Happy 2 Weeks 〜Purple Haze Temptation〜


「あ・・・・・・あぁぁ・・・・・・・・・・・・」

曲がり角の先に何かがある、または誰かがいるらしい。
あいにくリグルの所からは見えないのだが、角にいる橙の狼狽ぶりからすると
今の自分たちにとってとてつもなく危険な何かいるのかも知れない。


例えば、自分たちを探しにきたチルノとか。


最悪の事態を想像し、リグルの顔も釣られて蒼ざめる。



「い・・・・・・・いつ帰ってきたの、藍さま・・・・・・」
「いつって、たった今だが?・・・・そんなに慌ててどうしたんだ、橙?」

次の瞬間聞こえてきた声は大人びた感じがした。落ち着きのある、女性の声だ。
だがまだリグルの位置からはその姿が見えていない。チルノじゃないなら、誰なんだろう・・・・・・?
好奇心に駆られて一歩を踏み出したくなるが、見つかってしまえば元も子もない。
リグルはその場で立ち往生して息を潜めてやり過ごすしかなかった。


「ぇ・・・んと、なんでも・・・・・・ないよ・・・・・・・・・・」
「何でもないわけがないだろう・・・そんなに息を切らして、外で遊んでたのか?」
「え!?えっと・・・そう、さっきまで・・・・・遊んでたの」
「やっぱり・・・・・・ちゃんとうがいはしてきたか?」
「こ、これからする所・・・・・・・だよ」
「よしよし、手もちゃんと洗うんだぞ。私はこれから夕餉の支度・・・・・・・・・・・・・・おや」

足音が近付き、そして角の向こうの人影が姿を現す。
もう逃げも隠れもできない・・・・・・!リグルも、橙と同じようにその場で石化してしまった。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!」

「友達を呼んでたのか・・・・・・それも男の子を」
「うっ!?・・・・うん・・・・・・・・・」
「橙も大きくなったものだな・・・・・まあいい、この子も井戸に案内してあげなさい。私はこれから忙しくなるから」


角から姿を現したのは、背の高い女性だった。
橙と同じような獣の耳を生やし、凛々しい顔つきで、立派な九本の尻尾を生やしている。
『藍さま』と呼ばれたのはこの女性に違いない・・・一番いけないタイミングで見つかってしまい、
リグルの心臓は破裂寸前なまでに激しく高鳴っていた。

「・・・・じゃあ君は」
「ひっ、ひゃいっ!?」
「橙について行きなさい。井戸があって、そこでうがいと手洗いができる」
「は・・・・・・・・・はい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

心臓が破裂するような思いをしながらも、終には感づかれなかったらしい。
顔を見られないように頭を俯き、小走りで藍の横を通り過ぎ橙に合流するリグル。
過程はどうであれ、結果的に二人の秘め事がバレなければそれでよし。そして顔を洗って
顔の不自然な光沢と匂いを落としてしまえば証拠隠滅は完了だ。
高鳴る胸を押さえつつ、内心ガッツポーズをとって藍から逃げるように走り出す二人・・・・・・


「・・・・ちょっと待った」
「!?」

呼び止める藍の声が、二人を再び硬直させた。










「お前たち・・・・・・何か臭うぞ?」
「え・・・・・・・・・・・っ!?」

顔をしかめて藍が近付いてきた。
万事休す、二人とも体はガタガタと震え歯も氷点下の中にいるようにガチガチと鳴っている。


「ふむ・・・・・・・・・・・・・・・・」

リグルの顔に鼻を近づけ、くんくんと息を吸い続ける藍。
そして何かに気付き、仮説から確信を得たのかリグルの肩を掴んでキッと睨む。
その顔は、さっきまで見せていた穏やかな物とは程遠い、悪魔か猛獣の空気すら漂わせていた。

「そういう事か・・・・・・・・・・・・・橙をいじめたのは」
「ひっ!?」

「 お 前 だ な ? 」
「ひ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ひぇぇ」

肩を掴む手にはどんどん力が入り、そのまま肩をもぎ取ってしまうのではないかというほどの勢いで藍が迫る。
リグルの細腕で外せるはずもなく、もがけばもがくほど指先が皮膚に食い込んでくる。
殺される・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・リグルの脳裏に絶望的な像が浮かび、現実から逃避しようと意識が体から片足を抜かんとしたその時。
ふっ、と肩に込められた力が抜け落ちたような気がした。



「・・・・・・・・・・・なんてな」
「ひぇ・・・・・・ぇ、あ・・・・れ?」
「驚かせてしまってすまなかった。この通りだ」

正気に戻ってみると、確かにリグルにかけられていた藍の手は外され、リグルに向かって深々と頭を下げていた。
表情も悪鬼羅刹の類ではなく、最初に見せた穏やかな女性の物に戻っている。
何がなんだか分からず、藍の豹変ぶりにずっと固まっていた橙と共にリグルは口をあんぐり開けていた。

「事情は大体掴めたつもりだ・・・・・・橙に誘われたんじゃないか?」
「え・・・!?・・・・・・・は、はい」
「もう聞いてるとは思うが、橙は今発情期なんだ。だから相手になりそうな者は誰彼構わず誘惑してしまう」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ」
「本来なら私が橙の相手をするはずなのだが・・・今日は用事があって後回しにするつもりだったのだ。
 君には迷惑をかけてしまったみたいだな。橙にも苦しい思いをさせてしまった、すまないと思っている」

見ると、藍の後ろで橙が誰に対してか『ごめんなさい・・・・・』と呟きつつ頭をちょこんと下げているのが見えた。
藍はというと、後ろ手でそんな橙の頭を優しく撫でてなだめている。
きっとこれが藍という女性なんだな・・・とようやくリグルの中に安堵の色が戻ってきた。


「・・・・では改めて。私は橙の主人、八雲 藍。君の名は?」
「・・・リグル・・・・・・・・・・・・・・です」
「リグル君だな。今後、橙が色々と君に迷惑をかけるかも知れないが、悪い子ではないので良くしてやってくれ」
「お・・・・・・お願いします!」

藍に促され、橙も不慣れそうな敬語を使ってペコリとお辞儀を一つ。リグルもそれにつられてお辞儀を一つ。

「こ・・・こちらこそ!」
「ハハハ、ではよろしく」


雨降って地固まる・・・・・・とは少し違うような、子ども同士の新たな絆は少しだけ奇妙な形で結ばれた。










「・・・・・・・・・・それにしても」

ややあって、虚空を見つめながら藍が呟いた。
既にリグルと橙は顔を洗い、服装も正して秘め事前の状態に戻っている。

「君は幸運だったようだ。今この場に私の主人・・・・・紫様が居られなかったんだから」
「?」

その顔にはうっすらと冷や汗すら滲んでいる。
藍は何をそんなに恐れているのか・・・リグルがそれを問おうとすると、まるで心を読んでいたかのように藍が言葉を続けた。


「紫様はなんだ、その・・・・・・かわいい男の子に目がないんだ。君のような、な」
「え・・・・・・・・・・僕、みたいな?」
「私だから何事もなく見逃してやれるんだが、もしも紫様に見つかってしまったら・・・・・・・・・・・・」



『こうなるんですよ』



「!?」

声は二人の上から聞こえてきた。
反射的に見上げた先の空間は不自然に裂け、おぞましい赤紫色の空間がポッカリと覗いている。
そして見上げた一瞬の隙を突き、赤紫色の空間——通称『スキマ』——がリグルの頭上に下りてきた。

「いかん!に、逃げろッ!」
「え・・・ひ、ひぇぇぇ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ」
「・・・・・・・・・・・!!なんて事だ・・・・・・!」

逃げる間もなく、リグルは頭からスキマに飲み込まれ現実の空間から消えてしまった。
悲鳴さえ途中で断ち切られ、後に残ったのはリグルがそこにいたというかすかな気配のみ。
スキマに飲み込まれた物を探知する(=自力でスキマを作り出す)のは、藍でも不可能。
取り残された藍は橙と共にただ呆然とし、リグルの無事な生還を祈るのみだった。






















「・・・ここは・・・・・・・・・・・・・・・・・?」

見渡す限りの異様な光景だった。
赤とも紫とも黒ともつかぬ異常な色彩。目やら腕やらがそこかしこから不自然に生え、
立っているのか浮いているのかすら自分でも分からない。

「・・・・・・・・・そうだ。僕、あの藍さんと話をしてて・・・・・・」
『ええ。私の事に触れて下さったわね』
「えっ!?だ、誰!?」
『そんなに驚いていただかなくても結構よ?出てきてあげるから』

赤い闇の向こうから声が聞こえ、すぅっ・・・とリグルの目の前に人影らしき物が浮かんできた。
それはだんだん密度を増し、人の形をしているという確信を持てるまでに至り、そして一人の人物として降臨する。
金色の髪を長く伸ばし、紫の服に身を包み、穏やかな笑みを浮かべる妖艶な少女・・・というよりも女性。
異常な色彩のこの世界の中で、その姿は不思議なほど違和感なく溶け込んでいた。



「・・・・あなた・・・は・・・・・・・・・・・・・」
「お初にお目にかかります。私が藍の主人、八雲 紫ですわ」
「えと・・・・は、はじめ・・・・・・まして・・・・・・・」

恭しく頭を下げ、ますます妖艶な笑みをリグルに向ける紫。
リグルは彼女と目が合ってしまい、普通なら気まずく視線をそらす所なのに、逆にその深い瞳をますます見つめてしまう。
吸い込まれるように心は堕ちていき、遂には呆けてその瞳に魅入ってしまっていた。

「ぁ・・・・・・・・・・・」
「かわいい子ね・・・・・・あなたと橙の事、ずっと見てました」
「・・・・・え・・・・・・・・・・?」
「橙は気持ちよさそうにしてたけど、あなたはどうだったかしら?」

ゆっくりと紫が近付いてきた。
肩に腕を回して抱き寄せ、耳元でリグルに囁きかける。
反対側の腕はさも当然のように下半身へ。そしてリグルの付け根にある大きな突起をズボン越しに指で挟み、
コリコリと先端を弄りながらその顔は次に起こるであろう情景を想像していやらしく歪んでいた。


「あっ・・・・・!?」
「うふふ・・・・・・やっぱり。いくら気持ちよかったとしても、今のあなたは苦しみ損ですものね」
「ぁ・・・な、何を・・・・・・・・?」
「もっと気持ちよくしてあげる・・・・・怖がる事はないのよ」

ズボンに手をかけ、一気にずり下ろす。
絶頂に達していない肉棒はまだサイズと硬度を保っており、半分ほどまで剥けた亀頭の先端からは玉のように輝く汁が滲み出ている。
指先で触れると糸を引き、紫の長手袋にくっついてきた。

「あらあら、もう我慢できないの?」
「ご・・・ごめんなさい・・・・・・・」
「元気いいわね・・・・・あなたみたいな子、大好きよ」
「・・・・・・・・・・・んっ!?」

指先についた粘液を舐め取り、頭を抱え寄せてディープキス。
舌先にわずかに残る粘液が二人の口の中で溶けて散り、ほのかな塩味を残して消える。
そして紫は舌と舌を絡ませ合うだけに飽き足らず、下に伸びた手でリグルを優しく揉みしだきながら
彼の唾液を全て奪わんというほどの勢いで自らの舌を這いずり回らせていた。

「あん・・・・・あ、ぁむ・・・んん・・・・・・・・・」
「んふぅ・・ぉぁ・・・・・・」
「んっ・・・あなた、かわいい・・・・・そろそろしてあげるわね」
「ぁ・・・・・・・する、って・・・何を・・・・・?」
「んもぅ・・・分かってるくせに」

リグルの膝を折って共に横になる。
紫の甘い言葉は、リグルにとっては耳で融けて流れ込む媚薬そのもの。その誘惑を断ち切る事ができず、
リグルは結局紫にその身の全てを委ねてなすがままにされてしまう。
そして仰向けになって寝そべったのも束の間、布の滑らかな感触がリグルの敏感な部分を包み込んだ。


「あぅっ・・・・・!?」
「お口と手・・・・・・・・・どっちでしてほしい?」
「え・・・・えぇぇっ・・・・・・・?」
「好きな方を選んでいいのよ。それとも・・・・・・・」

紫は言いながら身を起こし、靴下を履いたままの足で器用にリグルの亀頭を包み込む。
靴下の生地の感触と足ゆえの不安定な力加減、そして未知への恐怖と期待がリグルに全く新たな感覚をもたらしていた。

「あぁっ!?そ、そんな・・・・・・」
「驚いた?こんな風に足でも気持ちよくできるのよ・・・・・気分はいかが?」
「ん・・・すごい、気持ちいい・・・・・・・です」
「うふふ・・・それとも、お口や手の方がよかったかしら?」
「えっ!?い、ぃゃ・・・・・・足で・・・・・・・・・・・・・・・・」

足で責められ、息は荒く、顔を赤らめながらもリグルは首を縦に振った。
言葉に合わせ、まるで意志を持っているかのように肉棒もピクピクと震える。
それは最早我慢できないという彼の意思の表れに見え、または紫の更なる責めを期待しているようにも見え、
紫の靴下にも滲み出た粘液が染み付きつつあった。

「正直な子・・・いいわ、私の足で気持ちよくしてあげる」










足の指をいっぱいに広げ、手の指と同じように器用に亀頭を絡め取る。
亀頭の上を指が這いずり、靴下を通してリグルの敏感な所だけを集中的に擦り上げる。
硬く張り詰めている先端には敏感に刺激が伝わり、頭と下半身にもやもやとした感覚が集まりだす。
そのせいでリグルの雑念はかき消され、一つの意思——気持ちよくなりたいという衝動がいよいよ加速を始めた。

「んぁぁっ!す、すごいっ・・・・・紫・・・さんの足・・・・・・・・・・・ッ」
「うふふ・・・・・私の足がどうかしたの?」
「紫さんの足ッ・・・・あたたかくて・・・ぃっ・・・・・・柔らかい・・・・ですっ・・・!」
「嬉しいわ、気に入って頂けて。だからそのお返しに・・・・・・」
「ひゃんっ!?」
「私の足で最後までイカせてあげる」
「う、あ・・・・あぁぁぁっ!?」

ぎゅっ、と亀頭を圧迫し、さらに強く擦り上げる。
その刺激が、温もりがリグルをさらに加速させ、彼の体を突き動かす。
仰向けになっていて動きが制限されている中、彼は恐る恐る自らの菊門を指でこね始めたのだ。
指を挿れるまでには至らないものの、その仕草を見て流石の紫も少し驚いたような表情を見せる。

「・・・驚いた、どこでそんな事覚えたのかしら?」
「ぁ・・・・・お尻をいじると気持ちいい、って・・・・・・・・・・・」
「誰かから聞いたのね・・・・・・いいわ、もっともっと弄りなさい」
「ふぁ・・・・はぁい・・・・・・・・・」


見れば、リグルの付け根についている柔らかい袋が小さく窄まってきていた。
余計な弛みがなくなっている今の状態は、もうすぐ男性側——この場合リグルが達するというサインである・・・紫はそれを経験則で知っている。
だから押さえつけるように強い力で扱くのをやめ、紫は逆に足の動きをどんどん速くしていった。

「ぃっ、いひぁっ!!?ゆ・・紫さ・・・・・・・!」
「そのまま、そのままよ・・・・・そのままお尻を弄って・・・・・・・・・・・・」
「あ・・・あぃぃ・・・・・・・」
「さあ、私の前で遠慮なく出してみて・・・」

最後に敏感な裏スジを強く擦る。
その瞬間、リグルの中の衝動は最大限に高まり、体は何度も跳ね上がり
目の前の光景すらも真っ白になって衝動を本能のままに発散させた。



「紫・・・さん・・・・・んぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁああぁぁぁぁぁぁっ!!」



びゅっ、びゅっと白濁液が勢いよく吹きこぼれてきた。
美しいアーチを描いてリグルの体に落ちるものもあれば、紫の足に遮られてベッタリと張り付くものもある。
そして白いアーチがようやく納まった頃、荒い息をついてリグルの体もようやく落ち着きを取り戻してきた。


「熱いの、たくさん出たわねぇ・・・・・かわいかったわよ♪」
「ぁ・・・・・・ぁ・・・・・・・・」
「でも、あなたので私の足が汚れてしまったわ・・・・・・綺麗にしてもらえるかしら?」

射精の反動で未だ呆けているリグルには、紫の言葉が完全には伝わっていない。
そこへ紫は足を差し出し、リグルの精液に塗れた部分を突きつけてきた。

「ふふっ・・・・あなたに舐めてほしいの。私の足が綺麗になるまで、ね・・・・・・」
「ぁ・・・・え、で・・・でも・・・・・・・」
「大丈夫よ・・・自分のお尻を弄るほどいやらしいあなたですもの。この程度、どうって事ないでしょう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


本来なら『靴下とはいえ、足を舐めるなんて汚い』と突っぱねている所だろう。
だが、突きつけられた足から漂う自らの精液の匂いと紫の優しい言葉にリグルの心はすっかり蕩かされていた。
恐る恐る親指の部分に舌先を付け、ほのかな塩味と苦味——不味くはない——を感じると安心したのか
興奮した様子で舌の腹を付けてベッタリと張り付いた精液をこそぎ取る。
そして、橙がしていたように親指の部分を咥えて靴下の生地にこびり付いた精液を吸い始めたのだった。

「あっ・・・・・」
「・・・はぐっ、んぁ、ん・・・・んっ・・・・・」
「そんなに激しく・・・・んっ・・・・・・・・でも上手よ、あなた」

足を舐らせ、くすぐったい感触と共に少年を侍らせているという実感を得て満足げな表情を浮かべる。
ただでさえ男が少ない幻想郷においては、紫好みの少年ともなると絶滅危惧種に指定されていてもおかしくない程度の稀少さである。
だがそれが偶然にもマヨヒガを訪れていたという偶然に紫は感謝し、珍しく頬を赤らめうっとりとした表情を見せていた。



「んっ、ふぅ・・あぅ・・・んぐ・・・・」
「うふふ・・・・・もういいわ。あなたのお陰で綺麗になったもの」
「・・・・・・ぁ・・・・・・・・・・・」

一心不乱に足を舐め続けるリグルの身を抱き寄せ、紫は唾液まみれの口にキスをした。
今度は紫がリグルの舌や唇に残った精液の残滓をこそぎ取り、心を蕩かす味と匂いを共有する。
リグルもその場の空気に流され、ただ紫の成すがままに唇を交わすだけでなく、その腕を紫の背に回しつつあった。

「んふ・・・・・・あなた、まだ小さいのにとっても上手ね・・・・誰かから教わったのかしら?」
「え・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っと」
「・・・・・話しにくいの?じゃあ、私があなたの心に聞いてあげる」

そう言って紫はリグルの額と己の額をキスするように重ね合わせた。
瞬きのような光が額に集い、リグルの体からは力が抜けていく。
『心に聞く』という紫の言葉の意味も知らぬまま、リグルは紫の行動に全てを委ねていた。

「あ・・・・・・何だか気持ちいい・・・・・・・・・・・・・・・?」
「あなたの心にほんの小さな裂け目を作って、そこから記憶を少しだけ覗かせてもらってるの。
 今まであなたと関わってきた全ての人の事、あなたが今までしてきた事・・・・・・・・全部教えてね」
「は・・・・はぃぃ・・・・・・・・・」
「いい子よ・・・すぐに終わるから、静かにしてて」


瞳を閉じ、額を第三の目に見立ててリグルの心の中を垣間見る・・・・・・





満月の出会い。

月下のダンス。

初めての交わり。

崩壊、そして氷解。

暗闇の秘め事。

etc・・・・・・





全てを手に取るように・・・とまではいかないが、走馬灯のようにリグルの歩んできた道が紫の目の前で浮かんでは消える。
そして、特に眩い光を放って存在するいくつかの人影に紫は注目した。


「『二本の尾』・・・これは橙ね。他には『暗闇の少女』『邪気の抜けた淫魔』・・・・・・」

ルーミア、魅魔の存在を次々と言い当てていく紫。
その的中率にはリグルも動揺を隠せずにいたが、紫の集中を乱してはいけないと思い
高鳴る胸を押さえつつ彼女の幻視を垣間見る。

「そして・・・・・これね。『氷と冷気の少女』、この子の存在があなたの中で一番大きいみたい」
「!」

それは、紛れもなくチルノの事だった。
自分の記憶の核心に触れられ、額と額を離しリグルはあからさまに驚きの表情を浮かべる。

「チルノ、っていうのね・・・・・・あなたの記憶の中でその子の姿が一番眩しかった・・・」
「・・・・ゆ、紫さん・・・・・・・・・!?」
「この事は誰にも言わないわ、安心して」
「・・・・・・・よかった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


ほっと胸を撫で下ろすリグルを見て、紫は二人の関係を瞬時に見抜く。
そしてリグルに対してはまだ見せていない真顔で彼を見据え、しかし言葉は優しく、リグルに問いかけた。

「・・・・・チルノちゃんに会いたい?」
「えっ・・・・は、はい」
「そうよね・・・もう少しあなたと一緒にいたかったけど、あなたはみんなを心配させちゃいけないものね・・・・・・」
「帰して・・・・・・くれるんですか・・・?」

リグルの問いに対するの返答とばかりに紫は小さなスキマを開く。
その先にはマヨヒガの風景が見え、赤と黒ばかりの世界に他の色彩をもたらしている。
手にした扇で紫はスキマを指し、そしてニコリと微笑んだ。

「藍と橙の記憶はあやふやにしておいたわ。あなたは何も気にする事はない」
「・・・・あ、ありがとうございます!」
「いいのよ・・・・・あなたは自分の信じる道を征けばいい」

リグルの頬に優しくキスをし、最後に紫は妖艶とは違う眩しい笑みを浮かべて小さな背をそっと押した。



「またいつか会う日まで・・・・・・・・・・・・『リグル君』」






















世界の境界を抜け、日の光が当たる元の世界へ。
目も眩むほどの蒼と緑が共存する場所、マヨヒガ。
リグルはようやく元の世界、幻想郷に帰ってきたのだ。

「ふぅ・・・・・・・・・・・」

自分が今いる場所はマヨヒガのようだが、周りには誰もいない。
『愛と橙の記憶をあやふやにした』とは紫の言葉だったが、その二人の姿が見えないのだ。
きっと、突然いなくなってしまった自分を探し回っているに違いない・・・・・・
そう思い、まずは外に出ようと縁側から一歩降りる。


「あー!リグルったらあんな所にいた〜!」
「うわっ!!?」

突如響いてきた元気のいい声に足を取られ、ニ,三歩よろめきながらも声のした方を振り返る。
そこには、少し日焼けをしたように見えるチルノと心配そうな顔の橙と藍の姿があった。

「あ、チルノ・・・・・」
「『あ』じゃないわよリグル!家の中に隠れるのって反則よ、反則!」
「で・・・でも橙が誘ってくれた・・・・・・・・・」
「だ・か・ら!今のはナシ!橙も反則だったんだから無効試合!」


チルノはずっと外を探し回っていたようである。
その姿を見て罪悪感を感じたのか、橙が藍の同伴の元チルノに謝りに行き、
そして行方知れずのリグルを探し続けていた・・・・・・そんな所だろう。

「リグルくん、ずっと中に隠れてたんだー・・・私も藍さまも全然気がつかなかったよ?」
「うむ。私達の方がここの造りはよく知っているはずなのだが・・・・・」
(・・・・・・・うっわ)

確かに二人の記憶はあやふやに・・・というか、紫に関する部分がすっかり欠落していた。
チルノに至っては最初から最後まで事情を全く知らないはずだし、
これならこちらから事情を説明しない限りバレるという事はないだろう・・・・・
自分だけが全てを知っているというのも悪い気がするが、それでも漸くリグルは安堵で胸を撫で下ろし、
紫に関する事はあえて思い出さないようにし、チルノたちの輪の中へ戻っていく。


「ごめんねチルノ。じゃあ、もう一度数える所から始める?」
「・・・・・・ジャンケンよ。無効試合なんだから、全部ゼロに戻してやり直すの」
「またそこから〜?」
「そうよ。今度こそ負けないんだから!」

二人の手を力の限り引っ張り、チルノは再び山の中へ入っていく。
途中、背後から『遅くなるなよ』と藍の声が聞こえてきたような気がしたが、
今はその言葉を胸の片隅に留めておき、ただ楽しく遊ぶ事に集中しようと三人は並んで山を駆け上がっていった。






















「・・・・・・・・・・でね、その子ったらもうかわいかったのよ〜」

長い長い石段の最上部にある大きな屋敷。
白玉楼で、紫は自分が体験した事の全てを楽しそうに話していた。


「男の子かぁ・・・・・もう随分見てない気がするわね」
「私だって見つけた時は嬉しかったわよ。子ども達だけの物にするには勿体ない、ってね」
「あなたらしい・・・・・・うん、あなたらしいわ」

紫の話を具に聞いているのは彼女と共に永い時を歩んできた永遠の友人、幽々子。
彼女もまた、紫と同じように『男の子には目がないクチ』である。
だがこの二人の関係は楽しくお喋りをするだけに留まらず・・・・・・お互いの身体を重ね合わせる程度までには進展していた。



「そんなにかわいい子だったら、私達の輪の中に入れてあげたら?」
「それ、考えたんだけどね・・・・・・今はまだいいの」
「あら謙虚。『青い果実を食べるのはたまらない』とか言ってたくせに」
「うふふ・・・・・・・・」

あの妖艶な笑みを浮かべながら、幽々子の豊満な胸を唇で啄ばむ。
長い付き合いともなれば、お互いの敏感な所を弄りあうなどお手の物だ。

「んっ・・・・・・・」
「私達で食べちゃう前に・・・・・幼い者同士の交わりを見物するのも悪くないわ」
「そんな相手がいるの?」
「その子の記憶を視てきたの。きっと、近いうちに必ず・・・・・・・・ね。その時は幽々子にも見せてあげる」
「それは楽しみ・・・・・・でも、紫ったら本当に欲張りなんだから。それとも性悪?」
「どっちも、よ」

お返しに、と同じように紫の胸を舌で弄びその先端を固く尖らせていく幽々子。
この二人にとって、体を交える事は呼吸する事と大して変わらないほど自然な事なのだ。





リグルの一挙手一投足を熱く見守る者は幼い少女たちだけではない・・・・・・
もちろん当の本人はそんな事は知らないし、また知る由もなかった。

(end)






















あとがき

足コキってこうですか、先生!?
紫の足コキは片足で、フランの足コキは両足で。
足のサイズとか器用さとかを妄想するとこんな感じ?
ていうか足舐めとかうんちの穴弄りはやりすぎですかね(ぉ
目の前の相手が従属しているのを見て性的に興奮する紫、とかアリだと思うのですが・・・

リグルきゅんを攫うだけならいざ知らず、記憶を覗いたり弄ったりスキマ万能すぎw
そして紫と幽々子のカップリングは『×』で結べない対等な関係じゃないかと。どっちも素晴らしく淫乱だけど。

ラストはあんな感じだけど、この先このシリーズで紫が出る可能性は・・・・・・・・・微妙orz
咲夜さんとレミリアは出してみたい所。稀少品をお持ち帰りして吸血プレイだ!
・・・・・・でもその前に原点回帰でリグt(ry

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Last-modified: 2018-01-07 (日) 04:56:13 (2295d)