「よし、一回戦突破!」
「あ゛ーっ、負けたぁっ!!」

161対119。最萌トーナメント・魂魄妖夢VSチルノ戦は、妖夢の勝利で幕を閉じた。

「お嬢様、勝ちました!」
満面の笑みを浮かべて、幽々子に凱旋報告をする。
「そう、良かったわね。私も頑張らなくちゃね」
「お嬢様の対戦相手は……強敵ですね……。でもお嬢様なら大丈夫です!」
「うふふ……ありがと。
 で、妖夢、これからどうするの?」
「はい、少し疲れてしまったので、お屋敷に戻って休もうかと……」
「違う違う」
「?」
意味深な笑みを浮かべる幽々子。何の事か分からず戸惑う妖夢。
「あら、知らないの? このトーナメントのもう一つの顔を」
「はぁ……」
「勝者が敗者を二十四時間好きに出来る、最萌の裏の顔……
 裏最萌トーナメントを」
「なっ……!」
妖夢の顔が強張る。……それもそうだろう。今回は勝者となったが、この先もし負けたら……
「どういう事なんですか、それっ……!?」
「どうも何も、そういう事よ。つまり、勝ったあなたはあの氷精……チルノだったかしら、彼女を好きにしていいって事。
 ただし、死なせるとかそういうのは駄目よ」
「好きにしていい、と言われても……」
「どうするかはあなた次第だけどね。……まぁ、やる事は皆大体同じようだけど」
「一体何を……?」
込み上げる嫌な予感を押さえつつ、恐る恐る幽々子に質問する。
「……敗者は何をされても文句が言えない。そして、敗者は可愛い女の子。
 と、くれば……やる事は一つよねぇ……?」
妖艶な表情を浮かべ、妖夢に問い掛ける。思わず赤面する妖夢。
「あらあら、赤くなっちゃって……かっわいい」
「茶化さないで下さい!
 ……お嬢様が勝ち上がったら、次は私との対戦になります。その時、お嬢様が私に勝ったら……」
「たっぷり可愛がってあ・げ・る」
ゾクゾクゥッ……背筋に電流が走り、一瞬意識が飛びかける。
お嬢様になら何をされても……いやいや……そんな事を一瞬の内に思い巡らせていた。
「あなた、こういうのには疎いからねぇ。これはいい練習だと思いなさいな」
「…………」
「そろそろあなたの所にあの娘が来ると思うから、自分の控え室で待ってなさい」
「はい……分かりました」
思い詰めた顔で背を丸め肩を落とし、トボトボと歩いていく妖夢。そんな姿を見てニヤニヤする幽々子。
「フフフ……妖夢との対戦が楽しみね。どんな事しちゃおうかしら……?
 あぁ、私が負けて色々されちゃうのもいいかしら……ウフフ……フフフフフ……」
脳内世界に羽ばたき、一人笑い続ける幽々子。その姿を、周りから奇異の目で見られている事には最後まで気付かなかった。





「あー……う~……」
座っていられず、部屋の中をうろうろ歩き回る妖夢。幽々子の言葉が頭から離れず、悶々としていた。
「好きにしていい、って言われても……う~」
頭を掻き毟り、悶える。とても勝者とは思えない姿だ。

コン、コン―――――

「………………っ!!」
扉を叩く音に、心臓が跳ね上がる。来た―――――どうしよう。
コンコン―――――
「ちょっと、誰もいないの?」
「あっ、今開けます」
慌ててドアを開く。そこにいたのは、予想通りチルノだった。上擦る声を押さえつつ、チルノに入室を促す。
大人しく部屋に上がり、ちょこんと座るチルノ。その対面に、静々と座る妖夢。時だけが過ぎていく。
「……………………」
「……………………」
俯いたまま、きっかけが掴めず口を閉じる二人。張り詰める空気。先に耐え切れなくなったのはチルノの方だった。
「あーもうっ、何か言いなさいよ! 気まずいでしょ!!」
「あっはい……ごめんなさい」
うなだれた頭をますます下げる妖夢。そんな姿にますます苛立ちを覚える。
「何謝ってんのよ。これじゃどっちが勝ったか分かんないじゃない」
「はぁ……ごめんなさい」
「もういい……」
再び訪れる静寂。このままでは埒があかないので、再びチルノから話を切り出した。
「……で、何するの?」
「何、と言われても……」
「大体の事はレティから聞いてるわ。私を……好きにするんでしょ」
「そう……らしいですね」
「決めるのはあんたでしょうが!」
煮え切らない態度にますます苛立つチルノ。まるで自分が勝者のような気がしてきた。
「こっちは覚悟決めてきたってのに、何か気が抜けるわ……」
「すみません……何分、そういった事には疎くて……」
「……私だって経験無いわよ」
顔を赤らめ、視線を宙にやって呟くチルノ。その様子に、強張った妖夢の心も気持ち落ち着く。
「そうなんですか。てっきり、見た目に似合わず経験豊富なのかと……」
「子供って言うな!」
「ごっ、ごめんなさいっ!!」
平身低頭、畳に額が擦れんばかりに謝る妖夢。さっきから何かと謝ってばかりである。
「……そりゃあ、私だって知識でしか知らないけどさ。あんたもそうみたいね」
「えぇ……それで、お嬢様に勉強して来い、と……」
「そ-なんだ……じゃあ、正直に答えて。
 あんた……そういうの、興味あるの?」
「えっ……」
唐突な問いにうろたえる妖夢。興味……興味は…………
「無い……事も、無い……と、思う……ような……」
「ハァ……正直、あんたに負けてよかったわ。あのメイドなんか、そりゃもう酷い事に……」
「咲夜さんの事ですね……どうなったんですか?」
「聞かない方がいいと思う」
「……そうですか」
リリーに敗れた咲夜は、文字通り『犬』にされてしまった。それを知っているチルノは、一体何をされるのかと内心ビクビクしていたが、
ウブもいい所の妖夢の姿に、若干の余裕が生まれる。
「一応興味はあるのね。……じゃ、始めましょうか。
 ……私も、興味あるし……」
「はっ……はい……」

敗者の筈のチルノが、何時のまにかイニシアティブを取っていた。
実の所、二人ともそういう性の秘め事には関心があった。ただ、それを学ぶ機会が無かっただけで。
なので、これはいいチャンスかもしれない……そう思い始めていた。
「まず、何からすればいいんでしょうか……」
「ん~……やっぱり、キスから?」
「キス、ですか……」
「した事は?」
「無いです」
「私も」
このままでは埒があかないので、まずやってみる事にした。互いの肩に手を置き、目を閉じてゆっくりと唇を近づける。
「いくわよ……」
「はい……んっ」
ちゅ……軽く唇を重ね、すぐに離れる。
「……どう?」
「よく……分からないです」
「じゃあ……」
ちゅっ……もう一度唇を重ねる。先程よりも長く、強く。程無くして離れた二人の間に、糸が垂れる。
「何だか……変な気持ち、です……」
「私も……んんっ」
妖夢の方から、三度唇を求める。気付かぬ内に両手を背中に回し、より体を密着させる。
「んむっ、んふぅ……」
ちゅくっ、ぴちゃっ……どちらからともなく舌を絡め、交じり合う。
妖夢にはチルノの咥内の冷たさが心地良く、チルノには妖夢の暖かさが程よかった。
「んくっ……ハァ」
しばらく互いの咥内を貪りあった後、離す。二人とも顔は上気し、目がトロンとなってきた。
「何だか、ボーッとしてきた……」
「私も……熱くなってきた……」
「あ……そういえばチルノさん、体は大丈夫なんですか?」
チルノが氷精である事を思い出し、心配して尋ねる。
「何が?」
「その……熱とか、どうなのかと思って……」
「まぁ、熱いと疲れるけど……体内の温度を魔力で押さえてるから、これ位なら何ともない」
「そうですか、良かった」
これで心配事は無くなった。が、この後どうすればいいのだろうか。

「次は……」
「キスの次は……やっぱり、裸?」
「脱ぐ……んですか」
「そりゃあ、脱がないと先進まないし……」
「はい……分かりました」
チルノが率先して服を脱ぎ、下着だけの姿になる。妖夢もそれに習い、チルノに背を向けてベストを脱ぎ、シャツのボタンを外す。
「やっぱり、恥ずかしい……」
「私だって恥ずかしいわよ……さっさとしなさいよ」
「はい……」
ぱさっ……やがて妖夢も、チルノと同じように下着のみになる。じろじろと舐める様に妖夢の体を見つめるチルノ。
「そんなに見ないで下さい……」
「あんまり胸、無いわね」
「そっちこそ……」
「……まぁね」
ゆっくりと手を伸ばし、妖夢の胸に触れる。他人の異なる感触に、ピクッと体が反応する。
「んっ……」
「あはっ、乳首立ってんじゃん」
「やっ……」
下着越しにも、胸の突起が硬くなっている事が分かる。チルノはおもむろに胸の下着を脱がし、剥き出しの胸に吸い付いた。
「ひゃんっ!」
ざらついた舌の感触に、思わず背を反らす。しかし、チルノの腕が妖夢を抱きしめて離さない。
「ちゅう、ちゅっ、ちゅくっ……」
「んぁ、やっ、はんっ……!」
乳飲み子のように、執拗に舐り続ける。今までに無い未知の感触に、脱力してその場に座り込む。
まるで、チルノに押し倒されたかのような体勢になった。
「ぷはぁっ……どう? どんな感じ?」
「ん……何か……体がピクピクッてなって、変な感じです……」
頬を赤らめ、惚けたようになる。最萌の勝者の筈なのに、チルノに好きにされていた。
「じゃ、あたしにも……して……?」
「はい……」
自分がされたように、チルノの胸に吸い付く。剥がれて外気に晒されたふくらみの先端が、妖夢と同じように硬く尖る。
「んっ……あんっ、何か、気持ちいいっ……」
「んはっ、あむ……ちゅるっ……」
右に、次は左と、懸命に吸い立て、舌端で転がし、しゃぶり、舐る。
走る快感に身をよじらせ、チルノの膝が妖夢の股間に当たったその時。
「ひぃあっ!?」
予期せぬショックに、思わず口を離して体を仰け反らせる。
「ん……あっ……」
「ちょっ、ちょっと、どうしたのよ……」
「アソコが……びくんって……」
そんな姿を見て、手を伸ばし妖夢の秘所に触れる。下着はしっとりと濡れ、ラヴィアの形が下着越しにもはっきりと分かる。
「うわぁ……やらしい……」
「んんっ、恥ずかしいっ……!」
「ふ~ん、ここって、こうなってるんだ……へ~……」
妖夢の股間に顔を移し、物珍しげに観察するチルノ。まじまじと見た事が無いので、ここぞとばかりに眺める。
「初めて見たけど……あたしのもこうなってんのかな……?」
そっと自分の秘所に触れてみた。……妖夢と同じように、下着が張り付いている。
「んっ……あはっ、あんたと一緒だ……」
「あふっ……んん……」
しきりに体をもぞもぞさせ、太腿を擦り合わせる。手は所在無さげに投げ出され、どうすればいいのか分からないようだ。
チルノもそんな妖夢の姿を見て、さらに体が疼くのを感じていた。
「もう、我慢出来ない……!」
「わっ……!」

欲情を押さえきれなくなり、妖夢に覆い被さって互いの秘部を重ねる。そして、擦れるように体を揺する。
ちゅく、じゅくっ……下着の保水能力を超え、愛液が腿を伝い淫靡な音を立てる。
「あひっ、あっ、んんんんっ!!!」
「ふぁ、すっ、すごっ……何、これぇっ……!!」
陰唇を重ねて捏ね回し、両胸の突起を押し付けあう。小振りな胸の肉が、ゴムの様に脇に零れる。
「は、はひぃっ、あぁっ、んふぅっ……!」
「こっ、こんなっ、初めてっ……あむっ、れるっ、ちゅうぅっ……!」
くちゅ、ちゅぱっ、じゅくっ、ぐちゅっ……
唇を重ね、互いの咥内を舌で犯す。潰れた胸肉の間で突起が擦れ、弾きあう。そして秘部からは愛液が溢れ、混じり合う。
「んふぅ、ちゅるぅっ、くちゅっ……!」
「んっんっんんっ、ん~~~っ!!」
唇を塞がれている為、声にならない嬌声をあげる。経験した事の無い悦楽の波に、意識を根こそぎ持っていかれそうになっていた。
「んはぁっ、はんっ、ど、どう……? 気持ちいいっ……?」
「こんなっ、知らなっ……ひゃううぅぅんっ!!」
混じり合った唾液が頬を伝い、零れる。交じり合った愛液が、身を汚す。徐々に早まる律動。
ふとした拍子に、肉芽が肉芽に引っ掛かり、跳ねる。途端走る衝撃に、より高くなるオクターブ。
「ひぁああああぁぁあぁっ!?」
「んああぁあぁぁっ、すっ……ごっ……!」
じゅるっ、ずるっ、ぐちっ、じゅく、ぐちゅっ!!
ぐしょぐしょに濡れた下着から零れる愛液が水溜りを作り、卑猥な音を重ねる。
さらに激しくなった律動が、限界が近い事を告げていた。
「ひぅっ、も、だめっ、溶けちゃうっ……!!」
「わたしもっ……何か、来るっ……!」
「あひっ、いっ、あっ、んんんんんっ……!!!」
「はひぃっ、くっ、来るっ、来ますっ、ああぁぁあぁっ!!」
「溶けるっ、溶けちゃうっ……あっ、あっあぁっ、あっ、いぁあっ!」
「ひゃんっ、ひゃっ、あひいいぃっ!!」

     グチュウウウゥゥゥゥッ――――――――――――――――――

壊れそうな程に秘部を強く押し付けた、その時。光が爆ぜた。

「「んああ゛あぁあ゛あぁぁぁ゛ああぁあぁ゛あぁ゛あ゛あ゛ぁぁあぁ゛あぁあっ!!!!!!!!!!!!!」」

目前で弾けた光の波に包まれ、二人の意識が、同時に飛んだ。






…………………………………………………………………………………………………………………………






「んっ……」
先に意識を取り戻した妖夢が身を起こし、重なるチルノをどかす。
「あぁ……そうか……チルノさん、大丈夫ですか?」
「うぅん……」
チルノの体を揺すり呼びかけると、やがてチルノも目を覚ました。起き上がろうとするが、体がふらつきその場に倒れこむ。
「あ……れ……?」
「あっ、どうしました!?」
うつ伏せの状態で、力なく答えるチルノ。
「ちょっと……体温が上がりすぎた……も、駄目……」
「ごっ、ごめんなさいっ!」
「謝らなくてもいいけど……ペナルティとか言わないでよ……これ以上やると、私、ほんとに溶けちゃうから……」
ペナルティ。敗者が勝者に逆らうと、拘束時間がさらに一日延長される。しかし、見た目にもチルノは限界だった。
そして妖夢も、もうそんな気力は残っていなかった。
「私も……これ以上は、ちょっと……」
「そ……じゃ、もうちょっと、寝かせて……」
言い終わるのと同時に、静かに寝息を立て始めた。それを見て妖夢は、チルノを抱きかかえて部屋の隅に移し、
氷嚢を作ってチルノの額に乗せた。紅潮した頬がやや薄くなる。
「これでいいかなっと……。
 しかし、こんなに凄いものとは……まだ、一回戦なのよね……。次の相手は、よりによってお嬢様だし……。
 お嬢様が勝つだろうけど、どっちにしても身が持たない、かも……」
すでに負けたチルノは、もう何も無い。しかし妖夢には、まだ次の試合があるのだ。
つまり、少なくともあと一回はこんな恥ずかしくて疲れる事をしなければならない。今から先が思いやられた。
「お嬢様の事だから、変な事はしないと思うけど……はぁ……」
確かに気持ち良かった。だけど、当分は遠慮したい。
そして、次の対戦相手が幽々子という事が、妖夢の心に影を落としていた。














「ウフフフフフフフフ……やっらしい…………」
ドアの隙間から妖夢を覗く二つの目。幽々子だった。
実はチルノが部屋を訪れた時から、一部始終をずっと覗いていたのだった。
「あの娘が、こんなに乱れて……
 初めてでアレなら、次はもっと期待が持てるわね……
 あぁ、早く、妖夢と当たらないかしら……ウフフフフ……フフフフフフフフフフフフフフフ…………………………」


最萌トーナメントはまだ、始まったばかりである。








う~、あんまり江口くなーい。前振りなが~い。
咲夜さんの過去話は、江口無しで夏コミ目指して頑張りまーす。
希望があったらまたPhantasmとか入れるかも……アヒャ。

書いたの→marvs [アーヴ ◆arvsHiKSeA]


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Last-modified: 2018-01-07 (日) 04:56:13 (2300d)