~追憶ナイトメア~


 私は小さい頃から不思議な力を使えた。それを使えば大抵の事が上手くいった。でもそれは、周りの普通の人達から見れば、不気味以外の何物でも無かったらしい。

 気が付けば、周りの人達は皆私から離れていった。友達や、両親さえも。そんな目に遭うのが嫌だった私は、皆の前で力を使う事は決してしないようにした。


 それでも、誰も私に近寄る事はしなくなっていた。


 バケモノ。

 それが私の代名詞となった。


  *  *  *


 ある日、私は誘拐された。力を使えば逃げ出せる様な相手であったが、使いたくなかった私は、あっさりと彼らに捕まったのだ。

 私は、薄暗い部屋の中で裸にされ、両手足に枷を嵌められた。いくら私が力を使っても、外せそうにないものだった。この時、犯人は頭がいいなあと、ただ漠然と思った。


 それから、地獄の様な日々が始まった。


  *  *  *


 いきなり処女を破られた。

 痛い痛いと泣き叫ぶ私を、彼らは悪魔祓いと言って憚らなかった。そうして男は、濡れてもいない私の膣の中を往復した後、思いきり射精した。

 異物が注ぎ込まれる感覚に身悶えしている私の口に、そのまま私の血がこびり付いたペニスを捻じ込んで、男はもう一度射精した。気持ち悪さに吐き出そうとしても、彼らはそれを許さなかった。無理矢理全て飲ませると、今度は、数人で私の体を舐り始めた。

 ぬらぬらとした舌の感触が気持ち悪かった。胸を舐められ、アソコを舐められ、肛門を舐められた。唾液でぬるぬるになった私の体を使って、彼らはペニスを扱き始めた。そして射精。白濁液が私の体を汚し、べとべとにしていった。そして、私の意識はそこで途切れた。


  *  *  *


 目を覚ますと、体中に何かがこびり付いていた。それが精液だと知るのに、大して時間はかからなかった。

 その日も、犯された。

 姦通したばかりの私の膣に、彼らは飽きる事無く、汚いペニスを挿し込んでいった。吐き出された精液がごぶごぶと膣から溢れる感覚が、手に取る様に分かった。私は泣いていた。それを見た彼らは怒りだした。彼ら曰く、悪魔の泣き落としなど通用しない、と。

 私が何をしたというのか。もし私がいたずらに力を使って人を傷つけたとしたのなら、人々の怒りはもっともだろう。しかし、私はそんな事はしていない。それなのに。

 そう思っていた時、肉を裂かれる様な痛みが私を襲った。私の肛門に、ペニスが挿入されようとしていた。抵抗しようとしたが、他の男に押さえつけられ、動く事もままならない。

 めりめり。ごりごり。

 体の中で響く不協和音を聞きながら、私の意識は徐々に闇の中へと融け込んでいった。


  *  *  *


 いっそ死んでしまおうかとも思った。しかし、舌を噛んで死のうとしても、口に嵌められたボールがそれを阻んだ。

 突き抜ける衝撃。

 膣と肛門を往復するペニスが、私の思考を削ぎ落としていく。その日もまた、お腹一杯の精液が私に注ぎ込まれる。

 そんな中で、決して悦の声を上げない事が、私の最後の抵抗だったのかもしれない。


  *  *  *


 体が熱い。今まで味わった事の無い感覚に、床を這いつくばった。挿入されて判った。それは、媚薬だった。

 今までとは比べ物にならない程の衝撃と、快楽。意識が飛びそうだった。悦の声を上げまいとする私の意識が、ぽろぽろと音を立てて崩れていく様だった。

 最後の抵抗が、終わった。

 媚薬に呑まれた私は、狂った様によがり続けた。そんな私を見ている彼らの表情は、歪んだ笑いだった。その時の私は、そんな彼らの表情に嫌悪感を覚える暇すら無く、ただただ襲い来る快楽に玩ばれていた。

 体と精神が、犯されていく。

 ペニスを嬉しそうにしゃぶり、精液を飲み干し、だらしなく涎を垂らしながら腰を振り、挿入されながら排泄し、喜悦の声を上げる。そして、夜中に目を覚ましては自らを慰める。

 男達の玩具と化した私に残された道は、彼らのどす黒い欲望を、その身に受け続ける事だけだった。

 一つだけ、幸いと言えば幸いな事がある。
 私はこれだけ膣内射精されているにも関わらず、妊娠する事は無いだろう。

 その時私はまだ、初潮を迎えていなかったのだから。


  *  *  *


 今日も犯される。
 明日も輪姦される。
 明後日も精液袋にされる。
 明々後日も肉人形にされる。

 その次の日も、またその次の日も、ずっと、ずっと、ずっと、ずっとずっとずっとずっと―――



 ―――光が見えた。

 人影が浮かび上がる。手を差し伸べている。…誰に? ―――私?
 この、抜け出せない、肉欲の、泥濘に、嵌まった、私、を。

 それでも。

 最後の力を振り絞って、その手を、掴んだ―――



  *  *  *



「………さ……く………咲…や………夜………咲夜………」
「――――――」

 その声で、目を覚ました。ダブルベッドの上で、私を呼ぶ声。―――お嬢様。

「…どうしたの? 泣いてるの?」
「……あ……」

 言われて、気付いた。目から頬にかけて流れる、涙の筋。悪夢の名残…
「汗びっしょり…怖い夢でも、見たのかしら?」
 お嬢様の美しい裸体が、私の汚れた体を見下ろす。
「……そう、です、ね……」
 荒い息を整える。全身に嫌な汗をかいている。久し振りに夢に見た、あの時の光景だった。
「………」

 そして、その夢を見た時は決まって、嫌悪感が私を襲う。それは、あの悪夢を見て、なお濡れている股間。肉体に刻まれた快楽が、その時の肉体の記憶をフラッシュバックさせている。

「咲夜…あの時の、夢?」
「……はい……恥ずかしながら……」
「そう……」
「お嬢様……んっ」
 沈む私の唇に、お嬢様の唇が重ねられる。そのまま、私達は今日二度目の行為に耽っていった。



  *  *  *



 あれからしばらくして、私は警察に保護された。私が誘拐される所を偶然見ていた人が通報し、捜査をしていて、ようやく発見出来たのだという。

 私は、笑った。

 だって、心配してくれたのが実の両親では無く、赤の他人だったのだから。


 もう私は誰も信用しなくなっていた。その果てに、私は幻想郷へと辿り着いていた。



  *  *  *



「っはあ……あぁっ……」
 お嬢様の舌が、私の体を舐め回す。甘い刺激に、甘い声が漏れる。
「んふ……咲夜…乳首が勃ってるわよ…?」
「はぁん……だって…お嬢様が……」
「私が…何…?」
 悪戯っぽく微笑むお嬢様。その舌が、その指が、私を昂ぶらせる。

「咲夜……すごい、濡れてるわよ……」
「はあ………は、ぁ……お嬢様…」
「ね、もう挿れていい…? 私の、咲夜に挿れたくて、もうこんなになっちゃったわ…」
 そう言って、お嬢様は股間から生えている立派なモノを、私に見せた。…幻想郷では、時たまこの様に両性を持つ事が出来る存在があるという。お嬢様は、まさにそれだった。
「…はい。早くお嬢様のモノを、私に挿れて下さい…」
 私は自ら股を開き、お嬢様のモノを入り口へと導く。そしてお嬢様は、私を一気に貫いた。
「あああっ……! お、お嬢様っ……!」
「くっ…咲夜……! イイわよ…! 咲夜の膣、ぎゅって私を締め付けてるわ…!」

 お嬢様のモノが私の膣を満たす度、心も満たされてゆく。あの時とは違う、セックスがここまで嬉しいものだとは、お嬢様に出会うまで知らなかった。

「ふあっ! あ、ああっ…! お嬢様っ…! ひぁあっ……!」
 じゅぷじゅぷと音を立て、お嬢様のモノが私の膣を出入りする。お嬢様は私の腰に手を回し、一心に私と交わる。私はお嬢様の背中に手を回し、しがみ付く。二度と離されない様に。
「ふむっ……っちゅる…! んぐ…!」
「ふぅんっ…! ちゅっ……!」
 舌同士を絡ませ、互いの唾液を貪る。お嬢様のモノが私を一層深く抉り、私の奥で、弾けた。

「「んあああぁぁあぁあぁああぁああぁあああぁあぁぁぁあああ……………!!!!」」

 そして私達は、抱きしめ合ったまま達した。
 どくっ…どくん……
 お腹の中に広がる温かさ。満たされている。その幸せを噛み締めながら、私はベッドに倒れ込んだ。


「…咲夜」
「お嬢様…」
 お嬢様の腕に抱かれ、眠る。これ程幸せな事を、私は知らない。

 あの時の忌まわしい記憶は、未だ抜けないけれど。

 それでも私は、今、幸せだ。


 愛しいお嬢様の温もりを感じながら、私は眠りに落ちた。




  了









<後書き~>

 わー、暗い暗い。何で咲夜さんってこんな陰鬱な過去が似合うのやら?(ぇ

 ちなみに、咲夜さんの過去を台詞無しで書いたのは、薄汚い男達の下卑た台詞を書きたくなかったから。第一、東方とだいぶ離れるし………頑張れば書けるかもしれません。皆さん、意見プリーズ(何


 書いたよ:謎のザコ


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Last-modified: 2018-01-07 (日) 04:56:13 (2300d)