とうほうネチョロダ/姫を縛る漆黒の紐(前)
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開始行:
「興醒めだわ・・・・・・帰る」~
~
少女は心底つまらなさそうな顔をしていた。~
足元には肉塊とでも呼べそうなほど酷く傷ついた人間と、比較...
少女は、その二人と遊んでいた―――否、彼女が一方的に遊んでい...
酷く傷ついた人間――妹紅と呼ばれる少女――は、どれほどの傷を...
だから、少女はあの手この手でどうにかして妹紅を殺そうと試...
そこへヒトによく似たケモノ――慧音と呼ばれる半獣――の邪魔が...
~
~
「・・・じゃあね、妹紅。また来るから」~
~
だが今は大して気にかけていない。壊れた玩具を捨てるように...
妹紅の再生を待ちつつとりあえずは眠ろうと住処に向けて歩を...
~
少女の名は蓬莱山 輝夜。地上に隠れて暮らす、元・月の姫だ。~
~
~
~
~
~
「・・・・・・あら?」~
~
広い広い竹林の片隅にある大きな屋敷。これこそ、輝夜が隠れ...
そしてその主門には人が立っているのが見えた。赤と黒のナー...
輝夜の従者にして月面一の頭脳を持つ薬師、八意 永琳がそこに...
~
「草木も眠る丑の三つ・・・・・こんな時間にお出迎え?ご苦労様」~
「・・・姫・・・・・・ちょっとお待ち頂けます?」~
「何?」~
~
何事もなく横を通り過ぎようとする輝夜を永琳が引き止めた。~
穏やかな笑みを浮かべているが、その目だけは全然笑っていな...
~
「・・・仮にも姫は隠れ住む立場のお方。お出かけの時は私に一言...
「大丈夫よ、そんな遠くには行ってないし」~
「また例の人間の所ですか・・・・・・それでも駄目です、私も含め...
「私がその辺の人間や妖怪どもにやられるわけはない・・・・永琳...
「・・・・・・そういう問題では・・・・・・・・・・・・・」~
~
~
はぅ、とため息をついてうなだれる永琳。~
月で我侭に育てられた輝夜が小言をおとなしく聞いてくれると...
まさかここまで話が噛み合わないとは思わなかった。小さな子...
~
「・・・・姫には何度言っても無駄ですね・・・・・・何度っていうか何...
~
言いながら、懐から小瓶を取り出す。厳重に蓋がしてあるその...
永琳の持ち物ならば何らかの効能を持った薬だろう・・・輝夜はそ...
そしてその小瓶が輝夜の目に留まった瞬間、永琳の『力』が爆...
彼女たちが弾幕を張る為に力を集中する時に生じる、いわば能...
思わず、輝夜は一歩退いて永琳と距離をおいていた。~
~
~
「・・・・・ちょっ・・・・・・・・・・・・・!?」~
「子どもだって言葉で物事を理解する事ができるんですよ、姫・...
力ずくでも理解して頂かなければなりません・・・・・・・・・・・」~
「・・・・・ずいぶん物騒な冗談に聞こえるわ」~
「冗談・・・?・・・・・・・まさか、私は姫に嘘もつかなければ隠し事...
「だったら尚更よ。それが何だか知らないけど、使わせるわけ...
~
輝夜も精神を集中させ、その余波でちょっとした上昇気流を巻...
二つの竜巻が真夜中の竹林で渦巻き、竹の枝葉をざわめかせる。~
ともすればこのあたり一帯を焦土と化してしまいそうな力がそ...
~
~
~
「ふっ!」~
~
先に輝夜が動いた。両腕を大きく広げ、その掌から使い魔を呼...
2匹の使い魔は輝夜の衛星のごとく回り、七色の光の槍をばら撒...
輝夜が持つ『五つの難題』の一つ、『神宝「ブリリアントドラ...
~
「撃てぇッ!」~
~
気合の叫びにも似た輝夜の指示を受け、使い魔は砲台となって...
光の槍は竹を灼き、地面に突き立ち、大気を震わせ、当然目の...
だが永琳は身じろぎ一つしない。空いている手を無造作に前に...
光は波紋となり、波紋は空間に見えない壁を生み、次々に襲い...
そして全ての光が闇に拡散し、未だ光が掻き消えない中で永琳...
~
~
「・・・姫、こんな所でそんな事をしたら屋敷が壊れてしまいます...
~
光の向こうにいるはずの輝夜の姿が見えない。闇ではなく、閃...
だが付近に殺気は感じない。殺気を感じないのならこれ以上迎...
永琳は結界作りの為にかざした手を下ろし、力の集中を解いた。~
~
~
~
「・・・・・・・スキありっ!」~
~
まさにその時。永琳にできた一瞬の隙を突いて輝夜が降ってき...
閃光に乗じて永琳のはるか頭上まで飛び上がり、気配を殺して...
~
「え」~
「遅いわ!永琳覚悟っ!!」~
~
上から聞こえてくる声に気付いて上を向くも、時既に遅し。永...
腕を永琳が引っ込めるより一瞬早く小瓶を掠め取っていた。~
~
「し、しまっ・・・・・!?」~
「・・・あんな簡単に警戒を解くなんて永琳らしくないわね・・・・・・...
「・・・・・・・・!」~
「何に使う薬かしらね、これ・・・・・・・でも、残念だけど使わせる...
~
~
小瓶を持った手を大きく振りかぶり、そして足元に向かって迷...
こんな状況だと流石に永琳の表情からも余裕が消え去る。だが...
~
パリンッ・・・・!~
~
ガラスが四散し、中にあった液体が漏れて地中に染み込んでい...
その様子を見て、輝夜は勝ち誇ったように胸を張った。~
~
「目論見が外れて残念・・・・・って所かしら?」~
「・・・・・・・・・・・・」~
「・・・さぁて、もう結構な時間になってきたし、私はもう寝るわ...
~
~
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・うふふふ」~
「!?」~
「うふふ・・・・・・うふふふふふふふ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」~
~
呆然と立ち尽くす永琳を尻目に輝夜が彼女のすぐ横を通り過ぎ...
輝夜の背後にいるといえばそう、永琳しかいない。輝夜に対す...
あまつさえその小瓶を割られてしまったというのになぜか笑っ...
まさか永琳に限ってショックのあまり心が壊れてしまうなんて...
流石の輝夜もこの状況が理解できず、後ろを振り向いてみる。~
~
すると、確かに永琳は笑っていた。~
いつも見せる、余裕たっぷりで何かを企んでいそうな妖しい微...
~
~
「・・・・・・な、何がおかしいのかしら?永琳」~
「いやぁ・・・・・姫があまりにもこちらの思惑通りに動いて下さる...
「思惑・・・・・?・・・・・・・思惑が破れたのはあなたの方じゃなくて...
「いえいえ、むしろ私にとって理想的な展開に」~
~
瓶を割った所から白煙が立ち昇っているのが輝夜の目に留まる。~
それを吸ったらいけない・・・・・・悪い予感が働き、一歩飛び退く...
~
「姫が奪った瓶・・・・・アレを私が出した時点で、もう姫は私に屈...
「何・・・ですって・・・・・・・・・!?」~
「・・・・厳密には『姫がその瓶を預かり続けない限りは』、です...
~
永琳がゆっくりと輝夜に歩み寄る。輝夜は永琳が放つ異様な雰...
・・・・・・というより、退く事しか今の輝夜にはできなかった。敵...
しかし、今の永琳はどこか違う。全く底の知れない、邪悪なよ...
迂闊に手を出せばどんなしっぺ返しを喰らう事か・・・そんな不安...
~
「・・・眠り薬なんですよ」~
「眠り・・・・薬・・・・・・・・・・?」~
「その瓶の中身ですけどね。でも、ただの薬を私が作るわけが...
「手、ですって・・・?・・・・・・うっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?...
~
~
ドサッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・~
~
突如、輝夜が膝から崩れ落ちた。それまで弾幕を張るほど元気...
身を起こそうにも体に力が入らず、指の先から瞼に至るまでが...
どんなに抵抗しようとも、無慈悲な睡魔が全身を蝕み続ける。~
~
「・・・・・・うふふ、早速効いてきましたね」~
「な・・・・・何・・・・これ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」~
「眠り薬に痺れ薬を加え、さらに揮発性と皮膚からの浸透性を...
とにかく、その薬は大気に触れると急速に拡散してあたりの...
息を止めても無駄、少しでも肌が露出していればそこから薬...
「・・・そ・・んな・・・・・・・・・・」~
「そう、姫が自分で瓶を割ったのはまさに墓穴掘りだったんで...
そうですねぇ、大体・・・・・・・・・・・・・・・・・・」~
~
「私が姫を連れて帰る程度の時間しか効果は続きませんよ」~
「・・・ぇ・・・・・・・・・・・・・・ぃ・・・・・・・・り・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・...
~
~
輝夜の意識は闇に消えた。薄れゆく意識の中、彼女が最後に見...
そして、最後の意識を振り絞って目に焼き付けた永琳もまた妖...
~
『楽しみですわ、姫・・・・・・』~
~
独り言だろうか、永琳の声が聞こえる。~
『楽しみ』とはどういう事だろう。永遠亭に連れて帰るのが目...
それ以外に目的があるのか?もしそうなら、一体何をするつも...
~
・・・・・・しかしその自問に対する答えは得られぬまま、輝夜の耳...
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
「う・・・・・・・・・・・・・・・・」~
~
不自然な感覚がする。立っているようでも横になっているよう...
腕・・・・というか肩にはずっと負荷がかかり続けている。両腕を...
痛みにも似た負荷が輝夜の意識を急速に覚醒の方向へ押しやっ...
~
「痛ッ・・・・・・・・・あ!?」~
~
そして、意識がついに水面へと顔を出す。~
~
~
「あら、おはようございます。姫・・・・・・」~
「え・・・永琳・・・・・・・・・」~
「ウフフ、薬がよく効いたみたいで・・・・・丸一日も眠ってました...
「・・・・く・・・・・・・・・ところで、ここはどこなの?そしてこれはど...
~
目を醒ました輝夜の目の前には永琳が、相変わらずの微笑を浮...
輝夜は両手を封じられ、天井から吊るされ・・・いわゆる『ハンギ...
手には手錠がはめられていて、しかも鉄鎖で吊るされているの...
そして、足がギリギリ地面に付かない程度の高さに吊られてい...
永琳に抵抗するのは無駄な事・・・・・・・・輝夜は割とアッサリ抵抗...
~
その代わり、永琳に対して強い態度は崩していなかったが。~
~
「どういう事って、さっき申し上げた通りですよ。で、ここは...
「・・・・・言っておくけど、鞭打ちなんかじゃ私は屈服しないから...
「姫の御身体を傷つけるような事など決していたしません。そ...
~
言いつつ、すぐ傍の机から注射器を出す。~
片手に納まる程度の大きさのシリンダーには透明の液体が満た...
輝夜の視線は自然とその針先に向かっていく。~
~
「姫には、もう少し『我慢する』という事を知って頂きたいん...
「我慢・・・って・・・・・・・・そんな物でどうするつもりよ!?」~
「・・・・・まあ、それはこれからのお楽しみという事で。では姫、...
~
~
注射器を片手に永琳が迫る。逃げられない輝夜は覚悟を決める...
彼女の妖しい笑みと相まって誰でも言い知れぬ恐怖を感じてし...
輝夜もその例外ではないようで、ついさっきまでの虚勢などと...
~
そして針先を輝夜の首筋に当て、耳元でそっと囁いた。~
~
「痛くしませんからじっとして・・・・・・下手に動くと針が折れて...
「うっ・・・・・く・・・・・・・・・・・・・・!」~
「そうそう、その調子で・・・・・・」~
「う・・・・うぅぅ・・・・・・・・・」~
~
敵意と怯えを持った眼差しで睨む輝夜を尻目に、永琳は注射針...
一瞬だけビクンと震える輝夜。しかしその後はおとなしくなり...
首筋にたゆたう強烈な異物感に耐えている。~
~
「うふふ・・・・・・ちゃんと我慢できてますね、姫。もうすぐ終わ...
「・・・・・うぅっ・・・・・・・・・・・・・」~
~
「・・・・・・・はい、投薬終わりましたわ」~
「・・・はぁっ!はぁっ・・・・・はぁっ・・・・・」~
~
~
~
ようやく異物感から解放され、荒い息をする輝夜。首筋がどう...
ただ、感じていたのは最初のわずかな痛みとその後しばらく続...
~
―――注射は頚動脈を狙ったはずだ。それであの程度の痛みという...
―――そもそも注射だし。~
~
輝夜はそう考えてほっと一安心し、同時に永琳の技量に驚き、~
また仮に永琳が失敗してしまった時の事を考え寒気を感じてい...
~
そして、一難去ったらこっちのもの・・・とばかりに輝夜の表情に...
~
「・・・・・・何の薬かしらね?私が死なないのをいい事に毒薬か、...
「まさか、姫に毒を盛るなんてそんな事・・・もっと素敵な物です...
「素敵な物・・・・・?」~
「うふふふふ・・・・・・・・」~
~
またしても微笑を返す永琳。~
彼女の微笑にはどういう意図が込められているのだろう、そも...
少しずつ落ち着きを取り戻しながら輝夜は何となく思考を走ら...
~
~
~
~
~
「・・・・いぃっ!?」~
~
その思考は、身体の芯より生まれ出た脈動によりあっけなく遮...
~
~
「な・・・・何よ、何なのよっ・・・・・・・!?」~
「始まりましたね・・・・・」~
「始まっ・・・・・・た・・?・・・・・・くっ!」~
「薬が効いてきたんですよ。もうすぐその効果が・・・・うふふ」~
~
冷や汗をかき、身をよじり、足をバタつかせ・・・・・・それでも輝...
それどころか『それ』はますます大きくなり、輝夜の心から余...
~
「かはっ!あっ、あぁ・・・・い・・やぁ・・・・・・・・・永琳・・・永琳・・・・・...
「うふふふふ・・・・・・・・・・・ダ・メ♪」~
「そん・・・・なぁ・・・・・あっああぁぁぁぁぁぁっ!?」~
~
~
腰を突き上げ、輝夜がひときわ大きな悲鳴を上げる。~
~
~
~
そして、自らの身体に起こった『変化』に彼女は目を丸くした。~
~
(next)~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
あとがき~
~
輝夜と永琳の口調が掴みきれてません('A`)~
特に永琳、輝夜と話す時はどうなるんだろうねぇ・・・・・・咲夜と...
で、最後の方の輝夜の懇願は竹t(ry~
ジョークですよ。うん、ジョーク。~
~
書いた人:0005
終了行:
「興醒めだわ・・・・・・帰る」~
~
少女は心底つまらなさそうな顔をしていた。~
足元には肉塊とでも呼べそうなほど酷く傷ついた人間と、比較...
少女は、その二人と遊んでいた―――否、彼女が一方的に遊んでい...
酷く傷ついた人間――妹紅と呼ばれる少女――は、どれほどの傷を...
だから、少女はあの手この手でどうにかして妹紅を殺そうと試...
そこへヒトによく似たケモノ――慧音と呼ばれる半獣――の邪魔が...
~
~
「・・・じゃあね、妹紅。また来るから」~
~
だが今は大して気にかけていない。壊れた玩具を捨てるように...
妹紅の再生を待ちつつとりあえずは眠ろうと住処に向けて歩を...
~
少女の名は蓬莱山 輝夜。地上に隠れて暮らす、元・月の姫だ。~
~
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~
「・・・・・・あら?」~
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広い広い竹林の片隅にある大きな屋敷。これこそ、輝夜が隠れ...
そしてその主門には人が立っているのが見えた。赤と黒のナー...
輝夜の従者にして月面一の頭脳を持つ薬師、八意 永琳がそこに...
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「草木も眠る丑の三つ・・・・・こんな時間にお出迎え?ご苦労様」~
「・・・姫・・・・・・ちょっとお待ち頂けます?」~
「何?」~
~
何事もなく横を通り過ぎようとする輝夜を永琳が引き止めた。~
穏やかな笑みを浮かべているが、その目だけは全然笑っていな...
~
「・・・仮にも姫は隠れ住む立場のお方。お出かけの時は私に一言...
「大丈夫よ、そんな遠くには行ってないし」~
「また例の人間の所ですか・・・・・・それでも駄目です、私も含め...
「私がその辺の人間や妖怪どもにやられるわけはない・・・・永琳...
「・・・・・・そういう問題では・・・・・・・・・・・・・」~
~
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はぅ、とため息をついてうなだれる永琳。~
月で我侭に育てられた輝夜が小言をおとなしく聞いてくれると...
まさかここまで話が噛み合わないとは思わなかった。小さな子...
~
「・・・・姫には何度言っても無駄ですね・・・・・・何度っていうか何...
~
言いながら、懐から小瓶を取り出す。厳重に蓋がしてあるその...
永琳の持ち物ならば何らかの効能を持った薬だろう・・・輝夜はそ...
そしてその小瓶が輝夜の目に留まった瞬間、永琳の『力』が爆...
彼女たちが弾幕を張る為に力を集中する時に生じる、いわば能...
思わず、輝夜は一歩退いて永琳と距離をおいていた。~
~
~
「・・・・・ちょっ・・・・・・・・・・・・・!?」~
「子どもだって言葉で物事を理解する事ができるんですよ、姫・...
力ずくでも理解して頂かなければなりません・・・・・・・・・・・」~
「・・・・・ずいぶん物騒な冗談に聞こえるわ」~
「冗談・・・?・・・・・・・まさか、私は姫に嘘もつかなければ隠し事...
「だったら尚更よ。それが何だか知らないけど、使わせるわけ...
~
輝夜も精神を集中させ、その余波でちょっとした上昇気流を巻...
二つの竜巻が真夜中の竹林で渦巻き、竹の枝葉をざわめかせる。~
ともすればこのあたり一帯を焦土と化してしまいそうな力がそ...
~
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「ふっ!」~
~
先に輝夜が動いた。両腕を大きく広げ、その掌から使い魔を呼...
2匹の使い魔は輝夜の衛星のごとく回り、七色の光の槍をばら撒...
輝夜が持つ『五つの難題』の一つ、『神宝「ブリリアントドラ...
~
「撃てぇッ!」~
~
気合の叫びにも似た輝夜の指示を受け、使い魔は砲台となって...
光の槍は竹を灼き、地面に突き立ち、大気を震わせ、当然目の...
だが永琳は身じろぎ一つしない。空いている手を無造作に前に...
光は波紋となり、波紋は空間に見えない壁を生み、次々に襲い...
そして全ての光が闇に拡散し、未だ光が掻き消えない中で永琳...
~
~
「・・・姫、こんな所でそんな事をしたら屋敷が壊れてしまいます...
~
光の向こうにいるはずの輝夜の姿が見えない。闇ではなく、閃...
だが付近に殺気は感じない。殺気を感じないのならこれ以上迎...
永琳は結界作りの為にかざした手を下ろし、力の集中を解いた。~
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「・・・・・・・スキありっ!」~
~
まさにその時。永琳にできた一瞬の隙を突いて輝夜が降ってき...
閃光に乗じて永琳のはるか頭上まで飛び上がり、気配を殺して...
~
「え」~
「遅いわ!永琳覚悟っ!!」~
~
上から聞こえてくる声に気付いて上を向くも、時既に遅し。永...
腕を永琳が引っ込めるより一瞬早く小瓶を掠め取っていた。~
~
「し、しまっ・・・・・!?」~
「・・・あんな簡単に警戒を解くなんて永琳らしくないわね・・・・・・...
「・・・・・・・・!」~
「何に使う薬かしらね、これ・・・・・・・でも、残念だけど使わせる...
~
~
小瓶を持った手を大きく振りかぶり、そして足元に向かって迷...
こんな状況だと流石に永琳の表情からも余裕が消え去る。だが...
~
パリンッ・・・・!~
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ガラスが四散し、中にあった液体が漏れて地中に染み込んでい...
その様子を見て、輝夜は勝ち誇ったように胸を張った。~
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「目論見が外れて残念・・・・・って所かしら?」~
「・・・・・・・・・・・・」~
「・・・さぁて、もう結構な時間になってきたし、私はもう寝るわ...
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~
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・うふふふ」~
「!?」~
「うふふ・・・・・・うふふふふふふふ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」~
~
呆然と立ち尽くす永琳を尻目に輝夜が彼女のすぐ横を通り過ぎ...
輝夜の背後にいるといえばそう、永琳しかいない。輝夜に対す...
あまつさえその小瓶を割られてしまったというのになぜか笑っ...
まさか永琳に限ってショックのあまり心が壊れてしまうなんて...
流石の輝夜もこの状況が理解できず、後ろを振り向いてみる。~
~
すると、確かに永琳は笑っていた。~
いつも見せる、余裕たっぷりで何かを企んでいそうな妖しい微...
~
~
「・・・・・・な、何がおかしいのかしら?永琳」~
「いやぁ・・・・・姫があまりにもこちらの思惑通りに動いて下さる...
「思惑・・・・・?・・・・・・・思惑が破れたのはあなたの方じゃなくて...
「いえいえ、むしろ私にとって理想的な展開に」~
~
瓶を割った所から白煙が立ち昇っているのが輝夜の目に留まる。~
それを吸ったらいけない・・・・・・悪い予感が働き、一歩飛び退く...
~
「姫が奪った瓶・・・・・アレを私が出した時点で、もう姫は私に屈...
「何・・・ですって・・・・・・・・・!?」~
「・・・・厳密には『姫がその瓶を預かり続けない限りは』、です...
~
永琳がゆっくりと輝夜に歩み寄る。輝夜は永琳が放つ異様な雰...
・・・・・・というより、退く事しか今の輝夜にはできなかった。敵...
しかし、今の永琳はどこか違う。全く底の知れない、邪悪なよ...
迂闊に手を出せばどんなしっぺ返しを喰らう事か・・・そんな不安...
~
「・・・眠り薬なんですよ」~
「眠り・・・・薬・・・・・・・・・・?」~
「その瓶の中身ですけどね。でも、ただの薬を私が作るわけが...
「手、ですって・・・?・・・・・・うっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?...
~
~
ドサッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・~
~
突如、輝夜が膝から崩れ落ちた。それまで弾幕を張るほど元気...
身を起こそうにも体に力が入らず、指の先から瞼に至るまでが...
どんなに抵抗しようとも、無慈悲な睡魔が全身を蝕み続ける。~
~
「・・・・・・うふふ、早速効いてきましたね」~
「な・・・・・何・・・・これ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」~
「眠り薬に痺れ薬を加え、さらに揮発性と皮膚からの浸透性を...
とにかく、その薬は大気に触れると急速に拡散してあたりの...
息を止めても無駄、少しでも肌が露出していればそこから薬...
「・・・そ・・んな・・・・・・・・・・」~
「そう、姫が自分で瓶を割ったのはまさに墓穴掘りだったんで...
そうですねぇ、大体・・・・・・・・・・・・・・・・・・」~
~
「私が姫を連れて帰る程度の時間しか効果は続きませんよ」~
「・・・ぇ・・・・・・・・・・・・・・ぃ・・・・・・・・り・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・...
~
~
輝夜の意識は闇に消えた。薄れゆく意識の中、彼女が最後に見...
そして、最後の意識を振り絞って目に焼き付けた永琳もまた妖...
~
『楽しみですわ、姫・・・・・・』~
~
独り言だろうか、永琳の声が聞こえる。~
『楽しみ』とはどういう事だろう。永遠亭に連れて帰るのが目...
それ以外に目的があるのか?もしそうなら、一体何をするつも...
~
・・・・・・しかしその自問に対する答えは得られぬまま、輝夜の耳...
~
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「う・・・・・・・・・・・・・・・・」~
~
不自然な感覚がする。立っているようでも横になっているよう...
腕・・・・というか肩にはずっと負荷がかかり続けている。両腕を...
痛みにも似た負荷が輝夜の意識を急速に覚醒の方向へ押しやっ...
~
「痛ッ・・・・・・・・・あ!?」~
~
そして、意識がついに水面へと顔を出す。~
~
~
「あら、おはようございます。姫・・・・・・」~
「え・・・永琳・・・・・・・・・」~
「ウフフ、薬がよく効いたみたいで・・・・・丸一日も眠ってました...
「・・・・く・・・・・・・・・ところで、ここはどこなの?そしてこれはど...
~
目を醒ました輝夜の目の前には永琳が、相変わらずの微笑を浮...
輝夜は両手を封じられ、天井から吊るされ・・・いわゆる『ハンギ...
手には手錠がはめられていて、しかも鉄鎖で吊るされているの...
そして、足がギリギリ地面に付かない程度の高さに吊られてい...
永琳に抵抗するのは無駄な事・・・・・・・・輝夜は割とアッサリ抵抗...
~
その代わり、永琳に対して強い態度は崩していなかったが。~
~
「どういう事って、さっき申し上げた通りですよ。で、ここは...
「・・・・・言っておくけど、鞭打ちなんかじゃ私は屈服しないから...
「姫の御身体を傷つけるような事など決していたしません。そ...
~
言いつつ、すぐ傍の机から注射器を出す。~
片手に納まる程度の大きさのシリンダーには透明の液体が満た...
輝夜の視線は自然とその針先に向かっていく。~
~
「姫には、もう少し『我慢する』という事を知って頂きたいん...
「我慢・・・って・・・・・・・・そんな物でどうするつもりよ!?」~
「・・・・・まあ、それはこれからのお楽しみという事で。では姫、...
~
~
注射器を片手に永琳が迫る。逃げられない輝夜は覚悟を決める...
彼女の妖しい笑みと相まって誰でも言い知れぬ恐怖を感じてし...
輝夜もその例外ではないようで、ついさっきまでの虚勢などと...
~
そして針先を輝夜の首筋に当て、耳元でそっと囁いた。~
~
「痛くしませんからじっとして・・・・・・下手に動くと針が折れて...
「うっ・・・・・く・・・・・・・・・・・・・・!」~
「そうそう、その調子で・・・・・・」~
「う・・・・うぅぅ・・・・・・・・・」~
~
敵意と怯えを持った眼差しで睨む輝夜を尻目に、永琳は注射針...
一瞬だけビクンと震える輝夜。しかしその後はおとなしくなり...
首筋にたゆたう強烈な異物感に耐えている。~
~
「うふふ・・・・・・ちゃんと我慢できてますね、姫。もうすぐ終わ...
「・・・・・うぅっ・・・・・・・・・・・・・」~
~
「・・・・・・・はい、投薬終わりましたわ」~
「・・・はぁっ!はぁっ・・・・・はぁっ・・・・・」~
~
~
~
ようやく異物感から解放され、荒い息をする輝夜。首筋がどう...
ただ、感じていたのは最初のわずかな痛みとその後しばらく続...
~
―――注射は頚動脈を狙ったはずだ。それであの程度の痛みという...
―――そもそも注射だし。~
~
輝夜はそう考えてほっと一安心し、同時に永琳の技量に驚き、~
また仮に永琳が失敗してしまった時の事を考え寒気を感じてい...
~
そして、一難去ったらこっちのもの・・・とばかりに輝夜の表情に...
~
「・・・・・・何の薬かしらね?私が死なないのをいい事に毒薬か、...
「まさか、姫に毒を盛るなんてそんな事・・・もっと素敵な物です...
「素敵な物・・・・・?」~
「うふふふふ・・・・・・・・」~
~
またしても微笑を返す永琳。~
彼女の微笑にはどういう意図が込められているのだろう、そも...
少しずつ落ち着きを取り戻しながら輝夜は何となく思考を走ら...
~
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「・・・・いぃっ!?」~
~
その思考は、身体の芯より生まれ出た脈動によりあっけなく遮...
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「な・・・・何よ、何なのよっ・・・・・・・!?」~
「始まりましたね・・・・・」~
「始まっ・・・・・・た・・?・・・・・・くっ!」~
「薬が効いてきたんですよ。もうすぐその効果が・・・・うふふ」~
~
冷や汗をかき、身をよじり、足をバタつかせ・・・・・・それでも輝...
それどころか『それ』はますます大きくなり、輝夜の心から余...
~
「かはっ!あっ、あぁ・・・・い・・やぁ・・・・・・・・・永琳・・・永琳・・・・・...
「うふふふふ・・・・・・・・・・・ダ・メ♪」~
「そん・・・・なぁ・・・・・あっああぁぁぁぁぁぁっ!?」~
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腰を突き上げ、輝夜がひときわ大きな悲鳴を上げる。~
~
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そして、自らの身体に起こった『変化』に彼女は目を丸くした。~
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あとがき~
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輝夜と永琳の口調が掴みきれてません('A`)~
特に永琳、輝夜と話す時はどうなるんだろうねぇ・・・・・・咲夜と...
で、最後の方の輝夜の懇願は竹t(ry~
ジョークですよ。うん、ジョーク。~
~
書いた人:0005
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