~ぉぃιぃぉっゅ~
「ぅう~~~ん………ん、ふぁ………」
大きく間延びした声を上げて、紫は目を覚ました。重い頭を振り、布団から体を起こすと、珍しく時刻は昼過ぎだった。紫にとって、これは早起きの内に入る。
「……あらぁ……」
欠伸を噛み殺しながら辺りを見回す。それから二度寝をしようと再び横になってみたが…珍しい事は続くもので、どうにも眠る気になれなかった。
「ん~~~………」
紫は少しばかり唸った後、渋々布団から這い出すと、ゆっくりと着替えを始めた。
「藍~? どこに―――って、あら…」
紫が食事を取ろうと自分の式神を呼び出そうとしたら、居間に書き置きがあるのを見つけた。それによると、今日は用事があるので家を開けるとの事。食事は作ってあるので、それを食べて欲しい…という事だった。
そして、橙の姿も見えない。時間も時間なので、どこかで遊び回っているのかもしれない。
「しょうがないわねぇ…」
何のかんのと言いつつ、紫は藍の用意した食事を平らげ、自室へと戻っていった。
* * *
「…あーあ、退屈ねぇ」
普段なら寝ているこの時間は、紫にとって退屈以外の何者でもない。何かしら、この退屈を紛らわせてくれるものは無いか…
「あ、そういえば…」
思い出したように、紫は部屋の押入れを探り出す。ややあって紫が押入れから取り出したものは、一本の釣竿だった。
「たまには隙間釣りもいいわね」
そう言うと、紫はおもむろに畳に隙間を展開させ、それを池に見立てるように釣り糸を隙間の中に垂らした。
「今日は何が釣れるかしら?」
この『隙間釣り』という遊びは、紫が暇つぶしの末に考え付いたものである。要は、隙間に漂う漂流物を釣り上げたりするものだが、それが時たま神隠しの原因になったりするものだから、やられる方は迷惑極まる。
しかし、当然そんな事は気にしない紫。釣果を期待して、心が躍る。
(少女隙間釣中………)
ぴくん…
しばらくして、釣り糸が揺れた。最初は僅かな揺れだったものが、段々と大きくなってゆく。
「それっ!」
それを見据え、外さないように思い切り釣竿を引っ張りあげる…!
「ひぇぇぇえええぇぇえぇええぇーーーーーー!!!」
すぽーーーーーーん!
情けない声と共に、隙間から釣り上げられる人影。宙で大きく弧を描き、天井に体を打ちつけ、顔面から畳に華麗にダイブ。
「痛っ! 痛ぁっ!?」
「……あら?」
鼻を押さえ、畳をごろごろと転がるその人物は、紫の知る人物(妖怪)であった。
「あらあら、何かと思ったら、あなたは…」
「うえ………? …あ、ああーーーーーー!!」
そして、その人物も紫の事を知っている。しかし、それはあまり思い出したくない出会いであったようだが…
「確か…リグルとかいったわね………覚えてる? 私、紫よ」
「あ…あう…あぅぅ……」
リグルにとって、紫との戦いは思い出したくないもの。一方的にボコボコにされて、酷い目にあったのだから、当然だろう。
そして、気付いたら目の前に当の本人が居る。逃げ出そうとしても、部屋から出られない。結界が張ってある…
「もう…そんなに怯えないで頂戴…? まるで、私があなたに酷い事したみたいじゃない…」
実際その通りである。が、もちろん紫はそんな事覚えていない。涙目でこちらを見上げるリグルを、困ったように見つめる。
「…まあ、いいか。どうせこの部屋は結界が張ってあって逃げられない筈だから、怖かったらそこの隅っこで震えてなさいな。私は釣りの続きをするから…」
「うう…」
紫はリグルから視線を外すと、再び畳に座り、釣竿を手に取った。
「今日はいいのが釣れそうね~」
最初の結果に満足している紫は、ご機嫌であった。
それから紫の意識が船を漕ぎ始めたのは、約十分後の事である…
* * *
「………ん」
紫が目を覚ますと、そこは布団の上だった。どうやら眠りこけてしまったようだったが、外はまだ明るく、時間にして一、二時間も眠ってはいなようだったが…
「ぁぅ……」
と、紫は何かを抱きしめていた。
「…あら?」
それはリグルだった。横になったままの紫にがっちりと抱きしめられ、逃げるに逃げられない、といった様子。
「………………」
「…うぅ」
恐らく寝ぼけて、抱き枕感覚で近くにいたリグルを布団に引き込んでしまったらしい。寝たままでも動けるのは、紫の得意技なのかもしれない。
「は、離して下さいよぅ…」
「……ええ~」
すっかり体を強張らせて縮こまっているリグルの訴えに、紫は不満顔だった。
「何だか具合がいいから、もう少しこのままで…ね?」
そして、一転して笑顔。その顔に、リグルは諦めたような溜め息をつきながら体の力を抜いた。
「はあ…何でこんな目に遭うんだろ…」
「まあ、運が悪かったと思って諦めて頂戴?」
「うう…」
あまり慰めになっていない慰めをしながら、紫は背後で開いたままの隙間を閉じる。
今日はこの辺りで隙間釣りは終わり。釣果は一つだけだったが、その獲物は大きいと言えた。
「………」
何故かというと、不思議な事にリグルを見ていると紫の心に何かウズウズとしたものが湧いてくるからだった。
「………何て言うか、食べちゃいたい?」
「へっ?」
思わず、口に出していた。
「い、今何て言ったの…?」
「ん~、何て聞こえた?」
「……すごく身の危険を感じた…」
紫に抱きしめられながら、リグルは体を震わせる。紫程の力を持つ妖怪と、息もかからんばかりの距離で体を寄せ合っている事に軽い眩暈を覚えた。気のせいか、体がむずむずしてくるような…
「…でも、何だかあったかい…」
「……ふふ。可愛いわね、あなた」
「っ!?」
と、ずい、と紫の顔がリグルに近付く。そして、
「ちゅっ」
「っ!?」
リグルの体が固まる。一瞬何が起きたのかを理解出来なかった。その柔らかい感触が唇に触れ、すぐに離れたのを。
「な―――あ、え?」
「うふふ、もーらいっ」
混乱するリグルを余所に、くすくすと微笑む紫。悪びれた様子もなく、ただリグルの反応を見て楽しんでいる。
「な、何するんですかぁ!? いきなり、こんな…!」
「あら、嫌だった?」
「っ…いや、そういう事じゃなくて―――ぇ……」
「……んふ…」
「ん―――」
…リグルの抗議は、再びの紫の口付けによって遮られた。今度は、長い触れ合い。突然の出来事の連続に、リグルはその流れに従うしか出来なかった。
「………ふう」
「………」
重なり合った唇を離し、リグルの瞳を見据える紫。その瞳は、とても優しく見える。
「こういう事は、初めて?」
「あ………は、はい…」
紫のその表情に、何故だかとても惹かれる。心臓が早鐘を打ち、思考がまとまらない。
「………ふふ。良ければ、もっと教えてあげるわよ…?」
「……ぁ…ぅ……」
リグルには、紫が何を言っているのかよく分からない。だが、体が熱くなってくる。
「もっとも、もう私の方も我慢出来そうにないわ………何だか、とっても不思議な気分…」
「あうっ!?」
紫の手が、リグルのお尻に伸び、リグルは体をビクッと震わせる。紫の手は、そのままお尻を揉みしだく。
「うふふ…」
「あ……止め…」
逃げようとしてもがいても、力が入らない。それどころか、体の熱はどんどん上がっていくようで、リグルは喘いだ。
「はぅ……あ、あ……」
「ん…可愛い…」
「ん、む、うぅ……」
そして、もう一度紫が口付ける。と、何か柔らかく温かいモノがリグルの口内に侵入してきた。
「ん……!? ふ、う、むぅ…!」
「んく……んふ、ちゅ…」
それは、紫の舌だった。驚くリグルだったが、口内を駆け回るその感触に身を任せる。すると、自然に体の力が抜けていった。その間も、紫はリグルの体をまさぐる事を止めない。
「はあ…あ……はぁ…」
「ふぅ、はあ…」
息が苦しくなったのか、ようやくリグルは紫のディープキスから解放される。失った酸素を求めて喘いでいると、紫が起き上がり…
「ふふ…邪魔なものは、脱いじゃいましょう?」
「あっ…!?」
リグルの服に、手をかけた。抵抗する間も無く、するすると脱がされてゆく。
「止め、止めて下さい…! そんな事…!」
「ほらほら、観念しなさい。お尻を触られて感じている女の子の言う台詞じゃないわよ?」
「や、違、あっ……!」
紫の手がリグルの下着に伸びる。そのまま一気にずり下げ―――
「―――あら?」
「あ、うう…」
そこで、違和感に気付いた。
股間に備わった器官。それは、どう見ても女のそれではなく、男のもの。その下にあるものは、閉じられた割れ目ではなく、小さな窄まりだけ…
「うぅぅ………」
リグルは、顔を真っ赤にして俯く。一方の紫は、驚いて一瞬止まったが…すぐに元に戻る。
「あらあら―――もしかしてあなた、男の子だったの?」
「~~~っ………」
少しだけ、リグルが頷く。それを見た紫は、くすりと微笑んだ。
「…たまには、悪くないかもしれないわね。男の子とするっていうのも、中々…」
「ふえっ…」
紫の言葉に、リグルは少し怯えたような表情を見せる。が、紫はそんな事で手を止めるような人間(妖怪)ではない。
「ほら、泣かないの。男の子でしょう?」
「そんな事言われても………あうっ!」
紫の手が、リグルの股間に伸びる。その細い指が、皮を被ったままのリグルのモノを探り当て、キュッと握る。
「うくっ!」
そのまま上下に扱く。控えめな大きさながらも膨らみ、そそり立っていくソレを、紫はリグルの乳首を吸い立てながら弄くる。
「あっ…はぅっ……やあっ…」
「ん、ちゅ……ふふ、女の子みたいな声を上げるのね…あなたって」
「ぁ……そんなトコ、舐めないで、下さ、あぁ……」
「ダメよ…そんな顔されたら、もっと可愛がりたくなるじゃない…」
「ひぇ…」
リグルの肉茎がぴくぴくと震え、先端から透明な汁が滲み出す。
「あ……な、何……? アソコが、ヘンな感じだよぉ……」
「怖がらなくていいのよ…? ほら、段々気持ちよくなってきたでしょう…?」
「よ…よく分からないです……でも、すごくぴりぴりする感じが…」
「そう…そのままを感じて…私に任せて…」
「あふぅ…」
しばらくして、リグルのモノは完全に勃起する。リグルは戸惑いの目で自分のモノの変化を見つめているが、紫はソレをうっとりと見ていた。
「皮被りで可愛いわね。剥いてあげましょうか?」
「え? あ、いや……その………結構…です」
リグルには、紫の言葉の意味する所がよく分からなかったので、とりあえず断った。
「なぁんだ、残念」
紫は短い溜め息をつくと、肉茎の先端から少し顔を出しているピンク色の頭をキュッと指の腹で擦った。
「いひっ!?」
あまり触れられた事の無い敏感な部分を急に擦られ、リグルの腰が跳ねる。
「敏感ね…」
「あっ…はあっ…ふぅ……」
紫はリグルの反応を楽しみつつ、勃起した肉茎を扱く。幼さの残る肉茎は、しかし先汁をどんどんと溢れさせ、それは紫の指に絡みついてゆく。にちゅ、にちゅ、と湿った音がリグルの喘ぎと重なり、ひどく卑猥なメロディを奏でる。
「うふ…とっても熱くて、硬くなってるわよ…? 立派ね…」
「あふぅ……ぅう…んんっ……!」
そろそろ『限界』が近いだろう、と思った紫は、動かす手を速める。
「やっ…何っ…!? 何か出るっ……! 出ちゃうよおぉっ……!!」
「そろそろね…? ほら、いっぱい出しちゃいなさい…?」
びく、びく、と震えるリグル。紫は、その呼吸に合わせて蠢く肉茎の下の小さな窄まりに、人差し指を差し挿れた―――
「うあ゛っ!? あ、うぁああぁああああぁぁぁぁあああーーーーーー!!!」
ぴゅっ! ぴゅるびゅっ…!
「あ、ああ、んんぅう…!」
ぴちゃっ、ぴちゃっ…
「ふふっ、いっぱい出た…♪」
「あふ……はああ……う………」
リグルの肉茎から勢い良く迸る白濁液。それはリグル自身に降りかかり、胸の辺りを汚す。更に、少量の飛沫がリグルと紫の顔にもかかり、その後遅れて湧き出してきた白濁は、肉茎を握ったままの紫の手に零れ落ちた。
「んふ…ちゅる……ん、美味し…」
手の平に滴るリグルの精液を、紫は妖しい目つきで舐め取っていく。一方のリグルは、自分の身に起きた事に困惑している。
「ぅぁ……何これ…? おしっこじゃ、ないし……白くて…べとべとしてるぅ……」
自分の胸にかかった精液を指で拭い、不思議そうに見つめるリグル。
「おちんちんもじんじんするし…病気かなぁ…?」
「病気なんかじゃないわ。これが出た時、とっても気持ちよかったでしょう…?」
「え………う、うん…これが出た時…頭がふわふわして、すごく…気持ちよかった……」
リグルの目は、精通の快感に酔っているように呆としていた。
「そうね。男の子なら、誰でも経験する事よ…」
そう言い聞かせるように、リグルの耳元で囁く紫。その手は、自分の服にかかっていて―――
「―――ふふ。今度は、私にもお願い…ね?」
ぱさ、と服が畳に落ちた。
* * *
「あう、あぅ―――」
服を脱ぎ捨て、座り込んだままのリグルの前に立つ紫。均整のとれた体が、流れる髪が、障子から射し込む光に照らされて光る。リグルは、そんな紫の姿を見て呆気に取られ、口をぱくぱくさせている。
「そんなに驚く事ないじゃない…もしかして、女の子の裸を見た事ないのかしら?」
「え? あ………チルノちゃんのなら、見た事あるけど…でも、そんな、胸も無いし…」
「なるほどね。お友達の裸なら、あまり珍しくないのかもね」
紫は納得したように頷くと、すっ、と布団に四つん這いになって、リグルに近付く。
「でも……」
「うっ…」
「『女』の裸は、見た事ないでしょう……?」
手を伸ばし、リグルを抱きよせる。リグルの顔を、胸の谷間に埋めるようにして優しく抱きしめる。
「…はい………いい、匂いがする…」
「あなたのココも…また大きくなってきてるわ。興奮、してきたのね?」
「ぇ……あ」
紫の裸体に反応したのか、リグルの下半身が再び鎌首をもたげてくる。
「元気ね。頼もしいわ」
「………」
本気なのか冗談なのかよく分からない紫の言葉に、リグルは困惑する。が、紫はそんなリグルをよそに、抱き合ったままの二人の体の間に手を滑り込ませ、肉茎を掴んだ。
「あっ」
「今度は…あなたもして頂戴?」
そう囁き、ゆっくりと扱く。一度射精したにも関わらず、それは先程と同じ硬さを取り戻している。
「あっ……するっ…って……何、を、ですか、ぁ」
「…分からない? そんな事は無いはずよ―――例え知識では知らなくても、あなたの本能が、私の体を求めるはず……」
「僕…の……」
リグルは、紫の言葉を脳内で反芻する。その度に、どくんどくんと体中の血液が沸騰したような騒ぎを起こす。
体がやけに熱い。頭もくらくらする。もやもやとしたものが、体を包み込んでいるようだ。この、衝動は―――
「はんっ、んむっ、んんんっ……!」
「きゃっ…! ん、んふぅ……」
突如、リグルが紫の唇を奪う。その不意打ちに少し驚いた紫だったが、すぐに口内に入り込んでくるリグルの舌を受け止め、絡み合わせる。
「んぐっ、ちゅ、ちゅる、ぷあ、ぷはぁ」
「あっ、ん、んぐ、ちゅぅっ………んはぁ…元気に、なったわね…」
「ごっ…ごめんなさい……でも…我慢、出来なくて……」
「いいのよ…欲しくなったんでしょう…? それは自然な事だもの…ほら、私だって…」
紫はリグルの手を取り、自身の秘部へ導く。そこは既に、蜜を滴らせていた。
「あ…」
「弄って……もう、我慢出来ない…」
紫に囁かれるまま、リグルは指を動かす。
くちゅ…
「んっ…!」
「あっ…あの……痛く、ないですか…?」
「大丈夫よ…続けて…」
リグルの指が、紫の中に入り込む。ずず、と肉を割り込んでいく感触が電気になって紫の体を駆けていった。
「はっ、あ……そ、う……かき回して……!」
「すごい……濡れてる…」
紫の体の変化に驚きつつも、リグルは更に指を動かす。その度に紫の肉襞はリグルの指を締め付け、多くの蜜を零す。
「はあ、はあ、あぁん……!」
ぐいぐいと、紫がリグルに腰を押し付ける。そうすると、自然と指は奥に入り込む。
「っあああ…! はぁ、ん、んはぁん…!」
「うくっ…」
リグルの頭を抱いて、紫が喘ぐ。すると、偶然にも紫の胸がリグルの顔に押し付けられる格好となった。
「はんっ…ん、ちゅぷ」
「あ、あぁああ! あ、おっぱいも、舐めてくれるのぉっ……!? いいわぁっ…!」
目の前にあった乳首を吸うと、紫の体が跳ね、激しい心臓の鼓動を感じる。リグルの心も、紫の昂ぶりに応じて体とアソコが熱くなっていくようだった。
「紫っ…さんっ…!」
「ひゃうっ…!」
どさっ!
その『熱』が限界に達した時、リグルは紫を押し倒していた。紫の上に乗る形となったリグルは、無我夢中で指を動かし、舌を動かし紫を愛撫する。
「あうっ……! ん、上手、よぉっ……!」
「んは、ちゅぷ、くちゅ、んん…!」
布団の上でびくんびくんと悶える紫。リグルが指と唇を離した時には、涎を垂らしながら、焦点の合わない目でリグルを見上げていた。
「もう………終わりなの? リグル…」
潤んだ瞳が、リグルを見つめる。
「はぁ…はぁ…」
「そんな事無いわよね…? こんなにアソコを硬くして…そんなに物欲しそうな目をして……」
桜色に染まった乳首が、つんと勃っている。
「はーっ……はーっ……」
「どうすればいいかなんて……分かるでしょう? 発情したオスとメスがする事なんて、一つしかないもの…」
ぐしょぐしょに濡れそぼり、花弁は女の香りを立ち上らせている―――
「………ううっ……ああああっっ!!」
ずっ、ずぶぶっ…!
「んはぁあぁあぁぁぁあああ………!!」
「う、くううぅっ……!!」
リグルの頭の中で、何かが吹き飛んだ気がした。気が付けば、リグルはいきり立った肉茎を紫の膣内に一気に突き立てていた。
「はうっ、んっ、ぐっ、くうっ!」
「はぅうんっ…! いきなり、はげし、い、わぁっ……! あぁぁあっ……!!」
びゅる、びゅ、びゅっ!
「ううううっ!!」
と、すぐに射精してしまう。しかし、それで終わらなかった。射精したばかりだというのに、リグルの肉茎は未だ硬く、紫の膣をかき回し続けている。
「んあぁあっ…!? 出したばっかり、なのに、全然、元気なのぉっ……!?」
「うあっ、あああっ、気持ちいい、気持ちいいよっ……!」
ぐちゅ、じゅぶ、じゅぶっ…!
リグルは夢中で腰を振り、その下で紫が跳ねる。結合部からは泡になった精液が零れ、布団を汚す。
「あああん! んはぁぁああ!! リグル、リグルっ…! もっと突いてっ……もっとっ…もっとおっ……!!」
「くっ、くうっ、くあああっ!!」
理性なんて、とうに吹き飛んでいた。そんなものは、今この時には邪魔なだけだ。
「んんっ、ふぐ、う、うぅっ…!」
「んふうっ…ちゅる、ちゅぱ、はむっ、んんん!!」
荒々しく互いの唇を貪る。弾力のある紫の乳房を捏ねくりながら、呼吸すら交換するような激しい口付けを交わす。
「ふぁうっ……ああぁ!!」
ぶるぶるとリグルの腰が震え、滾る欲望が紫の中に注ぎ込まれる。ずる、と引き抜かれた肉茎は未だ収まりを見せない。それどころか、どくどくと白濁液を吐き出し、紫の腹から胸を白く汚していく。
「止まらない……おちんちんの気持ちいいのが、全然、止まらないよぉ…」
リグル自身も、自分の体の変化に戸惑っているようだった。しかしその間にも、リグルの本能は、紫の体を求めて止まない。
「もっと……もっと欲しい、よ」
「ん―――あ、んふぁ…」
リグルの責めにうっとりとしていた紫は、自分の体が抱き起こされる感覚を得た。そして、
ずぷぅっ!
「んひぁっ!?」
直後、脳天に突き刺さるような快感。紫の体は、胡坐をかいて座っているリグルの上に乗せられて、下からずんずんと突き上げられていた。
「は、あ、ぁぁ、あ、ん、ひぁっ、はあっ!!」
体重がかかる分、余計に深く挿入される肉茎の快感に、紫は悶える。肉茎が膣内で跳ねる度に放出される精液の熱さに、紫は何度も達していた。
「はひ、ひいぃぃぃんっ……! イくっ…! 私、イッてるのぉっ……!!」
「んうぅうぅぅっ!! 紫さんの中、キツいよっ…!!」
紫が達する毎に収縮する膣が、更にリグルの快感を高め、射精に導く。そんな天国じみた悪循環の中でさえ、二人はその行為を止めようとはしなかった。
* * *
ぐちゅっ! じゅぶっ! ずちゅっ!
「んあ、あああ、あぁぁあぁあああ!!!」
がくんと、紫の体が崩れるように布団に倒れこむ。横になった紫の片足を持ち上げ、そのまま突き刺す。
「はぁんっ!! んあっ! あぁぁぁあん!」
「ああ、出る、出る! 出ちゃうううっ!!」
びゅく、びゅくぅっ!
注ぎ込む。引き抜く。溢れ出す。太股がべったりと汚れる。
どさり、と紫がうつ伏せに倒れる。構わず、紫の尻を持ち上げる。
ぐじゅうっ!
「んふうぅうぅうぅぅぅ♪」
紫は悦楽の声を上げながら腰を振る。それに応えるように、リグルも腰を振る。
もう何度射精したか分からない。肉茎は衰えを見せない。
明らかに、何かがおかしかった。
でも。
もう、どうでもよかった。
「うあ、ああぁあぁぁぁあぁあぁあああああ!!!」
どぷ、ごぽっ…! びしゃっ、びちゃっ……!
「あひぃっ……♪ あふぁ……んあぁぁぁああぁぁぁあ………♪」
紫の中から抜いたリグルの肉茎は亀頭が露わになっていた。赤みの強いそれは、射精の快感にうち震えている。弧を描いて飛んだ精液が、紫の背中に降りかかる。
「はぁ……ふふふ……剥けた、わね…♪」
「……はぁ………は…い……」
上体を起こし、膝立ちで呆然としているリグルを見る紫。その目は、何かを隠しているかのように妖しく輝いていた。
びゅ、びゅぶっ……
「あうぁっ…」
「あはっ…♪」
触れてもいないのに、射精するリグルの肉茎。一向に量の減らない精液を顔に浴び、紫は満足げだった。
「ど、どうしてぇ……? 僕のおちんちん、壊れちゃったよぉ………止まらないのぉ…まだ……出したいって言ってるよぉ…」
涙目になり、紫に助けを求めるリグル。それを見た紫は、くすりと笑ってこう言った。
「そんなの、当然よぉ………だって、私があなたの不能と絶倫の境界を弄って、超絶倫体質にしちゃったんですもの………止まるなんて、ありえないわぁ……ふふふふ……」
「………………!!!」
その宣告に、血の気が引いた。紫の言う事はよく分からなかったが、このままでは射精が止まらないらしいという事だけは分かった。
しかし、血の気が引いたのは心の話であって、肉体の方は当然熱いままである。
「止め、て、止めて、よぉ……」
こらえ切れない涙が頬を伝う。気持ちいいのに、出したいのに、これ以上出すと、本当におかしくなってしまいそうで。
「ふぅん……それじゃあ、こうする?」
「ぇ……」
キュッ…
「!!」
慌てて自分の肉茎を見る。と、その根元にはリボンが結ばれていた。
「これで、精子は出なくなるかもね。…でも、我慢、出来る?」
「ぅ、ぁ……」
リボンできつく縛られたリグルの肉茎は、さっき以上に脈打って、雪崩が起きる直前の山のようだった。
確かに出なくなるかもしれないが、それは『出したくても出せなくなる』という事。今まで何度も射精をして、その快感が体に染み付いた今のリグルにとって、それは今まで以上に酷い拷問だった。
「ぁ………か………」
リグルは苦しげに息を吐き出す。外そうと思っても、魔力が込められているらしきそのリボンは、外れてくれない。肉茎の先端からはとろとろと壊れた蛇口のように先汁が溢れてくる。
「あ、か、ひぃ…」
「…あらあら、こんなにおツユを零しちゃって…いいわ、舐めてあげる」
「―――え」
「はくっ……」
「~~~~~~っっ!!!」
待って、と言う前に、無遠慮にリグルの肉茎を口に含む紫。直後、ビリビリとした快感がリグルの全身を貫いた。
「ふぐ、じゅ、じゅぷっ……んふ……ひっぱひ…でてりゅ、はねぇ……ほんと、とまらなひ、はぁ…」
「あ、あああ、ああ、あ」
紫の舌が、射精出来ないリグルの肉茎を舐る。唾液をたっぷりと含ませ、歯でこそぐように陰茎を扱き、露わになったばかりの亀頭と、その裏筋を舌でチロチロと舐め、先端に吸い付く。と思えば、口全体で呑み込んで、陰嚢にまで舌を這わせる。更に、指を肛門に差し込んで、ぐりぐりと前立腺を刺激する。
「はぐ、じゅ、んぶ、んふぅう……ふぅんっ…あむ、じゅ、じゅるるぅ……♪」
「あ、あひ、ひぃ、ぃ、ひ、あ、ひ、い」
ビグン、ビグン、とかつて無い程の震えを見せるリグルの肉茎。普段ならとっくに射精しているだろう刺激にも、しかし射精する事が出来ない。
「あ、あ、が、ひ」
出来ないのに、脳は次々と快楽を全身に送り、心臓は容赦無く血液を海綿体に送り込む。もう、破裂してしまうのではないかと思えるくらいに、体は絶頂を求めていた。
「はひ、ひあ、ひぃ、はひぃ」
体を引きつらせて喘ぐリグル。と、紫が肉茎から口を離した。
「…ふふ…もっと楽しませて貰うわよ…?」
「ふぇ…?」
何を、と思う前にリグルは今度は押し倒される。天を突く程にそそり立った肉茎。その上に、紫がゆっくりとまたがっていった。
「ま、また、いれる、のぉ?」
「半分正解。でも、今度は、こっち…♪」
「え」
紫が肉茎に宛がったのは、割れ目の下の小さな窄まり。紫はそこを指で弄ってほぐしていた。
「そ、そんな…せまいとこ、むり、だよぉ」
「んっ…大丈夫、よ…んんっ……♪」
ず、ずぐ、ぐ…
「あ、ああっ! あああっ! あっ!!」
めりめりと肉を裂くような感覚と共に、膣よりもかなり狭い肉洞に呑み込まれてゆくリグルの肉茎。その刺激だけで何回も達してしまうリグルだったが、射精出来た訳ではなく、頭の中で何かが爆発しているような快感だった。
「あ゛、あ゛、あ゛!!」
「んふうぅっ……!! ああ…熱くて、硬いぃ……私のお腹、ごりごりって、抉ってるのぉ…♪」
ずぶ、ずぶ、ずちゅっ!
どぷどぷと流れ出す先汁が、結合部から溢れ出している。紫の腰の動きが早まるにつれ、淫猥な音が部屋に響く。
「はっ、はっ、はっ、はぁあぁあぁぁあぁあん♪」
「……! ………!! っ~~~~~!!!」
快感を貪る紫に対して、リグルの表情はとても苦しそうだった。
無理もない。
絶倫にされ、射精を封じられ、更に強烈な快感を叩き付けられている。それは、快楽という名の地獄だった。
「んんんっ……!! ………っ、はぁ、ああ…♪ …ふふ。私、お尻でイッちゃった…♪」
「………ぁ、ぁぁ………ぁ………」
一通り達して満足そうな紫とは対照的に、ひどく哀しそうな顔を見せるリグルは、うわ言のように何かを呟いていた。
「……ん? 何か言ったの、リグル?」
「ぁ………………だし………た………」
「………ん? なぁに? リグル…」
「だし、たい………だいしたいよおぉ……」
「何を…? はっきり言わなくちゃ、分からないわよ…?」
リグルの細かく震える唇に耳を近付け、わざとらしく聞いてみせる紫。だが、リグルにはそれにふざける余裕は無い。懸命に、訴える。
「ださせてぇ……せーし、ださせてよぉ……もお…こわれちゃうよぉ……せぇし……だしたい……」
涙と涎で顔をくしゃくしゃにして、腰を震わせながらリグルが懇願する。紫は肛門から肉茎を引き抜くと、尋ねる。
「…いいの? 出したくなかったんじゃないの? 止めて欲しかったんじゃ、ないの?」
「うぇぇ……ごめんなさい……だしたいです……せぇし…いっぱい……いっぱい……」
「…ふぅ~ん……いいけど? でも、ここで出したら、気持ちよすぎて壊れちゃうかもよ…?」
くすくすと微笑みながら、紫はリグルの肉茎を指で弾く。それだけで、また先汁が跳ねる。
「……ふぁぁ…いいの……もう…ぼく……こわれてるもん……おちんちんいっぱい…せーし、ぴゅーぴゅーだしたいって……ゆかりさんに…いっぱい…いっぱい…せぇし、かけたいって…おもってるんだもん……おちんちん、いっぱいきもちよくなりたいってぇ………」
半ば自失したかのような表情で喘ぐリグル。それを見た紫は、そっと結ばれていたリボンの端に指をかけた。
「………分かったわ。解いてあげるから…いっぱい射精して、いっぱい私にかけて―――いっぱい、壊れちゃいなさい―――」
「はぁ、あ……!」
「んふ……」
そして、紫はリボンを解く前に、一度肉茎に口付けた。唇を離すと、唾液の代わりに先汁が紫の唇と繋がって銀の糸を紡ぐ。
「はむっ……じゅうっ…!」
「んんんん!!」
と、不意打ちとばかりに紫が再び肉茎を一気にしゃぶり立てた。完全に気を抜いていたリグルは、一瞬にして性感を最高まで高められ―――
「………ふふ、イッちゃえ…♪」
今までとはひどく違う、紫のとても無邪気な声が、聞こえた。
しゅるっ…
「………………っっああぁぁああぁぁぁあぁあぁぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁああぁぁああぁああぁぁああぁあぁあぁぁあぁぁぁぁあぁああぁあぁぁああぁああぁああぁぁあああぁあああぁぁぁあぁああぁぁあぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」
どびゅううううぅぅっっっ!!! ぶびゅっ! ぶびゅびゅびゅっっ!! びゅ、びゅるびゅるっ!
「ああ゛あ!! あ゛、あああああ!!! ああぁぁ゛ぁあ゛あぁぁ゛ぁぁあ゛!!!!!!」
ぶしゃっ、しゃあっ、ぶしゅううっ……!! びく、びぐ、びくくんっ!!
「~~~~~~~~~っっっ…………………!!!!!!」
どぐっ…どくっ……どぷ…どぷっ……びゅーっ……びゅーっ……
「………………………ぁ………………………は………………………♪」
―――長い、長い射精が続いた。瀑布のように噴出したリグルの精液は、紫の体に降りかかり、自身の体に降り注いだ。もう体中が白濁でどろどろに汚れ、疲れきり、指一本動かす事も辛い。
「あふぅ……あぁん…べとべとぉ…♪」
紫は、精液まみれの自分の体をうっとりと見ていた。…何が楽しいのか、正直リグルにはよく分からなかったが。
「…あ、おちんちん、元に戻ってる…?」
そこで、リグルは肉茎が萎んでいる―――つまり、元に戻っている事に気付いた。あの苦しさはもう無く、今はすっきりとした射精後の余韻が体を包んでいる。
「ご苦労様、リグル……どう? 気持ちよかった、でしょう?」
「……はぁ…はい、とっても………でも、リボンは苦しかった、です……」
「ふふ、ごめんね。何だか、あなたはついつい弄りたくなっちゃうのよねぇ…」
「…ひぇぇ」
これ以上何かされるのか。そう思って、思わず身震いするリグル。そんなリグルの様子を、紫はくすくすと笑って見ていた。
* * *
その夜。
「ただいま~!」
慌しく玄関を開ける音と、直後どたどたと廊下を駆ける音が橙の帰宅を告げた。
「おかえりなさい、橙」
「ただいま、紫様! ……って、あれ?」
居間にいるのは、三人。紫と、橙と…そして、リグル。
「こ、こんばんは、橙ちゃん…」
「どうして、リグルちゃんがここにいるの?」
「…あら、リグルは橙ともお友達なのね」
反応は、三者三様だった。だが、とりあえず目を白黒させているのは橙だけなので、手短に説明する事にした。
「ええ~っ、わざわざウチまで来てくれたの? それなら先に言ってくれればよかったのに…」
「う、うん。ごめんね? 今度からは気をつけるよ」
橙には、リグルが橙を訪ねてわざわざマヨヒガに来たと説明した。もちろん、昼間の情事の事は言わない。
「リグルちゃん、これからも橙をよろしくね?」
「あ、は、はい」
紫に微笑みかけられ、どきりとするリグル。
あの濃密な時間の後、リグルは紫と一緒にお風呂に入ったり部屋を片付けたりで忙しかった間、何度も誘惑された。その所為か、紫を見ると赤面してしまうのだった。
「さあ、ご飯にしましょう。今日はリグルも一緒よ?」
「わ~い」
「…はは」
何だか、乾いた笑いが出てくる。どうも、リグルは大変な人物(妖怪)に気に入られてしまったようだ。
その日の八雲家の夕飯は、赤飯だったという。
了
<後書きらしく…ならない>
リグルかわいいよリグル。でも後半微妙に壊れた。ひぇぇ。
不能と絶倫の境界。何だそりゃ?(ぉ 止まらないって怖い。ひぇぇ。
リグルと橙とチルノとルーミアは幼姦カルテットで色々と出来そう。うぎぎ。
隙間釣りとか蝶適当…あと後書きとか投げやりすぎぎg(ぉ
書いている人:謎のザコ