「く……」
 ぎち。
 ぎち、ぎち。
 なんとかこの囚われた状態から脱しようと足掻くが、お札はがっしりと服を貫通して木に深く刺さり、びくともしない。こんなことならばいっそすぐに破れる服にしておけばよかったと思う。
「こらこら。もう、落ち着きの無い子なんだから」
 霊夢はアリスにそれだけ言うと、魔理沙の後ろに回りこんで、その身体を捕まえる。
「魔理沙を愛してあげたいんじゃないの? それならまず、大人しく見て知っておいたほうがいいと思うな」
 霊夢は魔理沙の耳を、表面に触れるかどうかくらいのタッチで軽く撫でる。
 それだけでがくがくと震える魔理沙の身体。
 霊夢は魔理沙の身体をアリスの真正面に向けて、それをあからさまに見せ付ける。
「ほら、しっかり見てあげなさいよ?」

 魔理沙の身体を支えながら、両腕でふとももを持ち上げ、ぐっ……とゆっくり開脚させる。そのまま腰を前に突き出させて、ちょうど女性器の部分を一番前に押し出して、見えやすいようにする。アリスから。
 めくれ上がったスカートの奥に、すでにねっとりと愛液が染み出して完全に奥が透けている下着が姿を現す。
 粘っこく白濁した液は下着の上に貼り付いているのみならず、つつ……とふとももからお尻にむかって垂れ落ちている。
「あ……や……」
 魔理沙は両手で顔を覆い隠す。既に抵抗する力は無い。
「……」
 ごく。
 アリスは一瞬、拘束に抵抗するのを忘れる。
 いけないと思いつつも、魔理沙のそこにしか目がいかなかった。そこは、細く小さい身体に見合わず、あまりに淫らに快楽を主張していて。
 見ている間にも、また。
 じゅわ……と新しい愛液が染み出し、表面を泡立てていく。魔理沙は恥ずかしそうにさらに俯く。
 その光景に、怒りや焦燥感が吹き飛びそうになってしまう。
 あまりの淫らさに。あまりの愛しさに。
 どく、どく……と、また心臓の音が大きくなるのを感じる。
「ほら、あんたも見たでしょ」
 ――霊夢の言葉に、はっと我を取り戻す。アリスはばつが悪そうに、あわてて魔理沙から目をそらして、霊夢を睨みつける。
 霊夢は面白そうに笑う。
「魔理沙はね、恥ずかしいことが大好きなの。今だって、あんたにこうやって見られてるだけでまた……濡れちゃってたんでしょ?」
「……っ……」
「……なに……よ! それもあんたの呪いの仕業なんでしょ!」
「あら、否定はしないのねえ。やっぱりちゃんと見てたんじゃない」
「……く……っ」
 くすくす。
 毎度わかりやすい反応をするアリスに、霊夢は満足して頷く。
「残念。私のお札はとってもエッチに気持ちよくはしちゃうけど、人の性癖まで変えたりはしないわ――それとね。実はとっくに、呪いの効果は切れてるの」

 霊夢は両腕を魔理沙の身体から外す。外れても、魔理沙の脚は閉じない。
 余った手を使って、つつ……と、魔理沙の首筋に指を這わす。
「……んぁッ……!」
 魔理沙は堪えきれず、顔を上げて喘ぐ。
 さらに指を、服の上から、肩に、腕に、指先に。
「んんん……っ」
 びく、びくん。
 ぐちゅ……
 魔理沙が震え、触ってもいない下着の奥から濡れた音がはっきりと響く。
 とろとろと、粘った半透明の液がまたふとももを伝わり落ちる。
「見られてるってだけで、こんなに反応しちゃうんだから」
 また意識が完全に魔理沙に向いていたアリスは、霊夢の言葉でもう一度頭を振って冷静さを取り戻そうとする。
「……だ、だいたい……! あなたが魔理沙の……その、趣味、のことなんて……知ってるわけないじゃないの……! でたらめよ!」
 だから、やはりそれも呪いの効果なのだと。
 アリスは主張する。
「あら、魔理沙のことならあんたよりよほど知ってるけど」
 霊夢は、くいっと魔理沙の顔を抱き寄せて、小さな胸の中に収める。
 人差し指を魔理沙の口元に運んで、唇をつつっと撫でる。魔理沙の口が開く。口の中に指を突っ込んで、舐めさせる。
「私達、そういう仲だし。――ねえ?」
「……」
 魔理沙はその言葉には、俯くだけで、否定も肯定もしなかった。
「そ……そういうって……なによ……」
「見ての通りよ。恥ずかしく苛められるのが大好きな魔理沙と――」
 薄く、冷たく笑いながら、霊夢のもう片方の手が、魔理沙の首元を捕まえ、軽く爪を立てる。
「苛めるのが大好きな私と、利害が一致しただけ。最初はちょっとからかってただけだったんだけどね。反応が可愛いからもしかしてと思ってちょっと本気で苛めてあげたら、魔理沙ったらすっかりハマっちゃって……ねえ」
「……嘘」
「この状況を見てまだ嘘だと思うのかしら。――ああ、そうそう。別に愛がどうこうって話じゃないから、安心していいわよ」
「……! か、関係ないでしょ、そんなことは!」
「そうかしら」
 霊夢は両手を使って、魔理沙の腕、指先、脇、腰と、指先を走らせる。
「んんふ……ぁ……」
 何度も、何度も跳ねる魔理沙の身体。
 愛撫というよりも、くすぐっている程度のタッチでしかない。それを霊夢は執拗に続けていく。
 それでも、魔理沙の下着からは、どこまでも際限が無いかのように洪水のように愛液が垂れ流れ落ちてくる。ぼたり。ぼたり。スカートの上にまで伝わり落ちて、濡らしていく。
「あ……やぁ……もっと、ちゃんと……」
「……っ」
 魔理沙のねだる声を聞いて、アリスはぎゅっと目を瞑る。
 聞いていられない。魔理沙が霊夢の愛撫で感じているような声など、もっと霊夢を求めるような声など聞きたくない。
 だけど、魔理沙のその声を聞いて、アリスは確かに、悔しさだけでなく、全く違う感情が湧きあがってきていることを自覚していた。
 ――自分の今思ったことに、愕然とする。
 やめろ、魔理沙を苛めるな。そう思っていたはずなのに。
 今は確かに、自分が魔理沙を苛めたい、そこにいるのは霊夢ではなくて自分であるべきだ――そう思ったのだ。
 霊夢の手が、ふとももや膝の裏を撫で、軽く揉む。
「あっ! あっ……! ん……ぁっ!」
「凄く感じてるじゃない。見られてるからでしょ? それとも――」
 くにゅ……
「あ、ああああああああぁぁっ……!! んはぁっ! ん……ッ!!」
 霊夢の両手が、服の上から胸の下部を軽く揉むと、それまでよりはるかに激しい反応で、魔理沙は叫ぶ。
 明らかにそれだけで、絶頂に達していた。
 虚ろな目ではあはあと荒い息を吐く魔理沙の耳元に少し口を近づけて、しかしアリスにもしっかり聞こえるような声で、霊夢は言った。
「いつもより凄いのは、見てるのがあの子だからかしら……?」
「……ッ!!」
 びくっ
 その声に、魔理沙はもう一度、達する。

 ――どくん。
「あ……」
 抑え切れない。
 アリスはその瞬間、間違いなく欲情していた。魔理沙の、その姿に。
 魔理沙の反応に。
 かぁ……と一気に身体に熱を帯びていく。脈も、呼吸も、どんどん速く激しくなっていく。
 欲情している。
 魔理沙に。
 魔理沙に。
 愛したい。
 苛めたい。
 確かめるまでも無い。魔理沙が苛められる姿を見て、アリスも間違いなく――濡れていた。
「素直になったみたいね」
 霊夢はアリスの変化を感じとって、微笑む。
「……ぁ……アリス……」
 魔理沙は、とろんとした目で……求める目で、アリスを見つめる。
「ほら魔理沙、よかったわね。ホントはずっと……あの子に苛めてほしかったんでしょ?」
「……」
 目を細め、微かに俯く魔理沙。
 恥ずかしそうに目を伏せはしたが――霊夢の言葉を否定はしなかった。
 そうだ。思えば魔理沙は、ここまでも、霊夢の言葉を一切否定していない。それが、答えなのだ。
「……ま……魔理沙……?」
 どくん。どくん。どくん。
 このまま身体を内側から突き破ってしまいそうと思うほどに、心臓が暴れだしている。
 すい――と、手が前に出た。いつの間にか拘束が解けている。
 ばくん。ばくん。
 一歩前に踏み出す。からだが、とても、あつい。
「魔理沙。ちゃんとお願いしなさい、自分で」
 霊夢は魔理沙の腕を掴んで、耳元に囁く。
「アリス……」
 掠れた声。
 泣いているような、しかし、期待に満ちた声。
「苛めて……いっぱい」
 アリスは、ふらふらと、魔理沙の前に、立った。


「アリス」
 魔理沙の体に手を伸ばそうとしていたアリスに、霊夢がストップをかける。
 ――このとき初めて、アリスを名前で呼んだ。
 小さくため息。
「まだわかってないわね。あんたが魔理沙を苛めるっていうなら、手なんて使ってる場合じゃないでしょ。そんな素敵なモノ持ってるんだから」
 そう言って――アリスの脚を指差す。
 アリスはしばらく怪訝な顔を見せて。
「――ああ。理解したわ」
 頷いて、右足のブーツに手をかけ、それを脱ぎ去る。
 右足を包むものは靴下だけになり、その足を魔理沙のスカートの上に置く。
 もう一度足を上げて、潤んだ視線でそれを見上げる魔理沙によく見せつけたあと、ゆっくり下ろしていき……魔理沙の濡れた下着の上にそっと下ろす。
「……ふ……ぁ……あああぁあっ!!」
 つん、と触れただけで、魔理沙はまたびくびくんと痙攣する。
 その反応に、アリスのほうが驚いて足を慌てて離す。べっとりと粘ついた液が足の裏で糸を引く。
「あ……いや……」
「魔理沙……い、いまので……イっちゃったの……?」
「……ッ」
 羞恥に顔を赤く染めながら――
 こくこくと魔理沙は確かに頷いた。
 そして、目で続きを訴えている。
「……ほ、ほんとに……こんなのが、気持ちいいんだ……」
 ごく。
 魔理沙の表情に、きゅん、とアリスの女性の部分が反応し、ひくひくと膣内が疼く。とろり……と濡れて、魔理沙を欲しがっているのを感じる。
 もう一度足を下ろす。今度はいくぶん強く。
 触れるのではなく、ぐいっと、踏みつけた。ぐちゅっと湿った音が響く。
「あ……んんんあぁ……っ!!」
「気持ちいいの? 踏まれて気持ちいいの?」
「ん……キモチ……気持ちいい……! や、また……またイ……っちゃ……!! あ、あ……ッ!」
「なんていやらしいの――ますます愛しいわ、魔理沙」
 くりっ
 魔理沙がまだ痙攣している途中に、足の指先でぷっくりと膨れ上がり主張している部分を摘む。
「あ、やッ!! イ、イっちゃってるのに、また……う、あぁ、ああああああッ!!! だ、め、つよ……んんーーーッ!!」
 ぐり、ぐり。
 指の付け根から土踏まず、踵にかけて体重をかける場所を少しずつずらしながら、深く踏み込んでいく。
「あッ……あーーーーーッ!! いッ! が……うぁッ! は……ん……ああッ!!」
 喘ぎ声とも泣き声とも悲鳴とも区別がつかないほどの無茶苦茶な叫びになってきても、そして魔理沙の身体がずっと狂ったように飛び跳ねまくっていることも気にせず、何度も体重を変化させ踏み続ける。
「ぁ……は……魔理沙、素敵よ。もっと乱れて。私のことだけ感じて、もっと可愛いところいっぱい見せて……!」
「あぁーーーーーーッ!! んが……ッ!! や! い、ああああッ!!」
「あは……♪」
 楽しげに笑いながら無心に踏み続ける、アリス。
「……アリス。ちょっと落ち着いて」
 ――そこに割り込む、冷静な声。

 はっとアリスは顔を上げる。もうそこにいることを忘れていた、霊夢の声だった。
 少し怒ったようなその顔を見て、高揚した気分が吹き飛ぶ。
「苛めるって言っても、行きすぎは駄目よ。ちゃんと気持ちよくしてあげなきゃ。魔理沙を壊すつもり?」
「――っ。……そうね、ちょっと……我を失っていたわ」
 はあ、はあ……と苦しげに息を吐く魔理沙から、足を離して、もうぐちょぐちょに濡れた足を魔理沙のスカートの上に下ろす。
 ふう……と、霊夢はまた大きなため息をつく。
「まだ私がちゃんと教育してあげたほうがいいかしら?」
「――いえ。もう冷静になったわ。二度と失敗はしない。ありがとう、霊夢。助かったわ」
「……ん。信じるわ。あんたの気持ち。じゃ、私はもう行くわね。お仕置きは十分だし」
 そう言うと、霊夢は、巫女服に手を突っ込んで――いったいどこからなのか――、じゃらりと黒いものを取り出した。
 それを、アリスの手に渡す。
「……あなた……何考えてるのよ……」
「記念日にちょうどいいでしょ」
 ひらひらと手を振る霊夢。
 アリスの手に渡ったそれは、黒く大きい皮製の首輪。そして手錠。
 手の中に収められたものを見て、呆れた目で霊夢を見る。
 それを目にした魔理沙は――怯えとも期待とも取れるような目で、じっと眺めていた。
「その気が無ければ使わなくてもいいわよ」
「――まさか。ありがたくいただくわ」
「素直ね」
 霊夢は笑うと、魔理沙からすっと離れる。
 ふわりと浮き上がって、立ち去ろうとする。

「――待って、霊夢。確認させてもらうわ」
「ん?」
 アリスは片手に首輪と手錠を持って、もう片方の手でポーチから何枚かの葉っぱを取り出す。
 それを……ぱらぱらと、地面に捨てた。
「今朝のあなたの依頼で作ろうとしてた薬だけど……本当はいらない、のよね?」
 それは、先程アリスが摘んでいた木の葉。
 今ここにいるのは、それを採取するためだった。
「さて。何のことか記憶にないわ」
 霊夢は手をひらひらと振って、アリスの様子など気にも留めずにそのまま高度を上げる。
「ばいばい。おやすみ」
「――おやすみ」
 あっさりと、飛び去っていった。
 その後姿を眺めて……アリスは少しだけ、苦笑いを浮かべた。


「さて、魔理沙」
「……ん……」
「さっきはごめんね。……これで私達、二人だけよ」
「……アリス」
「なあに?」
「……急に、恥ずかしくなってきた……っ」
 視線を横に逸らして、開いていた足を閉じて、見えている部分を隠そうとする魔理沙。
 アリスは、あら、と笑いかける。
「なんだ。やっぱりさっきまで呪いがかかってたのね」
「……ん……あ……でも……」
「ん?」
 ぼそぼそと話す魔理沙の言葉を、じっくりと待つ。
 真っ赤になりながらもじもじする魔理沙という、まず滅多に見られないものを眺めて楽しみつつ。
「わ……私の、その、さっきの……は、本当なんだ……」
「……さっきの? 具体的には?」
「……うー。恥ずかしいのとか……苛められるのとかで、か……感じてしまうんだ……」
「そう。それで、いつも霊夢に苛められに行ってたのね?」
「……」
「魔理沙。これからは、私がいるわ。私が、誰よりも貴女を愛してあげる。いっぱい苛めてあげる。もう、霊夢のところには行かないで」
 ぎゅ、と魔理沙を抱きしめる。
 頭をそっと撫でる。
「心配はいらないわ。――ええ、むしろ、私も、魔理沙を苛める快感を知ってしまったから……魔理沙を離さない。誰にも渡さない」
「……」
「大好きよ。愛してるわ、魔理沙……」
 微笑んで、アリスは魔理沙の首に手を回して。
 手に持った首輪を魔理沙の首に通して、がちゃりと金具を閉じた。
「――綺麗。とってもよく似合ってるわ……」
 魔理沙の頬に手をやり、そっと撫でる。
「……ほ、本当に、するのかよ」
「ええ。これは魔理沙が私のモノになった証だもの。嫌だったかしら」
「嫌……じゃ、ない……けど、恥ずかしい……」
「それが気持ちいい」
「……ぅ」
「いいわ。その顔。ぞくぞくするわ……」
 かぷり、と耳たぶを噛む。
「ひんっ……」
「もっと声を聞かせて。壊れないように、優しくたくさん苛めてあげる」
 アリスは、くいっと首輪の鎖を引っ張った。

 日が落ちる。
 ここから二人の世界が、始まる。





 ふわふわと、漂うように帰路を飛ぶ。
「あー」
「あー」
「あー」
 同じような呟きを何度も繰り返しながら。
 霊夢は、つまらなさそうな顔で、ふわふわと飛び続ける。
「またひとりぼっちかあ……なんで私いつもこうなんだろ」
 ふわふわ。
 ふわふわ。
「あー。アレかな。誰だったかに、あんたは苛めるのは最高に上手いけど愛するのは最高に下手だって言われたなあ。あーもう。知ったこっちゃないわよ」
 ぶつぶつ。
 ぶつぶつ。
 ぶつぶつ……






FIN....





【あとがき】

 ああん!
 ほぼ100%エロシーンなのに何故こんなにエロくないのか……
 (/_;)

 こんばんは。村人。でございます。
 マリアリじゃなくてアリマリ。
 こんなの魔理沙じゃない! って言われそうです。
 ごめんなさい。そう思います。いやあ……魔理沙がMだったらどうなるんだろうと思ってたらこんなことに!?

 ……これからもよろしくおねがいいたします。
 マリアリ!


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Last-modified: 2018-01-07 (日) 04:56:13 (2293d)