・若干イタイ(グロ系)表現あり
・輝夜の描写が悪役っぽい


ですが、それでも構わないという人は下へドゾー






























・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あれからどれくらい経ったんだろう・・・・・・・・1時間?24時間?それとも、1週間?
時間の感覚なんてとっくに消し飛んでいる。そもそも私にとって時間とは無用の長物でもあるけど。


『・・・・また気を失っちゃったのかしら?』

闇の向こうから声がする。今までさんざん聞いた少女の声。笑い声。
私はまだ気を失ってなどいない。疲れてきたので動くのが少々面倒になっただけだ。
これでもかというほどの憎しみの表情で睨みつけてやろうかと思った。だが、今の私には到底叶わぬ事。


何も見えないのに、どうやって相手を見ろと言うの?

目もないのに、どうやって相手を睨めと言うの?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そう。
今の私は何も見えない。
それは、暗い所にいるからではなく『目がない』から。
私のすぐ近くにいるはずの少女・・・・・・輝夜が私から光を奪ったのだ。
本来なら空には真円を描く月が輝いているはずなのに、竹林を涼やかな風が駆け抜けるはずなのに。
私がいるのは黒よりも暗い闇の中、生暖かい自分の血にまみれて。
そして輝夜はそれだけに飽き足らず、無数の物の怪を召喚し・・・・・・私を嬲り者にした。

物の怪どもは私を犯し、肉を裂き、肉を喰らい、私を壊し・・・・・・・・・とにかく考え付く限りの陵辱を私にしてのけた。
だが私は死ねない。
終わりの来ない痛みが訪れようとも、この身を百度引き裂かれようとも、蓬莱の薬を飲んだ私に『死』だけは訪れない。
普通の人間なら狂って死んでしまいそうなほどの痛みと恐怖の中で、この責苦が終わるまで私はずっともがき続ける。
そして、のた打ち回る私の断末魔を聞きながら輝夜はさらに私をいたぶり続ける・・・・・・

ああ、そういえば。
もがく為の手足なんて、とっくに喰い千切られてたわ。
もう痛みもあまり感じていない。感覚が麻痺しちゃったか、私自身おかしくなっちゃったか・・・・・・
とにかく、輝夜が飽きれば私への責苦も終わる。私はその時をただ待つだけ。





『・・・つ、月の民・・・・・・何故こんな所に・・・・・・・・・・・!?』
『来るのが遅いわよ、ハクタク。おかげであなたの大事な人間はほら、この通り』
『なっ・・・!・・・・・・も、妹紅殿・・・・・・・・・貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』


誰か来たらしい。
いくつかの言葉の後に私が感じたのは我を失った感じの絶叫、ぶつかり合う殺気、震える大気。そして断末魔の悲鳴。
・・・・・・ダメ。輝夜に勝てる奴なんてそう滅多にいない。大抵は返り討ちに遭って終わり。
私の名を呼んだ『彼女』でも、輝夜の足元にも及ばない。



『ふふっ・・・・半獣ごときが私に勝てると思って?』
『く・・・・・・・そ・・・・・・・・・・・・・・・・・』
『・・・・・・・・・・・・もう少し妹紅で遊ぼうと思ったけど、これじゃ興醒めだわ・・・・・・帰る』


まるで壊れた玩具を前にしたようなつまらなさそうな声で、輝夜が呟く。
それは私に対する責苦の終了の宣告、または次なる責苦の予告。喜ぶべきか悲しむべきか分からない。

そして気配が一つ消えた。まるで氷のように冷たい気配が、一つ。
後に残ったのは弱々しい気配と・・・・・・ボロボロの私だけ。
何も見る事もできず、動く事もできず。責苦が終わった事に安心する一方で、ひたすらに輝夜と不死身の自分を呪った。
死ぬ事ができないのは、時に死ぬより辛い。そして、自分はもう死ねる身に戻れない・・・・・・・・


「け・・・・・・い・・・・・・・・・・・・ね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

私を助けに来てくれた『彼女』の身が気になる。
『彼女』は私と違い、いつかは死が訪れる身。もしかしたら今その時が来てしまうのかも知れない。
私なんかより『彼女』の方が心配だ。私は薄れゆく意識の中で『彼女』の名前を呼び・・・・・・・・・




『も・・・・・・こぅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ど・・・・・・・・・・・・・・の』



弱々しいけれど、



返事が、




帰ってきたような、






気が、












した
























あたたかい。
柔らかい。
心地いい。


そう、この柔らかい感触は・・・・・・・・布団?
私・・・・・誰かに助けられた?

よく分からないが、布団の中に入っているという事はそういう事なんだろう。
もう目も両腕両脚も再生している。物の怪どもに壊された所も、食い千切られた所も元通り。
不死の力は、どれだけ肉体が破壊されようとも確実に元の姿を取り戻してくれる。
とりあえずは不死のいい所だ。

布団に入ったまま、首だけひねってみる。
右を向き、左を向き、もう一度右・・・・・・この程度ではどこも痛まないようだ。
首をひねった範囲で見えたのは白い塗り壁、質素な戸棚、丸い小窓・・・・・・
質素ながらこざっぱりとした建物のようだ。

とりあえず、ここがどこなのかを確認する必要がある。私は慌てて身を起こし・・・・・・・・


「あぐぅぅっ!!」

再び、全身を引き裂かれたような激痛が全身を駆け巡った。
いくら肉体が復活したとしても、痛みまではなくならない。私は全身に傷を負っていたから、
当分はこの激痛と同居しなければならない。ここが不死の辛い所だ。



「も、妹紅殿!まだ起きては・・・・・・・」


私の呻きを聞きつけたのか、少女が私の所へ駆け寄ってきた。
水と粉薬のような物を盆に載せ、不安げな表情で私を見つめている。
角と尻尾を生やしたこの少女、実はよく見なくても私がよく知る相手だ。
その名を上白沢 慧音、神獣・ハクタクの姿と力を内に秘めた知識と歴史の半獣。そして私の数少ない理解者。


「・・・・・あ、ああ・・・・・・・・慧音・・・・・・・あなたが私を・・・・・・?」
「安心して、ここは私の庵だ・・・ここの存在は歴史から隠してあるから、月の民でも見つけられないはず」
「私・・・・・・あなたに助けられたんだ・・・・・・・・・・・・・」
「あなたが例の月の民に嬲られているのを見つけて・・・無理と分かっていても助けに行かずにはいられなかった・・・・・・」
「・・・・でも、あなたも輝夜にやられたはずじゃ・・・・・・・・」
「私は妹紅殿ほど酷くはやられなかったから・・・・少し気は失ったが、この通り五体満足だよ」

そういえば、私と違って不死の力を得ていない慧音だがひどい傷を負っているようには見えない。
顔にうっすらと痣やかすり傷が見える程度・・・・・・顔は女の命、輝夜も酷い事をしてくれる。
私はと言えば、とりあえず傷らしい傷はもう見当たらない。
服が全て脱がされているが、それは彼女が私に何らかの処置を施したのだろう。
思えば輝夜にいたぶられていた時も裸に剥かれていたし、別に気にならない。

「・・・・・まあ、奴にしてみれば私など殺す価値もないという事なんだろう。お陰で妹紅殿を助ける事ができたんだが・・・・・・」
「・・・・慧音、別に手当てなんて要らないわよ・・・・・・どんな怪我でもそのうち治っちゃうんだし」

私はその時笑みを浮かべていた。
自分の身を、境遇を、今の自分を鼻で笑う。
自分で言うのもアレだが、今の私は全てに諦めている。
輝夜の責苦を。慧音の看病を。自分自身を。この世界を。
全部、どうでもいい事だ。

だが、私が死なない事、死ねない事・・・・・・・少なくとも、これだけは確実に存在する事実であり現実なのだ。



「妹紅殿・・・・・・・・・」

ずいっ、と慧音が私にがぶり寄ってきた。
慧音はとても真面目な性格、私の言った事に何か気に障る所でもあったのだろう。
どうせ『諦めちゃ駄目だ』とか『頑張れ』とかそういうお決まりの台詞が続くにきまっている。
そして慧音は私の手を取り・・・・・・・・・


「御免ッ」


ぺちん


「うああぁっ!?け、慧音何をっ・・・・・・・!?」

あろう事か、再生したばかりの私の腕を(軽くではあるが)叩いたのだ。
生傷をさらに刃物で抉られるような、灼けるような痛みが走る。

「痛・・・・・・・痛いよ・・・慧音っ・・・・・・・・・・・!」
「済まぬ・・・・だが妹紅殿、いくら身体の傷が癒えたように見えても、痛い事に変わりはないのだろう?
 私はそれを少しでも和らげたいんだ・・・・・・あなたが少しでも苦しまずにいられるように・・・」
「・・・・・・・慧音・・・・・・・・・・・・・」
「・・・これは私の身勝手なのかも知れない・・・・・・・・・だが、幻想郷の歴史を紐解いても
 不死の力を得た者を元に戻す方法は見つからなかった・・・・・ならば私にできる事はこれしか・・・・・・・」


慧音は俯いてしまった。
私を助けられないという事に落胆し、自分の力の限界に憤っているのだろう。
よく見れば、硬く握り拳を作って歯を食いしばっていたりしている。
不死は私だけの問題のはずなのに、まるで自分の事のように真剣に考えてくれている慧音・・・・・
私は、本当にいい人に出逢えたと思う。

「・・・・・・慧音は優しいね・・・・・・・・・・・・」
「・・妹紅殿・・・・・・・・」
「私、慧音に出逢えて本当によかった。死なないだけが能の私を護ってくれるのは、あなただけ・・・・・」

慧音の手に自分の手を添える。
ピクリと震える細い指先。指を通じて伝わる、彼女の気持ち。
上手く説明できないけれど、私への真摯な想いが伝わってきたような気がした。

「そ、それは・・・・!・・・・・・私はただ、人として当然の事をしたまでで・・・・・・」
「それが嬉しいの・・・不死の身になってから、私を一人の人間として見てくれたのはあなたしかいないから・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」

真っ赤な顔になって慧音はまた俯いてしまった。
彼女も半獣とはいえ人間以外の身、並の人間よりはずっと長生きで人(?)生経験も豊富なはず。それなのにこういう空気には弱いらしい。
堅物というかウブというか・・・・・でもそんな所が可愛かったり。


そして、私はそんな慧音が大好きだ。
大好きだから、こんな病み上がり程度の身体でも彼女を前にして胸の高鳴りを抑える事ができずにいる。
まだ身体への負担が大きいというのに、いけない事だというのに・・・・・・





「ねえ、慧音・・・・・今の私の為に、あなたにできる事って・・・・・・・まだあるよ」

慧音の目の色が変わった。目を見開き、私の身体が病み上がり未満である事すら忘れて私の手を取る。
・・・・・・まあ、全身の痛みもある程度退いてきたので手を握られる程度ではもう痛くも痒くもないけど。

「そ・・・それは本当か、妹紅殿!?」
「ま、まあ・・・・あると言えばある、っていう程度だけど・・・・・・・」
「教えてくれ・・・・・・私にできる事なら何でもする!」

私の手を握ったまま、慧音はさらに近づいてくる。とても真剣な顔で、とても真剣な声で。
もう少しで顔と顔が触れてしまいそうな距離まで近付いてきて・・・・・



「じゃあ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私を抱いて」


近付いてくる慧音を逆に私が引き寄せ、慧音の反応を見る事もなく。

私は強引にその唇を奪った・・・・・・・・・・










「んっ・・・・・・」
「~~~~~ッ!!?」

まさか私がこんな事をするとは思ってもいなかっただろう。慧音は私の成すがままに唇を奪われ、
数瞬してようやく自分が何をされているのか理解したようだ。
私には最初の数瞬さえあれば充分、無抵抗の慧音の口腔に舌を挿し込み、舌と舌を絡ませる。
そっと抱き寄せた慧音の身体は驚きのためか硬直していて、舌も反応が鈍い。
それを解すようにゆっくり舌を這い回らせると、ようやく彼女も反応を見せてくれた。


「むぐっ・・・・ぷ・・・・・はぁっ!・・・も・・も・・妹紅殿、いきなり何を・・・・・・!?」
「何って、今言ったじゃない・・・・・・私を抱いてほしいの。私がこの痛みを忘れられるように・・・・・・」
「なっ・・・・・・・!」
「この身体の痛みを忘れられるように、忘れちゃうくらい、私に気持ちいい事してほしいの・・・・・・・・・・
 あなたは隠し通してきたつもりなんでしょうけど、知ってるのよ。満月の夜になるとあなたは・・・・・・」
「あ・・・・・!?」

慧音のスカートに手を突っ込んで探りを入れる。
今の慧音には、『ある物』が付いているはず。たまたまそれを見つけた時は驚いたものだけど、
今の私にはそれがどうしても必要なのだ。

そして、私の手がついに『ある物』を捉えた。


「ひぁっ!?」
「・・・・・・満月の夜のみ、慧音は半獣の姿となる。ヒトとケモノの中間の存在となり、男と女の中間の存在にもなる・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「私の痛みを和らげたいって本当に思ってるなら、お願い・・・・・・・」



慧音を抱き寄せてキスをして。さっきから心臓の鼓動をずっと感じる。私か慧音か、どちらの物だろう・・・・・?
・・・・もしかしたら両方かも知れない。
こういう空気に慣れていない(であろう)慧音が緊張するのは当然だろうし、私だってあんな事を言って緊張しっぱなし。
でも、今更引き返す事はできないし引き返すつもりもない。この想いは止められない。

「お願い、慧音・・・・・・・駄目・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
「・・・・妹紅殿・・・・・・・・・」



「―――んんっ!?」


今度は私が無抵抗になっていた。
まさか慧音がこんな事をするとは思ってもいなかった―――という奴で、逆に私が唇を奪われたのだ。
頭をしっかり押さえつけられ、突然の事に思わず息苦しさを感じても逃げられない。
そして無抵抗の口腔に慧音の舌が侵入し、あっという間に私の舌を絡め取った。

「あむっ・・・・ぅ・・・けい・・・・・・・・っ!」

言葉を挟む暇すら慧音は与えてくれない。舌先で私の舌を撫で、弄び、こそぎ・・・・・・
口の周りまでもがお互いの唾液でしっとり湿るほど、慧音は舌で私を蹂躙し続けた。


「はふっ・・・・・・は、はぅ・・・・・・・も、妹紅殿・・・・・・・・・・」

ようやく解放してくれて早々に慧音が言葉を重ねる。
ほのかに頬が赤味を帯び、視線もしっかり定まっている。さっきまでどぎまぎして俯いていたのと同一人物とは思えない。

「・・・・あらかじめ言っておくが、今の・・・・・・満月の夜の私はほんのわずかだが理性が欠けている。
 もしかしたら手加減できないかも知れない・・・・・・今みたいにだ。あなたは、それでも構わないのか?」
「・・・・・・・・・慧音・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「今のあなたの身体、できる限り労りたい・・・・・今のあなたにはまだ負担が大きいんじゃないかな・・・・・・・?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・そんな事、ないよ・・・・・・・・・・・・・・・」


慧音の気遣いが嬉しかった。
こんな私の傍にいてくれる慧音が嬉しかった。
そして、何時しか私は慧音の事を愛しく想うようになっていった。

だからこそ。
傷ついた今の私には慧音がなおさら必要なのだ。

「慧音が相手だったら、痛みなんていくらでも我慢できるから・・・・・・・・ね」
「・・・・・むぅ・・・・・・・・・・・・・」


俯いて慧音は考える。

1秒。

2秒。

3秒。


・・・・・・・・・


十数秒ほどしただろうか、ようやく慧音が顔を上げた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・分かった」
「慧音・・・・・・・・・」
「他ならぬ妹紅殿の真剣な頼みだ・・・・聞かぬわけにはいくまいよ」

そう言う慧音の顔は少しばかり赤く染まっていて、だからまた恥ずかしそうに少し俯いて。
でも、その顔はとても穏やかだ。


「・・・・・ありがとう・・・・・・・・・・・・・・・・」



なぜだろう、私も胸が切なくなってきて、何かこみ上げるものが来て。
泣きたいのか笑いたいのか自分でも分からず、ただ慧音の胸に顔を埋めていた・・・・・・・・・

(next)


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Last-modified: 2018-01-07 (日) 04:56:13 (1796d)