Happy 2 Weeks 〜Innocents〜


「リグル・・・・・・・・・・・答えてよ・・・・・・・・・・・・・・」

チルノの声がリグルに突き刺さる。
周囲のざわめきにかき消されそうなほど小さい声なのに、リグルの耳にはしっかり届いていた。

「さっきのアイツと・・・・・・何かしてたんでしょ・・・・?・・・・・・・・何してたの?」
「・・・・・・ぅ・・・・・・・・・あ・・・・・・・・えっと・・・・・・・・・・・・・・・・」
「言えないんだったら私が言うよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アイツと・・・・・・・アイツと・・・・・・・・・・・・・・」

小さな拳を硬く硬く握り締め、溢れ出そうな感情をグッと抑えてチルノが言う。

「アイツと『ちゅっ』てして・・・・・・・ズボンも脱がされてて・・・・・・・・・・・」
「・・・・・そっ!それは・・・・・・・その・・・・・・・・・・・」
「その・・・・・・・・・何よ」
「あの人に・・・逆らえなかったんだ・・・・・・・・・逆らったらどうなってたか・・・・・・・・・・・・・・」

リグルの声も震えていた。
さんざん我慢と射精を強要され、やっと解放されたと思ったらいつから見ていたのかチルノの尋問。
顔を合わせるのもバツが悪く、チルノから視線を逸らすようにリグルは俯きっぱなしだった。

「・・・・アイツが怖かったから・・・だから言いなりになるしかなかった・・・・・・・・・・・って事?」
「・・・・・・・・・・ごめん、チルノ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





パンッ





「!・・痛ッ・・・・・・・・・・!?」

閃光の一撃。チルノの平手を無防備のまま受け、リグルは2,3歩ふらつき頬に手を当てる。
頬に集まる熱、顔全体を覆うような痛み。自分がなぜ叩かれたのか分からず、リグルの目にはただただ涙が溜まっていた。

「な・・・・・・何するんだよチルノ・・・・・・・・・・・・・・!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・馬鹿」
「・・・え・・・・・・・・・」



「・・・・・馬鹿ぁっ!リグルの馬鹿!馬鹿バカ馬鹿ばかバカバカバカばか馬鹿馬鹿ばかばかばか馬鹿バカ馬鹿馬鹿ばかぁぁ・・・・・・・・・・・・・・ッ」
「チ・・・・チル・・・・・・・・・・」
「・・・ひっく、ひっく・・・・リグルのっ・・・・・・リグルのぉっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・リグルの、大バカヤロぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

チルノ火山がついに噴火した。
恥も外聞も、感情のコントロールも何もない。ただありったけの感情をぶちまけ、感情に任せて冷気を撒き散らす。
たちまち地面には霜が降り、大気は冷やされ霧を作り、夏とは思えない光景を作り出す。
そしてその中心には、呆然と立ちつくすリグルと涙で顔を濡らしながらぐずり続けているチルノがいた。

「・・・・・・・・・・・・ごっ・・ごめんチルノ・・・・・僕、どうする事もできなくて・・・・・・・・」
「もういいわよ!リグルなんか大ッ嫌い!アンタなんかもう知らない!!」


金切り声を捨て台詞として残し、チルノはリグルから逃げるように飛び立った。
行くあてなど考えていない。ただ、リグルが視界から消えてくれればそれでいい。
空を飛ぶには用を成さない氷の羽だが、それでも羽ばたかせれば少しはスピードの足しになるかも知れない。
小さな羽を力の限り羽ばたかせ、チルノは思い切り冷気を噴き出した。











「ま、待って!待ってよチルノ!」

全速力で飛んでいるのに声が聞こえる。振り返れば予想通り、リグルが黒いマントをなびかせチルノを追って来ていた。
両者のスピードはほぼ互角、しかリグルとの追いかけっこに付き合う気など、チルノには毛頭ない。
泣き腫らして幾分冷静さを取り戻したチルノは懐からこっそりスペルカードを出し、なけなしの妖気をそれに込めた。

「しつこいのよ・・・・・霜符『フロストコラムス』!」


ピキィッ!


大気が凍る。
急激に冷やされて凍りついた大気は氷の粒を生み、妖気のコントロールによって凝縮して氷の柱となる。

「伸びろ!」

チルノの言葉を合図に、氷の柱は蔦のように絡まり合いながらリグルに向けて殺到する。
まるでリグルを絡め取るかのように、『傷つける』のではなく『足止めする』かのように。
不規則に広がり迫り来る氷の蔦は、中空に氷点下のジャングルを作り出した。


「くっ!?こ、こんな物ッ・・・・・・!」
「無駄よ・・・・・・アンタ程度の力で破れるほどヤワな氷じゃないんだから」
「あぁっ!?待ってっ・・・待ってよチルノぉぉぉっ!」

迫る氷の蔦。それをなぎ払うリグル。逃げるチルノ。
二人の距離はどんどん離れ、無数の蔦が少しずつリグルを圧し戻していく。
たまらずリグルはその場から退き、急がば回れとばかりに蔦の塊を大きく迂回してチルノを再び追い始める。
だが時既に遅し、氷の密林を抜け出た時にはもうチルノの姿ははるか彼方にあった。

「なんで・・・・なんでだよチルノぉっ・・・・・・・・・・・・・チルノぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

今から全速力で飛んでも到底追いつけないし、追いかけたら追いかけたでまた次の罠が仕掛けられているかも知れない。
急速に開いていく距離に絶望を感じ、ついにリグルは追跡を諦めてしまった。



しんと静まり返った湖上。
ほんのちょっと前まで、あんなにも仲良く空を飛んでいたのに。頬っぺた同士とはいえ、キスまでしたというのに。
自分から謝る間もなく一方的に嫌われた・・・・・・・・・初めてできた友達に嫌われた。
リグルの胸の中に、とてつもない不安と悲しみが生まれる。

だが、泣いてばかりもいられない。
泣くのだったらいつでも泣ける。だが今しかできない事は今しかできない。
そして今この瞬間。リグルにできる事は確かに一つあった。


「・・・・泣くのは・・・・・・後でもいいんだ・・・・・・・・・・・・・・」

もはやチルノの姿は全く見えない。追跡は不可能になってしまったが、彼女が残して言ったわずかな妖気を辿れば
時間はかかってもいつか探し当てる事ができるはず。
それに、夜通し遊んだ挙句にあんな事があれば、チルノも疲れているはず。
全速力で飛んで行ったとはいえ、それほど遠くには行っていないだろう。

このまま日が高く上がってしまってもいい。チルノを見つけ、もう一度謝りたい。
例え許されなかったとしても、自分の精一杯の誠意を示したい・・・・・・
リグルは目を閉じ、神経を集中させ始めた。










「はぁ・・・・はぁ・・・・」

チルノは、湖からやや離れた森に辿りついていた。
初めて来る未知の場所、地図もなければ土地勘もない。どこからどうやって飛んできたかも分からないし、
全力で飛んできた上にスペルカードまで使ってしまったのでまっすぐ飛ぶだけの力すら残っていない。
彼女が森に辿りついたというのも、着陸というよりは不時着に近い物だったのだ。


「くっ・・・・・・・はぅ」

重い体をどうにか動かして大の字に寝そべる。
木々の枝の間から、かすかに陽の光が斜めに差し込んできているのが見えた。いつの間にか朝になっていたようだ。
体はまだ満足に動かせそうにないので、とりあえず頭を使ってみる。


———体力と妖力が回復するまでどれくらい掛かるだろうか。

———もし悪い妖怪か何かが来たらどうしよう。

———近くに知ってる奴は住んでるだろうか。


———リグルは大丈夫だろうか。


———・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「な、なんであんな奴の事・・・・・・」

体力を失い、まともに思考がまとまらない状態。徒然なるままに頭を働かせていくと、
意識せずとも思考はリグルの方にも向いていた。
慌てて忘れようとしても最早無駄な抵抗。むしろ、忘れようとするという事が既にそれを意識しているという事なのだ。


「・・・・・・・バカ。リグルの馬鹿・・・・・・・・・・・・・」

何度も何度も叫んだ言葉をもう一度重ね、疲れきった頭で今夜の出来事を思い出す。
真夜中の小旅行。
毛玉たちの襲撃。
魅魔の出現。
そしてブラックアウト。

目覚めた後は・・・・・皆まで言う事もない。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ」

疲れきって複雑な思考を放棄した、何のフィルターも通していない頭が素朴な疑問を提示する。
即ち、『リグルは何か悪い事をしたのか?』と。

リグルが魅魔に逆らえなかった事を悪とするなら、それは彼に対して殺生というものだ。
彼女と自分たちの力の差、これはもう疑うべくもない。『逆らえなかった』というリグルの弁は正しい。
なのに自分はどうなのか?力の差は分かっていたはずなのに、自分も全く手出しできなかったのに、
それを棚に上げリグルの無力さを笠に着て・・・



「・・・・・・私の・・・・バカ・・・・・・・・・・・・・・・」



仰向けに寝ているせいか、目に涙が溜まりすぎた。前が霞んで見える。
少しだけ楽になった体を起こし、涙を拭ってチルノは立ち上がった。
リグルはわけも分からず喚き散らされ、挙句に引っ叩かれた。謝るなら、お互いの傷が乾ききっていない今しかない。
神経を集中させれば、リグルの妖気を感じるのは容易いはず。あとは出会うだけだ。


ガサッ


「だ・・誰ッ!?」

神経を集中させようと大きく深呼吸した矢先の事。茂みに潜む者の気配を感じてチルノは飛び退いた。
ただの小動物かも知れないが、今のチルノはいくら慎重になってもなり過ぎるという事はない。
瞬き一つしない覚悟でジリジリと間合いを詰めていく・・・・・・音がした所まで数メートル。



ガサッ!ザザッ!



「!?」

その時。茂みの中から見慣れた物体が飛び出した。










「な、なんでアンタらが・・・・・・・!」

チルノにとっては最悪だった。確かに見知った相手ではあるが、味方というよりは敵である。
西瓜と同じくらいの大きさ、球体と思われる体には白い毛。
そして、びっしりと毛に覆われていて目も鼻も口も耳も確認できない(あるのかどうかも分からないが)。
夜中に出くわした白い毛玉。それが3匹ほど、群れを成してチルノの前に立ちはだかった。

「何よ、あの白黒・・・・・・まだ片付いてなかったんじゃない!」

日頃からいっぱいいっぱいのチルノだが、今はいつにもまして余裕がなかった。
本調子の彼女なら、多少凶暴になった程度の毛玉3匹など全く相手にならない。
だが体力を消耗しているとなると話が違う。攻撃が当たれば倒せるだろうが、果たして相手の攻撃は避けられるのか。
一撃でも受ければそれでアウト、こちらは一撃たりとも攻撃を外せない。
いつもの弾幕ごっことは全く勝手の違うこの状況、先に動いたのは1匹の毛玉だった。


ヒュンッ!


「くっ!?」

己の体を張った毛玉の体当たり。チルノは紙一重で突進を避けた。
本当なら紙一重で避けてすれ違いざまに氷弾を撃って反撃しているはずだった。
だが、まだ思うように体が動かない。突進を避けるのが精一杯、その紙一重も本当に余裕のない紙一重だ。
そしてふらつきながらも振り返ると、残る2匹が白い毛を逆立てて妖気の淡い輝きを放っていた。

「・・・・!や、やめ・・・・・・・・・・・・!」


バシュッ


「あぐぅっ!」

妖弾が飛んでくる事は分かっていた。だが、その2連射を避けるだけの体力がない。
肩と腹に攻撃を受け、勢いよく地を転がる。そして再び大の字。
状況はどうあれ、毛玉相手に不覚を取るなどチルノにとって初めての大失態だ。

「くぅぅっ・・・・・・・・・・こ、こんな奴らにっ・・・・・・!」

せめてもの報いと、腕を伸ばしなけなしの冷気を解放させる。
すれ違いざまに撃つつもりだった氷弾は目の前の毛玉のすぐ横を掠め、完全に凍らせるには至らない。

「あっ・・・・・・・・・・ちくしょう・・・・・・・・ちくしょう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!」



万策は尽きた。
もう、チルノには戦うだけの力も逃げるだけの力も残されていない。
あらん限りの声で叫べば誰かが気づいてくれるかも知れないが、
その誰かが駆けつける前に自分がどうなっているか分かった物ではない。

誰でもいい。誰でもいいから、リグルでもいいから、助けてほしい———


毛玉の輝きはいっそう強くなり、妖気が青白い光弾となって具現化する。
歯を食いしばり、目を固く閉じ、藁にもすがる様な想いでチルノは祈った。


「・・・・助けてっ・・・・・・・・!」





「・・・・・・・・・・だぁぁぁぁぁぁああああああっ!!」
「!?」

バチッ!


目をつぶっていても分かるほど毛玉の妖気と殺意が大きくなってきたその時。
朝の静寂を切り裂いて気合の雄叫びと乾いた打撃音が響いた。それと同時に殺意の数が減ったのを感じる。
恐る恐る薄目を開けてみると、そこには黒いマントをなびかせたリグルの姿があった。

「リ・・・・・リグル・・・・・・・・・・!?」
「チルノ!?大丈夫!?」
「アンタ・・・・どうして・・・・・・・・・・・?」
「細かい話は後。それより・・・・・・・」


残る毛玉に視線をやり、リグルのマントが気流で巻き上がる。
夜中に見せたのと同じ、子どものものとは思えぬ莫大な妖気の流れと鋭い視線を毛玉に向ける。
あの時は、この妖気を放っただけで毛玉の大群すら追い払ってのけた。
たった2匹の毛玉でこの力に対抗する術など、あるはずもない。

「チルノに手を出す奴は・・・・・・僕が許さないぞ!」


漠然と垂れ流しになっていた妖気が収束し、右手に集まる。
この状態から放たれる弾幕がどれほどの威力を示すかは推して知るべし、
少なくとも毛玉だけでなく周囲の木々もこの世から消え去る事になるだろう。

「・・・・・・・・・・・・!」

毛玉たちもそれが分かったようだ。
これ以上ここにいる事は、『死』すら生ぬるい『消滅』を意味するのだと。

「逃げたいなら逃げろよ・・・・・・・・僕はチルノを護りたいだけなんだ・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」


リグルの言葉が通じたのか、本能で身の危険を察したのか、毛玉たちはゆっくりと下がっていった。
具現化していた妖気は掻き消え、ウニか毬栗のようになっていた毛も元通りになっている。
そして、殺気が全て消えた後にはリグルとチルノの二人が残された。










「チルノ・・・・・・怪我はない?」
「・・・・うん・・・・・・・・・・でもどうして・・・・・・?」
「君の妖気を辿って何とかここまで来たんだ。さっきは間に合ってよかった・・・・・・・・」

さっき見せた表情はどこへやら。リグルはとても穏やかな微笑を浮かべている。
だが、反面チルノの表情は暗く沈んでいた。

「そういう事じゃないの・・・・・どうして、どうして『大嫌い』って言われたのにアンタは私を・・・・・・・?」
「・・・・・・・それは・・・・・・・・・・・・・」


どうにか体を起こしているチルノを抱くリグル。
ほのかな冷気が体を伝うが、そんなものは気にならない。
チルノはすっかり力尽きているせいで抵抗できないでいる。
だが不思議とそんな気は起きなかったし、リグルを引っ叩いた時のような感情もこみ上げてはこなかった。

「きゃ・・・・」
「もう一度・・・・・・・・・・・もう一度だけでもチルノにちゃんと謝りたかったんだ。
 僕が不甲斐ないばっかりにあんな事になっちゃって・・・・・」
「・・・・・・リグル・・・・・・・・・・」
「・・・ごめんね、チルノ・・・・・・・・・」

きゅ、と背中に回した腕に力がこもる。
服越しに伝わるリグルの温もりが心地よくて、リグルの真摯な言葉が温かくて。
チルノの胸の底から熱い物がこみ上げてくる。



「私も・・・・・・・・アンタに謝らないと・・・・」
「え?」
「あの時、何が何だか分からなくて・・・・・私・・・・・・・・・」
「・・・・・チルノ・・・・・・・・・・・」
「馬鹿とか大嫌いとか言っちゃってごめんね、リグ・・ル・・・・・・・・」


最後の方は消え入るような小さな声になっていた。
代わりに涙がこぼれ、嗚咽が漏れ、チルノの気持ちを代弁してくれている。
だがチルノは悪くない。リグルも悪くない。誰も悪くない。
これは、好意を持った相手を他の誰にも渡したくないというチルノの一途な想いとちょっとした焦りが生み出した事・・・・・・
リグルはともかく、チルノ自身もその内なる想いに気付いていたかどうかは定かではない。
だが、少なくともリグルは相変わらず穏やかな微笑を浮かべていた。
チルノの過ちを全て赦し、想いを全て受け入れてしまいそうな微笑で、チルノをぎゅっと抱きしめて。

「もういいよチルノ・・・・・・・そんな事、忘れちゃお・・・・・・・・・・・・・」
「リグル・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・んっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「んん・・・・・・!?」



抱き合ったまま、チルノの唇にリグルのそれが重ねられた。驚いて呆然としているチルノをリグルの腕がしっかり支えている。
頬に一瞬だけしたキスとは違う、数秒に渡る短くて長いキス。ぎこちない動きで舌を操り、チルノの舌に軽く触れる。
柔らかく、ほのかに温かい感触を感じ、少しずつ舌と舌を絡めていく。

暫くリグルの思うがままになり、漸く唇を解放されたチルノ。その顔は西瓜のように真っ赤になり、何も言えず何もできずにいた。


「ん・・・・・ぁ・・・・・・・・・・・」
「・・・・・い・・・・・・・・・・今の何・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
「・・・・・・あのね、『好きな人どうしはこうするんだ』ってあの人が教えてくれた・・・・・・・・・・・」
「アイツが・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・い、嫌・・・だった?」

口元に手を当て、視線を逸らすチルノ。しかし未だに顔は赤く、恥ずかしいような困ったような顔をしている。
こんな風にもじもじするチルノを見るのは初めてだな、と同じく顔を赤くしているリグルはそう思っていた。


「・・・・いっ、嫌じゃなかったわよ・・・・・・・・・・変な感じしたけど」
「そう、よかった・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・だから、今度は私がしてあげる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「え?チル———」


リグルの言葉を遮って、チルノがお返しとばかりに唇を重ね合わせてきた。
見よう見まねで不器用に舌を動かし、リグルの舌を探し当て、さらに侵入を試みる・・・・・・










二人の拙い交わりは、一足先にチルノが睡魔に負けるまで静かに続いた。
自分たちがしている行為の意味を噛みしめ、それを確認するようにますます二人はキスを重ねあい・・・・・・・・・・

その様子を見たら、誰もが恥ずかしさのあまり顔を背けるか微笑で見守る事だろう。
二人は幸せそうな表情を浮かべ、しっかり抱き合いながら眠りに就いていた。

(end)





















あとがき

子どものケンカは純粋で、無邪気で、時に少し残酷で。目つぶしとか腹への攻撃とか平気でやってしまう。
平手+喚き散らしで済んだチルノはきっと大人です。それを赦したリグルはもっと大人。
ていうか二人とも精神年齢高すぎですねorz どうしても上方修正がかかってしまうようで。
創想話に投稿した前々回から繋がっている話なので、ここだけ読んでも分かり辛いかも・・・

これくらいの年齢の子どもにとって、好きな相手との唇キスは相当ネチョ度の高い行為のはず。
今の二人にはこの辺が精一杯なのかも。その後の展開次第でアレなのですが。

あと、超リグル人。リグルはこういう状況になると覚醒して超強くなると信じてます。

書いた人:0005


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Last-modified: 2018-01-07 (日) 04:56:13 (2300d)