夜雀が村の守神に捕らえられて後、いくつもの月日が流れた……
村ではすっかり彼女を自然の恵みとして飼う生活が成立していた
朝は飼育係が卵を産ませて回収し、夜は村の独身者が性欲処理につかう日々の営み。
そして村の若衆の間では筆卸の練習代として雀を利用する風習が出来ていた。

少年も13の成人を迎え、若衆の先輩達に連れられて鳥小屋にやってきた。
松明の炎に照らされた少女の裸体。
止まり木とは名ばかりの杭、そこに繋がれた鎖が雀の足枷へと続いている。
小屋の隅で屈み、震えながら見上げる雀の前で少年は仲間に言われるままにズボンを下げた。
緊張して立たない少年を囃し立てる仲間達、その一人は手本とばかりに目の前で雀に咥えさせ
激しく出し入れするとあっという間に放出した。
どろっとした白濁液に顔を汚された雀を見て思わず少年のそれが反応した。
仲間達は雀の手を押さえつけて足を開かせ、少年をけしかける。
藁の上に組み敷かれた雀は小さな胸丘を上下させていた。仲間に言われるままに少年はその先端を口に含んだ。
口の中でかすかに大きくなったその先端に、少年は自分が受け入れられたように感じ、さらに強く吸い上げた。
そして少年が中に入ると雀は体をぴくっと震わせたが、それ以降はただ動きを受け入れかすかな声を上げるのみだった。
やがて律動と共に温かな雀の胎内に放出した少年は、兄弟となった仲間達の賞賛とからかいの声の中
顔を背けた雀の瞳がこぼした、一滴の涙を心に留めたのだった。

少年は父や兄、それに若衆の仲間にも雀について尋ねてみたが、誰も彼女の素性は知らなかった。
かつては言葉を話し、ときおり助けを求めていたというが、少年の父すら直接聞いたことはないという。
――悪さをしたから舌を抜かれたのさ、そんな昔話があったぜ
――妖怪が人語を解するものか、声といったって喘ぎ声をあげただけだろう
――そりゃあいい。なにせいくら使ってもキツキツだ、かみさんが居るのに通う奴も居るっていうじゃないか
――妖怪だからな
――ああ、妖怪だ
話はそこで終わってしまう。
誰も妖怪雀が卵を産み、男を満足させる、ただそれだけの道具になっていることに疑問を抱いていなかった。

少年は夜ごと雀の元に通うようになった。
無論他の男も通っているために小屋で鉢合わせることもある。
小屋の中からはかすかな少女の声と、聞きたくもない男の声
そして肉のぶつかりあう乾いた音、粘膜の擦れあう湿った音
少年は小屋の壁にもたれてそれらの音を聞きながら自分のそれを強く握るのだった。

その夜も、少年は雀の胎内に精を放った。
少年は快い疲労を感じながらも、同時に何か空虚な気持ちになっていた。
藁の上でぐったりと仰向けになっている雀を見やる。
胸丘から腹にかけて、無数の赤い痣がある。少年が、そしてほかの男たちが吸い付き、吸い上げてつけた痕。
赤い痣を目で下に追っていくと、さっきまで自分を受け入れていた秘裂に続く
太ももにもつけられた痣、いくつかは紫になって消えかけ、またその上に痕がつけられる。
痣に周囲を彩られた秘裂は、余韻のように小さく震えながら白濁した液をあふれさせていた。

視線を上に戻した少年と、雀の瞳が合った。
初めて正面から見つめられた。
少年は動揺した。
何かが伝わってくる、でもそれが何か分からない。
合わせ鏡のように雀の瞳の中に自分が映りその自分の瞳に雀が映っている。
少年は延々と続いていく瞳に吸い込まれるような恐怖を感じた。

唐突に少年に聞こえた救いの声は、聞きたくもなかったほかの男の声だった。
――終わったなら交代しろや。まったくお前の好きモンだなぁ、毎晩ヤってたら赤弾がでるぞ
小屋を出た少年が振り向くと、気の早い男が雀の髪を掴んで自らを咥えさせようとしているところだった。
男の汚い尻ごしに見えた雀の瞳は、すでに何の感情も持たない石の様な色になっていた。
少年は走り去った、走り去りながら自分が何の価値もない人間に思えて、泣いた。

三日、少年は雀の元を訪れなかった。
しかし四日目の深夜、その足が鳥小屋に向かっていた。
あの鏡の瞳を思い出す、雀に会いたくない。
雀に会いたい、会ってこの欲求を満たしたい。

少年を迎えたのは、石の瞳だった。
前の男との行為の跡が残った体、汗と唾液が松明を反射して起伏の小さな体を妖しく照らしている。
藁の上に横たわる雀の体、求めてきた体。しかしこちらを見ない石の瞳。
少年の心には安堵と、なぜか怒りがわいて来た。
「おら、しゃぶれよ。他の男にするみたいにみたいにしゃぶれ」
わざと声を荒げ、ほかの男の下卑た調子を真似て言う。
言いながら空しくなった少年は、取り消す言葉をさがそうとした。
しかし少年が口にする前に雀は膝行して近づくと、それを手にとって口に含もうとしたのだ。

少年の心に激情が走った。
自分が他の男と同じように雀を道具として扱っている
雀の口内の温かさを感じる。
いや、いままでもそうだったではないか。何故自分だけが特別だと思っていたのだ。
雀の舌先が先端をくすぐる。
言葉もかけずただまぐわるだけの自分は雀にとっての特別ではない、ただの男。
雀の舌が絡んでくる。
ならば他の男たちと同じように犯せばいい、道具にすればいい。しかし、ああ、あの瞳が。
雀の舌。
「あああぁぁっ」
意味をなさない声を上げながら少年は雀の頭を両手で抱えた。
そしてそのまま腰を突き出す。
口内が急にすぼまるのを感じる。
深く深く喉の奥まで自分のそれを送り込む。
舌が阻もうというのか、いっそう強く絡んでくる。
雀がむせて身をよじる。それでも少年は頭を抱えた腕に力を込め、腰を打ちつける動作をやめない。
舌はもはや自分のそれの下でうごめくばかり、喉の奥が狭くなって侵入するそれを拒もうとする。
何度目かの腰を振りながら少年は泣いていた、泣きながら何度も雀の口内へ喉へ自分の先端をこすり付ける。
「うっ、うわぁぁぁぁっ」
悲鳴のような声を上げながら、少年は雀の喉の奥へと精を放った。そして膝から崩れ落ちる。
泡立つような音を立てて雀の口から少年のそれが抜かれ、涎のしぶきが散った。

少年は泣いていた。
雀の下腹部に押し付けられた少年の頭からくぐもった嗚咽が聞こえてくる。
雀は口の端にまだ糸を引く精と涎の名残を見せながら、泣き続ける少年の背をさすっていた。

歌が聞こえてきた。
始めは自分の泣き声かと思った、恥ずかしさと情けなさと、どうしようもない喪失感で声を上げずにいられない。
歌が聞こえてきた。
自分をさいなむ感情が和らぐ気がした。許された気がした、誰にだろう。
歌が聞こえてきた。
顔を上げた、雀が自分を見ていた。あの鏡の瞳だった。
そこに映る自分を見たくなくて目をそらそうとした。
でも、歌が聞こえてきた。雀の瞳を真っ直ぐ見つめた。自然と言葉が出てきた。
「君は、名前は何て言うの?僕は……」

次の朝、鳥小屋に雀の姿はなかった。
止まり木と呼ばれた杭は抜かれ、夜露に濡れた藁だけが残っていた。
史書には二人のその後も、その名さえも残っていない。
隠されたのか消されたのか、それさえも歴史の守神の口は黙して語らない。

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 スレ625氏が受けたという電波を自分の中で熟成させたらこうなりました。
オリ男出すなら、無個性か鬼畜の限りを尽くして最後に死ぬかの二択と思ってたんですが。
無個性というのがよく分からなくなってしまいました。攻め役で無個性はきついですな。
 ミスティアが雀、という名前で一切本名出さないのもなるたけ
「俺のミスティア」感を減らせるかな、って思った実験なんですがどうでしょう。
嘘くせーって思った方は、ラストで慧音になかったことにされたってことで。


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Last-modified: 2018-01-07 (日) 04:56:13 (2273d)