朝の霧雨邸


窓から差し込む朝日に照らされ、魔理沙は眠りから覚めた。

「んんっ…うーん…」

気だるそうに伸びをすると、もそもそとベッドから這い出す。
着替えをするため服をとると、鏡の前に立ちパジャマを脱いだ。

「はぁ…、何で胸だけ成長しないんだ…?」

魔理沙は鏡に映った自分の体をみて呟いた。
身体年齢の近い知り合いが多いせいか、最近は特に気になる様子。
ふにふにと自分の胸を触りながら深いため息を吐いた。

「もう少し成長したら、大きくなるのかな……ん?」

ふと何かが閃いた。慌しく服に着替えると、本棚を漁る。
パラパラと捲られては積まれていく書物。
そうこうするうちにお目当ての本が見つかった。

「あった……これだ!」

そこには『身体の成長を操る魔術』と、なんとも眉唾な項目があった。
本の内容によれば、術者の身体の年齢を自由に変えれるらしい。
はやる気持ちを抑えられず、早速スペルをとなえる。

「……ブツブツ……ごにょごにょ……」

ボゥン!
スペルを唱え終わると、それっぽい煙が上がる。
魔理沙は鏡に映った自分の姿を見て絶叫した。

「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!!?」










「……で、そんな姿になっちゃったわけね」
「……うん」

ヴワル魔法図書館。
そこにはパチュリーと……変わり果てた魔理沙の姿があった。
サイズがだぼだぼの服を纏い、頭には油断すると目元まで隠れてしまう帽子を被っている。
もともと幼い顔立ちは輪をかけて幼く、声は男言葉が空回りするほど高くなっていた。
要するに、若返ってしまったのだった。

「まさか……逆のスペル唱えちまうなんて……トホホ」
「まぁ、その姿もなかなか新鮮だけどね」
「冗談キツイぜ……」

クスクスと笑うパチュリーに魔理沙が抗議する。

「で、どうするの?さっきの様子だと魔法もうまく使えないみたいだけど」




さっきの様子とは、魔理沙が紅魔館にきた時の様子だった。
魔力がうまく制御できずに箒に振り回されながら、紅魔館の門前に落下してしまった魔理沙。
門番をしていた美鈴はまずそこで一驚。そして縮んだ魔理沙の姿を確認してもう一驚。
魔理沙はそのままパチュリーのところへ運ばれたのだった。




「あぁ、うまく魔力が制御できなくなってる」
「そうなると…効果の対象が『術者』である以上、同じ魔法で元に戻るのは無理そうね」
「…ううう」
「まぁ、一晩で効果切れみたいだし…今日はここに泊まっていくといいわ」

すぐに元に戻れなかったのは残念だが、戻るまで誰かの庇護の下にいられるというのは僥倖だった。
今の魔理沙では雑魚妖怪に襲われても太刀打ちできないし、そもそもこの姿で一人でいるのにはかなり不安があった。

「悪いな、パチュリー」
「気にしないで。それより、どこか空いてる部屋を探さないとね……」

二人は廊下に出ると、部屋を探すために歩き出した。










「何ていうか……視点が低いわ、歩幅が狭いわ……昔の私はこんなだったのか…」
「急に小さくなったんだし、やっぱり違和感が大きいんでしょ」
「まぁ、成長って徐々にしていくもんだしな……おっ」

廊下の途中で掃除中の咲夜に出会う。

「あら、パチュリー様と……魔理沙?」
「あぁ、実は魔法を間違って……こんなになっちまったんだ」
「へぇー……ふーん……」

話を聞いているのかいないのか、しげしげと魔理沙を眺める咲夜。

「あ、咲夜…この館でどこか空いてる部屋ってないかしら?」
「空き部屋ですか…」
「えぇ、魔理沙がこんなだし、一晩泊めてあげようと思ったんだけど…」
「確か…この間雇った使用人で部屋が一杯になったはずです」
「困ったわね」

どうやら最近の人の出入りで部屋が一杯になってしまったようだ。
少し不安な表情の魔理沙。それを見て咲夜が口を開いた。

「でしたら、私の部屋はいかがでしょう?」
「メイド長の部屋ぁ?」
「何よその顔は。結構広いし、ベッドも大きいから二人でも寝れるわよ?」
「あら、よかったじゃない魔理沙」
「まぁ一晩だしな……それに、この体で一部屋使うのも大袈裟かもな」
「決まりね、ついて来て頂戴」

そう言って自室へと歩き出す咲夜。

「じゃ、私は図書館に戻ってるわね…」
「ありがとな、パチュリー」
「どういたしまして」

パチュリーが図書館に戻るのを見ていたら、咲夜がかなり先に進んでいた。
咲夜は身長が高いため、歩幅も広い。並んで歩いてもかなり遅れてしまう。

「咲夜、もうちょっとゆっくり歩いてく……わぷっ!」

だぼだぼの服の裾を踏んでしまい、躓く。

「くすっ……何やってんのよ、ほらっ!」

手を差し伸べられて、少し躊躇したが、照れくさそうに手を取る。
すると咲夜が肩と膝をとり抱き上げた。

「うわっ!な、なにすんだ!」
「その格好じゃ歩きにくいでしょ、部屋まで連れてくわ」
「お、降ろしてくれよ…その…恥ずかしい…」

咲夜は魔理沙の要求には応えず、クスクスと笑いながら部屋まで連れて行く。
幸い誰にも見られなかったが、魔理沙は部屋に着くまでの間がひどく長く感じられた。










さすがに咲夜の部屋というべきか、部屋はきれいに片付けられていた。
魔理沙にとって意外だったのは、人形などの小物の多さだった。
咲夜の趣味だろうか、ベッドや本棚の上などにかなりの数が置いてあった。

「人形とか好きなんだな、意外だぜ」
「どこかの人形師には負けるけどね。ちょっとまってて……」
「何してるんだ?」
「あった!これ着てるといいわ…その格好じゃ困るでしょ?」

咲夜が服を手渡す。

「どうしたんだ、これ?」
「ここに来た時に私が着てた服よ。サイズが合うかは分からないけど」

どうにも会ってから優しいのが薄気味悪かったが、気を回してくれるのは素直に嬉しい。
魔理沙は服を受け取ると、着替えようとしてあることに気づいた。

「な、なぁ…着替える間…その…あっち向いててくれないか?」
「……?…ははぁ……そういうことね」

体が小さくなった時、服は何とか羽織ることができた。
しかし、下着は下にずれてくるため、穿くことができなかったのだ。

「女同士で恥ずかしいも何もないでしょ」
「そ、そうだけど……」

しぶしぶと服に手をかけ、脱いでいく。

「ふふっ、綺麗な肌してるじゃない」
「………ッ!」

褒められているのだが、着替えを見らながら言われると気分が悪い。
魔理沙は耳まで真っ赤にしながら、体を抱くようにして着替えた。
その仕草が気に入ったのか、咲夜は終始笑みを湛えながら見ていた。

「あら、少し大きかったわね」
「裾を引きずらないだけましだよ。……その、ありがとな」

咲夜は答えずにっこり微笑むだけだった。











着替えてからしばらく、咲夜と雑談しているうちに何となく楽しくなってきた。
よく考えると、咲夜と一対一で話す機会は少なかった事に気づく。
というより、事務的な会話をする意外で咲夜と会話したのは、実は最初に対峙した時くらいではなかろうか。
紅魔館に訪れるのも図書館か、あるいは同じく魔法を使うパチュリーが目的だった。
一方の咲夜は紅魔館の仕事があったり、レミリアの身辺の世話があった。仮にもメイド長なのだ。
そういった意味で疎遠だったこともあり、たまに茶化したりするが、本人のことはよく知らなかったのだった。
ひとしきり会話をした時、にやっと咲夜が笑う。

「そうしてるとまるで子どもだわね」
「あー?それは私が普段からガキっぽいってことか?」

むすっとした表情で魔理沙が抗議する。

「そもそも、なんでそんな姿になったのよ?」
「んあ?いや…だからその…魔法の失敗で…」

咲夜は傍目にもスタイルがいい。『スタイルで悩んで魔法を使った挙句失敗した』とは、恥ずかしくて言えなかった。

「さて…そろそろ私は仕事に戻るわ。ゆっくりしてて頂戴」
「あぁ、結構話し込んじまったみたいで悪かったな」

首を横に振ると咲夜は部屋を去っていった。
あらためて部屋に残されてみると、することがなくて手持ち無沙汰になる。
他人の部屋に一人でいるというのは、思った以上に退屈であった。
仕方なくベッドに横になり、物思いに耽る。

(…はぁ、つまんないミスしちまったな…)
(……この服…可愛いな…メイド長の趣味か…?)
(………結構面白いやつだな…メイド長…)
(…………あー…疲れたな…ねむ…)















……ちゅっ……ぴちゃ……ちゅく……


(ん?口元が……暖かいな……)


……ちゅぅ……ちゅるっ……ぴちゅ……


(ん……舌が……気持ちいい……)


「ふぁ……あむ……ん……ちゅ……ん……?」
「ちゅっ……ぷぁ……………お目覚め?」
「………?……………んぁ……んんっ!?」

唇を塞がれて目が覚め、今まで咲夜がキスをしていたのに気づく。
体はしっかりと抱き寄せられ、舌を差し込まれる。

「ちゅっ……れろ……ちゅぱっ……ちゅ…」
「ふぁっ……んちゅっ……くふぁ……ぁんっ!」

何でこんなことをするのか問いただしたかったが、咲夜の舌を噛みそうでできなかった。
それ以前に咲夜のキスが上手すぎて、体に力が入らない。

「……ちゅ…んっ………気持ちよかった?」
「……あ、う…ん………じ、じゃなくて!何で……こんなことするんだよっ……!」

やっとキスから開放され、質問する。

「あなたが可愛かったからじゃ駄目かしら?」
「なっ!……かわい……って……そんなの……」

ワケが分からないのと、恥ずかしいので言葉がうまく紡げない。
オマケにこの状況を受け入れつつある自分に戸惑っていた。

「実はね、前からあなたのこと気にかけてたのよ」
「な……え?」

思わぬ告白に困惑していると、更に咲夜が続ける。

「ねぇ……私のこと『お姉ちゃん』って呼んでみて?」
「な、何で……そんなこと……」

咲夜は笑ったままじっと見つめるだけだった。
観念して魔理沙はおずおずと呼びかける。

「ぅ……お……ぉ姉ちゃん…………」

口に出した瞬間、自分がすごくドキドキしてるのに気づく。
その反応に満足したのか、咲夜は一層微笑んだ。
体勢を変えて咲夜が上になると、抱いていた手が下がっていく。
咲夜は魔理沙の耳を甘噛みしながらお尻を撫で始めた。

「……ふぁっ……んくっ……は……ぁぁ……」

咲夜の吐息を耳元で感じて、だんだんと興奮しているのが分かった。
魔理沙は足元をもじもじさせて身をよじる。
すると唐突に愛撫がやんだ。

「さぁ、ご飯食べにいくわよ」
「………ぁ………へ?」

ものすごい脱力感に襲われ、魔理沙の手が所在なげに動く。
気がつけば、自分も咲夜に腕を回して抱きついていたのだった。
急に開放されて戸惑ったが、すぐに立ち上がる。すると足元につーっと冷たい感触があった。

「……ぁっ……」

足を見ると、下着を穿いてなかったため愛液が伝っていた。
まるで自分が求めていたようで途端に恥ずかしくなってしまった。















その日の夕食は賑やかだった。
最初はレミリアなどに驚かれたが、すぐにいつもの調子に戻る。
自分の姿を話の種にされて複雑だったが、それはそれで楽しいひと時だった。

ひとしきり食事も終わり、各々部屋へと戻る。
魔理沙は食事前の情事を思い出し赤面した。

「さ、お風呂行きましょ」
「いっ!まさか一緒に入るのか?」
「あら、嫌なの?」
「そ…そういうわけじゃ……」

明確に拒絶できない自分に戸惑ってしまう。
結局そのまま二人で風呂場に入った。

「さ、体を洗ってあげるわよ」
「い、いいよ!それくらい自分で……ひゃぁ!」
「何変な声出してるのよ……ほら!」

後ろから泡のついたタオルで胸元を擦られる。

「……はっ……んっ……」
「……乳首、立ってるわよ……」

耳元で咲夜が囁く。

「こういうこと期待してたのかしら?ふふっ」

そのままタオルを秘所に這わせて、焦らすように擦る。

「あんっ……はぁ……んっ……」
「拭いても拭いても濡れてくるわよ?」
「んっ……やっ……きょ……の…メイドちょ…おかしい……ぜ」

咲夜は答えず、魔理沙の雌芯を弄りだした。

「ひゃ……んうっ……だめっ……あっ……」
「敏感ね……石鹸が染みたのかしら?」
「あっ……やめっ……んっ……ふあぁぁぁぁぁんっ!!」

ちょろちょろちょろちょろ……

魔理沙は咲夜の攻めでイってしまい、失禁してしまう。
あまりの気持ち良さか、湯あたりしたのか、朦朧としたまま気を失ってしまった。















魔理沙はふかふかとした感触に目を覚ました。気がつけばベッドの上だった。

「………あ…」
「気がついた?ふふっ、まさかお漏らしするなんて思わなかったわ」

風呂場でのことを思い出す。
半ばああいうことを期待していたのもあってか、前ほど恥ずかしくはなかった。

「あ、あのさ……その……よかったら……んむっ…」

唇を塞がれ言葉はさえぎられたが、魔理沙の方も望むところだった。
舌を絡めながらお互いの体をまさぐる。

「んふぁ……ちゅ……ぷちゅ……んむ……」
「あむっ……っちゅ……ちゅる………ね、魔理沙」
「ふぁ……?」
「また『お姉ちゃん』って呼んでくれない?」

今度は躊躇わずに魔理沙が言う。

「お姉ちゃん……」

そういうプレイに酔ってきたのか、息遣いが荒くなってくる。
咲夜はスカートをたくし上げるとショーツを下ろし、秘所を露にする。
そのまま魔理沙の寝巻きをずらすと、秘所同士を擦りあった。

「あんっ……お姉ちゃんっ……気持ちいいよぉ……」

魔理沙も腰を浮かせて求める。

「私も……ぁぁっ……もっと動かして……そうっ……!」
「ふぁぁぁ!……あんっ!……ぁぁぁっ!」

雌芯を積極的に擦り合い、ぴちゃぴちゃと愛液が絡み合う音がする。

「はぁ……ひぁ……あむんっ……!」
「ちゅる……ちゅくっ……ぴちゅ……」

何度目かのキスで唾液を交換し、嚥下する。
糸を引くほど唾液を押し付け合いながら、絶頂に近づく。

「魔理沙ぁ!……はぁ……もうっ……!」
「おねえちゃぁんっ!……は…イクっ!……ふぁぁぁぁぁぁっ!」

ぷしゃぁぁぁぁっ!

互いの秘所から潮を吹きながら、絶頂を迎えた。

「はぁ……はぁ……お姉ちゃん……」
「ふふっ……まだ寝かさないわよ……」
「あはぁ……好きぃ……」



その夜、二人は何度ともなく求め合った。
















翌朝、魔理沙が目を覚ますと体はすでに元に戻っていた。
目を移すと隣には咲夜が眠っている。そこで、昨晩の情事を思い出した。

「お姉ちゃん……ね」

魔理沙はぽりぽりと頭を掻くと、寝ている咲夜の頬にそっとキスをする。





「たまには小さくなるのも悪くないか……」




魔法の失敗が運んだ新しい関係に、苦笑しながら呟くのだった。








<おしまい>







<オマケ>


朝の霧雨邸


窓から差し込む朝日に照らされ、魔理沙は眠りから覚めた。

「んんっ…うーん…」

気だるそうに伸びをすると、もそもそとベッドから這い出す。
着替えをするため服をとると、鏡の前に立ちパジャマを脱いだ。

「はぁ…、何で胸だけ成長しないんだ…?」

魔理沙は鏡に映った自分の体をみて呟いた。
身体年齢の近い知り合いが多いせいか、最近は特に気になる様子。
ふにふにと自分の胸を触りながら深いため息を吐いた。

「もう少し成長したら、大きくなるのかな……ん?」

ふと何かが閃いた。慌しく服に着替えると、本棚を漁る。
パラパラと捲られては積まれていく書物。
そうこうするうちにお目当ての本が見つかった。

「あった……これだ!」

そこには『身体の成長を操る魔術』と、なんとも眉唾な項目があった。
本の内容によれば、術者の身体の年齢を自由に変えれるらしい。
はやる気持ちを抑えられず、早速スペルをとなえる。

「……ブツブツ……ごにょごにょ……」

ボゥン!
スペルを唱え終わると、それっぽい煙が上がる。
魔理沙は鏡に映った自分の姿を見て絶叫した。

「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!!?」







「……で、結果がそうだったわけね?」








「まさか……大人になっても胸が成長してないなんて……トホホ」











<あとがき>


最後まで読んでいただいてありがとうございます。


咲夜×魔理沙が好きなので、書いてみました。

何気に今回、魔理沙が泣いてません。
うちが書く魔理沙はいつも泣いてばかりだったので……(´ω`)



仕上がりはイマイチですね…時間かけて書いた割には。

最初の構想では、咲夜さんが子供化した魔理沙を見て暴走する話だったんですよね……ギャグテイストの。





ネチョもいろいろ妄想してたんですが・゚・(ノ□`)・゚・

ご飯を全部口移しで魔理沙に食べさせたりとか、魔理沙をおまるに座らせて放尿させるとか、定番のお尻ぺんぺんとか

なーんかでも書いてるうちにギャグタッチになって……orz

ネチョでギャグって、読み手にとってどうなんでしょうね……。




う~ん…読み直すと、ギャグのノリを純愛に矯正した感じが痛々しいデスネ……。
純愛は何ていうか、ネチョへのもっていき方に苦労しますねぇ…。今回ぼかしてますが…。


次は鬼畜なのも書いてみたいんですが、鬼畜って羽目を外すとかなり引かれるのが怖いです*1)
ネチョへのもっていき方は簡単なんですけど……(´・ω・`)




では、また何かネタが浮かんだら書いてみます。ノシ





書いた人:ライブ


*1 (´□`

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Last-modified: 2018-01-07 (日) 04:56:13 (2300d)