幽々と白みし澄む月の歌

 平和な夜だった。
 あまりにも平和すぎて退屈な、しかし貴重な時間。
 いつだって夜は待ち遠しい。
 いつだって夜は静かで、安らげる。
 ……はずだった。

 夜が退屈だったのだろうか、退屈だからみょんな事が起きたのだろうか。
 どちらにせよその日白玉楼は、今までに無い……いやここ最近一回はあったかも知れない騒々しい夜に囚われようとしていた。

 ――夜は本当は寂しいから、いつだって賑やかな方が良いのだ。

「なんでこうなのかしら?」
 亡霊の姫君は扇で仰ぎながら、月を見つめている。
 亡霊だから涼しいと言えば涼しいし、涼しくないと思えば涼しくない。
 要は気分の問題だった。
「そうそう、風情ね。妖夢にはその辺が足りていないのよ、きっと」
 何もこんな夜に庭掃除をする必要は無い。
 夜はもっと、ゆとりを持つべきだと言うのに……
「いつからそこに居たのか知らないけど、掃除は朝するものだって、習わなかったの?」
 これは説教ものだ。と何かしら理由をつけて妖夢と少し話をするため、西行寺幽々子は面白おかしく振り向いた。
 半人半霊の少女、魂魄妖夢はいつものどこか間違った――しかし本人は至って真剣な仕事の顔をしていなかった。
 虚ろ。それでいて瞳の奥だけ赤々と、両の刀を構えたまま微動だにしない。
「あら、ひょっとして……さっき?」
 さっきと、殺気のニュアンスが混じったらしい。が幽々子にとってはどちらでも一向に構わない。どちらも何となく歓迎したい気分だった。

 ――何故だか知らないが、顕界では弾幕遊びと言うものが流行っていた。
 ある種極まったコミュニケーション、ある種あいさつ代わり。
 慣れてくると一日に六回はこなせるらしい。
 実際、一人そんな少女が遊びに来た。
 その時は他のことで手一杯で、さして歓迎出来なかったが……あの時の何とも言えない高揚感は、亡霊と言えども癖になりそうな遊びだった。
 が、冥界にそんな物好きは居ない。仮に居たとしても、姫である幽々子は恐れ多くて誘ったりはしない。
 だが、そう言えば一人だけ居たのだ。――いや半人か。一振りで幽霊10匹分の殺傷力を持つ長刀『楼観剣』を持つお抱え庭師、この目の前の少女妖夢。
 遊び相手としては、十分すぎると言えた。
 まして、どこかの誰かさんが主従関係によって生じる手加減をすっぱ抜いて下さったご様子。つまるところ――

「せっかくだから楽しみましょう、妖夢」
 幽々子はそんなこんなで、せっかくだから赤い瞳を瞬かせてこのみょんな一時を喜んで受け入れた。
 無言で応じる妖夢。はっきり言って真面目な上に無口だとかなり救いようが無い。
「……返事無し。後で罰掃除よ」
 罰も何も、掃除するのが妖夢の仕事だがそれはそれとして、優雅に扇を広げ直す。
 ――一足飛びに低い姿勢から長刀が横薙ぎに振るわれ、半瞬置いて四方に小さき御霊が散る。遅く、早く、緩急をつけながら、静かだった庭を覆い尽くしていく。
 幽々子は宙へ飛び退り、扇を一扇ぎ。美しく儚き蝶の群れが一斉に羽ばたく。
 辺りに居た亡霊達がざわめきだした。こんなことは、今までに一度も無い、大事だ。
 口々にそう言い合い、やがて……仲間を呼んで賭けが始まった。
 亡霊はいつだって陽気なのだ。
「すっかりお祭り。別にいいけど、祭り囃子が足りないわよ」
 にわかのどんちゃん騒ぎを見下ろしながら幽々子はナイフ、のようなものを創り出し、妖夢を目で追う。
 うっかり。
 どさくさに紛れて、妖夢は姿を消していた。
 代わりに伸びる赤い魂の列。まさかナイフを投げつける訳にもいかず、蒼い魂で絡めとるように押さえ込む。
 それがあだとなった。
「――ッ、妖夢」
 上空から手加減も何も無く、袈裟懸けに斬りかかってくる妖夢。左胸からへそ元まで刃が走り、次いで霊的な亀裂が走る。
「遊びじゃない、そう言いたいのね、妖夢」
 返し刃に乗り、幽々子は努めて静かにたずねた。
 返す言葉は無く、ただ両の刃が闘気に包まれていた。

「今はまだ未熟なれど、妖夢はいずれわしを越えるでしょう。師として、その瞬間に立ち会えぬのが心残りか……幽々子様、願わくば」
「皆まで言わないで妖忌翁、楽しみなのは私も同じよ」

『……かかるよに影もかはらず澄む月を、見る我が身さへうらめしきかな』

「妖忌が認めた天賦の才、見せてごらんなさいな」
 昔を想う幽々子、一瞬妖忌が託した言葉が甦る。それは無念、無念の残滓。
 そして、闘気に応じるかのように、その背に巨大な扇が現れる。
 無数の蝶が咲き誇り、生と死を分かつ冥道へと誘う只中を、妖夢は一閃と共に駆け抜ける。
 後に続く無数の衝撃が蝶を刻み、糸の如き閃きにより塵と化す。
 構えが変わる、天地上下、刃が空間すら切り裂く。
 緩やかに、時さえも……一時的に歪む。
 それでも、艶やかに蝶は舞う。切り刻まれた数だけ増えていき、しかし空を埋め尽くしても月明かりは変わらず地を照らし続ける。
 亡霊達は、だからこそ変わらず一夜の空祭りを楽しむ。
 だが、妖夢の剣は振るうほどに鋭さを増していく。今の彼女の剣は無心であり、一切の手心無く、純粋なまでに昇華された刃。
 故に、遮るものあらば斬って捨てられていた。
「迷いの無い刃、大したものね。でも、周りの迷惑ってものがあるでしょ」
 幽々子は諭すように蝶で出来た車輪を回し、誘う。
 それは結界、入ることは出来ても出ることは出来ない。蝶であり、蜘蛛の巣でもある生と死の囲い。
 妖夢が動く。一念を剣に託し、囲いを自らが創り出す囲いで以て貫かんと。
 刹那の重なりが綻びを生じ、結界の中心へと真っ直ぐに伸びゆく。
 そして、光が絡まった。

 切っ先一分、幽々子の胸元で刃は留まっていた。
 後一刹那でも捕らえるのが遅ければ、どうなっていたかわからない。
「捕食する蝶って、どうなのかしら?」
 冗談めかしく、幽々子は妖夢にたずねる。が、反応は無い。
 まるで胸元で眠る赤子のように、あどけない寝顔で――ただし剣は手放していない――糸みたいな光にくるまれながら、妖夢はしばらく後ゆっくりと口を開く。
「……ん、っぅ……幽々子さまぁ」
 ほぼ限りなく寝言だった。
「食べちゃいたい、って奴?」
 とりあえずなんか腹が立ってきたので、わさわさと妖夢の身体に手を這わす。飛び起きれば、少しは気分が晴れるかも知れない。
「ゃ、ぁ……んっ、そ……ぁっ――ゆ、ゆゆ!」
「お目覚め妖夢~。さて指は何本?」
「え? あ、二本です」
「正解よ。じゃあ罰ゲームね」
「何でですか! 説明を入れて下さい、説明を!」
 幽々子は説明の代わりに自分の胸元を指さす。
「……ええと、そう言えば何故私はこんな状態なのでしょうか?」
「謎ね」
「もしかしなくても、私の仕業ですか?」
「おおむね」
 ことさらにっこりと微笑む幽々子。
「あの、幽々子様? い、今にも食べられそうな笑顔なのは何故なのでしょうか」
「半分正解。それくらいの役に立って貰わないと本気で救いようが無いわよ?」
 指先の動きが、段々と妖しくなってくる。
「妖夢、大丈夫よ。せめて美味しく食べてあげるから」
「――調理と書いて死!?」
「幽霊聞きの悪い、生気を分けて貰うだけよ」

「そ、そんなぁ……ぁっ、そ、そこはっ」
 幽々子の指先が、やんわりと柔肌を這い回る。
 ボタンを一段ずつ外し、ブラウスをはだけさせる。
「ゆ、幽々子さま~そ、それは何か違う気が――ふぁっ!」
「違わないわよ。性は生に通じるのだから。さあ、気をやって妖夢」
 あまり飾りの無い、小さな白いブラ越しに幽々子は冷たい舌を当てていく。
 湿り気はまるでない、だが円を描くように、舌先で弾くように、ついばむようにしていく内、じっとりと妖夢の肌が汗ばんでくる。
「やっ、そんな……お止め下さい幽々子さ――ぁあ!」
 そばだってきた乳首を見て、優しく舐め回した後、軽く噛む。
「んッ――ぅ!」
 霊体を器用に使いながらブラを外し、身体を更に密着させる。
「んむっ、ぁ……んっ……ぁむ……ふぁ?」
 胸を擦りつけ合いながら、舌を、唾液を絡めとるようにして接吻する。糸を引きながら離れた唇と唇はほの甘く、再び胸に向かう。
 妖夢の口から含み取った唾液を滴らせ、擦り込むように舌鼓を打つ幽々子。
 それだけでは飽き足らず、右腕をスカートの内側に忍ばせ、窪みを二、三度指先でノックする。
「やっ――はっ、幽々子さまぁ~お、おやめくださ……っ、い」
霊体を腕のように使い、攻めを継続させつつ白いショーツを脱がせていく。
「桜は好きよ、妖夢。ほら、花開いてきたわ」
 既にそこは蜜が滴り、まだ生え揃っていない花唇は桜色に恥ずかしげに染まっていた。
「八分咲き?」
 ゆっくりと指先で割り広げていく度、溢れてくる。何度か舐め、花弁に沿って動かしていくその度に、妖夢の身体が跳ね上がる。
「ぃや、ぃやぁ……やだ、もうお止めくださ――んー……っ!」
 口ではいやがっていたが、妖夢の手は自然と胸に伸びていた。小振りな胸を、それでも必死にたくし上げ、撫で回し、ゆっくりと摘む。
 流し目でそんな痴態を見守りながら、幽々子は開花を待ちきれず、直接舐め始める。
「あら、やはりおぼこなのね……んふふっ、妖夢ったら」
「――ふぁっ! ぁあっ、……はっ、ぁ……それ以上は、っ」
 両手焦らすように花開き、中を舌でかき回す。そして器用に鼻先でつぼみを押し込んでいく。
「んぁーっ!」
 何かが吹き出てきた。ねっとりと絡みつく、ほの甘い液。と同時、おもらしでもしたかのように次々花びらを伝い、甘露が落ちていく。
「こういう時、とっても甘いと言ってあげるべき?」
「……っ、はぁ……っはぁ、ぁあ、も、もぅ――んっ!」
 妖夢の初々しい反応に気を良くした幽々子は、指先を沈める。かき回すように、中から刺激を与え、徐々に動きを早くしていく。
 一方で、実体のない腕とも舌ともつかない霊体を、首筋や耳たぶ、耳の穴まで伸ばし、容赦なく快感を引き出していく。
「妖夢の中、とっても温い。羨ましいわ」
「ぁっ! んっ! はっ! ――だ、だめで……幽々子さ、んぅ! 幽々子さまぁっ!」
「淫乱ね、この上なく。ほら、抜こうとしても絡みついて離れない」
 それでも無理矢理引き抜き、頬紅のように愛液を塗り付けてやる。逆手で再び零れだした露を掬い、口にくわえさせる。
「どう? 妖夢のお味は。甘い?」
「っ……はぃ、妖夢の汁、とっても甘いです。幽々子……さま」
 潤んだ瞳で幽々子を見つめ、頬を朱に染めながらけんめいに指をついばみ、胸をいじくり続ける。
 その様を楽しんでいる内に、自分の身体もわずかながら反応していることに幽々子は気づく。失ったはずの生の喜び、決して叶わないはずの感覚、それらが錯覚にせよ生れ出る。
「あっ? ど、どうして……その、急に舌を」
「妖夢がつけた傷、舐めて癒しなさい」
 ドレスみたいな死装束に出来た裂け目、そこから見える切り傷を見せつけながら命令する。
 途端、妖夢の表情が青ざめた。
「――そんな! も、申し訳ござ――ぁあああっ!」
 不意をついて、つぼみを爪先で弾かれる。思わずだらしなく涎を垂らす妖夢。
「謝ってる暇があるなら舐めなさい。傷跡が綺麗に消えるまで、止めさせないわよ」
「はっ、はぃぃいっ――」
 敬愛する主にこんな醜い傷を負わせてしまった。妖夢は己の未熟さを痛感し、羞恥心に堪えながら言われるまま、猫みたく懸命に舌を動かしていく。
 その間にも幽々子の更なる攻めは続く。最早止まることの無い淫らな湧き水を掬い、舌先で美味しそうに舐めて、首筋に擦り込んでいく。

 そして、悪魔的な笑みを浮かべながら後ろの穴に突き刺した。
「ひぁああっ!? っは、そ、そこは――んっ、違いますっ、ぅ~」
「いやいや、妖夢」
 耳元で、冷たくささやく。
「これは折檻よ、勘違いしないで」
 甘くやりすぎた。だから勘違いするのだ。そう感じた幽々子は、指を動かしながら思案した。
「と言う訳で、こういうのはどうかしら?」
 声を合図に、霊体を動かす。
「やっ、う、動いて? ……ぁああ! 入ってっ、くる?」
 ただし、動かしたのは妖夢の半身。
「な、なんでこ、んぁーっ! や、やだ……動かないでっ、だ、だめっ!」
 自分で自分を犯す。そのありえない行為に困惑しながら、しかし次第に慣れ始める。
「舌が止まっているわよ、妖夢」
「ああぁっ! もっ、申し訳ござ、っいません……っん、ゆゆ……こさ」
 一段と深く穴に指を差し込み、注意を促す。
 下の方では、半身がゆすり上げるように動き、中をえぐる。
「んっくはぁぁあーっ! ぁ、やだ、そ、そこ……気持ち、あっ、だめ」
「気持ちいいの、妖夢?」
「ん、も、もう少し……あっ? 何で急に止まって……」
 半身の動きが止まる。顔を上げると、意味深な笑みを浮かべる幽々子。
「あなただけずいぶん気持ち良さそうね、不公平だわ」
「あ……そ、それは。い、いぢわるしないでください……幽々子様」
 涙すら浮かべて、懇願。こんな妖夢見たことない。
「んー、そうね~こういう時は、おねだりかしら?」
 だからだろうか、尚更いぢわるしたくなるのは。
「そ、そんな~」
「素直になりなさい。私はどうしようもなく淫乱な牝奴隷です、ご主人様の太くて固いものを入れて中にいっぱい出して下さい。とか何とかそんなの?」
 素晴らしい無駄知識。自分で言ってて半分も意味がわかってない言葉を並べ、幽々子は妖夢の反応をうかがう。
 何というか、これ以上無く顔が真っ赤だった。
「ぁ……ぅ。わ、私はどうしようもなく……いっ、淫乱な牝奴隷です、ご主人様のふ、太くて固いものを入れ、中に……い、いっぱい出して下さぃ……」
「あら、本当に言ったの? 冗談だったのに」
「うぅ……ひ、酷いです幽々子様ぁ~」

「ふふ、そんな顔されると色々試したくなるわ」
「ひっ……一体、何を考えて」
 悪巧みの歪んだ口元に、妖夢は怯える。
「じゃーん、うずらたまご~」
 対照的に愉悦を浮かべる幽々子。色々と話題騒然らしい、褐色混じりの小さな卵を指先で摘みながら、これ見よがしに見せびらかす。
「え? あ、まさか……そんなっ!」
 投げつけて遊ぶとか、そんな類ではない。それは明らかにある一点を目指して動いていく。
「やっ――んっぁあああ!」
 まるで吸いつくように、花びらの奥に入り込んでいくうずらたまご。
「はっ、ぁあ……んっ、ぅ……なんでこんなこと」
「全部入りましたー、はい拍手ぅ」
「拍手、じゃないです! もぅ、こんな馬鹿なこと止めて下さい」
「あらあら、そんな酷いこと言うと押し潰しちゃうわよ?」
 下腹の辺りを指先でつつきながら、微笑む幽々子。
「ごめんなさい、馬鹿とかもう言いません、もうお止め下さいっ」
「中で割れたら、色々大変ね? 殻とか」
 指先を押し込み、そのまま丸を描く。意味不明な行動だが、それが逆に恐怖を煽る。
「いやぁーっ、だ、と、取り出して下さいぃ」
「取り出してって、何を言ってるの? 自分で出すのよ?」
「――えっ!?」
 思わず驚く。次いで赤らむ。想像しただけで物凄く恥ずかしい。
「ほら、がんばー」
 無責任に旗の代わりに扇で応援する幽々子。妖夢は恨めしそうに涙混じりの流し目を送りながら、下腹に力を入れ始める。
「んっ……ぁ……くっ」
 入ってくる感覚とは違う、異質な快楽が全身を突き抜ける。
「ゆ、幽々子さ……ま。そ……そんなにじっと見――息とか吹きかけないでくださいっ!」
「えー?」
 つまらなそうに指をくわえて首をかしげる幽々子。
「……もぅ。んぅっ……ふっ……ぁは、っあ、出る……出そうで、っ、す」」
 恥ずかしげな宣言と同時、汁まみれのうずらたまごが転がり落ちる。
「はい拍手ぅ~」
「わー……わー」
 何が面白いのかわからなかったが、なげやりな歓声を担当する妖夢。ここで乗っておかないと後が怖い。
「うみたて卵って美味しそうね?」
「はぁ」
「――んっ、ふふっ、ほんのり妖夢味。人肌で温まったところで美味しく頂きましょうか」
「……はぁ。って――ちょ、あのっ、ぇ!?」

 何となく愛しいような気もするうずらたまごが、幽々子の手で割られる。白い肌を伝う冷たい白身。むずむずして、こそばゆくて、少し気持ちいい。
「動いちゃダメよ妖夢」
 割る位置が下すぎた性か、白身はへそではなく更に下にあるなだらかなラインに沿って、流れ落ちていく。妖夢は強制的に脚を閉ざされ、それを受け止める。
 が、受け止めた後は強制されていない。自分の意思で堪えなければならないらしい。
「そんなこと――ぃ、ひゃぅ、っん」
 わざとらしく音を立てて啜る幽々子。休み休み舌が動き、その度に妖夢が悶える。
「はっ――ぁあ……ゃっ、そこはちが――んっ……っ…………ぁ!」
 膝が震え出し、唇をきつく閉ざし直す。それでも声は漏れる。
「ふぅ、ごちそうさまでした」
 満足そうに両手を合わせて一礼する幽々子。
「ぁ……ぉそまつさまで……した」
 だがまだ終わらない。無理矢理脚を開かせ、再び舌を這わせる。
「なっ、もう終わったんじゃ……ぁっ」
「だから綺麗にしてあげているのよ。ほーらじっとする!」
「は……っ、はい」
 細長い舌が内腿と下腹部をなめ回す。わざと中心から遠い外周部を攻め、なかなか肝心な場所に触れようとしない。
「あ……その、幽々子様。もう、そこはいいですから……ええと」
 恥ずかし気に下と幽々子の顔を交互に見ながら、おねだりの視線を送る。
「そうね、大体綺麗になったし」
「そう……ではなくて、あの……私」

 泣きだす妖夢。さすがにいぢめすぎたかも知れない。幽々子は少しばかり反省しつつ、お望み通り半身の動きを再開してあげた。
「なぁに妖夢ったら、さっきより濡れてるわよ?」
「そ、そんなっ……ぁ、っはぁ、嘘」
 蜜に濡れながら、半身が入り込む。わずかな抵抗、そしてゆっくりゆっくり沈んでいく。
「ぁ、ぁああ――ふあああぁ!」
 妖しく切ない鳴き声が響く。半身の先端が中で魚みたく跳ね回る度に、高く、低く……そして今まで以上に濃い粘液が溢れ落ちていく。
「いい声で鳴くのね。もっと聞かせて貰おうかしら」
 裾と一緒に腰布をたくし上げ、幽々子は妖夢の身体をゆすり上げるようにして激しく動きだす。
 花唇と花唇が擦れ合い、広がり合い、水音が鳴り止まない。
「はっ、ぁう――ん、ゆゆこさ……だ、だめで……ふ、んうっ! もう、だ……ぁ、ぁあ! ゆゆ――幽々子様ぁあああっ!」
 全身が伸び上がり小刻みに震え、遂に妖夢は快楽の頂きに達した。とても気持ち良さそうに瞳を閉じ、両手を垂らしながらこてんと転がる。
「んんっ――はぁー。瑞々しい気、御馳走さま、妖夢」
 生気を吸い取り、満足げに吐息を漏らす幽々子。お疲れさまの接吻をし、身体を離そうとした。
「……私、もしかして濡れてる?」
 そんなことあるはずはない、そう思いながら手を這わせると予想外の反応が返って来る。
「んっ……ぁ、嘘」
 妖夢の気に当てられたのだろうか。量こそ少ないが、指をくわえさせると糸を引いた。
「……そう、あなたの性ね妖夢。責任、取って貰うんだから」
 無茶苦茶なことをいいながら、くてっと倒れたまま動かない幼い肢体に再び肌を重ねる。
「……ぁ……ん……ゃ、あ」
 再び揺れだす身体。寝ぼけ眼みたいな目と脳が、腰の動きに合わせて目覚めだす。
「あぁ、いい……っぅ、いいわ妖夢っ」
 最初に目にしたのは、熱に浮かされたように動き続ける、愛する主の姿。
「ゃっ! ま、また……そん――ひぃゃああ! はげしっ」
「いいっ、いいの……もっと、もっと鳴いて――っ」
 最早どちらのものともわからない、淫らで濃厚な液がぬめり、零れて溜まっていく。いやらしい水音と、激しく絡まり合う花弁、それはまさに接吻だった。
「あっ――ああぁっ! だ、だめぇ……っ、ま、また」
「ふぁああっ――そうっ、いいのぉ……も、もうちょ――っ、ぁ、あっ」
 小さな胸を打ちつけ、擦らせながら気を高めていく。霊体が両者の全身を撫で回し、更に高みへ……
「だめ、ぁあだめっ――幽々子様っ、幽々子様! ――んぅあああっ!」
「はぁんっ、ぁあ――いや、いやっ――もう少し妖夢……っ、堪え――ぁ、ぅああ、んっ――ああああぁっ!」

 そして、終わりは唐突にやってきた。
 共に気をやった幽々子と妖夢。仲良く手を繋ぎ、蜜を垂らしながら、息を整えて話し始めた。
「全部妖夢の性ね」
「そ、そんな~幽々子様が……は、激しすぎるから」
「それはそれとして、みんなに妖夢の痴態……見られてた訳だけど」
「…………はぃっ?」
 言われて改めて下を見ると、亡霊さん達が大勢集まって宴会を繰り広げていた。
「明日から大変ね、妖夢」
「……嘘。なっ、何でそおういうことをもっと早く……ぁ、ぁああ……もぅ、お嫁に」
「妖夢、人の噂は七十五日よ。あなたは半人だから約四十日。もっとも幻想郷にまで噂は届いてるでしょうけど」
「うっ……ぅっ」
 さめざめと泣き崩れる妖夢。
「まぁ、見える訳ないけれどね」
「――はぅ!」
「相変わらず素敵に素直ね~まぁ、そういう所が気に入ってるのよね」
「……幽々子様」
 腕で涙を拭き取りながら。妖夢は真っ直ぐに幽々子の顔を見つめた。……なんだか、いつになく晴れやかだ。
「妖夢、私が間違ったことをしたら……いつでも斬りかかっていいのよ」
「そ、それは……て、丁重にお断りいたしますっ!」
「あらそう? それじゃ、後片付けは任せたわ」
 意味深に微笑み、好き勝手言って幽々子は去っていった。
「……は、はぃ」
 よくよく下を見ると、亡霊さん達は騒ぎ疲れて眠って? いる。そうなると、後は庭師である妖夢の出番となる訳だ。
 急ぎ服装を整え、地上に降り立つ。間近で見ると、うんざりするほど派手に散らかっていた。
「……こんなの、一人じゃ無理ですよ、幽々子様ぁ~」
「やっぱり、あなたたちが一番退屈しないで済むわねぇ。橙を使って饅頭をすり替えた甲斐があったわ」
 がっくりと肩を落としたところに、不意に声が聞こえてきた。
「だ、誰!?」
「ふふ、当ててみなさい」
 妖夢は目を凝らすが、姿は見えず、やはり声のみ。
「それにしても、いい声で鳴いてくれるわ。私も楽しませて貰おうかしら」
「――みょん!?」
 視界の端に蜘蛛の巣のような白いものが見えた瞬間、妖夢は傘を持った女性を見た気がした。
 叫びとも悲鳴とも取れる鳴き声を、月はただ静かに見守り続けていた。

 ……その後、妖夢はもう一仕事させられたとか、させられなかったとか。

       糸冬

あとがきのようなもの(仮)

 このSSは 匿名希望M子 さんのリクエストで作成したものであり、続きはありませんのであしからず(´-`)
 凶ツ剣・八雷とか言う 怪しい神速八連攻撃を思いついたが アレなので封印。
 みょんはともかく、ゆゆ様の台詞回しがとてもびみょん、大丈夫なのかしら。
 ……つーか ネチョいのかな これ?(倒

 まあそな感じで 黄フロの中の人とか ZUNセンセ 期待してます(ここに書いても

 東方と言えばうずら と言うことで追加してみたものの 何だかなー
 やっぱり割って使うのが正しい使い方のような気がします わ

犯人:サティ 『鉄錆妖精庭園』http://web1.incl.ne.jp/saty/ 
※期待するようなものは 何もありません(´-`)


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Last-modified: 2018-01-07 (日) 04:56:13 (2295d)