ステージの上の二人の反応もまた、それぞれであ...
だが、余韻にひたる間もなく、二人はステージを追い出され...
何せ、次の試合はもう数十分後に控えているのだ。~
過ぎてしまえば何事も無かったかのように、あっさりと一つ...
~
~
~
~
~
~
~
~
「藍様…負けちゃったね…」~
「ああ、負けたな」~
藍と橙は同じ控え室を使っていた。橙がそう望んだためであ...
ちなみに紫は、スキマを通って自室で寝泊りしていたので、...
「普通に戦ったら、藍様の方が絶対強いのに…」~
「そうかもしれないな。だが、橙」~
「何?」~
~
「どんな方法であれ、勝負は勝負。それを受けた以上、勝ちは...
~
「しゅん…」~
「しっかりしないか。次はお前の試合だろう?」~
「うん。私、藍様の分も頑張ってくるから!」~
「ああ、しっかりな。それから、残念だが私はお前の試合を応...
「えっ、どうして?」~
「ちょっと大事な用事があって出かけなきゃならない。1日ぐ...
「そうなの、残念…」~
~
「日程が続いてなければ良かったんだけどな」~
~
…本当に、良かったのだろうか?~
むしろ、この日程だった事が幸いしたのでは無いのか?~
~
「じゃあ、行ってきます、藍様!」~
「ああ、行って来い!」~
~
~
~
ばたん。~
~
~
~
「そう、負けは負け…だ」~
橙が去った部屋の中、藍は一人、そうつぶやいた。~
「ともかく、寝ておくか…」~
明かりを消すと、既に24時間以上起きていた藍の意識は、早...
~
~
~
____________________________...
~
~
~
翌日、正午を待たずして、部屋を出た。~
向かう先は、昨日の対戦相手、紅美鈴の控え室である。~
~
こんこん。~
~
「は~い…あら?」~
扉を開き、美鈴が顔を出した。~
「お早いお着きですね」~
「早いほうがいいさ…」~
「まあまあ、どうぞ入ってください」~
~
美鈴の控え室は、特に藍のそれとと代わり映えはしなかった...
備え付けの棚の上には、本人の趣味だろう、中国茶を淹れる...
「お茶、淹れますから、掛けて待っててください」~
「あ、これはどうも…」~
程なくして、湯呑みが二つ、テーブルに並んだ。~
~
~
「…24時間、よろしく頼む」~
~
~
裏最萌、と呼ばれる、最萌トーナメントのもう一つの顔。~
負けた者は、24時間、勝った者の言う事を何でも聞かねば...
勿論、命を奪うような命令や、辺りにも被害を撒き散らすよ...
大抵の場合、敗者には恥辱と屈辱の24時間が待っている。~
~
~
「そんなに固くならないで下さい。まずはお茶をどうぞ」~
「あ、ああ、いただきます」~
~
「どうですか?」~
「…美味い」~
美鈴がにっこりと微笑む。~
「そう、お口に合って良かったです。お茶受けもありますよ」~
「では有難く…じゃなくて!」~
「はい?」~
~
一瞬の沈黙。~
~
「…その、私は…何を、されるんだ? 何をすればいいんだ?」~
~
もう一度、一瞬の沈黙。~
~
「…ああ、その事ですか」~
重苦しい雰囲気の藍に対して、美鈴はさらりと答える。~
「私、乱暴なのは好きじゃないんですよ」~
「へ?」~
いささか間の抜けた声で、藍が返す。~
~
~
「咲夜さんの事もありますし…」~
「咲夜…ああ、あのメイドか。あれは酷かったな…」~
~
~
~
最萌一回戦第一試合。~
まさかの大番狂わせでリリーに負けた咲夜は、犬としてリリ...
悪夢の24時間の後、咲夜の精神はボロボロになってしまっ...
特に、味方だと思っていたレミリアが、リリーと一緒になっ...
しばらくはレミリアを見るたび逃げ出すわ泣き出すわで大変...
流石にレミリアもやりすぎたと思ったらしく、その後の紅魔...
~
~
~
部屋の空気が一気に沈む。~
それを振り払うように、努めて明るく、美鈴が切り出した。~
「それじゃ、お茶でも飲みながら、お話でも聞かせてくれませ...
「話?」~
「ええ。マヨイガって所の話とか、貴方のご主人様や、あの可...
私、いつも門番だから、あまり人と話をする機会って無いん...
「…そんな事でいいのか?」~
「ええ」~
~
ほっ、と藍は小さな安堵のため息をついた。~
「そうだな、じゃあ何から話そうか…」~
~
~
____________________________...
~
~
それから経つこと数時間。~
二人は時間も忘れて談笑していた。~
マヨイガの話。紅魔館の話。紫の話。レミリアの話。紅白や...
~
~
「…で、どうしてもって言うから憑けてやったんだが、案の定力...
家中飛び跳ねて暴れ回ったさ。自分から風呂に飛び込んで式...
~
~
そして今は、橙の話で盛り上がっていた。~
~
「本当に、橙ちゃんの事が好きなんですね」~
「ああ、私にとっては…娘と言おうか妹と言おうか…とにかく何...
「…あまりに可愛いから、実はもう『食べちゃった』とか?」~
~
ぼっ。藍の顔が赤くなる。~
~
「なっ、何を言う! そんな事をするものか!」~
「じゃあ、あの子の事を想って、毎晩自分で慰めたりとか…」~
「しないしない!」~
声を大にして否定する。~
事実、藍は今までそのような目で橙を見た事は無かった。~
「ふふふ、冗談ですよ」~
「全く、からかうのはやめてくれ…」~
~
「…本当に、そんな事しちゃ駄目ですよ?」~
「しないってばっ!」~
~
「それに、しっかりついていてあげないと、ひょっとしたら外...
「それは…無い、と思うな…」~
~
それよりも紫様の方が心配だ、と藍は思った。~
特に酒でも入っていようものなら本気でやりかねない。~
大体、普段からして何を考えているのか分からないからなあ...
~
「無防備に空を飛んでると、悪い野良紅白とかに手篭めにされ...
「それは…うーん、だんだん心配になって来た…」~
~
~
____________________________...
~
~
~
「………………うん…?」~
気がつくと、藍は椅子に座ったまま眠っていた。~
体には毛布がかけられている。~
~
「あ、起きました?」~
~
美鈴の声で、はっきりと目が覚める。~
~
「私は…寝てたのか?」~
「ええ。私がお茶のお代わりを淹れて来たら、うとうとしてま...
「それで毛布を…ありがとう、とんだ迷惑をかけた」~
「いえ…お互い、昨日は疲れましたからね」~
~
藍は、ずいぶん長い間寝ていたような気がした。~
~
「私は…どれくらい寝ていたんだ?」~
「結構寝てましたよ。もう夜です」~
「そんなに…」~
~
ゆっくりと立ち上がる。~
椅子で寝ていたせいか、体がだるい。頭も何だかぼーっとし...
~
「ずいぶん長い間お邪魔してしまった。そろそろお暇する…って...
当然、まだ24時間は過ぎていない。~
「私ならもういいですよ。部屋に帰ってちゃんとお布団で寝て...
「ありがとう…そうするよ」~
「それじゃあ、おやすみなさい」~
「ああ、おやすみ…」~
~
~
部屋に戻ると、藍は布団に潜り込んでさっさと寝てしまった。~
~
~
____________________________...
~
~
藍が目を覚ますと、もう夜中だった。~
~
「そうだ、橙はどうなった?」~
~
24時間は帰れないと思い込んでいたのと、眠気のため、藍...
急ぎ服を整え、会場へと向かう。~
~
~
藍が会場に到着したのは、既に投票が終わり、皆が今か今か...
ステージの上には、不安げな可愛い自分の式神と、大して緊...
藍は橙に向かって手を振ってみたが、群集のせいで橙は気付...
~
「結果発表!!」~
~
その時、司会者の声がした。会場がしんと静まり返る。~
~
「158対115、勝者、ルーミア!」~
~
わぁぁぁぁぁぁ…~
橙たーん! ルーミアたんハァハァ! ひゅーひゅー! え...
~
~
「負けたのか…」~
これで八雲一家は全滅となってしまった。もっとも、紫様が...
それに、相手が相手だけに、愛する橙があまり酷い目に遭わ...
~
~
~
~
先に藍が部屋に戻っていると、橙が帰って来た。~
「あれ、藍様?」~
「お帰り、橙。…残念だったな」~
「ごめんね藍様…負けちゃった」~
「お前は良く頑張ったさ。…疲れただろう、今日はもう寝よう」~
「うん…」~
~
~
____________________________...
~
~
橙は藍と一緒の布団に入ってまもなく、すやすやと寝息をた...
だが、さっきまで寝ていた藍は流石に眠れない。~
「藍さまぁ…」~
橙が寝言で藍の名を呼ぶ。~
どきどきどき。~
さっきから橙の寝顔が可愛らしくて仕方が無い。~
~
あれだ。~
昼間、あの女が変な事を言い出すからだ。~
何だか橙の事が妙に気になるじゃないか。~
~
抱き寄せようと、橙の背中に手を回す。~
~
…っと、いかんいかん。何を考えてるんだ私は。~
~
ああ、でも、こうして改めて見ると何と可愛いのだろうこの...
思わずその額にキス…~
~
…だめだだめだ。何をしている。~
~
「………」~
~
そっと手を自分の胸に…~
~
って、何をしている私!~
~
~
~
しばらくそんな調子で悶々としていた藍であったが、葛藤は...
ここに来て藍は、はっきりと思い知らされた。~
~
(私は…橙に、欲情している!)~
~
私は何と情けないご主人様なのだろう。自分の式神に欲情す...
~
だがしかし、一度火が付いた想いは消える事は無く、藍を悩...
~
ともかく、このままではいけない。橙から離れよう。~
~
藍は、橙を起こさない様に、そっと布団を抜け出し、部屋を...
~
~
~
「夜風にでも当たりに行くか…」~
~
藍は外に出た。今日は試合も無いため、会場の喧騒も無く、...
秋の風がさらりと頬を撫でる。~
~
と、その時、藍のそばの地面を何かが走った。~
見ると、それは一匹の黒猫であった。~
黒猫は藍を一瞥すると、草むらの中へと消えて行った。~
~
「橙……そうだ、橙には、私がついていてやらねば」~
~
藍はそう言うと、自分の部屋へと戻って行った。~
~
~
____________________________...
~
~
布団に入る。~
橙の顔が目に入る。~
途端、熱くなる身体。~
橙に手を伸ばし、思いとどまる。~
自分を慰めようとし、また思いとどまる。~
これではいかんと部屋を出て、思いとどまり、引き返す。~
布団に入る。橙を見て、疼く身体。~
~
~
それを何度か繰り返した頃、藍はようやく気が付いた。~
橙に手を出すまいとするのも、自慰を止めようとするのも、...
事実、藍の身体は既に火照りきっており、橙に手を出す事は...
自慰を抑するまでの意志は既に無かった。~
~
となれば、出てくる結論は一つ。~
~
「あの女、何かやったな…!」~
~
藍は、今度こそ戻って来るまいと固く誓って、部屋を出た。~
~
~
____________________________...
~
~
目指す先は、美鈴の部屋。~
身体が、心が、警鐘を鳴らし、戻る様に促す。~
(駄目ですよ)~
あの女…美鈴の声が頭に響く。~
(貴方が、ちゃんとついていてあげないと)~
「うるさいっ………!!」~
それらを残された意志で必死に抑え、時に這いつくばり、時...
~
~
どれくらいかかったのか、ようやく美鈴の部屋の前までたど...
昼間数分でたどり着いたそこは、今は一里の道のりにも感じ...
どんどんとドアを叩く。~
~
「ふぁ~い…あら、こんばんは」~
寝間着姿の美鈴が顔を出す。~
~
「何を…した…?」~
だらだらと汗を流しつつ、必死の形相で藍が尋ねる。~
~
「とりあえず、中へどうぞ…」~
言う事を聞かない足を引きずりつつ、藍は部屋の中へ入った。~
~
~
~
「私に、何をしたっ…!」~
部屋に入るなり、藍が尋ねた。~
「何の話ですか?」~
「とぼけるなっ…!」~
その時、美鈴が一枚の紙を藍に見せた。~
それは、橙の似顔絵だった。美鈴が描いたものだろうか。結...
見た瞬間、藍の心臓が一回り速くなる。~
「…あらあら、あの子に欲情しちゃったんですか?」~
「くっ…」~
美鈴が、藍の上着をぺろりとめくる。~
「うわ…凄い」~
そこにはすでに大きな染みがあった。~
「やめろ…見るな…」~
藍が美鈴を押し返す。~
「もうこんなになってるなら、自分ですればいいじゃないです...
「それが出来たらっ…」~
とっくにやってる、と言いかけて、藍は口をつぐんだ。顔が...
「我慢は身体に悪いですよ?」~
「誰のせいだと…」~
~
ぽふっ~
~
美鈴の両手が、藍の双胸の上に乗せられる。~
「あふっ…」~
そのまま、服の上からふにふにと揉む。~
「んっ、んんっ、っふぅ、はぁぁ…」~
~
すっ…と、美鈴の手が胸から離れる。~
~
「ぁ…」~
藍の口から漏れる、切ない声。~
もっと触って欲しい。~
この疼きを、火照る体を、沈めて欲しい。~
自分の手を、胸へ持って行く。~
~
だがその手は、胸へと到達する事無く引き返した。~
~
「くぁ…ぁ…」~
もう、限界だった。~
「も、もっと…触って…いかせて…お願いっ…!」~
「はい、分かりました」~
~
藍は少しだけほっとした。~
もしこのまま追い返されたら、この見えない拘束を引き千切...
~
「では、服を脱いで下さいね」~
何も言わず、さっさと服を脱ぎ、素っ裸になる。~
びっしょりと濡れた内股が外気に触れて、ひんやりと冷たか...
「隠しちゃ駄目ですよ…」~
おずおずと、手を後ろに持って行く。~
自分からねだっておいて恥も何も無いが、やはり恥ずかしい...
「こんなに濡れてる…」~
美鈴の手が、藍の秘所へと伸びる。~
ぬるりと温かい液体が美鈴の手を濡らし、滴る。~
そのままゆっくりと手を前後させる。~
「う、うあっ、くぅぅぅ…」~
藍の長身が、がくがくと震える。膝が抜け、美鈴に向かって...
美鈴は藍を抱きとめると、ベッドに連れて行った。~
~
~
~
藍を仰向けに寝かせる。~
尻尾のせいで腰が浮くのが、妙にいやらしい。~
今度は、やわやわと胸を撫でさする。~
「う、うぅっ、くぅぅ……」~
藍は自分の指を噛み、声を殺す。~
美鈴は一旦手を止め、藍の口から指を外した。~
「イきたいんでしょう? だったら、我慢しちゃ駄目です」~
~
そうだ。~
もうここまで来て、我慢する必要はない。~
~
藍の身体から力が抜けるのを確認すると、美鈴が本格的な愛...
「あああぁーーーーーーーーーーーーーっ!!」~
何時間も生殺しに遭っていた身体が、待ち望んでいた快楽を...
「すっ、凄っぃぁああああああああっ!!」~
早くも達する藍。~
だが、身体の疼きはこれぐらいでは静まらない。美鈴も手を...
片手は秘部をまさぐりつつ、もう片方の手で藍の豊かな胸を...
握り潰すように力いっぱい揉み上げ、乳首をつねり、ぐりぐ...
「はううっ! はっ、はっあああ!!」~
また、達する。~
~
「も、もっとぉ、もっとしてぇ…お願い…」~
~
普段の藍からは想像もできない、ひどく甘えた声で更なる愛...
分かっていると言わんばかりに、美鈴の指が藍の膣穴に指し...
「おぅっ! ふぁ、あ、もうちょっと、奥…」~
美鈴の指を、自らの弱点へと案内する。~
美鈴は黙ってそれに従う。~
「も、もうちょっと右ぃ…」~
「ここですか?」~
がりっ。~
美鈴の爪が、快楽のぱんぱんに詰まった水風船を、破る。~
~
「うあああああああああああああああぁっっっっ!!!!!!...
~
藍は弾けた快楽の海に沈み、果てた。~
秘穴から噴き出す愛液と、その少し上の小さな穴から漏れ出...
~
~
~
____________________________...
~
~
~
藍が行為の余韻に浸ってぐったりしている間に、美鈴は着替...
「私ももう寝ますから…そろそろ引き取ってもらえませんか?」~
そう言って、美鈴が藍の服を渡す。~
~
それを聞いて、藍は自分がここに来た当初の目的を思い出し...
「た、頼む! 教えてくれ! 一体、私に何をしたんだ?」~
「…とりあえず、服を着てください」~
~
藍が着替えている間に、美鈴が答えた。~
「薬品と呪いと催眠術の併用です。~
単純な呪いや催眠術なんかだと、貴方の力なら自力で解除し...
一つは、あの子に欲情するように。~
一つは、あの子に手を出さないように。~
一つは、自分を慰めないように。~
そして一つは、あの子から離れないように、です。これは弱...
~
概ね予想していた答えではあったが、藍は激しく打ちひしが...
何と辛い仕打ちだろう。これならば身体を明け渡した方がま...
~
「…解いて…くれないか?」~
~
馬鹿な質問をしたものだ。答えは分かり切っているのに。~
~
「解除する『鍵』なら、教えてあげますよ」~
~
だが、美鈴の返答は予想外のものだった。~
「本当か!? 教えてくれ、どうすればいいんだ?」~
美鈴は一呼吸置くと、告げた。~
~
~
~
~
「あの子の式神契約を解いて、無に返す事。これが解除の『鍵...
~
~
~
~
…何?~
今、何と言った?~
~
~
「今何と言った!! もう一度言ってみろ!!!」~
逆上した藍が、美鈴の胸ぐらを掴む。~
~
「…24時間、追加しますか?」~
「うぐ……」~
藍が手を離す。反対側の拳が、ぶるぶると震えている。~
これも規則。敗者が勝者の命令に著しく背いたり、勝者に対...
~
藍はそれ以上何も言わず、とぼとぼと自分の部屋に帰って行...
~
~
____________________________...
~
~
~
部屋に戻ってきた藍を待っていたのは、天使の如き橙の寝顔...
行き場の無い感情の無限ループ。~
唯一の収穫、この忌まわしい見えざる鎖を解く方法も、藍の...
自害すら頭をよぎったが、一瞬で却下された。~
私が死んでは、橙が悲しむ。それでは意味が無い。~
藍に出来た事は、ただ床に這いつくばり、のたうち回る事だ...
~
だが、その道すらも閉ざされる。~
~
永劫とも思えた夜が明け、朝がやって来たからだ。~
~
「ん…おはよ…らんさま…」~
橙が目を覚ます。~
眠い目を擦るその仕草は、藍で無くとも抱きしめたくなるよ...
しかし、その愛らしさは今、そっくり鋭い刃となって、藍の...
~
「ああ、起きたか。おはよう、橙」~
「ふぁ…」~
「朝食にするから、顔を洗って来い」~
「はーい…」~
~
どこにそんな精神力が残っているのか。~
藍は平静を装い、朝食の用意をして、橙と一緒に朝食を済ま...
~
~
「ねぇ藍様、どこかへ遊びに行こうよ」~
「うん…?」~
~
それはまずい。いつ限界が来るかも知れない状況で、人前に...
~
「いや…今日はやめておこう。その代わり私が遊んでやるから」~
「うーん、じゃあ、何して遊ぼうか…あっ」~
その時、橙が湯呑みを引っ掛けて倒してしまった。~
残っていたお茶が流れ、藍の服にこぼれる。~
「ご、ごめんなさい藍様っ」~
橙はタオルを持ってくると、藍の服にこぼれたお茶を拭き始...
~
その時、藍はひらめいた。~
自分にかかっている拘束は、橙に手を出さない事と、自分を...
ならば、『橙に慰めてもらう』のは、この条件に引っ掛から...
~
「ち、橙…」~
「なぁに、藍様?」~
「私を…」~
~
~
ぐちっ。~
~
~
藍は自分の舌を噛んだ。その先を言わない為に。~
口の端から、血がつぅ…と流れる。~
~
「ら、藍様っ!? 口から血が出てるよっ?」~
「あ、ああ、大丈夫だ、何でも無い…」~
「本当に…?」~
橙が持っていたタオルで、藍の血をぬぐう。~
橙の顔が間近に近づく。~
藍の身体が、心が、オーバーヒートする。もう限界だった。~
~
「うわぁっ!!」~
橙を突き飛ばす。~
~
「痛っ! 何するの藍さ…ま?」~
~
橙が見たものは、荒い息をつき、身体を折り曲げ、胸をかき...
~
「藍様っ!? 藍様っ! どうしたのっ!?」~
「うっ…うぁぁ…ぐ…ぎ…!」~
「ゆ、紫様を呼んでくるから!」~
橙がそう言って駆け出す。~
「まっ、待て橙!」~
藍がそれを制止する。~
「誰にも言わないでくれ。言った所でどうなる物でもない…」~
「で、でも…」~
~
「どこにも行かないでくれ…一緒に居てくれ…橙」~
~
藍にとって、最早橙だけが、唯一の支えであった。~
~
~
~
~
「うあーっ! がっ! ぐぅ…!!」~
「藍様、藍様ぁ…」~
~
踏みつけられた百足が如くのたうち回り、自らの頭を柱にが...
何も出来ず、泣きべそをかきながら、ただただ苦しむ藍を見...
~
「橙…!」~
残された僅かな力をかき集め、藍が橙に話しかける。~
~
「泣くんじゃない…見ておけ、私の…情けない姿を…よく見ておけ...
これが、負けるという事だ。勝負に負けるとは、こういう事...
~
「藍様…」~
~
それを最後に、藍は言葉らしい言葉を発しなくなった。~
~
~
____________________________...
~
~
~
二人にとって、永劫とも思える時間が続いた。~
~
が、ふと藍が立ち上がり、ふらふらと橙に近づくと、その両...
「藍様…?」~
がくがくと身体を震わせつつ、藍がしばらくぶりにまともな...
「橙、今まで、今まで、ありがとう、橙…」~
「藍…様…?」~
「う…ぐ…この…」~
藍が俯く。橙の肩に置かれた手に力が込められ、痛いぐらい...
「藍様っ! しっかりして藍様っ! 藍様っ!!」~
橙は、ひたすらに、ただ一人の、大切なご主人様の名を、呼...
~
~
~
藍にはもう、何も見えていなかった。心身を焼き尽くすよう...
ただ、橙が自分を呼ぶ声だけが聞こえていた。~
その声も、だんだん、だんだん小さくなっていく…~
~
~
~
済まない、橙。私は、駄目な、ご主人様、だ………~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
どす。~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
藍がはっと顔を上げる。~
何時の間にか部屋に入っていた美鈴が、藍の背中の一点を指...
藍の身体で暴れ回っていた熱がすっと冷め、見えない鎖が音...
~
「24時間です。お疲れ様でした」~
~
美鈴は藍にそう囁くと、部屋を出て行った。~
~
~
「橙…」~
「藍様…」~
~
藍ががばっと橙に抱きつく。~
~
「橙、橙! ごめんな、橙、ごめんな…」~
藍は泣いた。力いっぱい橙を抱きしめて、泣いた。~
「藍様…」~
あまりに藍が強く抱きしめるものだから、橙はちょっぴり痛...
でも、何も言わなかった。良く分からないけど、泣いた。~
~
~
____________________________...
~
~
~
「随分と甘いのね…」~
自室の前まで戻ってきた美鈴に話し掛けてきたのは、咲夜だ...
「咲夜さん…?」~
「お喋りなんてしてないで、さっさと術をかけてしまえばいい...
部屋まで訪ねて来たって、追い返せばいいだけじゃない。~
わざわざ貴方が慰めてやる必要なんて無い。違うかしら?」~
~
「…乱暴なのは、好きじゃ無いんです」~
~
「…だったら、お喋りだけしてハイお終い、で良いんじゃないの...
「でもそれだと」~
~
美鈴が咲夜の方に向き直る。~
~
「咲夜さんに…申し訳無いじゃ無いですか。負けたからには、そ...
「……」~
~
ぽふ。~
~
咲夜が、ふらりと美鈴の胸に倒れ込む。~
~
「…咲夜さん?」~
「……」~
~
咲夜は、美鈴の胸に顔をうずめたまま。その肩が、僅かに震...
~
「泣いて…いるんですか?」~
「……」~
~
ああ、そうか。~
咲夜さんのココロは、まだ、回復しきってはいないのだ。~
~
~
美鈴はそっと、咲夜を抱きしめた。~
~
~
~
~
~
~
明日からは、2回戦が始まる。~
~
~
~
~
~
おしまい~
~
~
~
~
____________________________...
~
~
あとがき~
~
最後まで読んでくれた人。さんきゅーべりーまっち。~
本文読まずにあとがきだけ読んでる人、はんたいのさんせい。~
~
とまあ、裏最萌ネタな訳ですが。~
『罰』ゲームである事を優先した結果、全然エロく無くなっ...
私はろくに本も読まないので、ボキャブラリが足りてません...
~
美鈴が催眠術?と思われたかも知れません。~
まあこれは私の脳内設定でして、美鈴の『気を操る程度の能...
魔法などによらず身体に関わる事全般に通じていると言うイ...
武術、水泳、応急手当、整体等に加えて催眠術も、といった...
~
~
ちまちまと、裏最萌の空いてる枠でも埋めて行こうかと思っ...
~
…でも、その前に単位を下さい(涙)
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